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戦うor交渉事をするのに有利な立場を創る。これが戦略である ── 臨機応変に勝機を創り出す「戦略発想」の勧め ──
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自分の持ち味が際立つ状況を選定するなり創り出して戦いor交渉事に乗り出す。具体例を示しましょう。
槍の名手である道場主が一刀流の名人の道場破りを目的とする挑戦を受けました。この道場主はどのように戦うべきでしょうか? さっと戸外に飛び出さなければなりません。なぜなら、狭い道場の中では槍は刀よりも戦いにくいからです。
セブン・イレブンにキャッチアップして追いつけず疲弊してしまったローソンは「標準化した店舗展開をする ⇒ 本部によるチェーン・オペレーションの効率化が実現できる
⇒ スケールメリットが追求できる」というコンビニ業界の常識を踏襲するのを止め、地域特性に合わせた店舗づくりに転換しました。その結果、低迷続きの業績を回復させることに成功したことがありました。
これも自分にとって有利な場面で勝負するやり方ですが、上記の槍の名手とは大きな違いがひとつあります。自分の持味をそのまま使うのではなく、新創業の心で創り直したのです。
かってのローソン流儀を発展させて企業経営の世界全般に通用するように表現しますと、「三つの条件を備えた隙間市場参入型のコンセプトを開発する」となります。
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新創業の理念を踏まえている。
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強力なライバルが参入しにくい。
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将来メインになる。
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業界下から2位であった松井証券によるインターネット・ブローキング市場への参入が好い例です。同社の決断の背景には、「株式を売り込まれることを嫌う客が増えている」「大手の証券会社は強力なセールス陣の存在が武器であるが故にインターネット・ブローキング市場に参入しにくい」ということがあったことを忘れてはならないのです。(こういう新しいメガトレンドは交渉事を成立・成功させるための有効な動機づけに使えます)
徳川家康の権力奪取の背景には緻密な謀略「(自身は実力No1のイメージ+豊臣秀頼は幼少→嗅ぎつけた豊臣陣営内の反石田三成感情を煽る→豊臣陣営は不安泰イメージ化→縁組して中立人物を封じ込め)+上杉が秀頼の要請無視→公儀「上杉討伐」の確立→家康の下に一大勢力結集」有。http://www.trijp.com/approach/sfa01-1.shtml#lucurative |
有利な立場を創るための戦略発想が必要な場面は立ち往生状態が示すように多岐に亘りますが、いずれの場合であっても隙間市場の発見・創造のような脳力が必要です。
時代の申し子「トランプ大統領」の登場、中国の大躍進並びに第4次産業革命は世界秩序再構築時代を幕開けさせたので、新しい環境に備えなくてはなりません。これは経営基盤が根付いた既成勢力には「凶」ですが、真逆の新勢力にとっては「吉」です。適切な戦略発想に基くオープンリソース経営を日本人一般の致命的欠点克服に成功した経営幹部の下で運営すれば、躍進が可能になるからです。但し、留意事項があります。
ひとつの世界にどっぷり漬かり続けますと、どんなに優秀な人物であっても、下記図式の罠に嵌ってしまいがちとなることを気をつけなければなりません。これが留意事項です。
固定観念が醸成される ⇒ 難問に遭遇しても根本的打開策を考え抜かない ⇒ 鋭い直観回路を身につけることが困難になる ⇒ 斬新な着眼を持つことが困難になる ⇒ 間違ったとんでもない問題解決策を講じてしまう ⇒ 閉塞状態に陥り、抜け出すことが困難になる。→環境変化適応力が決まる仕組み。(図式)
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上記したことは商談・婚活・就活にも当てはまります。この三つはそれぞれの持味を気に入り合って初めて成立・成功するからです。自分の持ち味が際立つ状況を選定するなり創り出すことの必要性はその他の交渉事でも同じです。そして、上記の経験主義が陥りがちな図式・具体例・対策は個人的問題についても当てはまります。
過去の延長線上を歩むことが許されなくなった。いいかえれば、戦略発想に基く舵取りが必要になった。こういう時代における固定観念は人生・経営を台無しにします。ここに、対話型問題解決手法「悩み事を吐き出すだけで個人も企業も個性的才能を磨くことに結びつく創造的問題解決脳の入手が可能になります」、環境変化を味方にして先手必勝を狙うことに焦点を絞った「戦略発想力強化塾」の意義があります。
戦略発想は座礁に乗り上げた交渉事の打開をも可能にします |
習慣のロックを外しさえすれば、危機を好機にするのは可能。「世界人口とお金持ちの増加+日本食ブーム」+「人口減少傾向下の農産品自由化→農地と輸出拡大OK」→AI・IoT・ドローン活用による生産性革命の下での農産品の高付加価値化…が例。戦略発想力の抜本的強化が不可欠。http://www.trijp.com/approach/sfa01-1.shtml#lucurative |
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複雑な事情が災いして円滑な第一歩が踏み出せない |
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企業経営の現場は複雑ですので、適切な事業コンセプトを仮に開発(入手)できても、三つの壁が立ちはだかりますと、円滑な第一歩が踏み出せません。踏み出せたとしても、中途半端な行動になりがちです。このことは個人の新しい行動目標にも当てはまります。
(第1の壁) 積極的に生きる気持ちがないので、適切な事業コンセプトや個人の新しい行動目標に興味を抱くことができない
「負け組になった + 斬新な着眼力が欠如している ⇒ 何度試みても閉塞状態から脱出できない 」 or 「惰性の人生を送り続けている ⇒ 老害発生の仕組みにはまっている」 ⇒ 「もう駄目だ」と思い込んでいる or 進取の気性がなくなっている──、という図式に陥っているのです。(必要な対策 ⇒ 『意欲満々になるための定石 / 若々しい脳力復活支援 / 解決すべき問題の体系的理解』)
(第2の壁) やる気はあるが、様々な障害があるので、挑戦しようがない
不足経営資源(能力・脳力)の調達に不安がある状況に置かれている。「あちらを立てればこちらが立たず…」といったような状況に置かれている。そうでなくても、画期的な新技術が続々と登場する時代がやってきたので、事業コンセプト具現化に必要な技術開発を逡巡してしまう。こういう問題がクリアーできても、「あちらを立てればこちらが立たず…」といったような状況に置かれている。(必要な対策
⇒ 『創造的統合戦略 / 構想力・独創力を身につけることを最優先させよう!』)
(第3の壁) 「いざ挑戦!」となると、不安がよぎって身がすくんでしまう
闇夜の中に石を投ずるような決断を迫られ、しかも、後戻りできないかもしれない(見知らぬ人々と付き合わなければならない。過去の経験則が使えない等)。これは徐々に物事が決まっていくやり方と違って身がすくんでしまう。こういう状況です。(必要な対策
⇒ 『プロフェッショナル・シミュレーション』) |
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戦略はシナリオ化して初めて円滑に実行できる |
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「新創業の理念を踏まえている。強力なライバルが参入しにくい。将来メインになる──、という三つの条件を備えた行動目標を設定できた。にもかかわらず、上記した第1・2・3の壁のようなものが目標へ向けて行動を躊躇させる場合は、2段階の作業を行うことをお勧めします。
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(ステップ1の作業) 行動目標と現状との間にあるギャップを体系的に認識する |
上記「三つの壁」の個々の仕組みを明らかにする。その上で、「三つの壁」個々の仕組みをばらばらではなく体系的に把握する ⇒ 予測制御効果を手に入れる──、という図式を実現させることが目的なのです。
(壁は現象だけを認識すると、「うわーっ、大変だ!」となります。ところが、壁全体の仕組みの構造を認識すると、「なんだ、そういうことなのか…」となることが期待できるのです。例えて言えば、かくかくしかじかだからこういう行動をする…ということが分かれば、強面の人であっても付き合いやすくなる。これと同じことなのです)
予測制御効果だけではすまない場合は、後述の(ステップ2の作業)でそれぞれの壁を乗り越えるための対策を講じます。
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(ステップ2の作業) ステップ1で認識されたギャップを合理的に埋めるアクションプランを策定する |
前述の「複雑な事情が災いして円滑な第一歩が踏み出せない」で指摘した第1・2・3の壁を埋めるためにはそれ相応の心得があります。
●日本人にとって一番厄介な「第1の壁」はどうやって埋めるのか?
日本人にとって一番厄介な第1の壁を乗り越えるために威力を発揮するのは、最終目標を念頭に置いた行動を無理なく積み重ねていく、下記のようなシナリオに基づく行動を採ることです。
経営システムの変革を通じて戦略的に必要不可欠な能力を先行投資してとりこむ
⇒ 実績に基く信頼関係を武器に活用して、戦略的に必要不可欠な能力をとりこむために現有市場を深耕する
⇒ 新天地に身を投じる。(具体例 ⇒『鮮やかな変身を遂げるための三つの方法』)
しかしながら、上記のようなシナリオの策定が事の成就に必ず結びつくとは限りません。事の成就に確実に結びつけたいのであれば、下記の図式実現が必要になります。
当事者が「なんとしてでもやり遂げたい」と心の奥底から思い込む ⇒ 混沌状態に追い込まれる変化を受け入れる
⇒ 不退転の姿勢で自らを変革させつつチャレンジする。
大事を成し遂げるためには、適切な問題解決策を入手するだけでは駄目なのです。智恵と勇気も併せて入手しなければならないのです。ここに「ワタナベ式問題解決へのアプローチ」の意義があるのです。
但し、組織的協力が必要な場合は上記したことだけではなく、絶対的権力を握っている社長のような大物がベンチャー精神旺盛な人物に向かって「どんな協力も惜しまないから君のやりたいようにやってくれ!」というような環境が必要になります。
●「第2・3の壁」はどうやって埋めるのか?
第2・第3の壁は三つの考え方で埋めると巧く行きます。
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波及効果と成長性の高い投資案件への投資を優先させる。(例:モノとサービスの融合を必要とするエレクトロニクス機器メーカーにおける圧倒的なインターネット上での顧客獲得力、未来進行形の取り扱い製品の納期とコスト上の競争力強化に結びつくロジスティックス力等)
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投資して入手する能力の陳腐化を考える必要性が低い場合は、到達目標 (ビジョン) 実現に結びつく新規事業・新製品 (サービス) の開発を心がける。(具体例 ⇒『成長分野に成功裏に進出する秘訣』)
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情報収集や意思疎通のためにインターネットを駆使する等のように新規行動を日常生活の中に織り込む。
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やらなくてはらないことは分かっているのだが、第一歩が踏み出せない。踏み出せたとしても、中途半端な行動になりがち…という状態に陥ってしまう背景には三つのことがあるのです。
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「部分最適と全体最適の一体化」「短期最適と長期最適の一体化」に配慮したアクション・プランがない。
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組織全体を動かさなければならないにもかかわらず、組織の最高権力者の全面的なバックアップが得られてない。
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前途に横たわる難関を突破するために必要不可欠な智恵と勇気が当事者(達)に身についていない。 |
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多くの日本人が挑戦的な行動をつい避けてしまうのはどうしてなのでしょうか? 「日本的集団主義にどっぷり浸かって生きてきた ⇒ 融通無碍の習慣が染み付いてしまった ⇒ 自分の心中や周囲の人々に軋轢が生じるようなことはしたくないと思っている」という図式にはまってしまっているからなのです。ここに、軋轢最小化に結びつく、上記のようなシナリオの必要性があるのです。
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弱者連合を強者連合に大化けさせるのが適切な戦略である |
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色々なことをやっているが、すべてが中途半端。そして、事業全体が弱者連合になってしまっているので、競争に勝てない。必要な利益が出ない──、という状態に陥っている企業にまず必要なのは、上記したような創造性豊かな戦略シナリオを策定することです。この策定効果は建築物に例えて見ると分かりやすいでしょう。
一流の建築物は斬新な部材や素材のみで構成されているでしょうか? 「否」です。ほとんどがありふれたものです。にもかかわらず、思わず息を呑むような存在になっているのはどうしてなのでしょうか?
斬新な設計図の下に斬新な部材や素材が一部使われているからなのです。
上記したことと同じようなことが企業経営においても言えます。米国のIBMがハード並びにコンピューター・ソフトウェア部門の活性化に成功した背景に、ITを駆使して顧客企業の経営問題を創造的に解決する事業戦略を打ち出し、抜本的に強化した経営コンサルティング部隊を核弾頭役に用いた等が好い例です。
焦点を絞った波及性と成長性の高い先行投資を行うことを前提とする創造的統合戦略の策定は弱者連合を強者連合は大化けさせることに結びつくことを忘れてはならないのです。したがって、
「競争の激化 + 構想力・独創力の不足 ⇒ 短絡的な分社化あるいは事業内容のスリム化…」という図式の行動は将来利益の放棄に結びつきかねないことを認識しなければなりません。部分最適、短期最適のみの思考は長期繁栄の敵になることがほとんどであることを肝に銘じなければならないのです。
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戦略シナリオ策定はチャンスに強い企業体質をつくる |
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戦略シナリオの策定は他人任せにすることなく、当事者が主体的にかかわることをお勧めします。なぜなら、そうすることによって、二つの副次効果を入手できるようになるからです。
(副次効果1) 臨機応変の適切な行動が可能になる
大事を成し遂げようとする時に、漠然と事に対処しようとしますと、迅速な行動を採れず、しかも盲点だらけとなってしまいます。そうならないためには、緻密な計画に基づくシミュレーションをしておく必要があります。実はこれが戦略シナリオ策定の狙いなのです。
戦略シナリオ策定の目的は、環境変化への迅速な適応を可能にする「異変待ち受け経営」を行うことが目的であって、計画的に企業経営を行うことにあるのではないのです。
猪突猛進が危険きわまりないことは数多くの故事が物語っています。シミュレーション効果を軽視してはならないのです。(反面教師 ⇒『加藤宏一氏の乱』) 大事を成就するためには臨機応変力 (智恵と勇気) を予め身につけておくことが必要不可欠なのです。
この臨機応変力を予め身につけることを可能にする有効な方法がワタナベ式問題解決へのアプローチ通じて問題解決策を詰めていくことです。どうしてなのでしょうか? この手法には二つのことが織り込まれているからです。
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自主性を尊重される形で考え抜き、決断・行動して成功した体験が「もっともっと」…という想いを生み出す。
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プロフェッショナルが介在しているために思慮不足にならない。
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(副次効果2) 成長し続けることが可能になる
経験が不足していたり、体調が良くないと、適切な判断が生まれない。体調が良いと、一気に事を決しようとして漏れが生じてしまう──、こういうことになりがちなのが人間です。ここに、組織だった工夫の必要性が生まれます。欠かせない多様な要素をシステム化した詳細なビジネスモデルを開発する等がこの工夫のひとつです。
ところが、このような工夫は抜群の効率の良さを実現させる反面、方向転換を困難にする…という宿命を組織並びに個人に背負わせることになりがちです。環境が様変わりすると、ビジネスや生活の仕組みは成功要因から失敗要因に転じてしまいがちなのです。(補足説明 ⇒『マネジメントの鉄則を頭に叩き込もう』
変化の激しい時代において企業はどうすればよいでのしょうか? ビジネスモデルを組むことを止めるべきでしょうか?
「否」です。なぜなら、
今真っ盛りのことに70%、いずれ成長間違いなしのことにに25%、海のものとも山のものとも分からないことに5%を投資する──、このファッション・ビジネスで成功し続けるための鉄則を念頭に置く。その上で、未来進行形の全事業の牽引に結びつく経営資源に集中投資できるようなビジネス・モデルが必要だからです。
ビジネス・パーソンの人間関係 (人脈) のあり方についても同じようなことが言えます。なぜなら、人脈の固定化は大きな環境変化への迅速な適応を困難にし、成功要因を失敗要因にしてしまうからです。(具体例 ⇒『日本最大であったチェーン・ストアー経営破綻の真因』)
シナリオ化された統合戦略は新時代が要求する「創造的破壊」「粘り強い建設」…という相反する二つのことの同時遂行を可能にしてくれるのです。
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勝負強さは工夫した戦略シナリオの策定が生み出す |
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勝負強い人とそうではない人がいますが、その差はどこから生まれのでしょうか? 「俺は (私は) 日本太郎 (花子) だ!」と誰はばかることなく言い切れる。火事場の馬鹿力のようなものを発揮できる。 ── この二つの有無が差を生み出すのです。負けじ魂となる強烈なプライドに下支えされた、持続力ある集中力を持てるようになって始めて勝負強くなれるのです。
持続力ある集中力はシナリオ化された統合戦略を適切に策定しさえすれば、実現できます。これは前述したことから明らかにされたことです。問題は負けじ魂となる強烈なプライドを持てるかどうか…です。
普通の企業や個人には上記のような強烈なプライドはないものねだりなのでしょうか? 「否」です。なぜなら、企業も個人も潜在能力のごく一部しか使っていない。志を大きく持てば能力は大化けする。このことを予め認識することが自信に結びつくものだからです。(詳しくは ⇒『独創的かつ実現可能なビジョン発想の秘訣』&『未来進行形の自己物語創造』)
実現できる志を大きく持つにはどうしたらよいでしょうか? 過去からも未来からも眺めて誇れる特徴を再発見・洞察することです。(具体策のイメージ例 ⇒『未来進行形の自己物語創造効果を入手するための方法』&『成長分野に成功裡に進出する秘訣』)
そして、実はこのような知的作業がシナリオ化された統合戦略の適切な策定を可能にしてくれるのです。(イメージして頂くための簡単な例 ⇒『脳力・能力を大化けさせることができる』、『ギブ&テイクの度重なる転職が夢見ていた脳力獲得に結びついた具体例』)
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地に足の着いた戦略シナリオ策定が成長持続を可能にする |
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企業・地域経済・個人はその気になれば、成長し続けることができます。その鍵を握っているのが戦略シナリオの策定の仕方です。(詳しくは ⇒『成長の4条件』)
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「戦略シナリオを当事者が主体的に策定すれば、成長の持続が可能になる」の説明がきわめて重要であると考え、みなさんの疑問・質問を想定して、それに答えていきたいと思います。 |
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Q |
企業経営はどうしてこんなにしんどいものになったのでしょうか? 昔はもっと楽でした。政府の失政がデフレを招き、デフレが企業経営を圧迫している、ということにやっぱりなるのではないでしょうか?
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A |
不良債権処理の遅れがデフレの一因になっていることは否ませんが、企業が沢山ある新成長機会を捉えきれないからデフレになった…ということの方が原因としては大きいです。
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Q |
製品・サービスが普及しきっていることを考えると、新成長機会が沢山あるなんて表現はオーバーすぎるのではないですか?
市場の成熟化によって鎌首をもたげてきている個性的需要がある。つまり、隙間市場がある…と言いたいのでしょうが、この考え方は通用しにくくなっています。なぜなら、ウォークマンのような製品・サービスがあらゆる業界で既に行き渡っているからです。 |
A |
今の反論は間違っています。理由は大別して三つはあります。
(理由1) |
製品単独では成長産業に所属していなくても、コンサルティング・セールスによって成長市場を創り出すことができる。例をあげると、次の通り。老朽化したビルを診断して、「こうすればこのくらい節電できます」という提案を行う。
すると、顧客は「節電効果があることは信じます。でも、先行投資する余裕がないのです」と言う。これに対して、「電気代節約分以内の費用で節電システムのリース代を払ってください」と言ってビジネスを成立させる。
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(理由2) |
技術が分類学的パラダイム(理論的枠組み)から多様性と融合性のパラダイムに転換したので、ウォークマン的製品の域を超えた、個性的需要に対応できる製品を生み出すことができる。例を挙げると、次の通り。
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(例1) |
衝突により凹んでしまっても暫くすると、自動的に修復する自動車のバンパー |
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(例2) |
「電子技術やIT革命の進展 ⇒ 製品・生産技術の改良・改善の進展」という好循環が継続できるようになった自動車や家電製品 |
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(例3) |
進歩し続ける生命科学が夢の製品を次々生み出すことを可能にしている農作物や薬品 |
但し、上記したよう技術を使って事業として成功するためには、アニメ映画「千と千尋」がそうであったように適切なコンセプト開発が大前提であることは言うまでもありません。いいかえれば、「適切なジグソーパズル思考を行い続ける ⇒ 過当競争から脱却し続ける ⇒ 中国に勝って、脱デフレ路線を歩み続ける」という図式が必要なのです。
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(理由3) |
工業化の進展がもたらすチャンスは上記したようなことだけではない。地球環境の保全、過密化の緩和等の、社会構成要素の均衡回復需要をも生み出している。(新交通システム、燃料電池等)
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Q |
新しい成長機会は無限にある。したがって、個人・企業・地方経済は環境変化に適応しつつ成長を続けることができることは理屈の上ではよく分かりました。でも、そうはなりにくいのが現実です。なぜなら、
人間、特に日本人には厄介な保守本能があるからです。新しい行動を採ることによって失うことよりも得ることの方が遥かに大きいとしても当分ぬくぬくしていられそうですと、現状維持の道をついつい選びがちとなってしまうからです。戦略シナリオによってこの問題を解決できるのでしょうか?
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A |
非常によい質問をしてくれました。二つの同時実現に結びつくような投資をし続ける戦略シナリオを創ることによって提起された問題の解決が可能になります。
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現在の事業・仕事・生活をより良くする。 |
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将来有望な事業・仕事・生活の有益な布石になる。 |
戦略シナリオは波及性と成長性の両方に十分配慮したものでなければならないのです。(具体例 ⇒ 『成長分野に成功裡に進出する秘訣』)
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創造的統合戦略の策定は創造活動そのものである |
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やるべきことは分かっている。にもかかわらず、行動できない。行動しても長続きしない…という状態から抜け出して様変わりした環境への適応に成功するために必要不可欠な「統合戦略」、つまり、「部分最適と全体最適の一体化」「短期最適と長期最適の一体化」に配慮したアクション・プランの現実的な策定手順は次の通りです。
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当事者が思いつくままに解決すべき問題&未完成の打開策を全て吐き出す。
吐き出された思いつきは背景・真意の洞察のための貴重な素材になるのです。だから、未完成な打開策も必要なのです。但し、こういう素材になるためには適切な誘導が必要です。なぜなら、「適切なモチーフがある ⇒ 適切な取材ができる ⇒ 魅力的な小説が書ける」…と同じことが言えるからです。創造的統合戦略を策定するための素材の収集・作成は漫然と行ってはならないのです。
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上記 の素材を構想力・独創力を鍛えぬいた人物にインプットする。
素材個々に「どうしてなのか?」「だからどういうことが言えるのか?」という分析的推理並びに合成的推理を行い、その結果を論理の連鎖にまとめる作業が待ち受けているのです。(論理の連鎖を簡単化したイメージ ⇒『解決を要する諸問題を構造化・図解して示す能力』)
創造力の光で発想し、インスピレーションをロジックに照らして検証する。 ── こういう知的作業が創造には必要不可欠です。だから、論理の連鎖にまとめる作業で締めくくるのです。
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上記 の素材が到達目標並びに円滑な行動を可能にするシナリオに大化けしてアウトプットされる。
核心となる原因が様々な問題を生み出している状態を図解する。いいかえれば、山積している問題はばらばらではなく一体的に捉える。その上で、将棋倒し的な効果が生まれるように様々な問題解決策を関連づけ・手順化したものを図解する。いいかえれば、様々な対策はばらばらではなく一体的に捉える──、これが目指すべきアウトプットです。アクションプランは一体的に捉えるために図解する必要があるのです。
「あちらを立てればこちらが立たず」「どこから手をつけたらよいか分からない」…といったような立往生状態からの脱出・躍進を可能にする統合戦略を策定するためには、上記のような時間のかかる知的作業が必要不可欠です。
ところが、日本人のほとんどはこのようなことを行うことを想像すらしません。なぜなら、模倣や小手先的な対策で事足りた時代が超長期間続いたからです。だから、社会を構成するセクターの圧倒的多数は時代の様変わりが招いた不況や苦境から脱することができないでいるのです。(証拠 ⇒『有名だが視野狭小の医師達に振り回された少女の悲劇現象』)
不況や苦境からの脱出を願うのであれば、雑多な知識・情報をグランドデザイン化された創造的問題解決策に転換させる化学プラントのような機能の活用・取り込みを急がなければなりません。
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山積している問題を一体化した図解(イメージ ⇒ 『内需拡大を阻む根本的原因』)がなぜ必要なのか? |
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山積している問題はばらばらではなく一体的に捉える。その上で、将棋倒し的な効果が生まれるように様々な問題解決策を関連づけ・手順化したものを図解する…という上記の言葉に接して、
「問題を解明しきれるものではない。だったら、そんなことをするよりもネットワーク時代の特徴を生かすことに結びつく、機会最大化の方に努力を傾注すべきである」という批判の言葉を発する人が少なくないことでしょう。
しかしながら、この批判は間違いです。なぜなら、問題をネットワーク化されたフローチャートの形で一体化して図解すると、三つの効用が生まれるからです。
(効用1) 「陥っている問題の原因は何か、その原因の原因は何か…といったような徹底的思考を促進できる ⇒ 真の原因に焦点を合わせた根本的な対策を講じることができる
⇒ 偽の因果関係に振り回されることがなくなる」という図式実現が可能になる。
(見えにくいことが見え、気づきにくいことに気づくことを可能にする鋭い直観回路が必要不可欠であるのは言うまでもありません)
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(効用2) 漏れ・重複・矛盾に気付きやすくなるので、全体最適にとってマイナスになるような部分最適の問題解決策を採るようなことがなくなる。
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(効用3) 数多くの解決すべき問題を一体的に捉えられることができるので、将棋倒し効果が期待できる問題解決のシナリオが策定できる。 |
わが国の度重なる経済政策の失敗 (具体例 ⇒『バブルが発生した本当の理由』) は上記の三つの効用を持つ、山積している問題はばらばらではなく一体的に捉える手法を採用しなかったことにあるのです。同じようなことが企業経営の現場にも数多くあるようです。
チラシの効果が薄れたきた時、その背景にある真の原因が「中心的な顧客層が変わった ⇒ 効果のある宣伝メディアはチラシではなくなった」という図式にあることに気付いた抜本的対策を講じることなく、色を変えたりタレントを登用したりして、チラシをいじりまわすことに終始したようなやり方しか採れなかったことにあるのです。この背景には、
ほぼ一直線での成長が可能であった時代に有効であった、洞察して考え抜くことのない場当たり的対策が習慣化してしまい、あたかも遺伝子のようになってしまっている日本病があることを忘れはなりません。だから、メインバンクは本質的な対策を思いつきもしなかったのです。
「このように主張する新創業研究所が手を拱いていたのはどうしてなのか?」という率直な疑問が生まれることでしょう。お答えします。このチェーンストアーのオーナー経営者に取締役社長室長経由でアプローチしたのです。穴倉に閉じこもるような長期研究専念生活に一区切りをつけようした1997年のことでした。
ところが、「こういうことはメインバンク系のシンクタンクに任せてある」ということで、渡辺高哉のことは中内功オーナー経営者の耳目に届きませんでした。どうしてなのでしょうか? 二つのことが考えられます。
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悪しき知覚プロセスの罠に嵌ってしまっていた ⇒ 情報ゾーンが陳腐化しきったままであった。→デフレ経済の本当の原因
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打たれ強さを失ってしまっていた ⇒ 耳目を塞いでしまう or 自分に都合が良いようにこじつけて解釈してしまう。→習慣の力 |
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環境変化への適応が容易でないことを更に深く理解したい方 |
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未解決な問題が新たな問題を生み、その問題が新たな問題を生む…となり、事態の複雑化を招いている状態は個人の人生でもしばしば見受けられます。健全な家庭を築く手順の背景にある実態が典型的な例です。性格と歴史的立場(固有の立場)の認識欠如に起因する複雑骨折のような悲劇が多発しています。悲劇のドラマ『赤い砂漠』の考察結果を読み、「映画ではないか」とすますことができません。 |