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 2013.12.31掲載(2015.1.15更新)

  ここで紹介する事例はインターネット等の公開資料に基づいての推理結果であってクライアントを診断したものではありません。クライアントから知りえた情報が新創業研究所から具体例で洩れることは一切ありません。ご安心ください。

 実体験を記述したものがありますが、「秘密事項ではない」「遥か昔のできごとであり、かつ描写対象になっている人物は死去して久しい」ために公開した次第です。

 日本人に多い「安定枠組みしがみつき」は人生台無しに結びつきやくなった
── 視点「世界の新潮流」で元三代目若乃花アル・カポネの人生を評価する ──

 テレビ番組『私の何がイケないの?』で花田虎上・元三代目若乃花が精神にやや異常をきたしていることを知りました。その上で、『ザ・プロファイラー(アル・カポネ編)』の録画を観て、

 「二人は全く異なる生い立ちであるが、本質的には多くの日本人に見られる共通性がある」「国内外の環境は大きく変わろうとしているので、日本的集団主義の影響を強く受けている日本人は人生を早く総括しないと、臨機応変力欠如を露呈して激流に呑みこまれる危険性が大である」と思うに至りました。「そういうことだったのか。なんとしてでも習慣の力を克服しよう!」という心境になることを願うばかりです。

 このことは企業経営にも当てはまります。「技術の優位性を実現・維持できさえすれば、市場競争に勝てる」のような「習慣の力」に支配されっ放しであることが業績の足を引っ張っている場合が実に多いからです。(具体例 ⇒ 『市場の本音に適応できずiPodに叩きのめされたウォークマン』)

 そこで、 約8年半前のコンテンツ『大相撲の名門「花田家」が家族崩壊に転じたのはなぜか?』の続編を簡単な対話にして掲載することになった次第です。

威風堂々としていたアル・カポネは見かけ倒しの人物だった

(節子) 「アル・カポネは日本人に多く見られる性格の持ち主だ」という貴方の意見の根拠は何なのかしら? 極悪非道の彼が穏かで優しい性根を持った大多数の日本人と同類とはとても思えない。議論を始める前にきちっと説明して欲しい。そうでないと、対話の大前提が崩れてしまう。

(高哉) 貴女は彼が“専制君主”志向の強い性格の持ち主だと思っているので、僕の意見に疑問を呈したんだろうね。暗黒街の帝王にのし上がったアル・カポネが堅牢なガードを固めた豪邸をマイアミに建ててそこに引っ込んでしまった理由を解明することがこの謎解きが回答になる。

(節子) 敵対者につけ狙われ落命の危険性があったからよね。「命あっての物種」なんだから当たり前じゃないかしら?

(高哉) “専制君主”志向の強い人物は自分の心の中に強固な壁を作って他人をつけ込ませない。そのために万難を排して自分の支配権を守り、強化しようとする。例として二人の人物を紹介しよう。

 僕は30歳になったばかりの時にプロジェクトを請け負ってオーナー社長が経営するユニオン製靴に入社し、靴小売1000店の組織化を行い、販売効率革命を通して、業績を急拡大させたことがある。このプロジェクトがオーナー社長によって発想された背景には、

 「大手靴小売店が台頭してきた ⇒ 商品の価格支配権がメーカーから小売り業に移ってきた」「資本自由化気運が生じてきた ⇒ 小資本のメーカーは押しつぶされることが懸念されるようになった」という大きな環境変化があった。

 このオーナー社長は自分の支配権を守り、強化するための手段としてメーカー主宰のボランタリー・チェーンを思いついたのだ。このように言うと、「そんな環境激変であれば、知恵のあるオーナー社長であれば、性格のいかんを問わず同じようなことを考える」と反論するかもしれない。しかし、この反論は間違いであることの証明に結びつく事実がある。

 このプロジェクトが大成功を収めてマスコミで大きく取り上げられた時に、三菱銀行の副頭取が場末のみすぼらしい本社工場を訪ねてきたことがある。こういう場合、この副頭取を上座に座らせて丁重に応対するのが普通。ところが、このオーナー社長は自分を上座に位置付けた上に、両手を首の後ろに置いてそっくりかえって応対した。「自分の心の中に強固な壁を作って他人につけ込ませない」ためだったのだ。

 もう一人は『華麗なる一族』に出てくる万俵大介。自分がオーナー頭取である阪神銀行が銀行再編成の大波に呑みこまれないようにするために長男・鉄平を犠牲にする謀略を画策して「大が小を呑みこむ」合併を成功させた。フィクションだけど、これがもうひとつの例だ。

 アル・カポネが“専制君主”志向の強い性格の持ち主だったら今紹介した二人の人物同様の知恵を働かせて自分の支配権を守りつつ命を守るようなことをしたと思う

 性格は土壇場になって露呈されることを忘れてはならない。イラクの故人となったフセイン元大統領もアル・カポネ同様に“専制君主”志向の強い性格の持ち主に見えたが、実はそうではなかった。追い詰められて捜しだされた時に穴倉で震えていたそうだ。僕が紹介したオーナー社長やオーナー頭取のような性格の持ち主であれば、「万事休す」となったら松永元農林水産大臣のように自分で命を絶つだろうからね。

アル・カポネの人気とり意識の背景には自分の安全に役立つ“人垣”形成意欲があった

(節子) アル・カポネが自分の心の中に強固な壁を作って他人につけ込ませない“専制君主”志向者とは似て非なる人物であることはよく分かった。だとすると、どんな性格の持ち主なのかしら? 具体例から性格をあぶりだして欲しい。

(高哉) 堅牢なガードを固めた豪邸を建ててそこに引っ込んでしまった後も、様々な相談を持ちかけられてとうとう現場に復帰したことは、日本人に多い妥協精神に結びつくナアナア性に通じるものがある、と評価できる。

(節子) 自分の心の中に強固な壁を作って他人につけ込ませない“専制君主”志向者だって「相談を持ちかけられる ⇒ 他人支配の喜びを思い出す ⇒ 支配欲満喫のために現場に復帰する」となるんじゃないかしら? 妥協精神だけではなく「身の安全第一主義」が背景にあるナアナア性の強い人だったら命を狙われないようにするためにポスの立場に復帰せずに別の方法を採ると思うの。

(高哉) ポスの立場にこだわるのはボディビルをしたり、化粧をしたりしてセルフイメージを高めて求心力を高めて身の安全を図る心理の発露だと思う。大きな傷跡が残っている左側の顔の写真を決して撮らせなかったのが何よりの証拠だ。支配欲を満足させたいのであれば、他人からつけ込まれないようにするために大きな傷跡が残っている左側の顔の写真を撮らせて見た人の恐怖心を駆り立てようとする筈だ。やくざが刺青をするように。

(節子) そうかもしれないわね。殺人、賭博、なんでもござれの闇社会に転落したカポネを支えたのは稀代の悪法である禁酒法と、自分をヒーロー扱いにした市民だったそうだから。でも、虚栄心が強くても大きな傷跡が残っている左側の顔の写真を決して撮らせないということもある。この点はどうかしら?

(高哉) 虚栄心は「兄弟・姉妹に比べて大事にされ方が少ない ⇒ 親を自分の方に振り向かせたい ⇒ 目立つことをする習慣が身につく」「何かにつけて褒められる ⇒ 繰り返しの快を求める ⇒ 自分を際立たせようとする習慣が身につく」という図式から生まれやすい。

 彼の生い立ちを考えると、この図式は生まれにくい。彼は貧乏な理容師だった父親から「大きくなったら稼ぎのいい仕事につきなさい」と言われ続けて育った。いいかえれば、将来を期待されていた。したがって、瞬間瞬間のイメージを大事にする虚栄心が育つ余地はなかった筈だからだ。

(節子) アル・カポネが支配欲や虚栄心の強い人物ではないことは理解できた。しかし、「安定枠組み志向が強い」となるのは短絡的過ぎる。納得できる説明をして頂けないかしら?

(高哉) 彼が引退を撤回した理由説明の個所での「日本人に多い妥協精神だけではなく身の安全第一主義に起因するナアナア性に通じるものがある」、大きな傷跡が残っている左側の顔の写真を決して撮らせなかった理由説明の個所での「セルフイメージを高めて求心力を高めて身の安全を図る」の補足説明をしたい。

 彼が引退を撤回したのは、様々な相談を持ちかけられたのでナアナア性が刺激された上に「物的ガード」よりも「人垣ガード」の方が自分の安全確保に役立つと判断したからだ。彼が馴染めるのは「社会的に隔絶された環境」ではなく「自分に味方してくれる人の群れの中にいる環境」だったんだと思う。“群れたい”ためにケイタイ・スマホ中毒になりがちな日本人と本質が実によく似ている。個人が依存する手段の変遷

各人各様の行動力学が形成される仕組みの認識がアル・カポネの理解を可能にする

(節子) アル・カポネが暗黒街の中に生きるようになったのはどうしてなのかしら? 自分に味方してくれる人の群れの中にいる環境は堅気の生き方をしてもできるのに。

(高哉) 彼が生きていた時代のアメリカは今のような機会平等社会ではなく「イギリス移民から成り立つ上流社会」「アイルランド移民から成り立つ中流社会」「イタリア移民などから成り立つ下流社会」の区分けがはっきりしている階級社会だった。

 最下層階級に所属していたために貧乏な理容師に甘んじざるを得なかった彼の父親は「大きくなったら稼ぎのいい職業に就きなさい」と言い続けてアル・カポネに上昇志向を刷りこんだ。このことが彼が暗黒街の中に生きるようになった第一の要因だ。

(節子) アル・カポネは真面目に仕事をし続ければ、出世してそれなりの収入が得られ、階級社会であっても稼ぎのいい仕事を暗黒街の中以外に見つけることができた筈。アイルランド系の女性と結婚した後、まともな会社に就職して経理係としてオーナー社長にその才能を認められていたんだから。この会社に勤めている時にやくざのボスに誘われた、麻薬やピストルの運び屋の仕事をどうして断らなかったのかしら?

(高哉) 彼は少年時代に闇社会に専属することをある程度正当化できる経験をしたことがある。たらいを盗まれた同じイタリア移民の近所の人から犯人捜しを頼まれ、アイルランド移民の人を見つけ出して袋叩きにして喝采を浴びた。かくして「市民のヒーローになりたい」というカポネの欲望の原点ができあがった。したがって、繰り返しの快を求めやすい状態が刷りこまれた。

 この繰り返しの快を求めやすい状態と高収入の見通しが結びついたことが闇社会に専属することへの抵抗感をなくすことに結びついたんじゃないかな。この後押し効果を持つ原体験が彼が暗黒街の中に生きるようになった第二の要因だ。

(節子) 繰り返しの快を求めやすい状態が刷りこまれるのは誰にだってある。でも、勤めていたオーナー社長に才能を認めて貰っていたんだから麻薬やピストルの運び屋の仕事を断って「この会社で出世しよう!」となってもおかしくない。にもかかわらず、こうならなかったのはどうしてなのかしら?

(高哉) 麻薬やピストルの運び屋の仕事であることに最初は気づかなかったようだ。気づいたのは甘い汁をたっぷり吸った後だった。しかし、ナアナア性が災いして「まあ、いいか」となって、ズルズルと蟻地獄に吸い込まれるような状態になったんじゃないかな。

 真面目な人間が良からぬ道にはまるのは、行動が「躊躇しながら」から「堂々と」なることを可能にする「免疫効果」があることが多い。これは「自分の性格と歴史的立場を認識して人生の岐路の選択をしなければならない」という教訓として受け止める必要がある。→人生の重大な岐路選択を誤らないための知恵

(節子) アル・カポネの行動はナアナア性の強い日本人への教訓として受け止める必要がある」は賛成だけど、彼だったらぐっと踏み止まることができたんじゃないかしら?意思が強くなければ、「暗黒街の帝王」に這い上がることができないと思うの。

(高哉) 普通の人は長く続いた環境はこれかも続くと思いがち。彼も例外ではなく、「階級社会が根付いている。したがって、真面目に仕事をし続ければ、出世してそれなりの収入が得られる」とは思えなかったんじゃないかな。

 父親の教えを守って学業に励んだ結果、優秀な成績を収めることができた。ところが、偏見に満ちた教師に殴れて殴り返して退学する憂き目になった、小学校時代の苦い経験もこの判断に影響していると思う。この将来展望力の欠如に起因する間違った思い込みは、彼が暗黒街の中に生きるようになった第三の要因だ。ここにも「自分の性格と歴史的立場を認識して人生の岐路の選択をしなければならない」という教訓の重みがある。

 悪いことにこの運び屋の仕事に就くことによって彼は楽して高収入を得られる味を知ってしまい、自分の判断の正当性を自ら納得させた。そうこうしているうちにこのボスから殺人、賭博、なんでもござれの闇社会に専属することを誘われて暗黒街の帝王への道を歩むことになった。この背景には「習慣の力」が次の図式の下にできあがったことを認識する必要がある。

 新しい行動の動機発生に結びつく環境変化が発生する ⇒ 新しい環境に応じて行動して良い思いをする(報酬が得られる) ⇒ 「もっともっと」の心境になる ⇒ 行動がルーチン化して生活リズムの中に組み込まれる。── これが止めを刺すことに結びついた第四の要因だ。

 この「習慣の力」に負けている例は「暴飲暴食を続けている」「脳力強化の敵・日本的集団主義から脱出できない」等が示すように現在のの日本でも掃いて捨てる程多い。自分を支配している「習慣の力」を見抜くことが性格と歴史的立場認識の最重要テーマというわけだ。

元三代目若乃花は現状路線を歩む限り台無しの人生の待ち伏せを受ける

(節子) 貴方が花田虎上・元三代目若乃花のことを紹介した『私の何がイケないの?』に引き継いで『ザ・プロファイラー(アル・カポネ編)』の録画を観終わった後で「アル・カポネと元三代目若乃花は似ているな」と言ったのを聞いて、「意外」よりも「納得」の気持ちの方が大きかった。アル・カポネの目は優しいので極悪非道の人間にはとても思えなかったからよ。でも、まだ「確信」には至っていない。確信できるように彼の性格と歴史的立場を事実に基いて解明して頂けないかしら?

(高哉) 遺産を巡っての兄弟紛争時には兄の勝(現・虎上)氏の方に分があった。にもかかわらず、遺産を一銭も貰わないことで決着した。ここに、彼の性格と歴史的立場がよく現れている。

(節子) 父親の死。母親が花田家から除籍。遺産を巡る兄弟の仲違い。人生を支えてきたものが音を立てて崩れていくのを感じていたので、「遺産の半分を継承すると弟の部屋経営に支障をきたし、自分を支えてきたものを全て失ってしまう。相続権を放棄しよう!」となったんでしょうね。これはお兄さんの勝(現・虎上)の安定枠組み志向性の証明に結びつく。

 でも、兄弟の絶縁状態が今も続いているのよ。これをどう解釈したらいいのかしら? 勝(虎上)さんが安定枠組み志向の強い人間だったら兄弟関係を修復させると思うの。

(高哉) アル・カポネや勝(虎上)氏のような性格の持ち主に共通している「ボディビルをしたり、化粧をしたりしてセルフイメージを高めて身の安全を図る」の補足説明をしたい。

 アル・カポネの場合は引退後もしばしば相談されたので、現場に復帰しても大事にしている自分のイメージを保つことができる。ところが、勝(虎上)さんの場合はこうはなりにくい。弟の光司さんの方から歩み寄らないのであれば、自分の方から積極的に和解を求めることは次の図式を意味することになるからね。

 犠牲を払っているのに安易に妥協する ⇒ セルフイメージを傷つける ⇒ 安定枠組みが実現できない。勝(虎上)さんが採った態度を「男のプライド」と簡単に片づけることができないことを理解しなければならない。

(節子) 勝(現・虎上)さんが熊退治用のスプレーを家の中に隠しおいたり、警棒を携行したり…等などの異常行動を採り続けているのは、弟の光司さんとの不和が未解決である上に、彼が経営していたチャンコ料理店の倒産後の経済的後始末が完全に終わっていない。したがって、最重要視している安定枠組みが遠い存在になっているからなのね。

 こんな勝(虎上)さんが過酷な大相撲の世界で頂点を極めることができたのはどうしてなのかしら? 相撲が彼にとって適切で好きな道であれば、無我夢中を可能にする「而今」の心境が頑張り続けることを可能にするでしょうけど、「相撲は嫌でしょうがなかった」そうじゃない。これはすっきりした気分でなくても前向きでいられたことを意味するのよ。

(高哉) 「相撲は嫌でしょうがなかった」という気持ちを吹き飛ばすことを可能にする次の図式が実現されていたからだと思う。

 (父親「元大関・貴ノ花」を傍で観察し続けることができた ⇒ 過酷な世界の様々なことを予測制御できた) + (名門・花田家の長男である + 高校卒であるために世間知らずだった ⇒ 相撲取り以外の選択肢が思い浮かばなかった ⇒ 背水の陣に似た気持ちで大相撲の世界に入った) ⇒ 様々な苦難を乗越えることができた ⇒ 自ずと強くなり、出世し続けることができた ⇒ セルフイメージを高めて求心力を高めることができた。いいかえれば、安定枠組みを確保できた。

 蛇足になるけど、この図式には「新創業計画を共創する ⇒ 自分の未来進行形の姿を認識できる ⇒ 予測制御効果を入手できる ⇒ 未知の分野に挑戦しやすくなる」にも通じるものがある、と捉えて欲しい。

(節子) ところが、勝(現・虎上)さんの現在の職業生活(タレント業など)は相撲の世界で実現させた「様々な苦難を乗越えることができた ⇒ 自ずと強くなり、出世し続けることができた ⇒ 自信の源・セルフイメージを高めることができた ⇒ 求心力を使って身の安全の源・安定枠組みを創ることができた」という図式とは程遠い。

 しかも、彼の安定枠組みのために必要不可欠な「弟・貴乃花親方との関係修復」が実現できていない。彼の生い立ちから考えると、妻と娘の存在は彼の身の安全を保証する安定枠組みにはなり得ない。ということで、精神状態は極めて不安定。 ── こうしたことが重なって過剰防衛の生活態度に結びついているのね。

(高哉) そうなんだ。勝(虎上)氏が癌でこの世を早々と去った父親の元大関・貴ノ花の二の舞にならないことを願わずにはいられない。この不安定な精神状態が続く先には不幸な結末が待っていることを覚悟しなければならないからだ。→多くの日本人が閉塞状態の深刻化(台無しの人生寸前)に陥っている仕組み

安定枠組みにしがみつく先には人生を台無しにする道が待ち受けている

わが国の伝統的な安定枠組みには消滅の運命が待っている

(節子) 「勝(虎上)さんの精神状態が極めて不安定」ということで思い出したんだけど、『ザ・プロファイラー(アル・カポネ編)』の中で解説者が「未完成で不安定な社会がアル・カポネのような怪物を生んだ」と言っていた。これは安定装置が崩れつつある日本人にとって他人事ではない。

 “1等から5等まで平等に扱う”日本の伝統が風前の灯になっている。にもかかわらず、この激変に適切に対処できていない人が多いんだから。→互助を可能にしてきた共同体が崩壊しつつある理由日本のほぼ全セクターがゆで蛙現象に陥っている実態

(高哉) “1等から5等まで平等に扱う”互助集団が日本社会において揺るぐことなく存在できていたのは、「していいのはこれだけ。後はしては駄目」というな暗黙のルールが良くもを悪くも1枚岩性を保つことに結びついていたからだ。→日本経済が躍進できた仕組み日本において個が抑制され、個人の起業が困難であった理由

 「この非民主的な暗黙のルールは法制度化されていないんだから度胸をきめて破ってしまえばいいじゃないか」と思う人は当然のこととして出てくる。しかし、行政が強大な許認可権を後ろ盾に使って民間取引に介入したり既得権益を守りぬいたりして、民間の度胸ある行動を妨げるのが通例。アメリカの市場運営は日本の真逆で、「しては駄目なのはこれだけ。後はやってみて問題が生じたら裁判で決着をつける」方式。

 行き過ぎを抑制しつつこのような透明性を実現できて初めて外国からの投資を呼び込むことができる。日本式では不透明なので外国からの投資を呼び込みにくい。したがって、アベノミクス効果を狙って日本の株式市場に入ってきた外国資本を投機ではなく長期的なものにし、日本経済再生に結びつけるためには、日本を真の自由主義市場にもっと近づける必要がある。

 こうした脈絡の中でよく叫ばれる「日本の市場運営ルールをグローバルスタンダードにしなければならない」を捉えなければならない。

(節子) 「“1等から5等まで平等に扱う”日本の伝統が風前の灯になっている」実態は外堀を埋めることに、日本の市場運営ルールのグローバルスタンダード化は内堀を埋めることになる。したがって、日本人がしみがついてきた伝統的な安定枠組は崩れ去らざるを得ないわね。

 最近よく言われる「日本版NSC秘密保護法集団的自衛権は日本の市場運営ルールのグローバルスタンダード化の中で捉えなければならない」は「日本人がしみがついてきた安定枠組は崩れ去らざるを得ない」と関係するんでしょうね。すっきりできるように説明してくださらないかしら?

(高哉) 「日本版NSC、秘密保護法、集団的自衛権」のいずれも他国と信頼関係があって初めて有効に実行できる。他国との信頼関係は個人間同様に意思決定に透明性なくしては築けない。したがって、藪の中で重大事が決定されがちな日本流儀を脱して、日本の社会をグローバルスタンダードに基いたものにしなければならない。こういうことだと思う。

(節子) 今の話題と関連することだけど、もうひとつ聞きたいことがある。危機突破内閣「安倍政権」の命運は日本社会の将来とどう関係するのかしら? 危機突破は日本の伝統的な安定枠組みを支えていた各種規制の見直し・撤廃を伴うので、日本のグローバルスタンダード化を決定づける。

 ところが、反安倍政権勢力にも根強いものがあるので、各種規制の見直し・撤廃はままならないかもしれない。そうすると、「安倍政権では駄目だ」となり、国内に数多く存在する親中派が勢いを得てしまうんじゃないかしら?

(高哉) 反安倍政権勢力にも根強いものがあるのは事実だ。事実捏造型の新聞記事が何よりの証拠だと思う。秘密保護法についての賛否両論を紹介するのではなく反対する著名人の意見だけを連日紹介した上で、世論調査をして「国民の多くは秘密保護法に反対している」と結論づける記事を一面のトップに掲載した朝日新聞がいい例だ。

 それに顧客である傘下業界の既得権益を侵害し、かつ国民批判を浴びることになる不測事態発生に結びつきかねない改革には反対傾向が強い中央官庁が牙城のような存在になっている。しかも、豊富な資金力を持っている中国の諜報活動が政治家などの有力者に少なからず浸透している。こうした状態に

 「秘密保護法案強行採決で安倍政権支持率が10%程度ですんだことを支えている日本経済の回復は、各種規制の見直し・撤廃が停滞したりして成長戦略が効果を発揮しないと、来年4月の消費税引き上げによって腰折れする」ことが加わると、日本を代表する新聞社の記事に大きく影響される国民世論を背にした反安倍政権勢力が安倍政権打倒に向かってもおかしくない。(関連記事 ⇒ 『過剰同調を煽るマスコミに用心しよう!マスコミは世論をミスリードしやすい』)

(節子) 金融超緩和と大型財政出動が先行しているアベノミクスが失敗すると、既に泥船化している日本経済が沈没してしまい、多くの日本人がしがみついてきた安定枠組みがよろけながら元に戻るんじゃないかしら?

(高哉) 日本は財政が破綻しても旧態依然とした状態には決してならない。というのはその先には次の図式が待ち受けているだろうからだ。

 安倍政権の弱体化 + 実質的社会主義体制が生みだした日本人の保守性 ⇒ 成長戦略の目玉「規制改革」の停滞 ⇒ 深く潜在している新成長機会発掘の困難化 ⇒ 経済成長路線の行き詰まり ⇒ 国家財政の赤字膨張 ⇒ 日本全体の財政再建団体「夕張市」化 ⇒ 日本人の生活環境の様変わり。

 日本人の生活環境の様変わりの中には日本の市場運営ルールのグローバルスタンダード化が含まれることを忘れてはならない。日本の財政再建団体化はアメリカが後ろについているIMF主導の下に行われるからね。

 こうならいようにするためにも、企業が生き抜くためにも、企業は経営革命を果敢に行わなければならない。→深く潜在している豊かな新成長機会発掘に結びつく知恵入手を可能にする質問のポイント

中国の属国になっても改革を怠る日本の安定は決して保証されない

(節子) 経済困窮の下での中国の巨大な成長余力、アングロサクソン特有の好戦性を嫌うことに結びつく実質的社会主義体制や和優先から生まれたナアナア性。この二つを考えると、日本は中国の属国に傾斜していくんじゃないかしら?

(高哉) 中国の属国に仮になったとしても、日本が生き抜くためには「伝統的な安定枠組みにしがみつく ⇒ ナアナア体質が温存される」ということは許されなくなる。というのは、この温存の先には次の図式が待っているからだ。

 適切な舵取りとは無縁である + 先行きがどんどん不透明になる ⇒ 社会全体が“方向音痴”になる ⇒ 激変する環境に呑みこまれる。

 →根強い癒着体質が全体思考力(全体知)欠如に結びついている大変化に無策であったことが悲劇に発展した日本の製造業企業の業績長期低迷と福島第一原発事故は同根だ

(節子) 納得できる。というのは伝統的な安定枠組みにしがみつく習慣が「ナアナア体質の温存 ⇒ マンネリズムの蔓延 ⇒ 現実直視力の欠如」となり、世の中を支配する新しいロジックに気づかずエアーポケットの中をもがくような事態の多発に結びついているんだから。

 貴方の主張「陳腐化した枠内思考から脱却しないと生き抜くことが困難な時代になった。いいかえれば、過去の延長線上には未来がない」を考えると、日本が仮に中国の属国になったとしても伝統的な安定枠組みにしがみつく習性からの脱却は必要不可欠。こういうことね。

(高哉) その通りだ。「(新成長機会は深く深く潜在している ⇒ 経済成長は容易ではない) + (ITとグローバリゼーションが進展する ⇒ 情報化がますます進み、比較優位性を長期に亘って確保することが困難になる ) ⇒ 国際競争が激化する ⇒ 中国の属国になっても、日本の自立と創造力はますます必要になる ⇒ 伝統的な安定枠組みにしがみつくことは許されなくなる」という図式が待ち受けているからからだ。

暴走中国に対する万全の備えがあれば、「待てば海路の日和あり」となる

(節子) 中国の属国になっても楽ちんな生き方ができないのであれば、「言うことを聞かないと酷い目に遭わせる」「言うことを聞けば悪いようにしない」という中国の朝貢外交的な姿勢は許容できない。中国の属国になることは絶対避けなければならない。裁判にもかけられず、政府・軍公認の下、生きたまま臓器を摘出され死亡した、多くの法輪功被害者の事実…というような同じ中国人に対してだって残虐な行為がある(『中国臓器狩り』の朝日新聞広告より)ようだし。

 でも、日本の中国属国化を防ぐために必要なアメリカの協力は残念ながら万全ではないような気がする。

 訪日したジョー・バイデン副大統領は安倍首相と会談した後の会見でも、その後訪れた中国や韓国でも、国際ルールを無視する形で突如として突きつけてきた防空識別圏の撤廃を求めなかった。こういうアメリカの姿勢を予知してかベトナム、タイ、マレーシアは飛行計画の中国当局への事前提出を認めたじゃないの。

(高哉) アメリカの曖昧な姿勢は中国に対して強硬な姿勢を採りにくい事情があったためだった、と理解する必要がある。

 アメリカと中国の両政府は今年の7月に2国間投資協定に向けて本格交渉に入ることで合意していた。その上に、イランの核開発を巡る協議が中国の協力があったために合意に達していた。したがって、遠慮しながら中国をたしなめる必要があったんだ。

(節子) 生意気ないい方になるけど、そんなやり方では中国の暴走を抑止できないと思う。「中国は1994年の国連海洋法条約発効を睨み1992年に領海法を制定して尖閣諸島を自国の領土と主張。日本は無策だったことが出口なき領土問題の背景にある」そうじゃないの。こんなしたたかなことを積み上げられたら中国の思い通りになってしまうんじゃないかしら?

(高哉) アメリカは中国の思い通りになることを決して許さない。というのは、アメリカが一番恐れるのは次の図式だからだ。

 (世界の政治・経済は人知が及ばずバランスを大きく崩す時が必ずある + 中国には超巨大な成長余力がある + 経済力と軍事力は比例する ⇒ 中国はかってのアメリカのように世界の最後の頼みの綱役を担える可能性がある) + (中国とアメリカは体質の違い故に協調路線を永続しにくい ⇒ 両国は国際取引取引ルール上で妥結しにくい) ⇒ 中国はアメリカ排除型のアジア共同市場を形成する ⇒ アメリカが世界一の成長ゾーン「アジア」と疎遠になる。

(節子) アメリカは中国との経済関係を深めることが可能な限り中国を“泳がせる”ために中国の防空識別圏設定には穏かに対応する。しかし、「中国がアメリカ排除型のアジア共同市場を形成する」可能性が生まれた途端に「東シナ海を最重要課題とも思っていない」という姿勢を撤回する、というわけね。アメリカの持味「変わり身の早さ」の引き金になるのは何かしら?

(高哉) 東アジアは極めて不安定なので勢力図が一変しやすい。二つの事態を考えれば、「なるほど」と思う筈だ。

アメリカが介入したくなくても動かざるを得ない中国と日本が衝突する事態の発生。この傍観は日米安保条約不実行を意味し、アメリカの信用は完全に失墜して、アメリカ排除型のアジア共同市場が実現に向かう。

同盟国・韓国の危機に結びつく北朝鮮が崩壊する事態の発生。この傍観も米韓安保条約不実行を意味し、アメリカの信用は完全に失墜して、アメリカ排除型のアジア共同市場が実現に向かう。

 したがって、アメリカは危機の芽を摘むために果敢に行動するしかない。ということはアメリカは東アジア情勢を監視し続け、いざとなったら米軍は出動しなければならないことを、これは沖縄の米軍基地の必要不可欠性を、これは中国の野望阻止の必要不可欠性を意味する。

 但し、日本は中国の軍事的脅威を抑止する独自の力を持たなければならない。というのは、アメリカの世論は日本が無策状態でアメリカ兵が血を流すことを決して許さないからだ。ここに、「日本版NSC秘密保護法集団的自衛権」の三点セットを前提とする、安倍政権が今後10年間にわたる自衛隊の増強方針を打ち出した意義がある。大事なのはこの影響だ。

 財政危機の下での軍事予算増加は“ボディブロー連打効果”を与えてわが国の伝統的な安定枠組みの消滅を決定づける。というのは、泥舟状態の日本経済の下で軍事予算を増加し続けることは「軍事以外の予算を削減しなければならない + 民間活力引き出しの阻害要因を取り除かなければならない ⇒ 膨張を続ける社会保障費の削減が進む各種規制の改革が進む」という図式を伴うのは必然だからだ。

 全員参加型社会は紆余曲折が仮にあっても必ず実現に向かう

中国暴走抑止の決め手は伝統的な安定枠組み消滅に駄目押しとなるTTPである

(節子) 国際ルールを無視する形で突如として突きつけてきた防空識別圏の話に戻りたい。世界中がこの行動を暴挙として捉えているのに中国が撤回しないのはどうしてなのかしら? 巷間で言われている「面子」だけではないような気がする。

(高哉) 日本に突如として突きつけてきた防空識別圏の設定は中国が主張する尖閣諸島領有権を一歩進めたものだ。この背景には三つのことがある。

普通の中国人にとって尖閣諸島は長年の教育効果によって日本人にとっての竹島問題のような存在になっている。したがって、誤解が深く根付いているために尖閣諸島の国有化は「韓国が一方的に竹島を国有化した」場合と似たようなことになっている。

人民解放軍は幹部の汚職と長期に亘る無戦争状態が重なって士気が緩んでいる筈。そこで、国民世論を背景に日本に対して戦いを仕掛けたい心理状態になっている。これが陸軍と海軍に比べ予算が少ないことと相まって空軍の軍事的行動を許容することを中国首脳に迫ることに結びついている。

中国経済は超巨額の不良債権を抱えているために曲がり角に立たされている。いいかえれば、中国共産党の正当性を証明する重要な柱である経済成長に暗雲がたれ込め始めた。したがって、習近平政権は国民世論と人民解放軍の圧力を跳ね返すと、存立が危うくなる。

(節子) 国際ルール無視であっても防空識別圏の設定には中国にとっては道理に適っているのね。抜け目のない中国のことだから世界情勢の変化を織り込んでいると思うんだけど、この点はどうかしら?

 中国は尖閣諸島領有権の日本帰属を決して認めない
(高哉) 2050年の地球人口は93億人に膨れ上がることが予測されている。これは地球の資源・食糧不足時代がやがてやって来ることを意味する。その上に、二重苦(シャドーバンキング問題で明らかになった超巨額の不良債権に起因する経済危機/内乱に発展しかねない貧富の格差)を抱える中国は農村都市化政策を実行に移した。→NHKスペシャル『中国激動 空前の農民大移住』

 これは国同士が命をかけて資源と食糧を奪い合う時代がやってくる可能性が極めて大きいことを意味する。

(節子) 中国の海洋大国化路線の背景には超膨大な国民のための資源と食糧収奪の意図がある、ということね。でも、これは分をわきまえないエゴイズム。したがって、常識的に考えれば、野望は潰えるしかないない。但し、世界の新潮流がフォローの風になって「異変待ち受け成功」となりかねりない。どっちなのかしら?

(高哉) 世界の新しい潮流が中国の野望に味方しそうだ。中国は「広大な国土と膨大な国民を抱えているが経済的には取るに足らない国」から「国土と膨大な国民を抱えている世界第二位の経済大国」に大変貌した。したがって、そうならい前に確立された世界秩序は中国を不当に扱うものになっていることを認識しなければならないからだ。

(節子) 世界秩序に大きな影響を与える世界の潮流を整理すると、次の図式になる。貴方が常日頃言っていることの整理の結果なんだけど。

 東西冷戦構造の終結⇒ 旧ソ連の崩壊による世界経済の統合 ⇒ 世界の警察機能を担うことを可能にしたアメリカ一極集中 ⇒ 成長の限界打破策の誤りに起因する世界金融危機 ⇒ 中国を世界の中心に置くことを可能にした中国の超大型財政投資 + イラク戦争を主導したアメリカ経済の衰退 + 日本経済の長期に亘る地盤沈下 ⇒ アメリカと日本の存在が希薄になったアジアにおける中国の大躍進。

 これまで続いた世界秩序は、アメリカと日本の影が薄くなった以上は世界的な影響力を持つに至った中国を視野に入れて再構築する必要がある。この脈略の中で中国の海洋大国化路線を捉えなくてはならない。

 だとすると、中国の常万全国防相の決意表明「中国は尖閣諸島(沖縄県石垣市)も含む核心的利益を追求し、海洋権益拡大を目指す」(2013.8.19の米中国防相会談における発言)は理解できなくはない。

(高哉) そうなんだけど、中国の存在は世界の歴史が経験したことがない巨大な危険性を孕んでいる。中国は「(世界一の潜在的経済力 + 誤解に基く国民世論 + 民主的手続き不要の共産党一党独裁 ⇒ 海洋大国化を支えるための軍事力拡大路線 ⇒ 成長の限界に悩む世界各国の中国経済への傾斜を活用した対日強硬路線」という図式実現に向かうだろうからだ。

 中国経済への傾斜の象徴的な例はイギリスのキャメロン首相の対中国土下座外交だ。中国マネーを呼び込み経済低迷を打破したい気持ちは分かるけど、アヘン戦争の時とは立場逆転して大英帝国の面影が消え去ってしまった。

(節子) 先進国は豊かになるにつれて戦争を嫌がるようになって今日に至っている。同じようなことが中国にも実現される。いいかえれば、経済成長に伴って民度が上がり、中国の強権性が薄れるんじゃないかしら?

(高哉) そうはなりにくい。中国が多国間交渉を拒否して1対1の外交に固執する理由が分かれば納得できる筈だ。キーワードは漢民族に根付いている中華思想だ。抵抗し続けるウイグル族やチベット族、領土紛争の相手国であるフィリッピン等に対する態度が物語っているように、次の図式が中国に根付いているからだ。

 文化的な優越感がある ⇒ 力が上の相手に対しては分化力を使って懐柔作戦を展開する ⇒ 圧倒的な力が身についたとたんに態度を一変させて相手が言いなりになるまで強硬な姿勢を採り続ける。→日本人特有の曖昧模糊では様変わりした環境「中国の超大国化」に適応できない

(節子) 中国共産党の正当性を証明する重要な柱である経済成長に暗雲がたれ込め始めた。これを受けて中国は外国からの投資に勢いをつけるために上海自由貿易試験区建設を初めとする経済改革に乗り出した。こういう試みが成功するためには日本の協力も必要。にもかかわらず、中国は相手が言いなりになるまで強硬な姿勢を採り続けそうなのはどうしてなのかしら?

(高哉) 僕がいつも言う「行動の謎を解きたければ性格と歴史的立場を見抜こう!」だよ。詳しいことは別の機会に譲るとして、簡単に言うと、超長期に亘る戦国時代は中国人に次の図式を染みつかせたからだ。

 中国の国土は広大であっても陸続きであり、かつ国民の殆どは同一文化の漢民族である ⇒ お互いに物理的にも精神的にもアクセスが容易である ⇒ 深刻化した事態を打開しやすいので、破滅的状況を回避できると思いこんでいる ⇒ 和と協調を重んじる日本人には受け入れ難い暴言・暴挙に走りやすい。

 このことを知って「中国の方から歩み寄って来る」と思うのは甘すぎる。領有権問題で中国は決して妥協しないだろうからだ。→中国は尖閣諸島領有権の日本帰属を決して認めない

  2014年6月20日のTwittter
本日の朝日新聞社説は国賊的意見。「南シナ海の中国領海化→核ミサイル搭載原子力潜水艦を深海に沈潜→米国の核の傘無力化→日本の中国属国化」の阻止を可能にするのが、ASEANとの軍事協力に結びつく集団的自衛権だからだ。全体知欠如を猛省すぺし。
http://www.trijp.com/keizai-saisei/section1.shtml
  2014年7月2日のTwittter
中国の李首相は訪英時に空港赤絨毯の長さに注文&非元首なのに女王面会強要の由。超大国化+歴史認識→虚勢→唯我独尊…故だろう。延長線上に国家戦略「米国の核の傘無力化→日本の中国属国化」あり。集団的自衛権反対の朝日新聞は全体知欠如を恥ずべし。
http://www.trijp.com/keizaisaisei/section1.shtml
 中国が南シナ海に沈潜させる原子力潜水艦から発射する核ミサイルが届くのはハワイまでなので、米国の深刻な危機にならない。したがって、米国は中国の暴挙を許容するかもしれない。こういうことを一部専門家は囁いています。しかしながら、中国の暴挙成就は日本の安全保障上大問題となります。なぜなら、

 日本のエネルギー資源の約80%は南シナ海経由で輸入されている + 中国が南シナ海の領海化に成功する ⇒ 中国が日本の生殺与奪権を握る──、という図式があるからです。

 しかも、中国は世界支配を狙って南シナ海々底から発射するミサイルを米国本土に届かせるべく技術革新に励んでいます。中国が宇宙衛星を打ち上げることができることを考えると、この野望達成は時間の問題でしょう。
   2014年7月8日のTwittter
「習主席、日本批判強化」は対日戦略「(他の先進国との経済関係深化→アベノミクスの失速懸念→反安倍勢力の活性化)+核兵器の保有と非保有の差→日本人のナアナア性引き出し→中国属国化」の一環 。創造的交渉をして試練「歴史的岐路」を乗り越えよう!http://www.trijp.com/training_camp.shtml

 「太古に染みついた習慣が今も続いているのはおかしい」という反論は成り立たない。「習慣の力」に支配されているのは中国人だけではなく、日本的集団主義の悪影響から抜け出すことができないままの日本人も同じことだからだ。

 ここに、TTPの意義があることを理解しなければならない。TTPは次の図式に向かう可能性を秘めているからね。

 関係国が一致協力して対中国貿易障壁を設ける ⇒ 中国経済の成長を抑止する ⇒ 相手国を脅すために使う中国軍事力の増強を抑止する ⇒ 「これはたまらん」となって中国もTTPに参加する ⇒ 中国も精緻な国際取引ルールに従う ⇒ 中国に染みついている「習慣の力」打破が進む。

 旧JR従業員は都市百貨店に出向して染みついた悪しき習慣を取り除くことに成功したことが示すように不可避の環境に身を置くことは「習慣の力」打破に役立つものなのだ。TTP参加の「習慣の力」打破力は中国だけではなく日本にも当てはまることを忘れてはならない。

変革を妨げる習慣の力を認識しない限り立場や人生の再構築はできない

(節子) 「習慣の力」に話題が再び及んだので、聞きたいことがある。破滅への道を歩み続けてしまったのがアル・カポネ。破滅への道を歩み続けているのが元・三代目若乃花「花田虎上(勝)さん」。二人に共通しているのがバランス感覚の喪失。硬直的ではなくナアナア性があるのにどうしてこうなってしまったのかしら?(アル・カポネと元・三代目若乃花の説明→トップ

(高哉) 「習慣の力」の支配を受ける生き方は環境が様変わりしない限り順調な人生を可能にする。一方、次の図式が組み込まれ易いことに注意する必要がある。

 (パターン化された人生を送る ⇒ 変化や異俗を嫌うようになる ⇒ 人間関係をウチとソトに明確に分けるようになる ⇒ 新しい考え方を採り入れることが困難になる ⇒ 老害発生の仕組みの犠牲者になりやすい ⇒ 臨機応変力を培いにくくなる ⇒ 斬新な着眼の入手が困難になる) + 過去の延長線上を歩めなくなり、窮地に追い込まれる ⇒ 起死回生策を入手できない ⇒ 様変わりした環境に翻弄される。(関連記事 ⇒ 『習慣のロックが人間、特に日本人にかかり易い理由』)

(節子) 「習慣の力」の支配を受ける生き方が臨機応変力を培いにくくして斬新な着眼の入手を困難にし、様変わりした環境に翻弄される」という説明はアル・カポネの運命を暗転させた二つの事実を思い起こすと、納得できる。

激化したライバルとの抗争に対処するためにライバル達を誘い込み、皆殺しにした。その結果、「窮鼠猫を噛む」ような猛烈な反撃に遭い、逃げ込むように引退した。この引退はその後撤回されたが、「アル・カポネは徹底抗戦しないので、怖くない」というイメージをライバルや警察に植え付けてしまった。

(頼みの綱の禁酒法が廃止された ⇒ 買収資金が枯渇した) + アル・カポネの防衛力を支えていたイメージがによって損なわれていた ⇒ 警察はアル・カポネを逮捕し、裁判にかけた ⇒ 刑務所生活となった。

 この二つの事実は「臨機応変力が欠如していた ⇒ 斬新な着眼の入手ができなかった ⇒ 単線的な行動を採らざるを得なかったった ⇒ ドジを踏んでしまった」ことを物語っている。

 この図式は花田虎上・元三代目若乃花にも当てはまる。「相撲取り時代の安定枠組みを確保できていた成功方程式を引退後再構築できていない」「生きるために必要不可欠な弟の光司さんとの関係を修復できていない」という事実があるからだ。

 信頼していた夫に裏切られて離婚する羽目になり、暴飲暴食して健康を害した、ある女性の心情が示すように心の空虚に絶えることができないのが人間。アル・カポネも虎上(勝)さんも立場を適切に再構築できないために仕方なく破滅への道を歩んだり、歩みつつある。これも「習慣の力」のなせる業なんでしょ?

(高哉) その通りだ。アル・カポネと花田虎上(勝)氏だけではなく貴方自身の人生を振り返ると、次の図式が実現されていることに気づく筈だ。

 環境変化が生じた ⇒ 環境変化に適応するための行動を採る ⇒ 報酬が得られる(良い思いをする)と、「繰り返しの快」を求めたり、もっともっと…の気持ちが生じる ⇒ 以前よりも進化させた行動を採る ⇒ 報酬が得られる ⇒ 行動習慣ができあがり、染みつく。

 この「習慣の力」を打破しないと、環境が激変することを認識しても、「耳目を塞いで環境変化を受け入れない」「環境変化を自分に都合のいいように曲解する」となってしまい、自己変革行動を採ることができない。仮に採ることができても“三日坊主”になってしまう。

(節子) 問題の根本的原因が分かっていないために「心理学の世界では習慣は治せない」という壁にぶち当たってしまうからなんでしょうね。「習慣の力」を生み出している根本的原因と影響をとことん理解できるようにしてくださらないかしら?

 虎上(勝)さんはアル・カポネと違って「刑務所入り」のような状態になっていないので、問題の根本的原因と影響を理解できれば、イノベーションのロジックの注入が可能になり、「ドジを踏んでしまった」状態から脱出できると思うの。

(高哉) 大多数の日本人を念頭に置いて「習慣の力」を生み出している根本的原因と影響を図式化すると、次の通りだ。

 (日本人一般の特徴「長期間安定していた実績がある枠組みにしがみつく気質がある ⇒ 変化を嫌ったり、心の平和を大事にしたりする気持ちが強い ⇒ ゼロベース発想や枠外思考を妨げる予定調和が身につく ⇒ 物事の原因を突き詰めて考えることをしない ⇒ 鋭い直観回路が身につきにくくなる ⇒ “波乗り”を可能にする臨機応変力が欠如しやすい)+ (先行きがどんどん不透明になる ⇒ しがみついていた安定していて実績がある枠組みが通用しにくくなる)

 + (日本的集団主義の影響を強く受けている ⇒ 人生や経営の舵取りを適切にする発想が生まれにくい ⇒ 様変わりした環境に適応するための新創業と無縁になりやすい) ⇒ 臨機応変力の欠如が露呈される ⇒ 窮地脱出を可能にする斬新な着眼が得られない ⇒ 企業には倒産、個人には台無しの人生が待ち受けることになる。

 日本人に多い安定枠組み志向の弊害を認識して、「習慣の力」の支配を受けない“波乗り”人生を可能にする臨機応変力を強化しなければならないのだ。

(節子) 企業経営も個人の人生も成否は紙一重であることの理屈が理解できた。この理解を一段と深めるための警告を企業経営者と個人に対して発して頂けないかしら?

(高哉) 世界秩序が再構築に向かっている ⇒ 世の中を支配する新しいロジックが生まれる ⇒ マンネリズムに陥っていると、大変化に無策であったことが悲劇に発展した日本の製造業のような事態が生まれる。これが企業経営者への警告。臨機応変力の再構築を怠ると、うつ状態の放置は人生を台無しにするうつ病に結びつくのような事態が生まれる。これが個人への警告だ。

   2015年1月14日のTwittter
「農業票離反→佐賀県知事選で与党敗北」は農協の実態「悪しき習慣のロックイン→精神的視野狭窄症に→未来展望力喪失」を適切に対処できなかったからであろう。改革を阻む習慣の力を打破したければ 、時間をかけてイノベーションのロジックを注入しよう!
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