[TRI] Total Renovation Institute 新創業研究所(古河イノベーションセンター)
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【ホームページ開設の記念論文】



→日本経済を再生させる方法 

4. 日本経済が躍進できた仕組み──環境が様変わりしてもそのまま。これ   が日本経済長期不振の原因です

 成功路線から失敗路線に転じてしまった。企業でも、個人でもこんなことはよくあることです。こういうとき、「どうすれば再び成功路線に転じることができるか」をいきなり考えても、良いアイディアは出るものではありません。

 失敗路線から抜け出し、再び成功路線を歩みたいのであれば、「思考の3原則」(全体を見る/長い目で見る/根本的に考える)を適用して、「なぜこれまで成功路線を歩み続けることができたのか」を考え抜き、その結果を図解することが必要です。

 なぜなら、このようにすることにより、「与えられてきた環境に適応するために、がんばってきた。その結果、素晴らしい能力や習慣が出来上がり、成功路線を歩むことができた。うまく行かなくなってしまったのは環境が変わったからなのだな」という自己反省が行われ、新たな出発のためのきっかけがつかめるからです。

 このきっかけができればしめたものです。「再び成功路線を歩みたい」という切なる想いがある限りは、次のようなことに想いを馳せるようになるからです。「これからの自分を支配する環境はどんなものだろうか。新しい環境に適応するためには、どんな能力や習慣が必要になるのだろうか」と。
 
 但し、新たに成功路線を歩むための行動計画を創るとき、気をつけなくてはならないことがあります。あちら立てれば、こちら立たず。あれを得るとこれを失う。世の中が複雑になりますと、こういう矛盾を円滑に解決できる行動計画を創らなくてはならない。これが気をつけなくてはならないことなのです。
 
 バブルを発生させてしまった原因のことを思い出していただければ、「世の中は複雑。だから、パッチワーク的対策は命取りになりかねない」との想いを強くして頂けるのではないでしょうか。
 
 したがって、日本経済の再建のさせ方について、「やらなくはならないことは本にたくさん書かれているので、もう議論の段階ではない。実行あるのみである」  こういう意見が日本で最も影響力のある人物から出されていますが、この意見は次のように解釈すべきでしょう。

 「日本経済再建論に関する書物を集め、日本経済再建の鍵となる要因の発見を前提にした、問題解決のシナリオを策定しなければならない。そして、このシナリオに基づいた議論を行うべきである。そういうことをせずに、大勢の人が集まって喧喧諤諤やるのは時間の無駄である」と。
 
 日本経済を現在の姿にしてしまった原因となるものを、シナリオにしてみる。まずこれを行うことが期待されているのです。そうすることによって、日本経済を再建させるための鍵となるものを発見できるのです。
 
 成長性と波及性の高い事柄を発見し、それを優先的に投資しなければならない。この鉄則はすべての問題解決に適応しなければならないのです。この成長性と波及性の高い事柄こそが、ここでいうところの問題解決の鍵なのです。
 
 このような考え方に基づいて作成したのが以下に示す図表4です。この図によって、「カイゼン」主義がなぜ通用してきたのか、「カイゼン」能力がどのようにして培われてきたのかを良く理解できるが故に、日本経済再建の鍵となるものが自ずと発見できるはずです。

図表4 日本経済が躍進できた仕組み

 わが国は、社会を構成する一人一人の才覚ではなく、システムで勝負する社会。したがって、わが国は、過去の延長線上を突っ走らざるをえない。これが図表4からうかがわれることです。だからといって、非難しているのではありません。逆に賞賛すべきでしょう。

 なぜなら、工業製品の量産・量販が可能である環境に適応するためには、この社会システムが最適だからです。したがって、このようなシステムを考え出した先達に対しては、「マネジメントの天才」という評価をすべきでしょう。
 
 環境が変わった以上はマネジメントの仕組みを変えなくてはならない。ただ、それだけのことです。さもなくば、わが国経済は転落路線を歩み続けることでしょう。なぜなら、醸成された体質や風土は環境が様変わりすると、新しい環境に適応できなくなるからです。このことは個人・組織・国家のすべてについていえることなのです。

 日本の社会は、所定のプログラムの範囲以内での変化対応能力を持った、大量のロボットが配置された大工場のようなもの。仮に個々人に才覚があっても、群れから外れると、集団からはじき出される。はじき出されたら生きていけない社会。極論すると、このように表現できるからです。
 
 だからこそ、世の中が一定の方向で動いている限りは、日本は圧倒的な力を発揮できるのです。日本経済が世界経済の中にあって、独り勝ちを一時期演じることができたことが何よりの証拠です。


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