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脳力のピークは80歳代だ!

2010.5.20更新

 年老いた人は働くことができない。のみならず、養護や介護の対象となる。したがって、高齢化社会の到来は悲観材料でしかない。これが通説でした。この通説を鵜呑みにして良いのでしょうか? 「否」です。なぜなら、新時代を有利に切り開くために一番必要とされる、独創的な構想は若者よりも高齢者の方が生み出しやすいからです。

 このように申し上げますと、訝しく思われる方が多いことでしょう。でも、ここで考えてください。独創的な構想は三つから成り立っているのです。

しっかりと記憶された知識を豊かにする。
適切な視座の下、記憶された知識に基づいてブレークスルー発想する。
インスピレーションを論理チェックする。

 若者と高齢者のどちからが上記のの実行において有利でしょうか? 知力を鍛え続ける人生を送りさえすれば、高齢者の方が有利です。なぜなら、

 にわか仕込みの知識は独創的な構想に転換できない。したがって、人生経験を積めば積むほどは役に立つ形で実現される。の能力は経験を積めば積むほど強化できる──、ということが言えるのです。

 どうしたら脳力を強化し続けることができるのでしょうか? 数多くの人々を観察してきた結果からこの問題を考えてみましょう。

 脳力面での曲がり角は一般的に3度 (30才代の半ば、40才代の半ば、50才代の半ば) あります。この曲がり角を境に脳力がぐんと伸びる人、逆に衰え続ける人が多いのです。

 加齢に応じて鋏 (はさみ) のように脳力の差が広がっていく根本的な原因は何なのでしょうか? そうです。人生に対する意欲の程度なのです。

 定年退職すると、どんどん衰えていき、死亡が早まる。こういう研究成果があるとのことですが、これが何よりの証拠です。気力が衰えると、脳力が衰える。すると、体力が衰える。体力が衰えると、気力が衰える・・・・・。こういう悪循環があるのです。

 某開発途上国の話ですが、抹殺したい人物がいるとします。周囲の者が「お前は役立たずだ」…と言い続けることによって、この人物の早期死亡に結びつけるのだそうです。この話は気力の源である生きる張り合いの重要性を物語るものである…と理解すべきでしょう。

 このような加齢と脳力の関係を実証的に研究してデータにまとめたものがありますので、以下に紹介しておきます。



                     出典:渡辺高哉『高齢者の職業と職場』(有斐閣・ジュリスト総合特集No.12)


 上記した悪循環とは正反対の人生を確実に送ることができる。つまり、上記の図にある「成功者」になれる秘訣があります。あなたならではのビジョンを適切に策定する。これが秘訣です。狙いは『適切な方向で“好きこそものの上手なれ”の世界に入ることが生み出す効用』の入手に結びつく人生を送れるようにすることにあります。

 以上の説明によりご認識されたことと思いますが、知識・知恵経済時代の到来を考えますと、「個人ビジョンを適切に策定する ⇒ 気力を充実させる ⇒ 脳力を強化する」…という人生を送り続けさえすれば、喜働の生涯現役が可能になるのです。(参考資料 ⇒ 『低所得から抜け出せないままでいると、悲惨なことになる可能性が大である』)

 80〜84歳の人のなんと60%が心身共に健全で、知力を要する立場で社会的に活躍している人ほどこの傾向が強い──、というアメリカにおける最近の調査結果がありますが、これは上記したことを裏付けるものです。(渡辺高哉の母親は歩行できなくなったために独り暮らしができなくなりましたが、89歳まで心身ともにすこぶる健全でした)

 中村桂子さんは2009年5月3日付け『毎日新聞』の中でリータ・L・モンタルチーニ著『老後も進化する脳』について次のような書評を載せています。

 ・・・・・精神活動は、老年期、そして人生の最後の時期において、まったく新しい能力の発揮されうる分野。・・・・・その中でも重要なのが創造性であるとして、とくに老年にそれを発揮した実例として、ミケランジェロ、ガリレイ、ラッセル、ベン=グリオン、ピカソの五人をあげる。・・・・・

 (関連記事 ⇒ 『年齢の壁は幻にすぎない。明るく陽気に己を鍛えよ老人が自立できる社会に /潜在能力開発が最優先の投資案件であることを示す証拠例 (自信がなく読書嫌いであったにもかかわらず、明確な目標を持って勉強し続けるようになった元旋盤工の児玉隆夫さんが大阪市立大学の学長になれたのはなぜなのでしょうか?)

老害が発生する仕組み
 エスカレーターに乗るが如き状態が長く続いた ⇒ モーツアルト効果』とは無縁の人生を送る ⇒ 記憶間ネットワーキングの再編成が遅々として進まない ⇒ 新しいものの見方ができにくくなる ⇒ 環境変化の見過ごしが生じる ⇒ 記憶間ネットワーキングの再編成が更に進まなくなる ⇒ 深刻な思考硬直化現象が生まれる ⇒ 創造的学問の源「勘」が働かなくなる

 ⇒ 見知らぬことに接して「何か大事なことが秘められているんじゃないかな。理解して詰め抜こう!」とならない ⇒ 世の中を支配する新しいロジックに適応できず、エアーポケットの中でもがくのみとなってしまう。


 固定観念に陥ることなく柔軟な発想ができる。これが老害とは無縁の人生を送っている人の特徴です。壁掛けの冷暖房機の断熱材が剥がれてしまい、騒音発生。これへの対応のための応答を例に挙げましょう。

 ベテランの修理技術者「接着しても駄目だった以上は断熱材を交換するしかありません。でも、持ち上げると天井にぶつかってしまうので、冷暖房機の分解という大変な作業が必要です。どうしましょうか?」(最近行った室内リフォームの影響で天井の一部が僅かに低くなってしまっていたのです)

 顧客「技術革新に伴ってもっと強力な接着剤が出回っているはずです。目的に合うものを探してください」

 ベテランの修理技術者「分りました。社内にはありませんので、探してみます」(目的に合う接着剤が見つかり、問題は解決しました)

 この顧客の柔軟な発想の背景には、「新しいものの見方をするのが常である ⇒ 脳細胞の再編成が常時行われている ⇒ 記憶間ネットワーキングが良い」という図式があるのです。


 「昔は長期的視点に立った経営をしてきた。ところが、今はその面影がない」ということに多くの日本企業が没落してきた原因を求める向きがありますが、これは誤りです。なぜなら、長期的視点に立った経営をしてきた背景には次の図式があったからです。

 追いつき追い越す目標があった ⇒ 実績のあること、具体的なことを「カイゼン」を加えて実現させることですんだ ⇒ 不得手な新しいものの見方をする必要がなかった。

 「若者も年寄りもモチベーションが落ちてきた」ということがよく言われますが、この表現も表面的過ぎます。過去の延長線上に新成長機会が見当たらなくなったために、実績のあること、具体的なことに「カイゼン」を加えるという得意技が使えなくなったことも大きく影響しているのです。(関連記事 ⇒ 『大多数の日本人が世の中を支配する新しいロジックに適応できない理由日本人の保守性の弊害と理由』)

 となると、日本企業の再生は「日暮れて道遠し」となるしかないのでしょうか? 「否」です。「性格発衝動強迫の適切な引き出し」という一般には知られていない切り札があることを忘れはならないのです。

80歳代に脳力のピークを迎える人生が送りやすくなった

食生活の戒め
 上記したことに付け加えなければならない大事なことがあります。「DHAやクルクミン(カレー粉に含まれている)が豊富な食品を摂取する ⇒ アルツハイマー病を引き起こすβアミロイドの除去に結びつく」ということを認識しなければなりません。アルツハイマー病にならないためには、脳に溜まるβアミロイドの除去に留意しつつ脳力を強化し続けなければならないのです。

 以上の説明に対して、「高い知力を保っていても高齢になると敬遠されてしまうことが多い。だから…」と反論する人がいるかもしれません。そして、この反論はあながち否定できません。なぜなら、高齢になるにつれて伴いがちな二つの危険性があるからです。

身の程知らずの強い自尊心が生じやくなる ⇒ 共同作業が不円滑になりかねない。
突然死の確率が高まる ⇒ リスクをかけた仕事が中途半端になる度合いが高まる。

 でも、よくよく考えますと、上記二つの危険性は杞憂にすぎない、と言いきれます。なぜなら、は継続的な脳強化を怠ってきた高齢者に言えることであり、ウルトラ・ナレッジマネジメント体制の趣旨を生かした経営を行うことにより未然防止できるからです。

結論
 国が財政破綻寸前に追い込まれているために急増している年金・老後不安払拭策の決め手は生涯現役の人生を送れるようにすることです。したがって、退職金や年金を今から心配している新入社員、もっと深刻な気持ちに襲われている中高年者は人生の舵取りを「不安におののく」から「知力を鍛える」に切り替えなければなりません。

「後悔の多い人生を送ってきたので今更…」と思われる方は『負けても堂々と再出発できる時代がやってきた』をお読みください。「環境が様変わりしたので、やり直しができる」と思われることでしょう。

個人ビジョンを適切に策定したい。ついては方法論の詳細を知りたい…と思われる方は『成長の4条件』をお読みください。「今の時代、一番必要なのは自分固有のビジョンを適切に策定することだ」と思われることでしょう。

知力も気力もすっかり衰えてしまったので何とかしたい…と思い、貴重な助言を受け入れた。しかし、行動が伴わない ── こういう状態に陥ってしまった方は『若々しい脳力復活 (若返り) の支援』をお読みください。「今だったら間に合う」と思われることでしょう。


老化と脳機能低下は比例しないことの科学的説明
 頭の良し悪しを決めるのは脳細胞の数ではなく、加齢に応じて増える可能性があるグリア細胞が作る神経伝達物質です。しかも、このグリア細胞は神経細胞を作るだけではなく守ってもくれるのです。

 したがって、脳細胞が加齢に応じて減ることは気にする必要は全くないのです。齢を重ねる時に気にしなければならないのは、グリア細胞を増やすことに結びつくように齢を重ねているかどうかなのです。

脳力の持続的強化に成功する秘訣
構想力・独創力の強化には、ジグソーパズル思考の修得を

 脳力の持続的強化に成功するためには、上記のリンク先を読みお分り頂けましたように「疑問や悩み事を持つ ⇒ 問題意識を持って世の中を幅広く学問する ⇒ 総合的考察の結果として独自の見解や問題解決策を創る」という図式の習慣醸成が必要になります。



社会の成熟化が生み出した閉塞状態からの脱却のための抜本的な対策
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