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分類学的な能力に対する需要はすっかり冷え込んでしまった
若者がのさばる時代になる 

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今、日本人の心はどうなっているのか? だから、どうすべきなのか?

2019.2.10更新

→オウムに嵌った林郁夫は他人事ではない!― 自立と自律力養成の薦め ―〈2004/11/14〉

自分自身を命ある限り成長させ続ける

老後の悲惨さ回避を可能にする積極的な人生が必要不可欠になってきている

優勝劣敗が明確になるからである

 みなさんが十分に認識されているように、下記の過去と現在の図式が示すように環境が様変わりして、「所得格差の少ない時代」から「所得格差の大きい時代」に移行しつつあります。

(過去の図式) 量産・量販型の工業化の余地が大である ⇒ 個人間の能力差は顕在化しにくい

(今後の図式) 知識経済の時代が到来した ⇒ 個人間の能力差が顕在化しやすい + 成果主義が進まざるを得ない ⇒ 50歳になっても月給が20万円あるいは失業は当たり前のことになる

 市場性のある脳力・能力を積極的に開発しなければならない。さもなければ、惨めな生活を覚悟しなければならない時代になったのです。

惨めな生活は老後まで続く可能性が大だからである

 惨めな現役生活を送ることになっても安楽な老後生活が保障されれば救いもありますが、この保障ですら風前の灯火になりつつあります。

                       2002.3.11付け『日経ビジネス』の41頁より抜粋

 「フリーターになると、きちっと就職しろ!と言われる」「自由に選択して就職しようとすると、欠点を列挙される」と言って、親の発言に信念がないことを指摘する若者が増えてきました。この背景には、次の実態があるのです。─────

 負け組みになると老後生活も惨めになる可能性が大である時代がひたひたと押し寄せてきた。しかしながら、「かくかくしかじかの理由でこうあるべき」という信念を持つに至っていない人が圧倒的大多数を占めている。子を持つ親も例外ではない。

 就職期にある子供を持つ親はジレンマに陥り、その結果、「市場性のある能力が身につくことを可能にする仕事に就いて貰いたい」という想いをこめて上記の発言をしているのです。

癌や動脈硬化が待ち受けているかもしれないからである

 みなさんが十分に認識されているように、下記の過去と現在の図式が示すように環境が様変わりして、「自己否定されることが少ない時代」から「自己否定されることが多い時代」に移行しつつあります。

(過去の図式) 同質社会、規制社会、人間関係優先社会の中で生活し続けてきた ⇒ 自己否定に対する免疫力がほとんどない

(今後の図式) ライフスタイルは自分で創ったのではなく副産物である ⇒ 環境が様変りしてもライフサイクルを再構築できない ⇒ 自己否定され続ける

 自己否定に対する免疫力がほとんどない人が自己否定され続けるとどういうことになるのでしょうか? 強いストレスにさらされ続けることを覚悟しなければなりません。強いストレスにさらされ続けるとどういうことになるのでしょうか?

 ストレスが溜まり続ける ⇒ 癌あるいは動脈硬化になる──、という図式の犠牲者になりやすいことを覚悟しなければなりません。

 ストレスが溜まり続ける状況の具体例を三つだけ挙げておきます。

(例1) (終身雇用制度が崩壊した + 価値観が多様化した ⇒ 同じ価値観の人が周囲に見つかりにくくなった) + (日本経済崩壊からくる若者の年寄りに対する反発が高まりつつある + 少子高齢化とIT革命により若者の登用が進む ⇒ 長幼の序の精神が希薄になる) ⇒ 不愉快な経験が度重なる ⇒ ストレスが溜まり続ける。

(例2) 過去の経験にしがみつく ⇒ 自分の経験が生かせない仕事につく (例:長年鉄鋼の検査に従事していた人が生コンクリートの会社に出向) ⇒ 右往左往する ⇒ 周囲の人々に馬鹿にされる + 「やった!」と叫びたくなるような仕事の醍醐味とは無縁の生活になる ⇒ ストレスが溜まり続ける。

(例3) 先行き不透明性がクローズアップする ⇒ パニックの心理のしくみ (心の準備ができていないために慌てふためく) がしばしば作動する ⇒ ストレスが溜まり続ける。

 一時的なストレスであれば、プラス面もありますが、ストレスの長期化は肉体を蝕むのです。信じられない方は医学書を読むなり、その筋の専門家に聞いてみてください。筆者の意見は必ず肯定されるはずです。

若者がのさばる時代になるからである

 年寄りを敬う風潮が社会にあれば、高齢者のストレスは緩和されます。ところが、この風潮は影を薄めていく一方になることでしょう。主な理由は二つあります。

(理由1) 人事権を握る若者が急増する

 ITの普及に伴って組織のフラット化が進む + 脱工業化に伴って能力主義が進む +少子高齢化に伴って若者を優遇せざるを得なくなる──、という不可避の図式があることを忘れてはならないのです。

(理由2) 嫌われる高齢者が増える

 横並び志向の人生を送り続けてきた ⇒ バイタリティーやフレキシビリティを喪失したままである + 横並びが通用しなくなった ⇒ ワンパターンの行動を採り続けてきたために頭が固い。にもかかわらずプライドが強いので非を指摘しにくい──、という図式に陥りやすいことを忘れてはならないのです。

(理由3) 高齢者を憎悪する若者が急増する 2015年10月13日追記

 時代を先取りする漫画に老人駆除隊が登場しているのはどうしてでしょうか? 上記理由1・2に経済的な問題が加わっていることは否定できません。現役世代は低所得に苦しむだけではなく、少子高齢化の急伸により53才を境に年金の受給率が悪化の一途を辿ることが確実になっている。一方において、引退生活を豊かに過ごしている高齢者が少なからず存在しているからです。

痴呆症が待ち受けているかもしれないからである

 送り続けてきた横並び志向の人生が通用しなくなったことも不幸な結末を迎えることになりかねません。なぜなら、次の図式が考えられるからです。

 横並び志向の人生を送り続けてきたままの状態で年をとってしまった ⇒ バイタリティーやフレキシビリティを喪失したままである + 横並びが通用しなくなった ⇒ 未来を切り開くことができない

⇒ 過去の成功体験や社会貢献のみを拠り所とする虚構のプライドを構築する + プライドの虚構性が暴露される事柄が発生する ⇒ 逃げ込むように一気に呆ける。

 高齢者のプライドの強さは若者が足元にも及ばない能力・脳力を持っていることから生まれる場合もありますが、高齢者の人間としての防衛本能のなせる業である場合も少なくないのです。

 学校に行きたくないから本当の腹痛が起きることからよくあることからお分り頂けるように、気が病むと本当の病気になるのです。

孤独死が待ち受けているかもしれないからである

 自分を精神的に鍛えることなく漠然と生きてきたために、公私共に魅力のない人物に待ち受けるのは、“濡れ落ち葉”的な存在です。こうなってしまうことも不幸な結末を迎えることになりかねません。なぜなら、次の図式が考えられるからです。

 (“濡れ落ち葉”のようになる ⇒ 年老いても人生を幸せ一杯にするための3条件を充足できない) + (スタンダードの喪失が価値観を多様にした + 強いられてきた平等主義がなくなる ⇒ 同病相哀れむ人が回りにいなくなる) ⇒ 精神的に完全に孤独になる。さりとて、孤独を楽しむことができない ⇒ 孤独に耐えられなくなる。

 高齢者の自殺の三分の一が同居世帯がいる老人であることの原因には上記の図式があることを忘れてはならないのです。

同病相哀れむ者が周りにいなくなるのはなぜなのか?

 蛸壺型の社会は人間関係の固定化並びに個性発揮の抑制に結びついたため、似た者同士の人に囲まれた人生を送ることを可能にしました。多くの日本人はぬくぬくした人生を送ることが可能だったのです。ところが、環境が様変わりして下記の図式が支配的になりました。

 長生きするようになる + (系列取引・終身雇用制度・年功序列式人事システムがなくなる ⇒ 深く潜在していた各人各様のライフスタイルが顕在化する) ⇒ 脳力の差が大きくクローズアップする。(詳しくは ⇒『脳力のピークは80歳代だ』)

 多くの日本人はぬくぬくした人生を送ることができなくなったのです。

尊厳に満ちた人生を送り続けるためにはどうしたらよいのか?

 意欲的な人生を送り続ける ⇒ 80歳代に脳力の頂点を迎えることができる ⇒ 年老いても肉体の若さを保つことができる──、という図式 (詳しくは ⇒『脳力のピークは80才代だ!』) を念頭に置いた人生を送る。いいかえれば、人間の潜在力を活用しきる人生を送ることを目指すことです。理由は大別して三つあります。

(理由1) 自立と自律力を維持し続けないと惨めになる

 環境の様変わりは「これまでの平等主義が影を潜め、優勝劣敗が明確になる」「若者がのさばるようになる等などが原因してストレスが溜まり続けて癌や動脈硬化になりやすくなる」「“濡れ落ち葉”のようになって、呆けや孤独死に襲われやすくなる」ということに結びついていることを忘れてはならないのです。

(理由2) 高齢者に有利、かつ喜働を可能にする就業環境になる

 機械の如くに働かなければならない仕事は高齢者に向いていないし、楽しく働く工夫にも限界があります。 ── これが工業経済の世界です。

 ところが、人間の高次元能力を必要とする仕事は鍛え抜いてきた高齢者に向いているし、個性的な達成感を味わうことができるので楽しく働くことができます。 ── これが知識経済の世界です。

 上記のような基本的性格を持つ知識経済が次の図式の下に実現する可能性が大です。

 本格的な共同市場誕生に結びつく地球的規模での地域主義が進展する ⇒ 人類の相互依存が拡充する ⇒ アウトソーシングの輪が拡充する ⇒ 脱工業化が進展する (知識経済が発展する)。

 (地球的規模での地域主義の進展の必然性並びに経済効果の論拠 ⇒『日本を復活させるためにはどうしたらよいのか? 本格的な共同市場に参加するしかない!』&『永遠の経済成長を可能にする秘訣』)

(理由3) 生涯現役の人生支援に結びつく神風 (フォローの風) が吹く

 生涯現役の人生を送りやすくするためには、制度面並びに科学技術面でのバックアップも必要ですが、この点でも楽観できそうです。なぜなら、次の図式の下に定年制撤廃が陽の目を見ることができそうだからです。

 年功序列式賃金を撤廃する ⇒ 労働力移動の自由度を拡大する ⇒ 雇用不安並びに将来の労働力不足を軽減させる。

 定年制が撤廃されても老衰状態にありますと働きようがありませんが、この点でも楽観できそうです。挑戦的人生を送り続けることが精神・肉体の若さの維持に結びつく上に、「必要は発明の母」とばかりに老化を抑える実質が発見されているからです。

自立と自律を維持し続ける必要性と具体策に結びつくヒントがある

(ヒント1) ゲートボールは嫌だが、登山、アート工芸、今一度の勉強はOKの人が多いのはなぜなのか?
 
 若さを満喫したい。向上したい…が人間の本性だからです。いいかえれば、「自分のライフスタイルや価値観をできたら再構築したい」という本音があるのです。

(ヒント2) 警察犬の訓練士の退職率が皆無に等しいのはなぜなのか?

 犬は褒めるとすぐ反応するし、成長していく。いいかえれば、反応の喜びがあるからです。いいかえれば、努力が報われる世界に身を置きたい (不労所得の生活は嫌である) のです。

(ヒント3) 農業にあこがれる定年退職者が多いのはなぜなのか?

 マイペースで創作、自給自足だから安心、有機農業で社会貢献…といったことがあるからです。いいかえれば、人の言いなりや誇りの持てない仕事は嫌なのです。

 上記のヒント1・2・3は、自立と自律の生活に結びつくのであれば挑戦を厭わない人がほとんどあることを物語っています。挑戦にしり込みするのは二つの内のいずれだからなのでしょう。

挑戦が自立と自律に結びつく確信を持てない。(挑戦に駆り立てるための適切な動機付けが行われていない)
新たに挑戦しなくても自立と自律の生活を楽しんでいる。(挑戦に駆り立てようとする相手を間違えている)

独自の脳力・能力を持つことを急がなければならない

個人の人生にも企業経営の才覚が必要になった

 企業内教育によって個人の職業能力をステップアップさせることが困難になりました。主な理由は二つあります。

(理由1) ノウハウの円滑な継承が困難になった

 日本的経営の特徴であった「年功序列が保障されている ⇒ 部下と出世競争をすることはほとんどない ⇒ 自分のノウハウを安心して部下に継承できる」という図式が崩れたからです。

 ナレッジマネジメントの必要性が増しましたが、実行は容易ではなくなったのです。

(理由2) 仕事を通じての能力アップが困難になった

 技術革新 (ロボットの登場) が「部品Aを作る ⇒ 部品Bを作る・・・・・⇒ 組み立てる ⇒ フォアマンになる」といったようなジョブ・ローテーションを困難にしたからです。

 勤務年数を積み重ねることが出世の階段を登ることを可能にする時代が終わったのです。

 上記の理由1・2は「かくかくしかじかの事業をしたいからかくかくしかじかの脳力・能力が必要である。この脳力・能力をかくかくしかじかの方法で調達しよう!」という企業経営同様の才覚が個人の人生にも必要になったと理解すべきでしょう。

 それではどのような脳力・能力を培ったらよいのでしょうか? 著名大学を出て専門分野を決めればよいのでしょうか?

分類学的な能力に対する需要はすっかり冷え込んでしまった

 「東大の法学部を出て、30年間人事の仕事をやってきました」という謳い文句に飛びつく企業がほぼなくなったのはどうしてなのでしょうか? 主な理由は二つあります。

(理由1) 中央官庁が先端情報の発信源である + 横並びで事足りる ⇒ 有力な同窓生が各分野に存在していることだけでも存在価値がある──、という図式が通用しなくなった。

(理由2) 市場が成熟した ⇒ 需要が個性的になった ⇒ ピンポイントの問題解決能力が必要になった ⇒ 人事屋、化学屋…といったような分類学的な脳力・能力だけに魅力を感じる経営者はいなくなった──、という図式が定着した。

 上記の東大卒の人物に即して言えば、「人事システムに精通している上に、人を自在に動かす才能を持っている」という謳い文句であれば、経営者は「是非わが社に入社して欲しい」となるのです。但し、このようなことになるためには、過去の延長線上を歩むだけでは駄目です。個人的なリスクをかけた思い切った先行投資が必要です。

 同じようなことが独創的構想力を売り物にするタイプのコンサルタントについても当てはまるようになりつつあります。

 筆者は延々と続く穴倉生活のような研究専念生活を送ったことがありますが、この背景には「総合的判断力に裏づけられた洞察力を持っている。なるが故に、直線的に問題解決できるシャーロックホームズのようになりたい」という強烈な思いがあったのです。

日本全体の脳力向上の支障となっているポスドク問題解決のあり方

独自の脳力・能力の方が資産よりも遥かに頼りがいがある

 筆者の商社マン時代のことですが、新入社員時代からせっせと貯蓄に励む人物がいました。自己研修に結びつく出費すら行わないのです。・・・・・20代の独身でありながら一戸建ての住宅取得に成功しました。住宅どころか貯蓄がほとんどなかった筆者は「凄いなぁ」と思ったものです。

 なぜなら、「土地神話が健在である ⇒ 住みながら (使いながら) 資産価値の上昇が実現できる」という図式がある上に、住宅は横並び時代の唯一とも言える自己主張手段だからです。ところが、「資産の値上がりは期待しにくい」「モノではなく自分を楽しみ」時代になったために、住宅投資には昔のような妙味はなくなりました。

 それでは将来に備えて何に投資したらよいのでしょうか? 自分自身への投資です。この理論的根拠を説明しましょう。

 「失敗を認めたくなかった」ので、林郁夫は魔の逸脱世界から抜け出すことができなかったのでした。この心境の背景には何があったのでしょうか? ゼロからやり直す勇気がなかったからなのでしょう。どうしてゼロからやり直す勇気を持つことができなかったのでしょうか?

 投入したことを失うのは惜しい。こういうこともあるでしょうが、財産・地位・人脈がなくても生きていける自信がない。このことの方が大きかったのでしょう。なぜなら、「失ったものはいつでも手に入れることができる」という自信があれば、投入したことに連綿としている必要はないからです。

 これまで多くの人々は資産形成に励んできました。どうしてなのでしょうか? 下記の二つの図式が成立していたからです。

(図式1) 国家や地域社会が蓄積的に確立してきた経済的地位が簡単に崩れることはない ⇒ 土地価格が下がり放しになることはない。

(図式2) 企業が蓄積的に確立してきた基盤が簡単に崩れることはない ⇒ 株価が下がり放しになることはない。

 上記「二つの図式」はこれからますます通用しなくなることでしょう。なぜなら、三つの事態の発生は避けることができないからです。

地球規模での競争は激化の一途を辿る。
既存技術を陳腐化に追い込む技術革新は進展の一途を辿る。
同一国での地域間競争は激化の一途を辿る。

 上記した林郁夫的な逡巡が意味を持たなくなる時代に突入しつつあるのです。非常時に蓄積した資産で生き延びることが困難になるのであれば、どうすれば安心して生きていくことができるのでしょうか? 徒手空拳で堂々と生きていけるだけの脳力・能力を培うことではないでしょうか。

 キリスト教会で寄付の時間になった時、「お金がありませんので、僕自身を寄付します」と言った少年がいたそうですが、この発言は未来を先取りした英知に満ちた発言なのです。こういう生き方にはもう二つの効用があります。

(効用1)
「今の世の中はおかしい。しかし、革命しても死ぬだけ。一体どうしたらよいのか?」という哲学的な問いかけに対する回答になる。

 自分をひたすら鍛え続け、自分の人間的成長を楽しむ。これが回答であることは言うまでもありません。

(効用2)「最後に頼りになるのは自分自身である」ということを言い切ることができるようになる。

 不安な時代、家族や親しい家族が頼りです。なぜなら、「友達や家族が一定のリズムがある生活を送ることができる ⇒ 自分の精神状態が安定できる」という図式を享受できるからです。

 ところが、不確実性が高まる一方なので、この図式が永続できる保障はなくなりました。となると、「自分自身の脳力・能力が成長し続けている ⇒ 自分自身が頼りがいのある存在になる」という図式が必要になるのです。

 以上の説明を読み、「自分にはこれといった才能がない。だから、徒手空拳で堂々と生きていけるだけの脳力・能力を培うことなんてことはできっこない」と言われる方がおられるかもしれません。果たしてそうでしょうか?

誰だって発展性のある独自の脳力を潜在的に持っている

人それぞれの人生は市場性のある特徴の宝庫である

(例1) 生い立ちの特徴は第二の天性を醸成する

 マリリン・モンローは飛びぬけた美人ではないにもかかわらず、世紀の大女優になれたのは、次の図式のお陰なのです。

 孤児であった ⇒ 人に媚びないと生きていかれない ⇒ 人にごく自然に媚びるようになった ⇒ 男性を魅了してやまない風情の持ち主になった ⇒ 偶然端役で舞台に立ったら大受けとなった ⇒ 市場性のある自分の特徴に気づき、この特徴に磨きをかけた。

 このマリリン・モンロー物語は「自分の人生の特徴は何か? この特徴はどんな習慣を醸成したか? この習慣はどんな職業に向いているのか?」という人生史の認識・分析に成功すれば、誰でも磨くに値する、市場性のある特徴を発掘できることを意味していると理解すべきではないでしょうか。

(例2) トラウマになるような衝撃的な事故は類稀な才能に結びつく癖を生む

 筆者は自分の置かれた環境に疑念を抱く経験を三段階に亘って経験しました。具体的に言うと、次の通りです。

優しい女中に預けられるので王子様然としていられる昼間の生活、姉・兄・弟がいるので母親のケアーを十分受けることができないので居心地の悪い夕方から翌朝迄の生活 ── を毎日繰り返す2歳から4歳半迄の台湾時代。

4歳半の時に台湾から日本に引越し。船長が全員を集めて「明日門司港に到着します。この船は数多くの護衛艦に守られていますので、お腹に巻き付けている財産を取り外して今晩はゆっくりお休みください」と御託宣。六人家族は言われたようにしました。ところが、寝静まってから凄まじい音がして電気が全て消え、船内は大混乱。魚雷で撃沈されたのです。乗船客の大半が落命したにも拘らず家族は全員助かりました。

しかしながら、全財産を失った家族に過酷な運命が待受けていました。「運命を安易に他人に託してはならない。権威ある人物が相手であっても簡単に信じてはならない。自分で判断しなければならない」と強く思いました。そして、自分を取巻く環境動向を洞察できる脳力を培うことを最優先させ、自立と創造の人生を送ってきました。(例 ⇒ 『私が研究プロジェクトに単独で専念することを決断した理由転職成功術』)

専任の優しい女中と永遠の離別を淋しく噛み締めることになった日本到着以降の幼少年時代。

 衝撃的な事故を含む、この三段階に亘る経験は私の性格形成に決定的な影響を与えました。(補足説明 ⇒ 『「性格と歴史的立場」(行動力学)の認識が人生の舵取りの要諦である』) その結果、自分が置かれた環境を観察・分析する癖がつき、海外から入ってくる電報の文面から相手の心理状態を的確に分析するので、課長から「君は若いくせに恐ろしい男だなぁ」と言われたのです。そして、この癖は次の図式実現に結びつきました。

 (直観回路が鍛えられた ⇒ 鍛えられた直観回路は殆どの人が見過ごすことでも「何かあるな」と感じさせることを可能にした ⇒ 大事なことは納得できるまで質疑応答する習慣が身についた ⇒ 「即席の質疑応答で分厚い毛皮を剥がすが如くに秘めた実態を明らかにしてしまう」と言われる程の質疑応答の達人になった)

 + 比類なき多彩な職業経験を入魂状態で積んだ + 他人の性格と歴史的立場を見抜く脳力が加わった ⇒ 悩み事相談のための質疑応答の機会が与えられれば、相手の盲点を見抜き、適切な動機づけを行うことができるようになった(相手の心にスイッチを入れて行動期待値を引き出せるようになった)

 筆者の衝撃的な体験は人を動かす脳力に発展的に結びついただけではありません。チャンスを逸早く察知し、このチャンスを掴み取るための開き直れる度胸をも与えてくれました。だから脳力革命に結びつく転職空前の画期的なプロジェクトの成立・成功社会的孤立状態での長年の研究専念生活を送ることができたのだと思います。

 この渡辺高哉物語は「どんな衝撃的な体験をしたか? この体験はどんなトラウマを生んだのか? このトラウマはどんな癖を生んだのか? この癖はどんな職業だったらプラスになるのか?」という人生史の認識・分析に成功し、その気になりさえすれば、誰でも下記のような人生を歩むことができるようになると理解すべきではないでしょうか。

 磨くに値する、市場性のある特徴を発掘する ⇒ チャンスを逸早く掴み取る ⇒ 「もう一度…」という“繰り返しの快”を味わいたい気持ちが生まれる ⇒ チャンスを逸早く掴み取る──、という図式が内発的動機に基づく意思決定力の強化に、この意思決定力の強化が強烈な執念に、強烈な執念が目標達成に、目標達成の繰り返しが未知への挑戦を成功させるために必要不可欠な度胸と勘の養成に自ずと結びつく。

 (上記の「その気になりさえすれば」のその気になることを強く望む方にお勧めするのが意欲満々になるための定石を踏むことです)

(例3) 好きなことが意外な職業適性に結びつく

 定年間際の男性が失業しました。普通のサラリーマン生活を送ってきたことが災いして特別な才能を磨き上げるには至っていないために、空しい求職活動が続きました。ところが、某企業の面接で「山歩きが趣味である」ことを伝えたところ採用されました。

 「山歩きが趣味である = 歩くことが好きな健脚の持ち主である =家庭や企業を訪ね歩く調査員に向いている」と判断されたのです。

 この登山家物語は「どんな趣味を持っているのか? この趣味はどんな特徴を生み出しているのか? この特徴はどんな職業だったら使えるのか?」という自分の棚卸しに成功すれば、「専門的な知識は仕事をしながら覚えればよい」と言うことができる、新しい世界の発見が可能であることを意味していると理解すべきではないでしょうか。

 市場性のある特徴を発見できたからといって万事OKとなるほど世の中は甘くありません。環境変化に適応しつつ鍛えていかなければ、「着眼はよかったのに残念でした」となってしまいます。

(例4) 弱者の活路開拓を可能にする隙間市場を発見・創造する 2013.12.27追記

東京都世田谷区の魚屋の数が日本一である事実の背景にある「生活の質重視住民型住民が多い ⇒ 料理方法伝授等の客に寄り添うサービスを提供する ⇒ 大手に有利な価格競争から脱出できる」をヒントにする。

ニューハーフがショービジネスの花形になった背景にある「男と女には固有の特徴がある + 自分は男でも女でもない ⇒ 独自の魅力づくりに励む」をヒントにする。

 この二つのヒントを生かすためには、生い立ちが醸成した秘めた才能を見抜くような方策を採る必要があります。

焦点を絞って努力し続ければ必ず成功する

 福岡ダイエー・ホークスの前身である南海ホークスに門田博光という選手がいました。身長は170センチ程度です。にもかかわらず、40才を過ぎでホームラン王になりました。この奇跡的な成功は次の図式がもたらしたのです。

 小さな身体を気にせずに強打者になるための訓練をし続ける ⇒ 三振を気にせず思い切って振り続ける (訓練の結果を実践で試し続ける) ⇒ ひとつのことに専念して来た者だけが入手できる「こういう時はこう…」「ああいうときはああ…」という最適化ノウハウを取得できた。

 この時の監督であった野村克也氏は三振を気にせず思い切って振る門田選手を強く非難しました。この非難にめげずに初心を貫徹したために、門田博光選手は40才を過ぎでホームラン王になることができたのです。

 適切な方向で人並みはずれた努力はなぜ報われるのでしょうか?下記の図式が成立できるからです。

 鍛え続ければ、肉体は鋼のように、頭脳はよくなる一方である ⇒ 鼻先リードを保ち続ける ⇒ 勝ち続ける ⇒ 実戦経験を積み続ける ⇒ より多くの能力蓄積に成功できる ⇒ 鼻先リードを保ち続ける (僅かな差が勝敗の分かれ目となることを忘れてはならないのです)・・・・・。

 企業経営を例に採って上記のような集中的努力の説明を行うと、理解が深まることでしょう。

 「同じ売り上げでも研究開発投資が多ければ多いほどマージンが多くなる」という経験則がありますが、どうしてなのでしょうか? 次の図式ができあがるからなのです。

 研究開発投資を行い続ける ⇒ 「とても敵わない」と思われるようになる ⇒ 後発参入が抑制できる + 顧客をよりアマチュア化できる ⇒ 価格支配権が強化できる。

 脳力・能力というものは製品の「カイゼン」同様、代謝的変身しかありえないのでしょうか?

脳力を大化けさせることができる

 今をときめく京セラは門田博光選手に似たところがあります。東芝等の大企業は人事ローテーションがありますので、入社以来セラミックの生産・販売に専念する人はいませんでした。ところが、旧京都セラミックは専業メーカーであるために、従業員は入社以来セラミックの生産・販売に専念できました。これが大きな武器になったのです。

 同社の一人一人の従業員の頭脳に失敗・成功の時系列データが蓄積できました。そして、この生き生きしたデータをナレッジ・マネジメントすることにより、「こういう時はこう…」「ああいうときはああ…」という最適化ノウハウを組織的に開発し、組織的に活用したのです。

 かくして、同社はライバルに対して常に鼻先リードを保ち続けることができるようになりました。これは絶対的な強みになります。なぜなら、紙一重の差が all or nothing となりやすいのがビジネスの世界だからです。

 但し、セラミックは神風の吹く世界に所属していたことを忘れはなりません。さもなければ、ドンキホーテのような努力になってしまうのです。

 ここまででしたら、京セラは門田博光選手と全く同じで代謝的変身に成功したにすぎません。ところが、同社は時代の流れに適応したセラミックを使った新規事業の開発に成功して今日の姿になりました。革新的変身にも成功したのです。

 このように申し上げますと、「個人は文字通りたった一人なので無理だ」という方がおられもかもしれません。こういう方には「ギブ&テイク型の転職を繰り返せば異分野の能力を積み重ねることができる」という言葉を返させて頂きます。(具体策 ⇒ 『変身のための三つの方策』)

 「もう若くないので今更無理だ」と思われる方は『若々しい脳力の復活支援』に引き続き、『新創業の心』を読んでください。そうすることにより、『殆ど未活用の潜在能力を引き出す秘訣』はもう若くない自分にも通用するのだ…と思われることでしょう。


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