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【斬新な着眼】



→相手の置かれた立場の認識不足が不和を生む―─ 大相撲の名門「花田家」が家族崩壊に転じたのはなぜか? ―─ (2005/6/19)

 「若貴兄弟の確執」に関するテレビ・週刊誌の報道は表層をなでまわすだけのような気がしました。そこで、これらの報道を素材を総合的に考察し、その結果を対談形式にまとめました。

 私共が公開する事例研究は二つの例外(豊田市地域商業近代化ビジョン真空機器振興ビジョン)を除いてインターネットや出版物に基づいての推理結果であってクライアントを診断したものではありません。したがって、クライアントから知りえた情報が新創業研究所から具体例で洩れることは一切ありません。ご安心ください。



貴乃花親方の身内の中での孤立状態をどう解釈すべきか?

故・二子山親方と貴乃花親方の対立はなぜ生まれたのか?

(節子) お兄様の勝さんが二子山部屋を継承することなく相撲協会を去った段階で彼は部屋運営の財産を放棄したと見做すことができる。こういう考え方が成り立つべきでしょうが、こうなりにくい事情がある。

 お父さんが「光司と景子には何もやるな」と言ったという週刊誌報道があった。そして、このような発言を裏付ける正式の遺言書や遺言テープがあるかもしれない。それに、6月25日号の『週刊現代』には貴乃花親方を不利にすることに結びつく、次のような記事が載っている。

 「亡くなった親方は、弟子達をすごく可愛がっていたんですが、貴乃花部屋になってから態度が変わったと言って嘆いていました。確かに貴ノ浪も含めて貴乃花部屋付きの親方衆は、一度も病室に見舞いに行っていませんからね」(旧二子山後援会関係者)

 「オヤジ、協会を退職して、フランスで2~3年暮らしながら治そう。理事を譲ってくれれば、あとはオレがちゃんとやるから」(貴乃花親方)

 「今親方が理事でいられるのは、うちの親方(光司)が活躍したからじゃないですか。だから、私たちの好きにさせてくださいね」(景子夫人)

 二子山親方はMさんを通して肉親に連絡。駆けつけた兄姉に「光司はもちろんだが、景子はもっと許せない」等と親方は思いの丈をぶつけた。景子から通報を受けて病室に飛び込んできた光司は父親にこう言った。

 「親戚一同、いっさい入れちゃいけない、誰とも会っちゃいけないと言ったのに、何でルール違反をするんですか!」

 貴乃花親方は「オヤジから預かるよう頼まれた」と主張して中野新橋の土地・建物の権利書の返却を拒み続け、景子さんが『確かに権利書を預けました』という念書を持って病室に現れ、判を押すことを迫った。親方は怒り心頭に達して突き返した。

 このような表面的には親不孝に思える行動の背景には何があったのかしら? 複雑な事情があるに違いないと思うの。

(高哉) 様変わりした環境の下で偉大な最高権力者の跡を継いだ者があるべき行動を採った。このことに若貴兄弟の確執が結びついたために発生した現象であると推測できる。

 偉大な最高権力者の後継者の立場は非常に難しい。従来路線を歩むと後継者の影が薄くなってしまう。折角挙げた功績は「先代の偉業があればこそ」とされてしまい、後継者に対する求心力が生まれにくい ⇒ 強力な指導力を発揮しにくい ⇒ 大事を成し遂げにくい」という図式になってしまう。

 したがって、様変わりした環境に適応するための改革なんか夢のまた夢になってしまう。

(節子) 衰退傾向が顕著な大相撲は大改革が必要。大相撲の次代のリーダーであるべき貴乃花親方は斬新な路線を打ち出さなければならない。ところが、父親は大成功者であるが故に過去の成功方程式が染み付いている。したがって、二人は部屋の運営方法を巡って日頃から対立。

 親方衆も弟子達も戸惑ったでしょうけど、自分に言い聞かせるようにして貴乃花親方側についた。この心理状態が『週刊現代』に載っている二子山親方の嘆きになったんでしょうね。

(高哉) アレキサンダー大王は父王の跡を継ぐ前から父王と激しく対立していたと伝えられている。父王がギリシャで満足していた。一方、息子の方は世界統一を目指していた。したがって、父王のイメージを振り払う必要があった。

(節子) だから、貴乃花親方は「オヤジ、協会を退職して、フランスで2~3年暮らしながら治そう。理事を譲ってくれれば、あとはオレがちゃんとやるから」ということを父親に向かって言ったのね。事実かどうかは分からないけれど、事実とすればそういうことね。

 貴乃花親方の奥さんである景子さんの前後の脈絡を無視し、しかも、伝言ゲームの時によく見られる「悪しき知覚プロセス」の影響を受けたまま報道されたと思われる「今親方が理事でいられるのは、うちの親方 (光司) が活躍したからじゃないですか。だから、私たちの好きにさせてくださいね」の発言の裏にはこういうことがあったのね。

(高哉) そうなんだ。父親は部屋を息子の貴乃花に譲った段階で部屋の運営には一切口出しをしない。それだけではなく、協会からも引退して、日本相撲学校の設立・運営に乗り出す等、新しい世界を目指さなければならなかった。

 そういうことを部屋が隆盛であった段階から考えていれば、おかみさんであった憲子さんと離婚しないですんだかもしれない。

(節子) 憲子さんとのことは後でゆっくりと聞くとして、財産問題はどうして起きてしまったのかしら? 貴乃花親方は頭脳明晰、しかも、誠実。こんな人物が『週刊現代』に載っているような強引なことをやるはずがないんじゃないかしら。止むに止まれない事情があったと思うの。

(高哉) 兄が二子山部屋の継承権を放棄し、協会を引退した以上は部屋の運営のために使う財産は自分のもの。貴乃花親方はごく自然にこのように受け止めていた。ところが、父親の二子山親方がガンに冒されてから雲行きがおかしくなってきた。親方株を巡って二つのできごとがあったとされている。

 父親の二子山親方が藤島親方株を貴乃花親方に相談することなく他の部屋の人に売却した。その上に、貴乃花親方名義の山響親方株がなくなり、兄の弁護士から「いくらで買い取りますか?」という手紙が来た。こういうことが言われている。

 部屋の経営に責任がある。それだけではなく、大相撲を改革しなければならない。こういう立場にある貴乃花にとって財産基盤は必要不可欠。ところが、これが危険に晒されている。

 となれば、彼ができる範囲内で財産保全のための行動を採ろうとしたことは当たり前。しかしながら、亡父から所有権移転の手続きのための書類に実印を押さない限り遺族としての権利を失うことはない。したがって、中野新橋の土地・建物の権利書が別の人の手に渡ることは財産剥奪には結びつかない。

(節子) お父様が病床に臥している段階から財産問題で弁護士と相談していたと言われているお兄様とは違って、貴乃花親方は財産問題で誰にも相談したことがなかったのね。

 ということは貴乃花親方が「この鞄 (各種権利書が入っている) を預かっておいてくれ」とお父さんから言われ、「こんな段階で受け取るのは嫌だった。病気は治るというメッセージをこめるために自分のものだから自分で持っていて欲しい」という趣旨の言葉を返したことは信憑性が高いわね。

 ところで、二子山親方が貴乃花親方にとって虎の子である親方株を相談もなく処分してしまったのはどうしてなのかしら?


貴乃花親方が花田家の中で孤立してしまったのはなぜなのか?

(高哉) 本件を考える基礎情報はテレビ・週刊誌報道の一部なので、判断材料は大幅に不足している。したがって、あくまでも推測だけど、次の図式のなせる業ではないかと思う。

 二子山親方はガンを宣告された ⇒ 死を意識するようになった ⇒ 自分の財産のほとんどは部屋の運営に必要なものであることにふと気がついた ⇒ 長男の勝氏と内縁の妻と言われている恋人のMさんに対する財産分与をひねり出さなければならなくなった。

(節子) この私的財産の多くは離婚に伴う慰謝料として元妻である憲子さんの手に渡ってしまったであろうことに根本的原因があるのかもしれないわね。

(高哉) 兄の勝氏もこのことに気がつき、慌てたんじゃないかな。父に逆らって部屋を継承しないで相撲協会を退職し、弟が父親の跡を継いだ。このことは相撲部屋運営に関わる財産の継承権は弟にあることを意味する。このことはよく分かっているはずだから…。

(節子) 貴乃花親方名義の山響親方株を持ち出して、「いくらで買うか」という手紙を弁護士経由で貴乃花親方に出したり、二子山親方株を巡る騒動が起きたりしているのはよく分かる。でも、どうして花田一族の中で貴乃花親方が孤立しているのかしら?

(高哉) 貴乃花親方は頭脳明晰、かつ誠実な人ではあるけど、一途な人。したがって、推測も入っているのだけど、二つの図式が結びついた結果ではないかと思う。

図式1:貴乃花親方は独自路線を歩み、結果として父親であり師匠であった二子山親方を軽んじることになってしまった。当然のこととして伯父である元大横綱・花田勝治氏に対しては過去の人扱いとなった

 ⇒ 父親の兄姉の心中は穏やかでなかった。そうしたところに、弟の二子山親方から息子である貴乃花親方に対する愚痴を聞かされた ⇒ 人あたりの良い兄の勝氏を応援する素地ができあがった。

図式2:貴乃花が14回目の優勝を成し遂げた後の記者会見で「これからは自分独自の道を歩む」と発言した ⇒ 兄は「弟は同志ではなくライバルである」と思うようになった

 ⇒ 兄が整体師と絶縁した時、「まあチャンは相撲が強くならないよ」と弟に言われ、「今に見ていろ」と思い、優勝し、横綱にもなった。ところが、弟から「一緒に祝う気持ちになれない」「基礎ができていない」と言われた ⇒ 兄の弟に対する気持ちは憎悪に近いものになった。

(節子) 図式1が正しいとすれば、貴乃花親方の伯父様と伯母様は貴乃花をぎゃふんと言わせたい気持ちで一杯。でも、憂さを晴らすには大義名分というか錦の御旗が必要。こういう必要性に応えるべくお兄様の勝さんが働きかけたとすれば、「反貴乃花親方連合軍」はいとも簡単に形成されたとしてもおかしくない。

 だから花田家が一丸となって貴乃花親方が喪主を勤めることに反対することになったのね。次の図式のイメージができあがることを阻止するために…。

 貴乃花親方が喪主を勤める ⇒ 貴乃花親方が二子山親方の全てを継承する ⇒ お兄様の勝さんが遺産相続に介入する正当性を失う。

 でも、こんな大事なことを貴乃花親方はどうして妥協してしまったのかしら? それから貴乃花親方は遺体を病院に一晩預かって貰うことを主張し、伯父様から「不人情だ」と叱責されたそうだけど、この叱責は当たり前。でも、何かがありそうね。どんな真相があったのかしら?

(高哉) 二子山親方が亡くなった病室での口論は4時間に及び、時計は夜の12時を回っていたそうだよ。となると、貴乃花親方は部屋の責任者としての判断が必要になる。

 口論が更に続く ⇒ 葬儀に支障を来たす ⇒ 部屋としての鼎の軽重を問われる──、と言う図式になることを避けるためには、喪主の座を兄の勝氏に譲るしかないと思って当然。

 深夜の午前に遺体を部屋に運び込む + マスコミが部屋の前に待ち構えていることが予測できる ⇒ 近所に大きな迷惑をかけてしまう──、という図式になることを避けるためには、遺体を病院に一晩預かって貰うことを主張するのは当然。

(節子) 貴乃花親方らしいわね。・・・・・話を元に戻すけど、兄弟の性格は正反対。したがって、考え方も正反対であるので、同じ道を協力して歩むことができない運命にあった。その上、弟の方が兄よりも相撲取りとして出世し続けていたことが根本的原因なのかもしれないわね。

 似た者同士の同志だったら相手の幸せは自分の幸せであると思うことができる。ところが、この兄弟は正反対の性格。したがって、考え方も正反対だからうまくいくはずがない。兄弟の関係を長期にわたって正常に保つんだったら全く別の世界を歩むべきだったんじゃないかしら?

 兄が弟に対して憎悪に近い感情を抱いているとしたら「弟に利することは一切したくない。弟の立場が困ることになったとしても妥協することなく要求できるものはとことん要求したい」と仮になったとしても仕方がないわよ。人間は感情の動物だから…。

(高哉) お兄さんの勝氏は部屋持ちの親方になって弟を見返すことができる立場になれる権利をどうして放棄したんだろうか? 貴乃花親方も「勝さんが親の希望通りに部屋を継いでいれば今のようなごたごたは生じなかった」と言っているけど、ある意味では当たっている。

(節子) 彼は精神的な快楽を求めるタイプ。したがって、お母様と奥さんの間に入って調整するような苦労をしたくなかったんじゃないかなぁ。

(高哉) 彼が協会を退職したのはお母さんの憲子さんが離婚して部屋を出て行った後。したがって、大おかみさんと小おかみさんの間に立つ必要はない。したがって、そんな気苦労が生まれる余地はないんじゃないの?

(節子) 彼の性格から考えると、部屋を出て行ったお母さんにこまごまと相談する。そうなると、彼女は部屋の運営をリモート・コントロールするようになる。すると、母親と奥さんとが衝突するのは目に見えているわよ。

 話は変わるけど、貴乃花親方が兄の勝さんと仲違いするのは仕方がないとしても、お母様の憲子さんとともそうであるのはどうしてなのかしら?


弟 vs 母兄の分裂構図になっているのはなぜなのか?

(高哉) さっき話が出たように若貴兄弟の性格が正反対であることが悲劇の元凶じゃないかなぁ。兄は自分の感情に素直にしたがいがちなタイプ。一方、弟は感情を押し殺して信念を貫き通しがちなタイプ。

(節子) そうね。花田家の葬儀の時の二人の対照的な表情がこのことを証明しているかもしれないわね。お兄様は涙をこらえながら挨拶の言葉を述べていた。ところが、弟の方は表情ですら変えなかったんだから…。

 挨拶の途中で拍手が起きたことが証明するようにお兄さんの方が情緒一体感を大事にする、日本人受けする。そして、女性の方がこの傾向が強い。となれば、お母様の憲子さんの気持ちがお兄様に傾斜し、この傾斜がお兄さんびいきの歴史的な言動になったとしてもおかしくない。

 憲子さんが葬儀の後のインタビューで「私は二人の息子を同じように愛しています」といった趣旨のことをわざわざ発言したことは憲子さん自身がこのことを認めていることを告白したようなものかもしれない。

(高哉) お母さんの憲子さんが兄びいきになっても仕方がない。弟は母親のことを「おかみさん vs 弟子」として捉えて一線を画している。したがって、母親との個人的な接触がほとんどなかった。一方、兄の方は気持ちに素直にしたがった行動を採るので、母親との個人的な接触が多い。このように伝えられている。

(節子) そう言われればそうね。お兄様の勝さんは子供を連れて母親の所によく訪ねて来た。ところが、弟の光司さんはさっぱりだったそうよ。

(高哉) 「販売力は他の条件が同じであれば訪問回数や接触時間に比例する」という経験則があるけど、同じようなことが母親と二人の息子の間で発生し続けた。とすれば、弟は母親と兄に好感を持ちにくい。そうなれば、誰だって一触即発の状態になってしまってもおかしくない。

(節子) そうしたところに「宮沢りえとの婚約破棄事件」や「整体師洗脳事件」が起きたというわけね。薪が沢山積んである所に火種が放り込まれたようなものね。

(高哉) 「宮沢りえとの婚約破棄事件」の真相は藪の中だけど、女性としてどんな印象を持っている?

(節子) 宮沢りえのことが表面化してからのごたごたを経験して弟の貴乃花は「この世界の中に入ったら彼女は大変苦労する。自分はまだ若いので彼女をかばいきれない。だったら今のうちに…」と思ったんじゃないかしら? あくまでの直感だけど…。

(高哉) 直感の根拠は? あの時、貴乃花はマスコミから猛烈にたたかれたから真相解明に迫る必要がある。

(節子) 宮沢りえはあの事件が起きてから長いこと落ち込んでいたでしょう。貴乃花の気持ちが「愛情がなくなった」という発言の通りであると受け止めたんだったら、そんなことにはならなかったと思う。「なんだ、貴乃花はその程度の人間だったのか」となって、気持ちを切り替えることができたと思うの。

(高哉) その見解に賛成だね。宮沢りえは惚れ惚れとする女優。繊細さ・透明感・聡明さが滲み出ている。彼女だったら貴乃花の気持ちを見抜いただろうね。そして、「宮沢りえほどの女性が惚れぬいた貴乃花」という考え方が成り立つかもしれない。

(節子) そうよ。薪が沢山積んであるような心理状態に「宮沢りえとの婚約破棄事件」という火種が放り込まれたら薪は燃え上がるわよ。そうしたところに今回の騒動が加わったので、火は燎原に広がったようなもの。

 でも、悪感情は貴乃花親方だけではなく、母親もお兄様の勝さんもそうね。この二人は遺産問題でどんなことを考えているのかしら?

(高哉) お兄さんの勝氏が貴乃花親方に向かって「部屋は看板だけじゃないか」といったようなことを発言したそうだけど、この発言が事実とすれば、この発言に鍵があるんじゃないかなぁ。

 父親が遺した部屋の運営に関わる財産を弟に託したままである + 部屋の経営が成り立たなくなる ⇒ 父親が遺した部屋の運営に関わる財産が消滅してしまう──、という図式になることを恐れているのかもしれない。

 貴乃花親方もこのことに気づいているかもしれない。そして、お母さんも同様なことを考えていると思っているのかもしれない。

(節子) もしそうであるとすれば、葬儀の後の憲子さんの「貴乃花は社会勉強が足りない」という発言、憲子さんと二子山親方の内縁の妻とされている女性との抱擁や密談風景に過剰反応していることに納得がいく。

 話は元に戻るんだけど、貴乃花親方はお兄様の勝さんのようにもうちょっと妥協的な生き方はできなかったのかしら? そうすれば、もっと人間関係がよくなったと思うだけど…。

(高哉) それは無理じゃないかな。彼は意識していたか無意識だったかは別として「妥協的である ⇒ 決意が弱くなる ⇒ 挑戦力が弱くなる」という図式に嵌ることを避けたんだと思う。大事を成し遂げる人物によく見られることなんだ。


今のままでは兄にやや有利に事が進みそうなのはなぜなのか?

(節子) 若貴兄弟の確執の核心は遺産問題にあることが明白になったわけだけど、お兄様の思惑通りに事が進むかもしれない。

 どうしてかと言うと、法律の専門家が「二子山親方株は兄弟間で平等に分割されるべきである」「二子山親方の遺志があれば、その遺志にしたがわなければならない。その遺志は正式の書類でなくても事実関係があればそれでよい」と発言しているのよ。

そして、二子山親方は貴乃花親方ではなくお兄様の勝さんに相談して決定している。しかも、お兄様の勝さんが喪主を勤めた。この二つの事実は貴乃花親方に不利に結びつくんじゃないかしら?

(高哉) 過去のものは新しいものに上書きされるのが遺言書。したがって、二子山親方の遺志を表面的、かつ最新のものに限定すると、貴乃花親方の方が不利かもしれない。しかしながら、歴史的な事実だけで言えば、貴乃花親方の方がはるかに有利。

 お兄さんの勝氏は部屋の継承を放棄。弟が父親の後を継いでいる。しかも、お父さんは弟が引退した時、「これからは孫と楽しい生活を送ることができる。それに、景子さんもいる」といったようなことを発言したという厳然たる事実がある。

 したがって、二子山親方がガンになって入院した後の親子の仲違いをどう解釈するかがポイントになるんじゃないかなぁ。

(節子) だとすると、父親の感情を結果として逆なでしたとされる貴乃花親方の一連の言動をどう解釈するかが大事になってくる。しかしながら、この解釈のための確たる証拠はない。となると、貴乃花親方の人間像を浮き彫りにするこれまでの実績がものを言うんじゃないかしら?

(高哉) お兄さんの勝氏は著書の中で次のような表現で弟の人間性を説明しているそうだ。事実とすれば、貴乃花親方は相撲一筋の人間。

 「今あるのは相撲のお陰である。だからもっともっと相撲が強くならなければならない」「家庭と相撲のどちらを取るかと言われたら、相撲を取る」「家庭を持っても自分の居場所がないと言っている」

 しかも、彼は改革しなければならない大相撲の世界の中で偉大な父親の後継者となった。したがって、アレキサンダー大王の父親に対する態度を採らざるを得ない宿命を背負うことになった。

 このような親子関係であっても父親が健康な状態であれば、問題は生じなかった。ところが、ガンになってしまった。末期ガン患者は物凄く孤独で気が弱くなっている。貴乃花親方との関係は一触即発の状態に置かれてしまった。そして、「一触」があり、二子山親方の部屋や財産の継承権の見直し発言が生まれたとされている。

(節子) 二子山親方の部屋や財産の継承権の見直し発言だけを捉えたら、貴乃花親方は断然不利ね。でも、背景を考えたらそうはならないんじゃないかしら? 但し、貴乃花親方が自分のことしか考えない人物であれば、二子山親方が異常な心理状態に置かれた時の発言であるにしても、貴乃花親方は「不利」に少し傾いてしまう。

(高哉) 貴乃花親方が自分のことしか考えない人物であれば、喪主の座を死守したんじゃないかな。さっき言ったように誠実な人間であるから喪主の座をお兄さんの勝氏に譲ったと考えるのが妥当だと思う。

(節子) でも、みのもんたがテレビ番組の中で「こんなにもめるような遺産金額ではない。中野新橋を出て部屋を新しく建設したらどうですか? 貴乃花親方だったら応援する人が大勢出てきますよ」といった趣旨のことを発言していた。これって問題の核心をかなり突いているんじゃないかしら?

(高哉) 貴乃花親方がなぜ父親の跡を継いだのか? なぜ独立しなかったのか? 父親の跡を継ぐことによって何を失ったのか? ── こういったことを詰める必要がある。

 お兄さんの勝氏が相続を放棄したために準備中のことを止めざるを得なかった。旧藤島部屋と看板換えした二子山部屋から巣立った親方衆の「心の故郷」を消滅させるようなことはできない。ゼロからスタートするよりも有利である。この三つが結論じゃないかな。

(節子) ゼロからスタートするよりも有利である。これだけが問題ね。これをどう解釈したらよいのかしら?

(高哉) ゼロからスタートして国技・大相撲を改革できるかどうかがポイントだと思う。昔ならともかく今はゼロからスタートして国技・大相撲を改革することは難しいんじゃないかな。

 大相撲並びに日本経済は衰退傾向にあるので、収入面でも支援者集めの面でも非常に厳しいことを考えなければならない。

(節子) こういう時代だって躍進を続けている企業だってあるんだから、大相撲を突出させて繁栄させることはできないのかしら?

(高哉) 体力に恵まれ、しかもやる気十分な人材がどんどん入門して稽古に稽古を重ね、感動させるような相撲を見せるようになる。こういうことが実現できれば、今の話は夢ではなくなる。ところが、そうはなりにくいのが現実。

 貴乃花親方が言うように連日交通事故に逢うような稽古をしなければならない。にもかかわらず、プロ野球やプロサッカーに比べると収入ががくんと落ちる。こういう深刻な実態がある。

(節子) 国技・大相撲を存続させるためには大改革が必要ね。大改革をしないと、大相撲は自然消滅してしまうわね。

(高哉) 大改革の成果が上がるには時間がかかる。それまでの力士達の動機付け並びに有望な人材の入門誘導を適切に行わなければならない。

(節子) となると、「相撲取りとして出世する ⇒ 親方株を入手できる ⇒ 力士を辞めた後の物心両面の保証が得られる」という図式が大事になる。だから、貴乃花親方は二子山親方株等の名跡の所有にこだわるのね。よく分かったわ。

 精神が荒廃しつつある日本の社会にあって大相撲の果たす役割は大きい。それだけに、貴乃花親方が若貴の間で行われた優勝決定戦において手心を加えて敗れたことを示唆するような発言をしたと言われているけど、これが事実だとすれば残念ね。

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