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(節子) 格差拡大の背景には、「グローバリゼーションが進展した ⇒ 日本モデルが崩壊した ⇒ お互いに支えあって生きることを可能にしてきた共同体が崩壊した」という図式がある。この説明を聞いた時は「なるほど」と思った。でも、よくよく考えると納得できないことがある。終身雇用や系列取引といった長期コミットメント体制が人間の環境適応力をどうして奪い取ってしまうのかしら? 終身雇用や系列取引といった長期コミットメント体制があっても、厳しい競争を生き抜くためには環境変化へ適応行動が必要よ。 (高哉) 競争が厳しいといっても規格型工業製品の大量生産・大量販売が可能であった。したがって、模倣力や小さな改良・改善で事足りた。いいかえれば、融通無碍が通用していたので日本的集団主義にどっぷり浸かって生きていくことができた。 (節子) 個が確立されていなかったので、本当の意味での環境変化適応力は養われていなかった。そういう状態のままで日本モデルが崩壊してしまい、次の図式が実現してしまったのね。 (ストレスや不確実性に見舞われ、性格に振り回される度合いが一段と酷くなった ⇒ 現実直視力が一段と弱くなった) + (難問解決の経験がないに等しい ⇒ 海馬が鍛えられておらず、また、頭脳のシソーラス機能も未発達である) + 先行きが不透明さを増してきた ⇒ 臨機応変力のなさがクローズアップしてきた。 (高哉) その通りだよ。霞ヶ関の官僚が国民を無数の樽の中に詰め込み、この樽を転がすが如くに国を運営してきた。ところが、環境が様変わりしたために官僚の無能さが露呈されて、国家運営システムがぎぐしゃくしてきたことの付けが回ったんだ。 (節子) ということは民間企業の経営者も本当の環境適応力がない場合が多いということかしら? (高哉) ピンポン、大当たりです。ワーキング・プアーが輩出されるに至っている背景には、次の図式があることも否定できないんだ。 経営者の構想力・独創力が大幅に不足している ⇒ 必要不可欠な新産業創出が思うように進まない ⇒ やむなくコストダウンに活路を見出している ⇒ 人件費の安い開発途上国に仕事が流出している ⇒ 国内における平凡な能力の持ち主の労働条件が悪化している。 だから、僕は「個人のパワーアップのみならず社長力の抜本的強化があって初めて安倍政権の成長戦略が実を結ぶ」ということを主張し続けてきたんだ。大変化に無策であったことが悲劇に発展した日本の製造業にあるようなことを繰り返してはならないことを口をすっぱくして言いたい。 (節子) 個人のパワーアップ、社長力の抜本的強化のいずれも民間の努力に待つしかないわね。こういうことで政府がやれることってないかしら? (高哉) 地方経済再生プロジェクトを目線に置いて地方自治体で新しいタイプの首長が選出されやすいようにする。そのために、民主党の河村たかし衆議院議員の提案を受け入れる。こういうことだったら政府の出番だよ。
(節子) 霞ヶ関の官僚が国民を無数の樽の中に詰め込み、この樽を転がすが如くに国を運営してきた。したがって、国民は先行き不透明時代に必要不可欠な臨機応変力を養いようがなかった。この理屈はよく分かる。でも、そういう運命に晒されることなく躍進している企業や個人もいる。このことをどう理解したらいいのかしら? (高哉) グローバリゼーションを神風にしている企業の実態を図式にして示すと、次の通りになると思う。 グローバルな事業展開ができるようになった ⇒ ヒト・モノ・カネの経営資源を世界中から適宜集めることが可能になった ⇒ ブランド力とグローバル・ネットワーク力を持った企業であればあるほどヒト・モノ・カネの経営資源を有利に集めることができるようになった。 企業間の格差が拡大した背景には、ブランド力とグローバル・ネットワーク力の差があるというわけさ。ということは、中小・零細企業が強力な助っ人の助力の下に力を併せてブランド力とグローバル・ネットワーク力を持つようにするいう道があるというわけだ。 (節子) 市場性のある個性的才能があれば、パソコンひとつで世界を叉にかけた仕事ができるなんてことがよく言われるけど、個人の場合はどのように考えればいいのかしら? (高哉) 個人がグローバリゼーションを神風にしている実態を図式にして示すと、次の通りになる。 (グローバルな事業展開ができるようになった ⇒ 個人の才能がスケール・メリットを発揮しやすくなった) + (右肩上がりの成長が困難になった ⇒ 企業の業績は経営者やタレントの才能によって大きく左右されるようになった) ⇒ 有能な経営者のタレントの所得のみが拡大するようになった。 (節子) ということは低迷している個人が躍進するためには、先を見越した脳力・能力を先行投資的に取得する。そのためには、融通無碍の生活習慣から一日も早く脱出して異変待ち受け (事を有利に運ぶための準備)による才能を開発しなければならない。でも、言うは易し、行なうは難しかもしれない。どうしたらいいのかしら? (高哉) 社会的な雰囲気というか風というかそんなものができるまでは動こうとしない習慣が根づいている。ストレスがたまっていることが強迫観念を増している。この二つがあいまって一段と性格に振り回されるように現実直視力を失っていることに気づくことが先決だよ。そうなって初めて「チャンスが沢山あるのに気がつかなかった」とつくづく思うようになり、次の図式の実現が可能になるからね。 融通無碍の生活習慣から一日も早く脱出したいと思う ⇒ 市場性のある個性的な脳力・能力がないことに気づく ⇒ 先を見越した脳力・能力を先行投資的に取得したいと思うようになる ⇒ 達人の力を借りて異変待ち受け (事を有利に運ぶための準備)による才能開発をしなければならないと決心する。 何事も心の奥底から必要性を感じて初めて習慣から脱却して新しい行動を採ることが出るようになるものだよ。
(節子) 才能開発に成功した。しかし、地域社会で仕事を見つけるのは難しい。仕事を見つけやすい遠隔地への引越しも両親のこと等を考えると難しい。こういう場合はどうしたらいいのかしら? 盛んに言われている「小泉改革は地方を衰退させてしまった。政府は本腰を入れて地方の再生を行わなければならない」をここでも取り上げたいのよ。 (高哉) 地方が急速に衰退してしまったのは次の図式のなせる業であることを認識しなければならない。 (公共事業・補助金にずーっと依存していた ⇒ 地域社会の自立と自律力が養われなかった) + (財政再建のために公共事業・補助金が大幅に削減された ⇒ 地域社会の自立と自律が必要になった) ⇒ 地域社会の自立と自律力のなさが大きくクローズアップすることとなった。 このように言うと、「自立と自律力がありさえすれば、地域社会は雇用をどんどん創り出せるのかしら? そうは行かないんじゃないかしら?」という反論が出てくるかもしれない。もしそうであるとすれば、その考え方は間違っている。というのは次の図式が実現しやすくなっているのが今の世の中だからだ。 過去の延長線上には未来がない。一方において先行きがどんどん不透明になっていく時代になった ⇒ 過去の延長線上を歩いているとピンチに巻き込まれたり、チャンスを掴むことができなくなった) ⇒ 二極分化現象( “ゆで蛙現象”に陥ってしまう/弱者であっても躍進できる)が生じやすくなった。 有能なリーダーがいるかどうかが地方再生の鍵なんだ。だからこそ、僕は10年以上前から著書『脱集団主義の時代』やこのホームペーにある『地方経済再生プロジェクト』で構想力核の結集と拡散を提唱してきたんだ。
(節子) ある意味で自分で探し出した餌を食べて生きている野良猫にも劣ることになってしまったのはどうしてなのかしら? (高哉) 大きく分けて二つの原因がある。集団主義の中で生きてきたので突出した行動を採りにくい。これがひとつ。ネットワーク型ではなく蛸壺型の社会構造の中で生きてきたので、突出した行動を採ろうとしても行動範囲が限られる。これがもうひつ。となると、次の悪循環的な図式に嵌りこんでしまうしかない。 漂うように生きるしかなくなる(融通無碍に生きるしかなくなる) ⇒ 性格に振り回されるしかなくなる ⇒ 現実直視力を失う ⇒ ますます漂うように生きるしかなくなる(ますます融通無碍に生きるしかなくなる) ⇒ ますます現実直視力を失う ⇒・・・・・。 (節子) 多くの人に「現実直視力を失うと大変なことになる」と思って貰えるなうな説明をしてくれないかしら? そうでないと、ほとんどの人は「ああそうですか」ということだけで終わってしまうのよ。 (高哉) ひとつだけ例を紹介しよう。自動車の整備工場は過去の延長線上を歩む限りは商売が成り立たなくなりつつある。この背景には、次の図式がある。 自動車のIT化が進んだ ⇒ 自動車の総合自動診断で不具合の部品を検知するようになった ⇒ 検知された部品をさっと交換するようになった ⇒ 従来型の自動車整備工場は魅力が低下した ⇒ 自動車の部品総合メーカーが自動車の修理工場経営に乗り出すことが可能になってきた。 このようなことは他の業界でも頻繁に発生するようになってきた。にもかかわらず、技術予測に無関心な企業が少なくない。技術革新は既存企業の存立基盤を根底から揺さぶることになる場合が多いことがまったく認識されていないんだ。 (節子) リスクマネジメントは習慣的に行うようにしなければならない。そのためには、次の図式を実現させましょう!というわけね。 自分の性格と由来を認識する ⇒ 性格に振り回されそうになるとそのことに気がつく ⇒ 「良くなりたい」「挫折したくない」という本能が作動する ⇒ 性格に振り回されることに抵抗する。いいかえれば、現実を直視するようになる ⇒ 技術予測等の環境動向の把握が円滑に行われるようになる。 この説明は企業の幹部には説得力がある。しかし、競争や利益概念が持ちにくい普通の人には説得力が不足している。というのは、さっきの悪循環に陥っている人々にいきなり、自己責任の原理を押しつけるのは無理があるからよ。どうしたらいいかしら? (高哉) 先行きがどんどん不透明になると誇っていた能力が急速に陳腐化に向かうようなことが頻繁に生じるようになる。したがって、学歴や実績よりも学問力の方が大事になった。このことをとを頭に叩き込む。その上で、 自立と自律力のある人がそうではない人に何かあったら相談に乗り、この相談を通じて自立と自律力を少しづつつけていくやり方が必要だと思う。だから、僕は人生・仕事の指南役 (悩み解決者) を第二のホームドクターにしよう!を提唱しているんだけどね。その上に、ケインジアン・マネタリアンを糾合できる斬新な経済政策を推進しよう!で提唱したような斬新な政策があれば申し分ない。
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