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日本の新しい進路を提言する
─ その場しのぎとの決別の勧め ─

第2部 日本再生の鍵は国民パワーのフル回転である

日本再生の近道は社長力抜本的強化である

2007.6.24

斬新な着眼の持ち主登用は待ったなしである

(節子) 前回のアメリカのSouth West Airlineと日本のスカイネットアジア航空・スターフライヤーの比較はショックだった。アメリカの方は現実を直視してわくわくするような大きな隙間市場を創造している。その背景に知的アクロバットのような戦略発想がある。一方の日本は正反対。貧困な発想をして見向きされないから隙間になっているような市場を創造しようとしている。ところが、スターフライヤーの株主を調べたら凄いじゃないの。

 東陶機器株式会社、株式会社安川電機、北九州エアターミナル株式会社、九州電力株式会社、日産自動車株式会社、新日本製鐵株式会社、西日本鉄道株式会社、第一交通産業株式会社、大和証券株式会社、エヌ・アイ・エフSMBCベンチャーズ株式会社、大和証券SMBCプリンシパルインベストメンツ株式会社、ITX株式会社、SBIブロードバンドキャピタル株式会社、株式会社ドリームインキュベータ、りそなキャピタル株式会社…。

 有名なコンサルタントが経営している企業育成機関も関与している。それでいながらどうしてアメリカに較べて恥ずかしくなるような発想をするのかしら?

(高哉) 規格型製品の大量生産・大量販売にとって好都合きわまりなかった次の図式が実現し、その影響が色濃く残っているからだと思う。

 (日本的集団主義にどっぷり浸かっている ⇒ 「融通無碍が一番」という価値観が根づいている) + (模倣や「カイゼン」で事足りる時代が長く続いた ⇒ 経済合理性に反する枠外思考を抑制するために減点主義が社会全体に根づいた) ⇒ メリハリのある思考力は鍛えられようがなかった ⇒ 知的アクロバットは夢のまた夢の世界のことになった。

 この図式で気づいたと思うけど、権力多重構造化が志向されるにあるようなことも影響している。したがって、日本人の伝統的な思考様式は遺伝子のようにがっちり根づいていると考えなければならない。だからといって、卑下する必要はまったくない。どうしてかと言うと、次の図式の素晴らしい財産があるからだ。

 枠外思考が許されなかった + 過当競争社会であった + 「カイゼン」運動が根づいた ⇒ もっともっと…という体質がしっかり根づいている。

狭い分野の専門家にいきなり飛びつくことを避けよう!
(節子) 「日本人は保守的」「閉塞感に悩まされている日本人が多い」ということが盛んに言われているけど、進むべき方向を見失っている状態になっているからなのね。適切な行動目標さえ与えられれば、個人、ひいては企業は大躍進する可能性を秘めているわけね。貴方がよく言う「今必要なのは総合的創造的脳力の持ち主です」の意味がよく分った。

(高哉) その通りなんだよ。適切な方向でもっともっと…という意欲を持つ人を全面的に生かすことを可能にする新創業の心に満ちたグランドデザインが今一番必要なんだ。今こそ、経験主義の限界をきちっと認識しなければならない。繰り返しになるけど、特定分野にどっぷり浸かれば浸かるほど“知りすぎのリスク”(固定観念ができあがることの罠)と“知らなすぎのリスク”(人脈や情報ゾーンが偏ることの罠)が発生しがちだからね。


(節子)
ちょっと脇道にそれるかもしれないけど、有能な弁護士が諦めた事件を偉大な素人ぶりを発揮して勝訴の突破口を発見した『ブロコビッチ』という映画を思い出すわね。それから、某所のビル・オーナーとの電話のやり取りを思い出しちゃった。次のような会話がかわされたんだったわよね。

相手 ビルを経営しています。苦しい資金繰りから逃れるためにビルの売却を考えましたが、それでは借金が返せないので、困っているのです。なんとかなりませんか?

高哉 どうしてそんなことになってしまったのですか? 家賃収入はどうなっているのですか?

相手 空き室が多いし、家賃を滞納する店子もいるので、金利支払いプラス借金返済とまでいかないのです。

高哉 どうしてもっと早く対策を立てなかったのですか? そんなになるまで放置するなんて信じられないのですが…。

相手 放置していたわけではありません。弁護士に直ぐ相談したのです。そして、訴訟手続きをすることになったのです。ところが、この裁判が長引いて決着がつかず今日に至っているのです。

高哉 ビルも商品です。したがって、立地とか、立地に相応くない店子とか等の商品と売り方に問題がある。。にもかかわらず、そのことにメスを入れないでいきなり弁護士に相談することがそもそも間違いですよ。最初に相談する相手の間違いが問題を深刻にしてしまったのです。

相手 インターネットで検索するまでまさか先生のような人がいるなんて思いもつかなかったのです。「問題が起きたら弁護士」というのは浅はかでした。

(高哉) 似たようなことは大企業の世界でもあるよ。物流システムを再構築するためにその筋のコンサルタント会社に頼んだ。その結果、自動倉庫の建設をも含む精緻な新システムが提案された。

 投資の決済を取ろうとしたところ、物流は専門企業に外注することになってしまった。したがって、コンサルタント会社と一緒に費やした人件費と莫大なコンサルタント費用をどぶに捨てることになってしまった。こういうことって少なくない。

 世の中が複雑になったので、全体知に基づく鋭い勘が必要になった。ところが、老害発生の仕組みに陥ってしまっている日本人が殆ど。したがって、このことを念頭に置くことなく専門家に飛びつくことは危険極まりないことを肝に銘じなければならない。(関連記事 ⇒ 『世界的権威であっても「組織の力学」に嵌ると道を誤るいわゆる専門家を含む権威筋は様変わりした環境に適応できていない』)

(節子) 貴方がよく言う「思考の三原則」(全体を見る/長い眼で見る/根本的に考える)の適用が適切な行動目標設定において必要不可欠な条件だということね。

 帝政ロシアの崩壊は創造に必要な権威の失墜に結びつき、科学や芸術が花開いたと言うじゃない。日本も似たようなことになる可能性があるかもしれないと思うの。だって、長年続いた日本モデルが賞味期限が切れたということは権威の失墜と同じはずでしょ?

 花開くだけの材料が日本にあるかどうかだけど、貴方はあらゆる技術要素が揃っている国は日本をおいて他にないってよく言っているじゃない。これが花開く材料になると思うの。後は揃っているあらゆる技術要素の臨機応変の組み合わせ力だけ。貴方が創ったフロー図「解決すべき問題を糧に用いてきた日本経済」のことを考えると、これも大丈夫のような気がするの。こんな考えでいいのかしら?

(高哉) 貴女の言っていることは「世界一のプロジェクト・チームをその気になれば結成できる」という比喩に置き換えることができる。残された問題は結成されるプロジェクト・チーム全員がその気になるかどうかだと思う。さっき言った「もっともっと…という体質がしっかり根づいている」は潜在しているに過ぎないんだ。

 こんなことを言うのは「超高速道路ががらがらに空いている状態にあるように世の中が複雑になっているので「全体を掴むことを諦めている ⇒ 知識人が世の中をリードできない」「自我が弱体化してしまったので過剰同調せざるを得なくなっている ⇒ 大衆はエネルギーを失っている」といったような状態に陥ってしまっているからなんだ。

(節子) でも、大丈夫じゃないかしら。貴方は「決断力を司っている感情に火を点ければいいんだ」といつも言っているじゃないの。

(高哉) そうなんだ。感情機能を司っている脳部分が切除されると、細部に延々とこだわっているばかりで決して行動しない。これは感情が決断力を司っていることを何よりも物語っている。── こういう脳科学の先端的知見が最近得られた。

 したがって、感性・勇気・智恵が身につく形で個人のパワーアップ実現に結びつくワタナベ式問題解決へのアプローチに揺るぎない自信を持つようになっているんだ。

(節子)
今の説明を聞いても全面的に納得するわけにはいかない。日本の社会には「与えられた役割をしっかり遂行していさえすればよい」と思っている人の方が多いのよ。いいかえれば、環境変化に適応することの必要性を認識している人は殆どいないのよ。

 こういう人達に向かって、ワタナベ式問題解決へのアプローチの効用を説明しても心に響かないと思うの。だからといって日本モデルの賞味期限が切れたからはにはこの状態を放置するわけにはいかない。どうしたらいいのかしら?


(高哉)
下請け体質が染み付いてしまったのは強いられてきた環境の所為である。自分にも主体的に行動して成功した実績がある。市場性のある個性的才能が潜在している。──、この三つに気付くように人生史を分析することだよ。そうすれば、『心がスイッチ・オンとなったが故に努力継続力入手…となった具体例』のようなことが可能になる。この延長線上に若々しい脳力復活 (若返り) の支援』があると思って欲しい。


悩み事の裏に磨くに値する才能が潜んでいます

日本経済はエアーポケットの中をもがくのみとなっている(日本経済の深層)


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