第3-1部 |
個性的才能を引き出す性格診断はどんな効果を生み出すのか?(T) ― 人生再構築プロジェクトの提起 ― |
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悩みを寄せつけず、個性的才能を引き出すための処方箋を創る |
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プロフェッショナルになるかワーキング・プアーになるかしかなくなる |
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ライバルに対して優位性を永遠に保つことを可能にする秘策がある |
(節子) プロフェッショナルになることは個人が生き抜き、かつ楽しい人生に結びつくことがよく分かった。楽しい人生を送ることが大事。このように考える私としてはできるだけ多くの人にプロフェッショナルになってもらいたい気持ちが更に高まった。これで、プロフェッショナルになることが日本の再生に確実に結びつくのであれば、万々歳となるわね。そこで、果たしてそうなのかをきちっと確認したい。
(高哉) 大分前の議論の中で「保守主義にしがみついていられるのも今のうちだけだよ」と根拠を示して厳しく言った。この発言通りのことになると、次の図式が実現に向かう。
既存分野における大型合併が企業生き抜き策として更に進展する + IT革命が進展する ⇒ 労働生産性が飛躍的に向上する ⇒ 大量の余剰人員が発生する ⇒ 厳しいコスト競争の下では企業はこの余剰人員を抱え込みにくい。
(節子) その上、開発途上国からやってくる低賃金労働者。余剰人員を国内に生み出すことに結びつく企業の海外進出がある。企業の海外進出は見直しがなされているとは言え、なくなるはずがない。むしろ、今回の経済危機を契機に増える傾向を見せている。したがって、国民の挑戦精神を高揚させるためにもセーフティネットの必要性は高まることはあっても低くなることはない。しかし、これが手厚くなりすぎると、人間の怠け心が鎌首をもたげてしまう。
そうなると、先進国中一番低い労働生産性がますます悪化して、 日本経済の再生は夢物語となってしまう。(参考資料 ⇒ 『サラ金経済化している日本の実態』) どうすればいいのかしら?
(高哉) 大量の余剰人員が発生しないようにするためには、隙間市場を狙い続けて先行逃げ切り型企業を目指すなり、新規事業を開発するなりすればいいわけだけど、そう簡単にはいかない。働く人の質的問題があるから。ここに、デンマーク方式の社会制度の必要性がある気がする。
失業者はjob-counselorと定期的に会い、個性的な職業訓練を受けている等の個性的な対策が講じられていることもあって失業前所得の95%が保障されている。にもかかわらず、勤労意欲が低下しないだそうだ。
(節子) 個性的才能を引き出す性格診断を受ける ⇒ 適切な方向で“好きこそものの上手なれ”の世界に入る ⇒ 労働から喜働に転換する ⇒ 働く人は「失業保険がどんなに手厚くても失業するようなことは絶対に避けたい」と思うようになる──、という図式を売り込みたいんでしょうけど、この図式をハローワークに期待するには無理がある。というのは、とてつもない高度の専門的能力が必要になるから。
私達が個性的才能を引き出せるように性格診断をするだけではなく、人生再構築プロジェクトの「STAGE 3:個性的才能を生かせる大きな隙間(活躍の場)を発見する」と「STAGE 4:逆転勝利を可能にする職業計画を立てる」といったようなことができる背景には、三つの特殊事情がある。
(高哉) そんなことは言われなくても分かっているよ。僕が言いたいのは次の図式のことなんだ。
(共同体が崩壊に向かっている ⇒ 企業人は滅私奉公しなくなってきている) + (グローバリゼーションは好むと好まざるとにかかわらず進展する ⇒ 企業は前々回の議論の中で示唆したように資本の論理をより追求せざるを得なくなる)
⇒ 日本モデルは崩壊し、企業人の適者生存が進む ⇒ 企業人生き抜きのための重要要件として人生再構築プロジェクトが大きく浮上する ⇒ アメリカを見習い中国も目指しているownership societyの実現が容易になる ⇒ 財政再建と経済成長の実現が容易になる。
(節子) ownership societyは自己責任の社会といいかえることできる。これって難しいんじゃないかしら? 「自己責任を持とう!」と思うようになるためには日本はもっと公正な社会になる必要がある。ホリエモン裁判で匂っている法の下での不平等、贈収賄の蔓延…といったようなことを放置したままではownership societyの実現は困難だと思うの。この点についての貴方の考えを聞かせて欲しい。
(高哉) 直接答える前に逆に聞きたいことがある。躍進目覚ましい中国経済のアキレス腱はなんだと思う?
(節子) 北京オリンピック、国際見本市が相次いで終わった。そして、世界金融機の到来。こういうことで起きたバブル経済の崩壊を生み出すことに結びついた経済体質のことかしら?
(高哉) 「中国人は仲間内としか取引しない ⇒ 独占的市場しか経験しない ⇒ ひとつのことを掘り下げるのが苦手である ⇒ ハイエンド化が可能な分野の国際競争力が弱い」という図式になる傾向が強いことを指しているんであれば、その通りだ。
(節子) そこまでは深く考えなかった。言われてみて、「なるほど、そういうことか」と得心した。そして、「個性的才能を引き出す性格診断を受ける ⇒ 適切な方向で“好きこそものの上手なれ”の世界に入って挑戦し続ける
⇒ 永遠のハイエンド化が可能になる」という図式の意義があるということを再認識した。でも、このことが日本におけるownership societyの実現とどう関係するのかしら?
(高哉) 贈収賄が蔓延するに至っている仕組みが分かれば、「大いに関係している」と思うようになるよ。この仕組みは次の図式になっているんだ。
日本的集団主義の影響を強く受けている ⇒ (蛸壷型社会から容易には抜け出せない ⇒ 水平的民主々義が根づきにくい) + (個が埋没する ⇒ 特徴を出しにくい)
⇒ 贈収賄がビジネスを有利に進めるための有効手段になる。
(節子) 「個性的才能を引き出す性格診断」を受けることは次の図式を実現しやすくなる。こういうことになるのかしら?
日本的集団主義の影響の排除に役立つ特徴を出すことも容易にする ⇒ ownership societyの実現が促進される ⇒ 国民の発言力が抜本的に強化される ⇒ 法の下での不平等精神さの排除が進む。
「個性的才能を引き出す性格診断」は日本の救世主になるというわけね。でも、永遠のハイエンド化は言葉に出すことは簡単だけど、本当に実現できるのかしら?
企業人が成熟時代・地球経済時代を生き抜くための秘訣 |
(高哉) 分りやすい例で説明しよう。団体の海外旅行につきものの添乗員だけど、顧客を惹きつける要因はそんなに複雑ではない。したがって、添乗員間の技術格差は修練次第ではゼロに収斂する。したがって、人気添乗員の優位性を永遠に保つことはできにくい。この説明を聞いて、「やっぱりそうでしょ」となると思う。ところが、添乗員がツアーの企画を自ら立案するようになると、話は変わってくる。というのは、次の図式の実現が可能になるからだ。
ツアーの企画を臨機応変に立案する ⇒ 添乗員が提供するサービスのあり方はツアー毎に変わる ⇒ 添乗員は自分がツアーの企画者である立場を利用してサービスの準備を密かにできる
⇒ 行動がパターン化することが生み出す閉塞状態に陥りにくくなる ⇒ この添乗員は独占市場を常に維持できやすくなる。
(節子) 凄い。拍手喝采。ここに、プロフェショナルのタイプ1の意義があるわけね。この条件が充足できれば、ホワイトカラーの仕事がどんどん外注されるようなっても怖くないかもしれない。給与の支払いや研修だけではなく人事考課まで外注の対象になりそうな人事部門を例に採った説明をしてもらえないかしら?「怖くないかもしれない」ではなく、「まったく怖くない」と断言できるようになりたいの。
(高哉) 次の図式の下で外注先を使いこなすことができれば、本社に残った人事担当者のノウハウは永遠にハイエンド化できるんじゃないかな。
企業を構成する人材の入れ替えが進む + 労働生産性を上げるために性格に応じた動機づけのノウハウを持っている ⇒ 企業を構成する人材別の動機づけを臨機応変に行う計画を立てる ⇒ 人事考課・研修などの人事業務の外注先に適切な指示をする ⇒ 行動がパターン化することが生み出す閉塞状態に陥りにくくなる ⇒ 人事に関するノウハウが進化し続ける。
(企業を構成する人材の入れ替えが進むことが必至である理由&陳腐化した枠内思考からの脱却に役立つヒント集 ⇒ 『成長の限界打破に成功してきた歴史と展望』 / 性格無知が生み出す動機づけの失敗例 ⇒ 『孤独の賭けから学ぶ』 /mentalacrobat ) |
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