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【斬新な着眼】様変わりした環境が“逆風”、“神風”のいずれであるか…は斬新な着眼の有無次第である──、東北新幹線「はやて」のずさんな事業計画等から考える〈2003/4/11〉 私の母は実家のある沼津から末弟がいる那須に引っ越しました。彼女は知的好奇心旺盛ですが、92歳という高齢から来る難聴のために補聴器を使っても電話での会話ができません。そこで、彼女が人生の最終章を生き生きと生活することを願って、彼女にメールを送り続けています。このメールの中から日本再生に役立つものをピックアップ・編集をして発表することになりました。この試みの一環となるのが以下の文章です。
3日前 (2002年12月2日) に盛岡止まりだった東北新幹線が八戸まで延長されたのを知っているでしょう? 電車の名前は「はやて」です。「東京〜八戸間最短で2時間56分」…ということが宣伝されています。このことは喜ばしいことでしょうか?
「八戸ならでは」…という特徴を急いで創りださないと、「はやて」は逆効果になりかねないのです。「東京の世界都市機能の集積+新幹線や飛行機の利便性向上⇒大阪の本社の東京への移転」…ということで大阪がすっかり地盤沈下してしまったこと、本四架橋で岡山は飛躍したが、四国の中心都市はすっかり寂れてしまったことの教訓を忘れてはならないのです。 「八戸に来たら泊まっていくんじゃないかしら?」と思われるかもしれませんが、その考え方は通用しなくなってきつつあるのです。 露天風呂の温泉に浸かれる。心の琴線に触れるような、いたれりつくせりのもてなしがある。こういうことでもない限り自宅で寝るのが一番──、このような私同様の嗜好を持った人が増えてきているのです。 冷暖房はあるし、勝手気ままに行動できる、自宅と違う魅力を宿泊施設が実現させるのは容易ではないのです。
東北新幹線を八戸まで延長することに要した費用は約4740億円。3分の2を国、残りを青森、岩手の両県と沿線自治体が負担しなければならないのです。よほどの工夫がないと、事業としては失敗…ということになってしまうでしょう。
「石油価格の大幅値上がり⇒石油産出国の所得の石油産出国への巨額の移転」…となったが、石油産出国はがばっと入ったお金に見合うだけの需要を生み出せず、「世界同時不況+省エネルギー技術の開発+新しいエネルギーの開発⇒石油需要の激減⇒石油価格の大幅値下がり」…になってしまったからです。
お母さん、今月2日に開通した東北新幹線「はやて」から発展させたお話です…という表題の昨年12月5日付けメールを覚えていますか? (もしお忘れでしたら取り出して、ご再読ください。その方が以下の文章を面白く読めますから) この「はやて」の八戸までの延長は青森県の長年の夢でした。にもかかわらず、私が危惧した通りになってしまいました。 新幹線効果を狙って建設した工業団地は予定の半分しか埋まらない。新幹線の対象外地域経済が一層陥没⇒JRから引き受けた在来線の収支が一層悪化⇒運賃の大幅引き上げ&県民の税負担の増加…となり、青森県が負担した建設費用310億円が県民の肩にずっしりとのしかかるだけ…となってしまっているのです。 このようなとんちんかんな事例は他にも沢山あります。例を二つだけ挙げます。
日本の経済援助プロジェクトとして東南アジアのさるところに大型船の行き来を見込んだ港の建設が行われました。ところが、巨額の費用を投じたプロジェクトが完成してから水深が浅すぎて大型船用には使えないことがわかったのです。
海辺に大きな屋根がついているので、悪天候でも海水浴等を楽しむことができる…というこの種のリゾート施設では世界一の「シーガイヤ」が鳴り物入りで宮崎県に建設されました。
青森県の失敗並びに上記二つの事例を認識して、「だから官僚は駄目なんだ」と言われがちですが、日本の民間にも50歩100歩のところがあります。環境が様変わりしても狭い役割にしがみついている例が後を絶たないのです。例を三つだけ挙げます。
私がとあるところで講演した時のことです。新時代における人と組織の動かし方を示すために、「どういう世界経済になるか⇒だから日本経済はどうあるべきか⇒だから日本の企業はどうあるべきか」…を説明しました。
私は唖然としました。そして、私のある著作のことを思い出しました。この本の中で、日本が間違いなく陥るであろう事態を抉り出して、根本的な打開策を提起するために、世界経済、日本経済、企業経営、地方自治体のあり方、個人のあり方を私はQ&A方式で一気に論じたのです。
環境変化に合わせて事業内容を、そのために能力並びに能力の使い方を、変えていくのが経営者の仕事です。大海原の波乗りのように。ところが、吃驚するような内容のテレビ番組に接しました。
指導的立場にいる人ですら視野狭窄症に陥ってしまっている。だから、日本は悲劇的状況に陥ってしまっているのです。この体たらくの原因は何だと思いますか? 日本人を集団別に樽の中に閉じ込めて、中央官僚が数多くの樽を転がす──、こういう国家の運営方式が気が遠くなるほど長いこと採用されてきた。これが最大の原因なのです。 この国家運営方式の影響は色濃く残ったままです。したがって、国民一人一人が発想を転換して思い切った行動を採りませんと、外国にでも移住しない限り、日本人全員が不幸のどん底に落ち込んでしまいます。このプロセスは四つに大別できます。
このような国家運営方式でも中央官僚がしっかりしていれば樽の中の人々は安穏とした生活を送り続けることができます。ところが、時代が様変わりしたために、中央官僚の無能さが暴露されてしまいました。模倣や改善の源となる先達があったから中央官僚は生き生きとしていたに過ぎなかったのです。 ⇒『バブルが発生した本当の理由』&『政策が後手に廻った本当の理由』 中央官僚もどっぷりと浸かっていた“日本経済の伝統的ビジネス・モデル” (⇒『勝ち組メーカーに学ぶサービス事業戦略』) が通用しなくなり、その結果として中央官僚の無能さが暴露されたのです。したがって、中央官僚もシステムの犠牲者なのです。 話を青森県等の地方社会のことに戻します。 東京等は本社機能。地方は工場や支店機能…が日本列島内の地域別役割分担。したがって、日本経済が順調であれば、地方は東京のおこぼれを沢山貰える。だから、自動的に発展できる、という状態が長いこと続きました。 ところが、環境が様変わりしてしまいました。日本を短期間で世界第2位の経済大国にしてくれた、冷蔵庫・洗濯機・冷暖房機等の必需品が普及しきってしまった。のみならず、このような製品の生産は中国等の開発途上国の方が有利になったからです。 にもかかわらず、地方社会は発想の転換ができていないのです。だから、青森県の悲劇が生まれたのです。先日仕事で急遽訪問した地方社会も同じことです。空洞化現象がくっきり…と浮かび上がっていました。 だからといって、悲観する必要はまったくないのです。次の新創業の心 (新創業研究所の理念) を持ちさえすれば、活路あり…なのです。
過去の延長線上を突っ走ることを止め、世の中を広く、かつ未来を展望する。こうすることによって、補完のための努力が必要になる場合があるとしても、築き上げてきた能力や過去の歩みを生き生きと再活用できる「斬新な着眼」を必ずゲットできます。いいかえれば、企業・地方社会・個人等の各セクターが現在持っている経営資源(能力や特徴)はたまたま現在の事業(仕事)に使われているに過ぎないのであって、見方を変えると、成長性豊かな新規事業(仕事)に結びつく可能性があるのです。
どんな社会をデザインするかが教養教育の柱になるのだが、今の日本にはそれに当たるものがない。専門知識だけがどんどん増えて、それを束ねる基準が現れない。
地球環境の回復という不可避の事態は地域社会毎の食糧自給率アップの必要性を生み、この必要性に応えることが様々な事業を生み出すであろう──、これが斬新な着眼の例1です。
どうして地方社会と開発途上国との提携なんてことがあるの? と訝しく思われるかもしれませんが、両者には二つの共通点があるのです。
この似た者同士が斬新な着眼の例2なのです。 地方都市と開発途上国が実質的な共同市場化すれば、日本の地方社会は工業製品並びに農産物の生産における本社機能が果たせるかもしれない。すると…。このように言うと、少しは「なるほど」と思われるのではないでしょうか?
イラク戦争におけるアメリカの勝利は「石油価格の引き上げ⇒イラクの国際社会に対する義務遂行&国土再建の容易化+外貨不足で悩む石油大国・ロシアの協力引き出し+物価引き上げによる世界経済のデフレ化抑制&アメリカ等の財政再建の容易化」という政治的に許容される形でインフレが引き起こされるかもしれない──、これが斬新な着眼の例2です。
上記したようなことを実現させるのは生やさしいことではありません。様々な障害を乗り越えるための創意工夫が必要です。だからといって諦めてはなりません。 強烈極まりない執念が大事を成し遂げる具体例 ⇒『新規事業開発成功に必要な理論的条件が完備していた』 新しい時代が生み出した(生み出す)環境変化をビッグチャンスとして捉えて立ち往生状態から脱出・躍進するためには、創造的統合戦略の策定が必要不可欠である。そのためには、まず大胆な発想が必要なのです。大胆な発想が生まれさえすれば、しめたものです。詰めさえすればよいからです。
これからの地域経済振興策の策定には、世界的視野に基く独創性が欠かせないのです。したがって、『豊田市地域商業近代化ビジョンの策定』の成功を導き出した、 都市間競争のことを念頭に置いて、市内をくまなく観察しながら自由奔放な発想を随時録音する⇒発想結果を論理の連鎖にまとめ上げる(仮説の設定)⇒設定した仮説の検証・肉付けのために本格的な調査研究を行う…の作業手順を踏むだけでは能がないのです。 話を創造的統合戦略に戻します。この言葉を聞いて頭が痛くなる必要はありません。なぜなら、お母さんはお父さんと一緒になって、次のような創造的統合戦略の策定と実行に成功したことがあるからです。
その気になれば、誰だって糊口をしのぐことはできます。でも、そのことだけに気をとられていたら、子供達は高校卒が精一杯のところだったのです。お母さんは内助の功を果たして、とてつもない偉業を成し遂げたのです。 ⇒『父の特殊事情』
恐怖の幼児体験者である私は「ノーモア戦争」思想の持ち主です。したがって、世界秩序の再構築の手段は、軍事力ではなく私が開発した「人の動かし方」を応用したソフトパワーでなければならない、と考えております。 この願いも空しくイラク戦争はアメリカの圧倒的な軍事力を見せつける形で終末を迎えつつあります。注目すべきは戦争遂行の仕方ががらりと変わったことです。 この様子を日本の経済社会のこれからのあり方をクローズアップさせることができるようにやや詳しく説明します。
戦車、大砲、航空機等のスピードアップ、エレクトロニクス化等を行っていました。部分最適策を採用し続けてきたのです。
時代が様変わりした。にもかかわらず、過去から続いている諸計画をご破算にすることなくそのまま引き継ぎ、ちまちまとした工夫を凝らすのみ…の国家・地方自治体・企業はアメリカの新・軍事力の主旨の組み入れ…を急がなければならないのです。 このように言うと、「過去を否定しきってしまうのですか?」という反論が生まれがちですが、そういうことではないのです。そうです。前述した「新創業研究所の理念」に基いた新たな行動計画の策定が待ち望まれているのです。
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