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【ホームページ開設の記念論文】

内需拡大を阻む根本的原因
2011年1月8日追記 (1998年12月1日新規掲載)

→日本経済を再生させる方法

2. バブルが発生した本当の理由

 土地と株価の高騰は、企業の資金調達のコストを大幅に引き下げることに結びつき、これにわが国の横並び志向が加わって、企業の設備投資が急拡大。そして、同時に消費も急拡大した。設備投資の波及効果に、土地と株価の高騰による資産効果が加わったためです。…バブルはこのようにして発生したのです。
 
 以上の説明から明らかなように、バブル発生の引き金となったのは土地と株価の高騰。これを引き起こす直接的原因となったのが、景気回復期における金融緩和。そして、土地と株式への貸出競争。そこで、この二つがどのようにして発生したのかを説明するのが下記の図表1・2です。

図表1 景気回復期に金融緩和が行われた理由

 「わが国の政府はアメリカが強要した金利引下げに安易にそれに応じた。だから、バブル経済が発生したのだ。日本政府の弱腰振りは独立国にあるまじき態度だ」 こういうことがよくいわれています。

 ところが、事実は必ずしもそうではないのです。根本的な問題はこの金融政策発動以前のところにあるのです。なぜなら、図表1が物語るところは下記の通りだからです。

 公共事業の縮小が内需縮小に直結する経済体質を持っている。終身雇用制度がそうであるように、供給力確保優勢の企業経営の体制がとられている。したがって、内需の縮小分は輸出拡大で補わなくてはならない。ところが、多様な輸出先を持っているわけではない。極論すると、アメリカ一辺倒に近い。したがって、輸出拡大は対米輸出ラッシュとなる。

 輸出構造における対米依存からの脱却や新産業に対する投資を行いやすくするための環境整備などをした上で、公共投資の削減を行うべきだったのです。このような創造的統合戦略なくしての、公共事業の削減はいかにも日本的なパッチワーク的対策といわざるを得ません。

図表2 景気回復期における金融緩和が土地と株式への貸出競争に結びついた理由

 公共事業削減によって減少した内需を対米輸出の拡大で補うことができたので、景気は一気に回復。しかしながら、日米経済摩擦が生じてしまった。そこで、わが国の供給力を内需に振り向けるために、金融緩和が行われたのでした。

 ところが、公共事業以外の方法では内需を拡大できないために、余剰資金は土地と株式投資に向ってしまった。これを助長したのが、東京の再開発ブームと土地利用規制の緩和。このような事態を招いたのも、全体戦略不在のパッチワーク的対策のなせる技だったのです。なぜなら、次のことが指摘できるからです。

 極端ないい方をすると、余剰資金の行き場は土地や株式しかない。不動産投資を急進展させるとすれば、それは東京以外には考えられない。

 このような状態にありながら、土地利用規制の緩和をしてしまい、東京の突出した不動産開発が急進展、土地への貸出競争が一気に行われることとなり、土地価格が急騰。これに引きつられて、株式への貸出競争も行われ、株価も急騰してしまった。

 反省を二段階にわたってしなければなりません。内需拡大をしたいのであれば、余剰資金が土地や株式に集中的に廻らないような工夫を予め凝らすべきであった。これが第一段階目の反省点です。

 具体的にいえば、例えば、先ほど申し上げたような、輸出構造における対米依存からの脱却や新産業に対する投資を行いやすくするための環境整備などが挙げられます。

 この第一段階目の工夫が望むべくもないのであれば、土地利用規制の緩和を行うときには、少なくとも大阪だけでも、東京に匹敵するだけの世界都市機能が整備されていて欲しかったのです。

 関西国際空港がこの土地利用規制を行うときに、すでに存在していれば、あれほどまでに不動産開発が東京に集中することはなかったものと思われるのです。これが第二段階目の反省点です。

 この第二段階目の反省点は、時期が時期であっただけに、重大な意味を持っています。なぜなら、これまで分散されがちであった、企業の本社機能の統合ニーズが生まれた時期に、この土地利用規制の緩和が行われたからです。

 東京が突出した世界都市機能を持っている。企業の本社機能の統合ニーズが新たに生まれた。土地利用規制の緩和が行われた。そして、わが国の交通網は東京を結節点として整備されている面が強い。これだけの条件が揃えば、東京にビル建設ラッシュが起こり、全国から本社機能が東京になだれ込まない方がおかしいくらいです。

 ある商店街への交通の便が一気に良くなった上に、この商店街の商業集積が急拡大。一方において、この商店街と競合関係にある商店が現状維持。このような状態が発生しますと、商業集積の拡大をはるかに超える割合で、この商店街に顧客がなだれ込み、競合関係にある商店街は一気にさびれてしまう。

 こういうことが経験的に知られていますが、同じようなことが東京と大阪の関係でも発生したのです。大阪のみならず、日本中から本社機能が東京に集中した様は、東京が全国の本社機能をストローで吸い取るがごときでした。だから、東京の土地価格が急騰し、土地価格面だけの影響が全国に飛び火したのです。

 社会が成熟化すればするほど色々なことが複雑に絡まっています。この絡みを見抜かずして事を処理すると、第二の反省点のようなことが発生することを深刻に受け止めなければなりません。複雑な社会で成功するためには、思考の三原則(全体を見る/長い目で見る/根本的に考える)を適用しなければならないのです。

 ところで、なぜ内需を拡大しにくいのでしょうか。「輸出構造における対米依存からの脱却や新産業に対する投資を行いやすくするための環境整備などが遅れているから」と、先ほど申し上げましたが、どうやら、東京一極集中に根本的な原因がありそうです。

 このように申し上げますのは、上記した土地価格急騰の原因分析の結果があるからだけではありません。日本列島全体を眺めますと、過疎地が多く存在していることもあるからです。常識的に考えて日本列島は硬直化現象を呈しているのではないかと思われるのです。

 そこで、東京一極集中がどのような影響をわが国の消費に与えているのかを分析的してみました。その結果が下記の図表3です。


図表3 東京一極集中が消費拡大を困難にしている仕組み (内需拡大を阻む根本的原因)

 

 1998年12月1日に作成したこのチャートその後の情勢変化を組み入れることによって内需拡大策を考える際の基礎になれる筈です。この思考の端緒になれるのが2014年2月の記録的大雪が特定地域を陸の孤島にした事件です。東京を結節点とする道路網→特定道路麻痺の他への悪影響度は日本の場合は30%、諸外国の場合は10%→日本列島の硬直化→内需拡大の困難化──、という図式を忘れてはならないです。東京を結節点とする道路網にしている背景にある縦型社会構造は「社会横断的人的交流の抑制→外注の輪拡大の抑制→新成長機会創出の抑制」にも結びついています。2014年2月25日記

 日本人の貯蓄率の高いことは昔から有名でしたが、余暇時間が少ないだけが原因しているのではありません。

 良い就職先が東京に集中しているので、そこから排除されると、生活が困難になってしまう。それに、後で説明させていただくように、日本の社会システムは転職を不利にする。その上、最近は長期不況によって雇用不安が大きくなった。
 
 となると、「いざというときのために貯金をしておかなくては」という心理が働かざるを得ない。かくして、消費の拡大が困難になっているのです。


2011年1月8日追記
内需拡大を阻む根本的原因の補足説明

 東京一極集中が消費拡大を困難にしている仕組みは「高い貯蓄率」を除いて現在もぼほ続いています。「住宅取得費が高すぎる」は是正が進みましたが、まだまだです。この上に、1998年から続き、2008年秋のリーマン・ブラザーズ・ショックを契機に勃発した世界金融危機による外需大幅減少が加わり、日本経済は深刻なデフレに陥りました。欧米先進国はそれほどでもないにもかかわらずです。どうしてなのでしょうか? 次の図式に陥っているからなのです。

 (日本的集団主義に強く影響されている + 自動応答的な思考・行動に結びつく性格無知を放置している ⇒ 物事の本質を見抜くために必要不可欠な勘が養われない ⇒ 枠内思考しかできない) + (工業化が限界に達したし、世の中が複雑になった ⇒ 従来型のロジックが通用しなくなった新成長機会や活路を見いだすためには枠外思考が必要になった)

 ⇒ 枠内思考に留っているために社会全体が前に進むことができない。(関連記事 ⇒ 『個人のパワー不足は内需低迷にも結びついているデフレ経済の本当の理由複雑な問題の核心を見抜くことができない実態ビッグ・チャンスを狙う時代になったことを認識しよう!』)

 生物学モデルにしがみつくしかないためにうつ病の実態に対応できていな精神科医と似たような状態になっているのがほとんどの日本人、日本の社会なのです。

 →有名だが視野狭小の医師達に振り回された少女の悲劇現象の教訓著名エコノミスト達の誤判断「経済が成熟しているのに成長戦略は馬鹿げている」は陳腐化した枠内思考の所産だ

日本が陥ってしまっている深刻な実態

斬新な着眼なくしては活路が開拓できにくい時代になった


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