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 ファーブルの毛虫現象


【斬新な着眼】

                                                     2020.1.22

 2001年3月15日に作成した文章を様変わりした環境に合うように削除したり、追記したのが以下の文章です。しかし、「経済社会は生臭い人間の集合体なので、機械装置のように扱う政策を講じてはならない。さもなくぱ、見当違いになったり、上手くいっているように見えても将来に禍根を残す」という筆者の考え方は一貫しています。2020年1月22日記

→本質理解のなさが日本の悲劇を招いている ― 日本が“ファーブルの毛虫症候群”に陥ってしまっていることから考える〈2001/3/15〉

 公的資金が銀行に投入されたり、国家財政を無視した公共事業の拡大が行われました。にもかかわらず、日本経済は一向によくなりません。それどころか、日本経済破綻の日が刻々と近づいています。どうしてでしょうか?日本人の多くが新しい環境に適応できないからです。

◎マネジメントの鉄則を頭に叩き込もう

 脳力・能力とその使い方が環境に適応できている。これがうまくいっている状態です。能力とその使い方の両方あるいはいずれかが環境に適応できていない。これがうまくいっていない状態です。したがって、うまくいき続けたい。このように願うのであれば、置かれている環境はどのような脳力・能力とその使い方を要求しているのかを、自問自答し続けなければなりません。これは適者生存を願う者に等しく要求されることです。

 ところが、日本の最高指導層の方々はこの要求に応えられない状態に陥ってしまっているのです。(テレビを賑わしている有名人もこのような状態に陥っていることは否定のしようがありません。なぜなら、この方々は中央政府に大きな影響力を持っているからです)

 「頭脳明晰」と言われる方々がどうしてこのような状態に陥ってしまっているのでしょうか。環境がほとんど変らない。そして、うまくいっていた。この状態が余りに長いこと続いたために、感覚がすっかり麻痺してしまっているからなのでしょうか。

◎横並び社会には悲劇が待っている 2010.5.19更新

 次のファーブルの毛虫物語」 (“ファーブルの毛虫現象”) をお読みください。日本の社会が陥っている状態とそっくりなのです。

ファーブルの毛虫現象
 フランス人の科学者、ジョン・ヘンリー・ファーブルは長くまっすぐの行列を作って同じペース、同じリズムで進んでいる毛虫たちを発見。ファーブル博士はこの毛虫集団を、先頭の毛虫が最後の毛虫の後ろにくるように毛虫の行列で丸い円を描き、それらがゆっくりと止まることなく進めるようにした。その結果、これらの毛虫はとどまることなく、花瓶の淵を回り始めた。

 翌日の朝、ファーブル博士は依然として花瓶の周りを回っている毛虫たちを見て、花瓶の真中にえさを置いてみた。ところが、これは毛虫たちの動きを止めなかった。毛虫たちは花瓶の淵の行進を7日間続けた後、ついに餓えと疲労のために死んでしまった。

 上記の現象が他人事ではない…とする理由は次の通りです。二つの現象が日本の社会で少なくないことをまず確認してください。

(現象1) モノづくりの能力、サービス提供における誠心誠意ぶりは世界に誇るものがある。にもかかわらず、日本の多くの企業が業績不振に悩んでいる

(現象2) 事態を真面目に打開しようとして過当競争に陥り、疲れ果ててしまっている。その結果として、喜怒哀楽の感情が消え失せつつある。

 現象1・2のようなことがどうして発生したのでしょうか? グローバル経済になったことが競争を激化させ、激化した競争が世の中を支配するロジックの変化に結びついている。にもかかわらず、殆どの日本人が相変わらずの内向き、横並びだからなのです。 

 環境が様変わりしたにもかかわらず内向き、横並びから脱することができないのはどうしてなのでしょうか? 下記の図式が成立しているからなのです。

 人間関係をウチとソトに明確に分ける習慣が根付いている ⇒ ウチの人間としか付き合わない(例:日米のビジネス・パーソンの行動の際立った違い) ⇒ 異俗に対する免疫力が養われない ⇒ ソトの人間と付き合うと自己否定感に陥る

 ⇒ ますますウチの人間としか付き合わなくなる ⇒ 付き合う人間の同質化が進み、マンネリズムに陥る ⇒ 新しいものの見方を取り入れることが困難になる ⇒ 脳(記憶)の再編成が停滞して思考が硬直化する ⇒ エアーポケットの中でもがくだけのような状態に陥る。


 日本人に多い「安定枠組みしがみつき」は人生台無しに結びつきやくなった

 上記の図式はどのように解釈すべきでしょうか? 日本はチャンスを掴むことができない人が殆どの社会である。したがって、新しいものの見方を積極的に取り入れる人間に変身する日本人にとってビッグチャンスが到来した時代になった。このように解釈すべきでしょう。

◎ケインズ政策は通用する場合と通用しない場合がある

 日本の政府が景気回復のために採り続けてきたケインズ政策に話を戻します。公共投資を景気回復の「ポンプの呼び水」役に使うケインズ政策は何度となく日本経済を復活させました。何がその背景にあったのでしょうか。工業化の余地があった。日本経済がこのような状態に置かれていたからなのです。

 需要が加熱してインフレ経済にならないようにするために金利を引き上げる。需要が冷えすぎたら、金利を引き下げる。それでも、需要が回復しない場合は公共投資を行う。工業化が可能な限りこのような単純な経済政策が通用したのです。

 総需要管理をする。言い換えれば、日本の経済社会を機械装置のごとくに扱うことができたのはバブル経済以前までだったのです。バブル経済以前における自律反転力の源は人間や人間集団である企業ではなく、工業化の余地だったのです。(工業化の余地があれば、没個性的な横並び社会であっても経済は自律反転できたのです)

 ところが、バブル経済によって工業化が一気に限界に達してしまったために、ケインズ政策が全く通用しなくなってしまったのです。人間や人間集団である企業に自律反転力がなければ、ケインズ政策は「ポンプの呼び水」機能を発揮できないのです。

◎独創的な対策が待ち望まれている

 問題解決策を策定するためには陥ってしまった状態を抉り出すように認識しなければなりません。そこで、日本の社会が陥ってしまっている状態をかいつまんで説明することから始めさせて頂きます。

右肩上がりの成長が期待できなくなったために、長期コミットメント体制(年功序列式人事システムを支える終身雇用制度、長期安定取引を保証する系列主義)が通用しなくなった。言い換えれば、雇用不安や取引不安が生まれた。にもかかわらず、「蛸壺型社会」がそのまま残り、自由自在な就職や取引を可能にする「ネットワーク型社会」が実現されていない。
   
日本が世界に誇る「カイゼン」主義が通用しなくなった。そして、「構想力・独創力」が新たに必要になってきた。ところが、このような能力は超長期にわたって社会全体で軽視され続けてきたために、全く鍛えられていない。したがって、社会人の多くは無能感を味わっている。
   
 (日本経済の高度成長を支えてきた企業戦士はすっかりアイデンティティ・クライシスに陥ってしまい、当分リーダーシップを発揮できない。となると、「新しい酒は新しい皮袋に」ということで若者に日本経済再生のための牽引車になってもらわなくてはならない)
   
ところが、「豊かな時代しか知らないためにハングリー精神が大幅に不足している。集団主義の中で育てられたために、強烈な個人目標がないに等しい。自信をすっかり失っている親は目標になりにくい。過干渉の母親に育てられてきたために、自主性に乏しい」若者が大多数を占めている。言い換えれば、工業化の限界を打破するために必要不可欠なイノベーション力が大幅に不足している。

 
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