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日本の新しい進路を提言する
─ その場しのぎとの決別の勧め ─


第1部 小泉改革を歴史的な重みを持つ布石として捉える

2006.7.30掲載

日本再生の切り札になる米軍基地再編成に合意した

今なぜ米軍基地再編成なのか ―地球の安全保障環境が一変したからだ―

 国内の暴力は国内政治の対象。国外の暴力は国際政治の対象 ── これがこれまでの常識でした。だから、警察力と国連の維持・強化が必要だったのです。ところが、9.11同時多発テロ事件を契機にこの暴力対策のあり方が一変してしまいました。国際テロリズムがこれまでの国内外の暴力対策の効果を大きく殺ぐことになってしまったのです。一方、アメリカの軍事力は世界ダントツの存在になりました。

 グローバル化の点で世界ダントツのアメリカは上記した情勢変化に逸早く対応してきました。だから、アメリカは同国内にあるアラスカ、北アフリカ、アジアを管轄する第1軍団司令部の日本の座間への移転を日本側に打診してきたのです。2003年のことでした。アメリカの昨今の国連軽視傾向はこの脈絡の中で捉えるべきでしょう。今のままでは国連は機能しなくなってきたのです。

 そして、日本はこれを絶好のチャンスとして捉えて沖縄の軍事基地負担を減らす努力をして、海兵隊8000人並びにその家族のグアムへの移転合意にこぎつけたのです。

 このような情勢変化への対応の必要性の前兆は日本側にも既にありましたし、進行中のものもあります。「日本経済はグローバル化した ⇒ 自衛隊の守備範囲は国内に留まらない」という大義名分の下に行われた、特措法に基づく自衛隊のイラクへの派遣、共謀罪がそうです。


日本は単独では生き抜くことができない

 日本は世界の平和が保障されない限り、二つのことを考慮に入れた生き抜き策を構築しなければなりません。

資源が乏しい島国に過剰な人口がひしめいている ⇒ 海外との交易が必要不可欠である ⇒ 生きるための権益が世界にまたがっている。

日本の権益を守りきることを可能にする他国を圧倒する軍事力を持ち合わせていない ⇒ 軍事力で世界の海洋を支配できる超大国の支えが必要不可欠である。

 だから、明治政府ですら当時のダントツの大国として世界の海洋を軍事力で支配していたイギリスとの同盟関係を、この同盟関係が日本の繁栄に結びついたのです。ところが、身の程をわきまえず独自の力で海外の権益を守ろうとして悲劇の結末を招いたのです。

 敗戦後は日米安全保障条約を締結して、安全保障を担保しました。しかしながら、日本の進む道は平坦ではありませんでした。なぜなら、

 ナショナリズムの高揚を後ろ盾とする全体主義の強権国家である中国。強権的な大国である旧ソ連。一方、頼みのアメリカは変動しやすい国民世論を後ろ盾とするカウボーイのような態度を採ってきたからです。この惨めな立場のことを考えると、

 多数の日本人が「日米軍事同盟は必要ない。警戒されるようなことをしなければ軍事力は必要ないのだ」と言い切ることは理解できます。しかしながら、このような発言は「私は清く正しく生きているので警察は要らない。警察にかかる費用を福祉に回して欲しい」と言っているのと同じことなのです。地球の安全保障環境が一変したことを考えると、ますますです。


日米同盟の強化は日本経済の拡大均衡を可能にする

米軍基地再編成は大きな果実を生む先行投資になり得る

 ・・・・・米領土内にある基地を日本の税金で負担することの妥当性だ。グアムの基地が日米安保条約体制にも意味を持つことは理解できるが、基本的には米戦略を担うものだ。・・・・・少子高齢化社会の到来で、財政再建の重圧は増す一方だ。国民の納得の得られない負担を強いられれば、日米同盟に対する支持も揺らぎかねない。・・・・・(2006.4.25付け『朝日新聞』の社説より)

  ── といったような「アメリカに押しつけられた」とする論調が支配的です。そして、このような論調は筆者が二つのことを思い出すことに結びつきました。

新規事業開発を巡って経営幹部が話し合いをすると、研究開発部長は企業の将来のことだけを、経理部長は短期採算のことだけを主張しがちである。

ソニーが始めてアメリカに直接投資をするための経営会議を開催した時、一人を除いて全員がどうやりくりをしても赤字であると主張。残りの一人が本当のリーダーシップを発揮して投資を決断した。円の為替レートがニクソン・ショックの後、360円から急上昇したためにこの対米直接投資は大成功して、今日のソニーの基礎となった。因みにこの対米直接投資を決断したのは当時の社長であった故・盛田昭夫氏。

 朝日新聞が代表するような論調は日米新租税条約とその影響が踏まえられていないのです。米軍基地再編成とこの条約を結びつけて考えると、下記の図式が成り立つ可能性が大きいのではないでしょうか。

 米軍基地再編成が実現される ⇒ 中東とアジア太平洋を視野に入れた日米軍事同盟体制が確立される ⇒ (中東の安全度が高まる ⇒ 中東のエネルギー資源の安定供給度が高まる) + (領土問題が未解決のアジアの軍事拡大競争に歯止めがかかる ⇒ 海底にあるエネルギー資源の開発がしやすくなる)

 ⇒ 日米新租税条約を梃子に用いた米国企業の対日直接投資が拡大する ⇒ 日本の母産業都市機能が強化される ⇒ 日米融合企業がアジア市場の支配力を強める ⇒ 国別の自由貿易協定を積み上げ、かつ深化させる ⇒ アジア共同市場を形成する。

 米軍基地の再編成への協力が日本のコスト負担としてのしかかると考えるのは、複雑な時代において躍進を遂げるために必要不可欠な斬新な着眼がぽっかりと抜けているからなのです。少子高齢化社会の到来で、財政再建の重圧は増す一方だからこそ、斬新な着眼に基づく独創的な構想が求められているのではないでしょうか。

 あのイラク戦争だって、「テロの危険性がなくなるようにする ⇒ パイプラインの安全保証体制を確立する ⇒ 長いパイプラインを敷いてカスピ海の石油(確定埋蔵量300億バーレル、推定埋蔵量3000億バーレル)を世界に供給する」という狙いもあったことを忘れてはならないのです。

 上記の主張に対して「泥沼化したイラク戦争がそうであるようにアメリカのやり方には問題がある。このようなアメリカと組むことが日本の安全保障に結びつくかどうかの疑問が残る。この点はどうなのか?」「米軍基地再編成への協力は日本に大きな利益をもたらすとしても米軍基地となる地域社会の犠牲が残る。この点はどうなのか?」という当然の疑問が呈されることでしょう。

 前の疑問に対しては「日本の政治大国化が可能になった」において消極策ではなく、斬新な着眼に基づく積極策の提起を予定しています。後の疑問については「全員参加型新創業プロジェクト」をご参照ください。

日本経済の地盤沈下傾向を認識しなければならない

 上記の説明を読んでも「「アメリカに押しつけられた」という感想を拭い去ることができない方に伝えたいことがあります。

 政治力のない日本が頼みとするのは世界第二位の経済大国。ところが、将来を展望すると、事態は様変わりするのです。なぜなら、内閣府の『21世紀ビジョン』は中国と日本の国民生産額の世界シェアを下記のように予測しているからです。

2004年 2030年
中国 5.5% 31%
日本 15.6% 9%

 日本経済が地盤沈下している傾向は量的な面だけでしょうか? 「否」です。質的な面でもそうです。アジア企業の競争力が急速に強化されている傾向は強まりこそすれ弱まることはないのです。(詳しくは ⇒『「日本は先進国」と言っていられない時代が忍び寄ろうとしている』)

 このような日本にとって「経済体質がフレキシブルである ⇒ アウトソーシングやレイオフがしやすい ⇒ 産業構造をどんどん高度化できる ⇒ 生産性をどんどん向上させることができる」というアメリカ経済との融合の持つ意味は大きいのではないでしょうか。

 但し、日本のビジネス・パーソンが構想力・独創力の強化を実現させないと、堺屋太一氏の「今のままでは日本列島に存在する主だった企業経営者のほとんどは外国人になってしまうであろう」といったような趣旨の発言が現実のものなってしまうかもしれません。(構想力・独創力を効率よく強化する方法 ⇒『ワタナベ式問題解決へのアプローチ』)

小泉改革の否定は日本沈没に結びつくことを認識しよう!

 2006年7月29日に広島市内で開催された自民党広島県連の政治資金パーティーで二人の実力者が格差問題で対照的な発言をしたことが新聞報道で伝えられています。

中川政調会長 : 「格差にもフェアな格差とアンフェアな格差がある。プロ野球の1軍と2軍の選手が給料が同じでなければならない、ということはない」

谷垣財務大臣 : 「日本丸の行く末は、決して格差のある社会、弱肉強食の世界であってはならない」

 どちらの方が日本のためになるのでしょうか? アメリカの福祉政策が参考になるでしょう。生活保護は5年のみ。以降は完全打ち切り。但し、生活保護者に国費を投じて職業訓練を行う ── こういうやり方でアメリカは生活保護世帯の激減と働く母親数の拡大に成功しているのです。

『The Economist January 29th 2006』の35頁

 やる気のある人間が働けるようにする。そのための応援は惜しまない。しかしながら、甘えは許さない。国がこういう態度で臨まないと、二つの弊害が生じることでしょう。

どうあがいても働くことができない。こういう生活保護が本当に必要な人に対して基本的人権を保障するための財源がなくなってしまう。

グローバル化が進む一方であるので、怠け者の輩出は日本経済の地盤沈下傾向を促進して日本は沈没してしまう。


「環境の様変わり ⇒ 日本人の体質露呈 ⇒ 格差拡大」である根拠
受身の人生が不幸に結びついている
頼みの綱である民間経済の本格的再生は容易ではない


米軍基地再編成への合意は新秩序確立の始まりである

 自由闊達な経済活動を可能にするために、時流に合わせた安定的な体制を確立・維持する。この考え方が遠い昔から採用されてきました。

世界 : 19世紀のヨーロッパ中心のバランス・オブ・パワーと金本位制 ⇒ 東西冷戦構造 ⇒ アメリカ一極集中

日本 : 徳川時代の封建制と金貨と全国展開の豪商 ⇒ 日本モデル

 新しい方式の確立が求められているのが現在です。なぜなら、アメリカ一極集中はアメリカの赤字が拡大し続けている。そして、この状態を前提に世界が成り立っている。(具体例 ⇒『世界経済の実態』) 日本は賞味期限が切れた日本モデルに替わる仕組みが未確立であるために社会が混乱している。(具体例 ⇒『刹那的なエゴイストに囲まれつつある』)

 こういうタイミングでの米軍基地再編成に合意なのです。したがって、この合意に対する全ての批判は「樹を見て、森を見ず」と言わなくてはならないでしょう。


高まるかもしれない中国と韓国の反発には大人の態度で臨もう!

 上記したような日米軍事同盟の強化は靖国問題で高まった中国並びに中国の実質的な同盟国になった韓国の反日感情を一段と高めることに結びつくことが危惧されます。なぜなら、旧ソ連の脅威がなくなったために、目障りになった日米安保条約が変身的に強化されるだろうからです。

 しかしながら、心配無用でしょう。なぜなら、この強化は世界の新しい秩序形成だけではなく、地域経済の発展に結びつけることが可能だからです。(理由 ⇒『米軍基地再編成は大きな果実を生む先行投資になり得る』) したがって、ポスト小泉政権は「正しいことはいずれ理解される」という考え方に立った泰然自若とした態度を採ることが期待されるのではないでしょうか。


彼我の性格を識別して事を有利に運ぶための準備ができるようになろう!

 上記したことから明らかなように米軍基地再編成への合意は歴史的英断なのです。にもかかわらず、マスコミと評論家の多くは懐疑的です。そして、国民の大多数は賛成していないようです。どうしてこうなってしまったのでしょうか? 下記の図式に嵌ってしまったからなのでしょう。

 日本的集団主義の影響を強く受けた人生を送ってきた ⇒ 深い思考を伴わないナアナアの習慣が染みついてしまった ⇒ 視野狭窄症や拘禁服着用症に罹ってしまった。

 「マクロの問題だから個人の生活にはあまり関係ないから大丈夫だ」と言えるでしょうか? 「否」でしょう。なぜなら、視野狭窄症や拘禁服着用症に罹ってしまったままの状態では必要になってきた先手必勝の決め手である、異変待ち受けをする(事を有利に運ぶための準備をする)ことが不可能になるからです。

 どうすればよいでしょうか? 創造的な自己管理を行って、下記の図式を実現させることです。

 行動力学でもある性格を識別する ⇒ 性格に振り回されることが視野狭窄症や拘禁服着用症に罹ることに結びつくことに気づく ⇒ 人間の持つ「良くなりたい」という本能が作動して、「だったら気をつけよう!」と決意する。


悩み事の裏に磨くに値する才能が潜んでいます

日本経済はエアーポケットの中をもがくのみとなっている(日本経済の深層)



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