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【斬新な着眼】



→窮地に陥ったら新創業しよう。そうすれば必ず報われます 〈2003/6/6〉
  
   ── 廃業に追い込まれた小型書店の起死回生策から考える ──



 立ち往生している個人・企業・地方社会が目立つようになりました。「環境が様変わりしてしまったのだから仕方がない」と言うべきでしょうか?「否」です。きびしい表現で恐縮ですが、人災なのです。いいかえれば、起死回生策はあるのです。今回はこの策の創り方の説明をします。

 私の母は実家のある沼津から末弟がいる那須に引っ越しました。彼女は知的好奇心旺盛ですが、92歳という高齢から来る難聴のために補聴器を使っても電話での会話ができません。そこで、彼女が人生の最終章を生き生きと生活することを願って、彼女にメールを送り続けています。

 最近の「斬新な着眼」は、このメールの中からビジネスの指針になりそうなものをピックアップする ⇒ 分かりやすくするために原文を極力活かしつつ編集する…というやり方を採用していますが、今回も同様です。



 2003年5月19日の朝日新聞の『声』の欄に次のような58歳の方の投書が掲載されていました。

 「お世話になりました。月末で閉店です。」 東京・国分寺市で15坪ほどの書店を奥さんとアルバイトの3人で30年近く頑張ってきたKさんからの電話だった。

 10年前、駅ビルに大型書店が進出した時、私たち出版社や同業者の方々が集まり激励会をしたのもKさんの人柄だった。・・・・・

  ・・・・・閉店パーティーをやるからぜひ、との誘いだった。パーティーには地元の商店街の人々、友人、業界の人々が集まった。・・・・・

 このKさんは廃業することなく商売を続けるためにはどうすべきだったのでしょうか? こういう事態に追い込まれた時、「思考の三原則」(全体を見る/長い目で見る/根本的に考える)を適用して順次考えなければならないことが三つあります。

(起死回生策の策定ステップ1) これまでどうして商売をやってこれたのか? 商売が順調であった理由は何か?

 情報源に占める書物の役割が大きかった。しかも、本から得られるものが大きかったからです。欧米先進国にキャッチアップできさえすれば、躍進できる。そのために本を読もう。「晴耕雨読」という言葉があるように、読書が生活の大きな位置を占めている ── こういう良き時代があったのです。

 順調であった背景にそれなりの理由があることはこの書店に限りません。したがって、経営や人生の順調さを保ち続けたいのであれば、「どうして順調なのか?」「どういう環境だから自分の能力とその使い方が活かされているのだろうか?」と自問自答することを忘れてはならないのです。

(起死回生策の策定ステップ2) どうして商売が不順調になったのか? どんな環境変化が商売に悪影響を与えるようになったのか?

 「駅ビルに10年前に進出した大型書店の悪影響が大きくなった」ことに尽きるのでしょうか? これは否定できません。でも、発想がここで止まってしまったのでは有効な対策を講じることはできません。

 大型書店の悪影響がどうして大きくなったのでしょうか?

 モノやサービスが世の中に普及するにつれて、人々の需要は個性的になります。団体旅行の経験が重なると、旅行の良さを認識するとともにお仕着せのサービスでは飽き足らなくなるように。

 出版業界も例外ではありません。一つ一つが沢山売れなくても、本の書類を増やさなくてはならなくなりました。このようになりますと、本の陳列量に限りのある小型書店よりも沢山の本を陳列できる大型店の方が有利になります。

 需要が個性化した ⇒ 顧客を惹きつけるためにはできるだけ沢山の種類の本を陳列しなければならなくなった ⇒ 小型店では商売が困難になった──、という図式が実現してしまったのです。

 それでは大型店でありさえすれば万事OKなのでしょうか? 「否」です。このことは巨大店舗志向をしてきた百貨店「そごー」が経営破綻したことで明らかです。

 大店舗志向をしてきた百貨店「そごー」はどうして経営破綻したのでしょうか?

 デフレ時代がやってきたために消費者はより安いものを求めるようになってきた。脱日常感を味わいたいために、「わあーっ、こんな商品があった」といったようなお宝探しができる喜びを味わいたくなった──、という二つの新しい傾向に適応できなかったことが大きな原因だったのです。

 店舗を持った小売業だけが上記二つの新しい消費傾向に適応できるのでしょうか?「否」です。インターネットを使った小売業でも十分に対応できます。但し、見て触ってみないと商品価値を判断できない。高額商品であると信用不安が生まれかねない──、という二つの限界がありますが、

 ひみこちゃんと海芙ちゃんの商売が如実に物語っているように、ユニークであり、かつそこそこの値段の商品ですと、やり方次第でインターネットを使った小売業は店舗小売業の強力なライバルになります。

 以上の説明によりすでにお分かりになったと思いますが、Kさんの店が成り立ちにくくなったのは、駅ビルに10年前に進出した大型書店だけではなく、インターネット普及の影響もあるのです。

 インターネットの普及はアマゾンというとんでもない大きな無店舗書店を生んだだけではありません。色々な情報を無料で集めることをも可能にしてくれました。

 それではインターネットを使えれば万事OKなのでしょうか? 「否」です。なぜなら、世の中が複雑になったために、本を読んだり、情報を集めるだけでは駄目なことが多くなったからです。「情報が多くって頭が混乱してしまうばかり」…と言う人が沢山存在することが何よりの証拠です。(詳細 ⇒ 『ジグソーパズル思考力欠落の影響例』)

 大型の有店舗書店の登場、インターネット書店の登場、インターネットを使えば無料で情報を集めることができるようになったこと、情報化社会の限界 ── この四つの影響が重なってKさんは15坪の書店の閉鎖に追いこまれてしまったのです。

 だからといって、「仕方がない」ということにはなりません。Kさんは知恵不足だったのです。

(起死回生策の策定ステップ3) 様変わりした環境を逆手に取るにはどうすべきか? どうしたら環境変化適応の経営が可能になるか?

 様変わりしたために陥ってしまった立ち往生状態から個人や企業が脱出して、更に発展を遂げるためには、

 様変わりした環境は逆にどんなチャンスを与えてくれるのか? チャンスを生かしてどんな未来像を描くべきか? 未来像と現状とのギャップをどのようにして埋めていったらよいのか? ── この三つのことを順次考えなくてはなりません。廃業に追い込まれてしまった書店についても同じことが言えます。

様変わりした環境は逆にどんなチャンスを与えてくれるのか?

 チャンスを生み出してくれる環境変化は少なくとも二つあります。

 団体旅行の経験が重なると、旅行の良さを認識するとともにお仕着せのサービスでは飽き足らなくなる…といったような「需要の個性化」がひとつです。

 世の中が複雑になったために、本を読んだり、情報を集めるだけでは駄目なことが多くなり、「情報が多くって頭が混乱してしまうばかり」と言う人が沢山存在する…といったような前述した「情報化社会の限界」がもうひとつです。

(需要の個性化が生み出すチャンス)


 人間が持っているエネルギーには限りがあります。画期的な新製品が次から次へと誕生しますと、個性的な需要が生まれにくい…ということから明らかなように、あることに熱中していると他のことがおざなりになる。このことは、テレビを始めて購入した時はその使い方を覚えるので精一杯であったことを思い出して頂ければ納得されることでしょう。

 時代は変わり、画期的な新製品が登場しにくくなりました。洗濯機、テレビ等を初めて手に入れたときのような感激を味わうことがなくなって久しいのです。でも、個性的な需要が生まれやすくなりました。

 テレビひとつをとっても、もっと大きな画面で見たい。更にはあの選手の表情をもっと詳しく見たい…といったようなことが生まれてきたのが何よりの証拠です。

 本の世界でも同じことが言えます。一般的な人生論ではなく、有利に転職するにはどうしたらよいのか?…等といったような需要が生まれていることがそうです。

(情報化社会の限界が生み出すチャンス)

 あの選手の表情をもっと詳しく見たい…といったような個性的な需要には応えられる技術が生まれました。デジタルテレビがそうです。テレビでスポーツ番組を観戦していて、「あの選手の目の動きをもっともっと詳しく見たいな」と思ったら、お母さんはその選手の顔の箇所をクリックすればよいようになることが期待できるのです。

 現実に存在していることの中で知りたいこと、見たいことを自由に選択できるのがデジタルテレビの理想なのです。いいかえれば、その選手が今何を考えているか…等などのような、目に見える形では存在しないことには対応できません。

 同じことが本でも言えます。有利に転職するにはどうしたらよいのか…といったようなレベルであれば、転職ガイドブックを探すことですみます。データベース化されていれば、どんな本でもパソコンを使って検索できます。便利になるのはデジタルテレビだけではないのです。

 ところが、自分にとってやりがいがあって、かつ高収入が期待できるような転職をするにはどうしたらよいか…というレベルになりますと、本では駄目です。こんな本は存在しないので、いくらパソコンを使っても本のデータ・ベースでは探しようがないのです。

 そこで、自由自在に情報を集めることを可能にするインターネットの出番となるわけです。ところが、時々刻々変わる情勢を踏まえて、ある人あるいはある企業の特定の課題解決のために公開情報が用意されているなんてことはあり得ません。

 こういう場合どうしたらよいでしょうか? 一般的にはコンサルタントに頼むしかないのです。

 横並び志向が通用する時代には注目されることがないに等しかった、構想力・独創力を売り物にするコンサルタントであれば、難問解決に結びつく知恵を出してくれます。(関連記事 ⇒ 『私共が難問を創造的に解決する際の思考様式』) 但し、このようなコンサルタントを利用するのであれば、

 自分の事情をすべて知らせなければならない (医者の病気治療には患者の診断の先行が必要不可欠であるのと同じことなのです) 、多額のお金を支払わなければならない (手間暇がかかるから仕方がないことなのです) ──、という二つを覚悟しなければなりません。

 コンサルタントに頼むことなく、自分で難問を解決するにはどうしたらよいのでしょうか? 次の4ステップを踏んだ知的作業を適切に行うことができれば、自力で難問を解決できるようになります。

難問解決にどんな情報・知識が必要であるかを認識した上で、文献を幅広く収集したり、聞き取り調査をする。

収集した情報・知識に基づいて、「どうしてそんなことが言えるのか?」「だからどういうことが言えるのか?」を自問自答や質疑応答をする。

多面的な考察結果に基づいて自分の主張をひらめき的に創る。(脱摸倣にはひらめきが必要不可欠なのです)

④ 読み込んだ文献、聞き取り調査並びに自分の頭脳の中の検索の結果を創り上げた自分の主張の説明材料に使う。

 「ひらめき」という言葉を聞いて驚くことはありません。お母さんがお父さんと一緒に考え出した、庭と家族労働力を活用した鶏を中心とする小牧場経営のことを思い出してください。この事業はどこかに書いてあったことではなく、何かを参考にしたとしても、二人で考え出したはずです。(参考資料 ⇒ 『わが家の特殊事情』)

 但し、上記の4ステップを踏んだ知的作業を行うことが難問解決に結びつく知恵を創り上げることに必ず結びつくわけではありません。

 なぜなら、この種の知的作業は作曲同様の創造活動であって、できばえは人によって天と地の違いが生まれることを覚悟しなければならないからです。芸大の作曲科を卒業したからといって誰でもベートーベンのようになれるものではないのと同じことなのです。収集したり、思い出したりする知識・情報は音符的な存在にすぎないのです。

 (昨年の私の著書『勝ち組メーカーに学ぶサービス事業戦略』は上記した方法に基づいて書き上げたものです。雑多な情報・知識から創造的問題解決策を策定する。こういう仕事を長年に亘って行ってきたからこそこういうことができたのです。

 但し、この本は特定目的があるといっても、特定企業のものではありませんでした。したがって、私には豊富な現場経験がありますので、聞き取り調査は一切行いませんでした)

 以上から明らかなように、「情報化社会の限界」は二つのチャンスを生み出してくれているのです。顧客が抱えている問題解決を請け負う。これがひとつです。さっきの例で言えば、転職希望者の診断を詳細に行い、かつ未来社会を展望して今後の人生の送り方のプログラムを創るのです。

 書店がこのような仕事を請け負うことは理想ですが、そう簡単には実現できないでしょう。なぜなら、閉鎖的であるので、自分のプライバシーを明かすことを嫌がる。知恵にお金を払う習慣がない──、という一般的な日本人の特性があるからです。更に決定的な大きな壁があります。「本屋がそんなことを?」というイメージ上の問題があるのです。

 したがって、書店が需要の個性化並びに情報化社会の限界をチャンスとして捉えた仕事を行うとすれば、転職希望者の要望を叶えることに役立つであろうと思われる文献を推薦する。そして、必要とあれば、顧客が自分で人生の送り方のプログラムを創るための助言をする──、というもうひとつの方法から始めることが考えられます。

チャンスを生かしてどんな未来像を描くべきか?

【看板】貴方が抱えている問題の創造的解決を請け負う書店

【店内】書籍を含む情報検索&顧客のカルテ収録のためのパソコン、パソコンの前に座っているカリスマ店主、助手を勤める奥さんとアルバイト店員、陳列された書籍 ── の三つが店内の主な構成要素

3種類の顧客に対応するのが狙いなのです


(顧客類型1) 気楽に店内に入って陳列されている本を立ち読みする。気に入った本があったら買う。パソコンを使って気に入る本を探して注文する。次の「顧客類型2・3」のサービスの実態をそれとなく認識する──、これが顧客の種類1です。

 住宅の新築やリフォームの相談をしたい。このように思っても住宅会社をなかなか訪ねようとしないのが日本人の一般的な実情です。なぜなら、情緒的一体感をこよなく重視する。したがって、見知らぬ人、価値観が異なる人との交流を避けたがる。 ── 日本人の多くはこういう特徴を持っているからです。

 したがって、「店内で立ち読みする習慣が社会的に根付いている ⇒ 店内にコンサルタントの顧客予備軍を呼び込める」という図式が可能であることは極めて大きなメリットがあるのです。

 (だからといって、上記した日本人一般の特徴は温存すべきではなく、直さなければならないことは言うまでもありません。なぜなら、

 お互いの違いを認め合いながら異俗と交流して始めて生き生きとした社会が実現され合理精神を尊ぶようになるので、日本のホワイトカラーの気が遠くなるほどの生産性の低さが是正されるからです。

 日本のホワイトカラーの低生産性の背景には、情緒的一体感を重視しすぎるあまり、「電話ではどうも…」ということになったり、しまりのない会議になったりすることがあるのです)

(顧客類型2) 「私はこういう問題を抱えているのですが、参考になる本はないでしょうか?」と相談をする ── これが顧客の種類2です。

 パソコンを使って本探しができない。探したが見つからなかった。 ── こういう顧客が対象となります。顧客のこういう状態を打開するためには、独創的なひらめきが必要になります。

 本当の問題を見抜く。 (睡眠障害に陥っている現象の本当の原因は精神面ではなく、内臓疾患にある…等といったようなことがしばしばあるものなのです) 独創的な書籍選定を行う。 (薬ではなく超短波、運動の仕方、食事の仕方等などのことが書かれている書物を選定すること等が考えられます) ── この二つが独創的なひらめきの例です。
 
 店主が上記のような相談に適切に応じることができるようになるためには、複雑な実態を見抜く「感性」や本質に鋭く迫ることができる「知恵」が必要になります。

 「感性と知恵」の具体例を紹介しますと、次の通りです。

 血流がすごくよくなる ⇒ はつらつとした気分になる…という効果を持つ朝鮮人参、ピッポッパッと心地よく反応する電子ゲームを、鬱に悩む人に勧めて大変喜ばれた。 ── 私はこういう経験をしたことがありますが、これらも一種の感性と知恵なのです。
 
 (血流がよくなると、癌が進行しますので、この人が癌ではないことを確認したことは言うまでもありません)

(顧客類型3) 「私はこういう問題を抱えているのですが、創造的問題解決策を策定してください」と相談をする。 ── これが顧客の種類3です。

 顧客から丸投げされた問題解決に成功するためには、3段階の作業が必要になります。

核心を突いた独創的問題解決策の策定に結びつく、斬新な着眼をひらめき的に持つ。いいかえれば、創造的問題解決策の策定に必要な知識・情報収集の適切な視点を設定する。

 このようなことができるようになるためには、多様な経験に裏打ちされた広い視野に基づく洞察力を磨き続けることが必要になります。

問題解決に必要と思われる知識・情報を幅広く収集する。

 この作業を効率よく行うためには調査手法に精通する必要があります。

収集した知識・情報を触媒に使って自らの記憶を総動員しつつ、問題解決策をブレークスルー発想する。

 このようなことができるようになるためには、「なぜか?」「だからどういうことが言えるのか?」という分析並びに合成的推理を伸びやかに行い続け、その結果を論理の連鎖にまとめあげる能力が必要になります。

 店主は調査並びに構想・独創の達人でなければならないのです。

 「うーん」と唸られ、「どうしたら独創的なひらめきを生み出せるようになるか?」と思われた方がおられることでしょう。どうしても解決しなければならない複雑な問題を適切な専門家と共に策定する機会を持つことをお勧めします。こういうことを繰り返すことによって、「ジグソーパズル思考」のコツがつかめるようになることでしょう。

 以上の説明を読み、「これでは本が売れないではないですか?」と思われるかもしれませんが、心配無用です。なぜなら、創造的問題解決策の策定に用いた本を教えてあげることにより、顧客は「私も後追い的にやってみよう」と思うようになることが大いに期待できるからです。

未来像と現状とのギャップをどのようにして埋めていったらよいのか?

 普通の書店経営に勤しんできた方が顧客類型2・3で提起したサービスを提供することはほぼ不可能です。それに、「本屋がそんなことを?」というイメージ上の問題もあるのでした。

 未来像と現状との間には大きなギャップがあるのです。どのようにしてギャップを埋めたらよいのでしょうか?

 横並び志向が通用する時代には注目されることがないに等しかった、構想力・独創力を売り物にするコンサルタントを捜し出してタイアップすればよいのです。そして、このことを前面に押し出せば、イメージ上の問題等も一気に解決することでしょう。

 お父さんが公認会計士として人生の再出発に成功できた背景には、駿河銀行オーナー兼地方銀行協会々長の岡野喜太郎さんや日本軽金属元社長の草野義一さんの多大な助力があったように新しいことを始めるには能力補完を目的とするタイアップは欠かせないのです。(参考資料 ⇒ 『父の特殊事情』)

 構想力・独創力を売り物にするコンサルタントを捜し出してタイアップする…という行動にインターネットは大変な威力を発揮します。なぜなら、

 「コンサルタント、創造的問題解決」、「コンサルタント、構想力・独創力」…等をインターネットの検索エンジンに入力すれば、たちどころに候補者を探すことができるし、インターネットテレビ電話を使えば、どんな遠隔地のコンサルタントであっても特別料金なし…で顔をみながら会話できるからです。

 このように申し上げますと、「顧客・書店・コンサルタントの関係はどういう具合になるのか?」という質問が生まれることでしょう。お答えします。書店が徐々にコンサルティング業務が行えるようになるために、

 書店が顧客をコンサルタントに紹介する ⇒ コンサルタントは顧客に有料でサービスを提供する(コンサルタントは顧客から料金を直接貰い、手数料を書店に支払う) ⇒ コンサルティング・サービスの一部始終を書店が観察する ⇒ 書店が“門前小僧”よろしくコンサルティングのノウハウを吸収する──、という図式のビジネスを展開することが考えられます。

 顧客の抱える問題の創造的解決策を策定する。そして、その中に売りたい製品・サービスを位置づける…というビジネスのやり方が書店に限らず様々な業種に必要になっています。このような時流に当方としても対応したい…と考えております。(対応策の例 ⇒ 『非価格競争力の抜本的強化支援』)

 このように申し上げますと、「創造的問題解決を得意とするコンサルタントになるための努力は報われるのであろうか?」と思われる方が少なくないことでしょう。この疑問にお答えします。努力は大いに報われる。これが結論です。主な理由として三つ挙げることができます

(理由1) 情報収集の能力ではなく収集した情報から知恵を生み出す能力が事の成否を決めるようになった。

 「こういうことを知っている。ああいうことを知っている」ということが優勝劣敗の決め手になることが多い時代が長く続きました。ところが、「インターネットの普及 ⇒ 置かれた立場による情報格差の急速な解消 ⇒ 情報化社会の限界のクローズアップ」という図式ができあがってきているからです。

(理由2) 構想・独創の達人であっても適切なコンサルタントを登用した方が得である。

 人間には元々「自分の実態を客観視しにくい」という限界がありますが、この限界が一段と顕著になりつつあるからです。この背景には、

中途半端は許されなくなった ⇒ 特定分野にどっぷり浸かり続ける ⇒ 固定観念が醸成される ⇒ “知りすぎのリスク”が発生する。

広義の情報システムが発達する ⇒ 情報活動は枠内の情報処理で精一杯となる ⇒ 外部情報についつい疎くなる ⇒“知らなすぎのリスク”が発生する、

 という2種類のリスクが顕著になりつつあることがあるのです。

(理由3) きびしい価格競争から脱却して高付加価値経営を行うことが可能になる。

 松井証券は逸早くインターネット・ブローキングに転換したために業績の急拡大に成功しました。しかしながら、同じやり方を継続し続ければ他社の追随が進むにつれて過当競争に巻き込まれることでしょう。なぜなら、松井証券は単に取引の仲介を行っているに過ぎないように思われるからです。それではどうしたらよいでしょうか? 例えば、株式上場全企業の独創的な経営戦略分析を行い、2系列の行動を採る等が考えられます。

業績急拡大が見込める企業を独自に発掘する ⇒ 発掘した企業の株式を先行投資的に買い集める ⇒ 買い集めた株式を積極的に推奨する ⇒ 当該企業の株価が上昇した段階で徐々に売却する (顧客にもそれを勧める)。

経営のやり方次第で業績急拡大の可能性を秘めている企業を独自に発掘する ⇒ 機関投資家と共同して経営陣並びに経営戦略・ビジネスモデルの再構築を行う。と同時に発掘した企業の株式を先行投資的に買い集める ⇒ 買い集めた株式を積極的に推奨する ⇒ 当該企業の株価が上昇した段階で徐々に売却する (顧客にもそれを勧める)。

 企業経営のダイナミックな動態を把握・評価する能力が大幅に不足している。これが証券アナリストの一般的な実態であることを念頭に置きますと、上記の事業は成功する可能性が大きいものと思われます。そして、この可能性を現実のものにするのが顧客の抱える問題の創造的解決の応用編である、と考えているのです。

 このように申し上げますと、「上記並びにの対象となる企業の数は多くならないであろうことを考えると、株式上場全企業の独創的な経営戦略分析を行い続けることは妥当な投資になるだろうか?」「投資金額をけちると独創的分析にならず、本来の目的達成は困難になる。この点をどう考えるのか?」という反論があるかもしれません。

 この反論にお答えします。事業の前提である、株式上場の全企業の独創的な経営戦略分析のために行う多額の投資はコンサルタント会社を別組織で用意する等などの工夫を凝らせば、この投資は実りあるものになることでしょう。

 上記の考え方は、市場が抱える問題の創造的解決策を先行投資的に策定する場合にも当てはまるはずです。なぜなら、開拓したい顧客が抱える問題の創造的解決策を予め策定しておけば、「異変待ち受け ⇒ 先手必勝の事業展開」が可能になるはずだからです。

築き上げてきた得意技を生かせる再構築の仕方はあるものなのです

 個人・企業・地方社会が窮地に陥りましたら、3段階アプローチの知的作業を忠実に行うことをお勧めします。

これまでどうして仕事をやってこれたのか? 仕事が順調であった理由は何か?

 特定の環境が自分の能力とその活用の仕方に有利に作用していたことをとことん理解して頂くことが目的です。これをポジショニングⅠと言います。

どうして仕事が不順調になったのか? どんな環境変化が仕事に悪影響を与えるようになったのか?

 様変わりした環境に適応するためには自分の能力とその活用の仕方を再構築しなければならない。このことをとことん理解して頂くことが目的です。これをポジショニングⅡと言います。

様変わりした環境を逆手に取るにどうすべきか? どうしたら環境変化適応の経営(人生)が可能になるか?

 環境変化はそれがどんなものであっても必ずチャンスを生み出してくれます。プラス思考できるか否か…がチャンスとピンチの分かれ道なのです。だからといって、どんな起死回生策でもOKというわけではありません。

 「こうすれば成功する」と言われても、自分の得意技がまったく使えない。のみならず、新しい行動は自分の体質に完全に反する。 ── このような起死回生策ですと、挑戦の意欲が生まれにくいものです。上記の小型書店の起死回生策のような考え方が必要になるのです。これが私共が提唱し、実践している新創業です。

 但し、この小型書店も実態を詳しく認識すれば、簡単に事を運べないことが沢山あるはずです。社会が成熟しますと、次々と押し寄せる厳しい競争、あちら立てればこちら立たず…といったようなジレンマ等は避けられないからです。だからといって諦める必要はまったくありません。窮地脱出策となる創造的統合戦略を策定すればいいからです。

 以上ののことを再ポジショニングと言います。

 上記の3段階アプローチはどんな立場であっても有効な方法ですが、広い視野に裏づけられた洞察力、創造的・学際的な論理的思考能力、当事者へのイノベーション・パワーの注入力 ── この三つが必要不可欠であることを忘れてはなりません。

 問題はどのような方法を採用すべきかですが、濃密な質疑応答とそのフォローに勝る方法はない。これが当方の経験から得た結論です。(成功事例 ⇒ 『マジカルパワーを持つ会議などの手法を開発して次々と驚異的な成果を挙げた真空機器振興ビジョン』)


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