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(節子) 殆どの親がそうであるように三田佳子さんは息子・裕也君の性格が全く分かっていなかったことが明らかになった。この認識のだめ押しをして、「彼我の性格が分っていれば、禍の種は蒔かれなかったであろう」の締めくくりをしたい。 息子・裕也君が18歳だった初犯のとき「原因究明に一生をかける」と彼女はテレビを通じて宣言したにもかかわらず、再犯、再々犯となってしまった。この事実で「三田佳子さんは息子・裕也君の性格が全く分かっていなかった」ことのだめ押しになるのかしら? (高哉) もうひと押しが必要だと思う。「パパとママは仲は悪くないよね」と言って、自分の手を離して両親の手をつながせたことがあった。彼女はこのできごとに対して「裕也は優しい子」としてだけしか認識しなかったようだ。これは明らかに間違った認識だと思う。そして、この誤った認識が尾を引くことになった。という意味でこの逸話の方がだめ押しになると思う。 (節子) 両親は留守がち。したがって、両親は物理的なすれ違いの多い夫婦。父親が大阪に単身赴任しているときなんかは一ヵ月間も帰らないことはざらだった。裕也君のような性格の持ち主でなければ、このことを深刻に受け止めなかったかもしれない。というのは祖母が一緒に住んで母親代わりをしてくれているし、裕福そのものの生活環境が与えられていたから。 ところが、裕也君はこういうことが問題にならない性格ではなかったので、次の図式が実現してしまったのではないかしら? (母親の自分に対する愛情が不足していることをなんとなく感じていた ⇒ 母親の愛情に飢えているが故に神経が過敏になっていた) + 両親は物理的なすれ違いが多い。その上、女優である母親のラブシーンをなんども観ている ⇒ 家族の心が一つにならないことを恐れがちとなっていた ⇒ 子供心にも両親の仲を良くしたいと思うに至った。 ガンなどで重症の患者は音や匂いに異常に敏感になりがち。こういう過敏症は精神的に傷ついているときにも当てはまるのよね。 (高哉) 僕も貴女と同じ解釈だ。裕也君は両親に向かって「離れていても仲良しだよ」とも言っているようだし。・・・・・ということで「殆どの親がそうであるように三田佳子さんは息子・裕也君の性格が全く分かっていなかった」と結論づけることができるんじゃないかと思う。問題は人の気持ちを理解できる芸術家が多いにもかかわらず芸術家・三田佳子さんがどうしてそうなってしまったのかだ。 (節子) 彼女の性格発の仕事ぶりが影響した。こういうように言うしかないんじゃないかしら? このことをもっと詰めるとしたらどういうことが言えるのかしら? (高哉) 彼女の性格発の仕事ぶりの中にある「家に帰ったら仕事のことは完全に忘れる努力をしても彼女の本当の姿が出てきにくくなる」の根源である「自分の求心力の維持・強化に全力投球をする」 をもっと掘り下げればいいんじゃないかな。 (節子) 彼女の人生をもっと振り返ればいいわけね。・・・・・そういえぱ、実に興味深い逸話が『てとテと手』の中にあった。 昼寝をしているとき泥棒が入り、パンをそっと持っていこうとした。彼女は狸寝入りをして一部始終眺めていたそうよ。・・・・・彼女はどんな心境だったのかしら? (高哉) 彼女の心境は「自分の求心力の維持・強化に全力投球をする」理由を考えれば分かるんじゃないかな。 (節子) 自分の求心力は周囲の人々に対する自分のイメージ次第よね。・・・・・分った。私が紹介した逸話は彼女の「自分のイメージを大事にしたい」という本能が生み出したものよね。 (高哉) そういう解釈でいいんじゃないかな。本能的行動、いいかえれば、性格発の衝動強迫は貴女の昔物語にもある。 貴女の娘が急病になり、救急車を呼んだ。そして、部屋の中を片付けた。娘は「私のことよりも部屋の片づけの方が大事なの」と怒ったそうだけど、これは誤解。貴女のこの行動は「何事も清く正しくしなければならない」「世間のもの笑いになるようなことをしてはならない」という性格発の衝動強迫のなせる業だよ。 (節子) 自分では気がつかなかったけど、言われてみればその解釈は当たっている。この解釈は三田佳子さんの「自分のイメージを大事にしたい」という本能は「ブランド力を維持・強化したい」と言いかえることに結びつく。・・・・・彼女ってブランド力の維持・強化志向の強かった隆盛時のソニーみたいね。 (高哉) 同感だな。東宝を辞めてフリーになったのは本人は気がついていなかっただろうけど、「次々と新しいタイプの役柄にチャレンジできれば、隆盛時のソニーのようになれる」と本能的に思ったんじゃないかな。 ── 彼女のこの本能に基づく行動は閉塞状態の根本的原因をシャットアウトするための要諦なんだ。というのは新しい見方ができるようになることは脳細胞の再編成を可能にし、これが脳力の絶えざる進化を可能にするからね。僕が以前言ったことを思い出して欲しい。 (節子) 彼女は自分の本能の命じるままに行動を続けて大成功を納めた。となると、違いを認めにくくになり、「息子・裕也君の性格が全く分かっていなかった」となったってもおかしくない。一直線で成功し続けると成功方程式が揺るぎなく頭の中にできあがってしまうんだから。そうでしょ? (高哉) そうなんだ。同じようなことが企業経営の世界にもある。次々と出店できるかどうかが成否の分かれ目であった流通業者があったとしよう。この企業は次のようなことができるような人事考課制度を採用した。 経営者は新たな出店場所を探し出し、速やかに出店することに専念。販売担当者は需要真っ盛りの商品を脇目を振らず売りまくる。そのためには、労働過多を厭わない。そして、それを奨励する短期採算主義に基づく人事考課が徹底された。 高度成長時代はこれで良かったが、時代が変わり新規事業の開発が必要になった。この新規事業は軌道に乗るには時間がかかるので、新規事業開発部門には長期採算主義が必要。ところが、これまで功を奏してきた短期採算主義をこの部門にも適用してしまったので、種蒔きに成功したが、刈り取りの時期を待つことができなかった。その結果、新規事業は芽が出かかった段階で他社の手に渡ってしまった。 (節子) 「所変われば品変わる」という格言通りであるのが現実の世界。ところが、過去の行動の成否の原因を洞察・分析して次の行動に備えることをしない。だから、貴方がいつも言っている「成功中に失敗の因子が潜む」ということになってしまうのね。・・・・・同じことが三田さんの息子・裕也君に対する考え方・行動になってしまった。こういうことなんでしょ? (高哉) そうなんだ。人間誰しも経験していることだけど、自分に対して親切であっても自分の気持ちが理解されていないと、寂しいもんだよ。この問題は個が抑圧されていた時代は表面化されなかった。しかし、これからは違う。「心の時代」ということがよく言われるけど、この言葉だけが独り歩きしている。 東西冷戦構造、日本モデル、物的な豊かさの追及など共通の規範がなくなった。いいかえれば、時代は「大きな物語」から「小さな物語」に変わった。 新時代においてはお互いに性格と置かれた立場を認識しあわなければならない。さもなくば、のっぴきならぬことになってしまう。これが「心の時代」の意味するところだ。三田佳子さんと息子・裕也君の関係はこの魁であったと理解すべきだろうね。 ── こういうことにも「個性的才能を引き出す性格診断」の歴史的使命があることを強調したい。
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