第5部 |
悲劇の人生の裏に臨機応変力のなさがある ─ 人生・仕事の問題解決者を登用しなかったことが悔やまれる ─ (ノンフィクション編) |
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三度目の覚醒剤吸引で実刑となった三田佳子の二男 |
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母親と本人の組み合わせの悪さに根本的な原因があるかも ―─ 彼我の性格が分っていれば、禍の種は蒔かれなかったであろう ―─ |
ここで紹介する事例はインターネットや出版物に基づいての推理結果であってクライアントを診断したものではありません。クライアントから知りえた情報が新創業研究所から具体例で洩れることは一切ありません。ご安心ください。 |

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三田佳子の性格無関心は高橋裕也を衝動強迫の虜にしてしまった |
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鬱積した欲求不満が覚醒剤吸引に結びついたのであろう |
(節子) 前回の議論での「裕也君のような性格の持ち主ははまれば圧倒的な強みを発揮できるけど、はまらないとさ迷い続けることを理解してあげなければならない」という貴方の発言はすごく大事な気がする。彼の著書の『YUYA』の中で興味深い記述があったけど、この記述と貴方の発言との関係を深く理解したい。
「好きな女の子と抱き合って一晩中キスしていたい」という想いはどう捉えたらいいのかしら? 彼の本能的欲求を認識すると、理解はできる。でも、異常なほど強烈よ。
(高哉) 人間は自分の本当の気持ちを表現できないことがある。彼の本当の気持は「自分がはまる居場所が見つからない。なんとかしたい」ということだと思う。人の言っていることは“言の葉”として捉える必要がある。だから、僕はプロフェッショナルQ&Aを提唱し、実践しているんだ。彼のこの心情の背景には両親、特に母親との関係があると思う。
(節子) 「息子・裕也君は大事にされても母親の愛情を感じにくい」となった図式の客観的な根拠が問題ね。覚醒剤吸引の再犯後に「親に愛された実感はあったが、これを利用していた」と彼は『YUYA』の中で言っている。この言葉を文字通り受け取ると、「母親の愛情を感じにくい」は間違いではないかしら?
(高哉) 裕也君は子供の頃、三田佳子さんの息子であることに反発を覚えていたそうだけど、この理由を考える必要があるんじゃないかな。
(節子) 彼は照れやすい性格だと思うので、これも原因しているんでしょうけど、これだけではないわね。母親のことが大好きだけど潜在意識の中に「自分には欠陥があるからほっとかれるのか」「自分より仕事の方が大事なのか」という気持ちがあったことも否めないでしょうね。また一緒にいる時は母親として、いない時は仕事をどちらも目一杯頑張っている三田佳子さんに文句を言ってはいけないという周囲からの無意識の圧力も感じていたのかもしれない。
(高哉) 「母親の愛情を感じにくい」理由は他にもありそうだ。親に愛された実感が本当にあったのであれば、「両親に思いのたけをぶつけたことがなかった」とはならないんじゃないかな。両親が揃って忙しすぎたこともあるけど、貴女が紹介した図式にある母親の性格が微妙に影響したと思う。このように思うのは三田佳子さんと僕の母親との違いがあるからだ。
ユニークな生い立ちを背負うことになった僕は裕也君とちょっとだけ似たところのある性格の持ち主になったけど、僕は両親に遠慮することなく思いのたけをぶつけてきた。この背景に、母親の性格や父親との関係があったんだと判断している。
僕の母親は三田佳子さんのように自分の求心力の維持・強化に全力投球をすることとは無縁の人間。したがって、三田佳子さんのような大物にはならなかったけど、何事も子供中心主義だった。父親も僕の人格形成期には留守がちではないどころか、子供の中で僕を一番大事にしてくれた。裕也君の父親が職業上家に帰らないことが多かったのとは大違い。幼児時代とは様変わりして高校二年の末以降社会人になるまでの間対立関係にあったのが不思議なくらいだ。
(節子) 「両親に思いのたけをぶつけたことがなかった」ことが自宅の地下室で友達と議論することを生きがいにすることに結びついたのかしら? 「自分の意見を率直に述べたい性格発の衝動強迫がある。しかし、両親に思いのたけをぶつけることができない ⇒ 自分の意見を率直に述べたい気持ちが鬱積している」というようになっていたと理解しているんだけど。でも、この議論の際に覚醒剤を吸引するようになったのはどうしてなのかしら?
そんな必要はないと思うんだけど。
(高哉) 裕也君は少年時代に「この子は将来大物になる」と言われていたそうだけど、れっきとした人物に独創的な意見を述べることがしばしばあったんだと思う。裕也君のような性格の持ち主はそういう才能を持っていることが多いからね。このことと鬱積した欲求とが結びつき、覚醒剤に走ることになったんじゃないかと思う。というのは、覚醒剤を吸引することは「頭が冴える
⇒ 独創的な意見を述べる ⇒ すかっとする」という図式に結びつくだろうからね。
(節子) 裕也君が覚醒剤を吸引するようになったのは貴方が今指摘したこともあるでしょうけど、他にも理由があるんじゃないかしら? 屈折したものがあるような気がするの。
(高哉) 彼の性格を考えると、そういうものがあるかもしれない。母親に向かって「もっとこっちを向いてよ」「僕の心中を察して僕を救い出して欲しい」といったような。僕も少年時代にそういうことがあった。僕の性格には複雑な由来があることが原因してか周囲の人から理解が得られなかった。このやりきれない気持ちを分かってもらいたいために駄々をこねたようなところがあった。
(節子) 学校に行きたくない気持ちが子供を本当に病気にしてしまうように人間の心は複雑だから表面的現象だけで判断したらとんでもないことになる。このことは三人の子供を産み育ててきたので痛いほど分かる。ところで、裕也君は少年時代に「この子は将来大物になる」と言われていたことに戻りたいんだけど、いいかしら?
このことはさっきの貴方の説明だけではすまない、覚醒剤吸引の誘因に結びついたような気がするんだけど、どうかしら?
(高哉) 「この子は将来大物になる」は彼にとって忘れることのできない言葉になったと思う。子供の頃、尊敬に値する大人から褒められたことはずーっと記憶に残るものだからね。こういうことは僕の場合もそうだったけど、苦境を乗り越える原動力になるほど励みになる。ところが、裕也君の場合は性格発の衝動強迫の支配度を強める誘因のひとつになってしまったような気がするんだ。
破滅型衝動強迫や閉塞状態とは無縁の人生になるための方策 |
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