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【脱集団主義の時代】


渡辺高哉著『脱集団主義の時代』 (1997.1.7刊) より転載

→個別企業再生の秘策

9. 成長分野に成功裡に進出する秘訣 (事業展開シナリオの例)
   ── 難問解決手法「知的アクロバット」力を磨こう! ──


  以下の記述は複雑になってきた人生・人間関係にも必ず応用できますので、そのつもりでお読みください。

企業成長の第一の条件である成長分野に所属すること、これは日本の場合特に難しい。理由は二つあります。企業体質が外部志向的ではなく内部志向的であるために、過去の延長線上での行動が通用しないような環境変化に適応する能力が不足しがちである。したがって、新しい成長分野に企業を方向転換しにくい。これが第一の理由です。

 仮に新しい成長分野に方向転換できても、企業や事業部門の売買が米国のように自由に行えないために、経験のない成長分野で自力の事業展開を行い、「利益率は製品と市場の精通度に比例する」という壁にぶち当たり、挫折のやむなきに至る場合が多い。これが第二の理由です。

 このような限界を打破し、成長分野に所属し続けることができる何か妙策でもあるのでしょうか。あったら、是非教えて頂きたいものです。

 過去の延長線上に企業の未来像を描くことができなくなってきたからには、従来型の事業に豊かな経験を持つ経営陣が計画技術に精通したスタッフを使って行ってきた長期経営計画策定の習慣から脱出しなければなりません。

 一直線での成長が困難な時代の経営環境は複雑です。この複雑さを克服して新成長機会を掴み取るべく環境変化への適応に成功するために必要な心得はこちらへどうぞ

       ⇒ 社会全般や他業界の動向をも注視しなければならない


 長期経営計画策定に登用すべき人材は、未来社会の洞察力、夢の事業発想に結びつくインスピレーション力、インスピレーションの論理チェック力、この三つの能力を持つ人材なのです。(参考記事 ⇒ 真空機器振興ビジョン) しかし、最終責任者は経営陣です。ということは、未来を担う若手社員などの参加をも得て、長期経営計画を策定すべきでしょう。

長期経営計画策定にも「新しい酒は新しい革袋に」という格言の重みがあるのですね。それはそれとして、米国のようなドラスティックな企業や事業単位の売買を行わなくても、「利益率は製品と市場の精通度に比例する」という壁を乗り越えて未経験の新分野に進出して成功する秘訣みたいなものがあるのでしょうか。あったら是非教えて下さい

相手にとってきらきら輝いて見える魅力的な技術があってはじめて新しい取引先が開拓できる。供給不足といったような事態でも発生すれば別ですが、代わり映えのしない技術では新しい市場を開発するのはきわめて困難なのです。


 現事業の中に新市場の開発を可能ならしめる魅力的な技術があればよいのですが、そうではない場合は、取引関係の深い市場を対象とする新規事業・新商品の開発を通じて、あるいは自分のところの経営システム再構築を通じて、新しい市場開拓を可能ならしめる新技術を自分のものにする必要があります。

自分の会社の未来の事業構造を設定し、経営システムの再構築や新規事業・新商品の開発をこの未来の事業構造の実現手段として位置付ける事業展開シナリオに基づく経営を提唱しているのでしょう。何となく理解できましたが、もっと鮮明なイメージを描きたいので、具体例でこの事業展開シナリオの説明をして頂けないでしょうか。

健康産業はこれから有望です。なぜなら、どう年をとっていくかがこれからの重大な関心事になる一方において、健康保険の自己負担額は高くなる一方だからです。ここに、汗や唾液を「検体」に使って人間の健康状態や残された寿命を判断する「総合検診システム」が魅力ある事業になれる可能性があります。

 パンや総菜しか扱っていない食品メーカーであっても、今申し上げました事業展開シナリオの考え方を採用すれば、この「総合検診システム」を自らの事業分野に加えることができるのです。「総合検診システム分野に進出したい」ということが決まったら、この事業に成功する条件を急いで設定しなければなりません。


汗や唾液を「検体」に使って人間の健康状態や残された寿命を判断するためには、アミノ酸などのメカニズムの解明が必要。それから、アミノ酸などのメカニズムを踏まえたメカトロニクスをつくる技術とこれを販売するための販売網が必要となります。自分一人で事業展開シナリオが策定できそうです。4段階の事業展開シナリオが描けます。

 まず行わなくてはならないのは生産システムを極力エレクトロニクス化すること。メカトロニクスの基本技術が習得できるだけではなく、コストダウンにより現在の事業の強化が実現できるからです。但し、エレクトロニクス化のためには事業規模が相当に大きくなければなりませんので、同業他社の吸収が必要になるかも知れません。

 次に実施すべきはアミノ酸を必要とするパンや総菜などの新商品の開発です。現有市場に対する信用を利用してアミノ酸の基本技術を習得できるだけではなく、この新商品を健康食品として位置付け、医療機関などの「総合検診システム」の販路開拓ができるからです。

 事業展開シナリオの第一段階、つまり生産システムの再構築を通じて修得したメカトロニクスの基本技術に自信が生まれたら、この基本技術と食品加工技術を結びつける形で「フードプロセッサー」をパンや総菜の販路を前提に開発し、メカトロニクスの基本技術の高度化を実現させます。これが第三段階の事業展開です。

 後は総仕上げの事業展開です。社内外のいずれかを問わず、アミノ酸などのメカニズムが解明され、かつ神風を呼ぶような環境変化が予測できたたならば、その時期に合わせて、これまでの「布石」を活用し、新規事業・総合検診システムの開発に乗り出す。これが第四段階目の事業展開です。(関連記事 ⇒ 『変身的な成長を遂げるための三つの方法』)

問題分析とシナリオ発想が深く潜在している新成長機会発掘を可能にする 2016年7月9日追記
 上記したパンや総菜しか扱っていない食品メーカーが汗や唾液を「検体」に使って人間の健康状態や残された寿命を判断する「総合検診システム」の開発に至る事業展開シナリオは、「商品開発とは解決を必要とする問題解決である」という考え方に立てば、深く潜在している新成長機会発掘の方法論に応用できます。具体例で説明しましょう。

 徐々に視力を失い、失明に至る「網膜色素変性症」の患者は、3点セット「眼鏡/肩に掛ける装置/人工網膜」からなる「アーガス」によって救われるようになりましたが、その様子を単純化すると、次の通りです。

 眼鏡に小型カメラを取り付ける ⇒ 小型カメラで写した映像を肩に掛ける装置で電気信号に変換する ⇒ 電気信号に変換された映像を手術によって取り付けた眼球奥の人工網膜に送る。

 この図式が物語るように、解決すべき問題の把握・分析力と独創的構想力があれば、 深く潜在している新成長機会発掘が可能になるのです。→新成長機会発掘の秘訣動画

 ここまではなんとかできるのですが、教えて頂きたいことが二つあるのです。神風を呼ぶような環境変化をどのようにしたら予測できるのか、これがひとつ。それから、経営資源が不足しているかあるいは欠けているが事業化を急がなくてはならないときにはアウトソーシングしなければなりませんが、この場合の留意事項、これがもうひとつです。

神風が吹く時期の予測ですが、大切なのは新規事業の対象となる商品需要を爆発的に伸ばす条件を予め考え抜いておき、その上で環境動向に気を配ることです。自動車のヘッドレストがあるでしょう。昔はあれは純正部品ではなく、アフターマーケット商品だったのです。 ところが、自動車の普及と共に、衝突事故の頻発とむち打ち症患者が多発。それからむち打ち症予防にヘッドレストが役立つことがマスコミで大々的に報道され、ヘッドレストがアフターマーケットで爆発的に売れ、とうとう純正部品になってしまったのです。

 変化後追いではなく、変化待ち受けの経営を行いたいのであれば、日本的経営が完全に崩壊し、自分のことは自分で守らなくてはならないとかの「今の体調や残された寿命を知りたい」という需要が爆発的に発生するシナリオをつくっておき、環境変化に敏感になっておく必要があるのではないでしょうか。

 この需要量の問題で考慮に入れて置かなくてはならないことに習慣の壁があります。例えば、「紙を通して情報を伝える」方が「電話を通して相手と連絡する」現在の行動パターンと似ているから、ファックスの方が電子メールよりも早く普及したのです。

 どちらを先に事業化するかの判断材料は需要量だけではありません。波及効果と成長性もあるのです。現事業のコストダウン、フードプロセッサー、総合検診システムの三つに貢献できるからこそ、生産システムのエレクトロニクス化を一番先に実施するなどがいい例です。

 それからアウトソーシングに当たっての留意事項ですが、アウトソーシングはきわめて有効な手段ですが、運用を間違えると大変なことになるのは「IBMのパソコン物語」がよい例です。

 IBMはパソコン市場に進出するに当たって大胆なアウトソーシング政策を採用しました。これが幸いして、一気呵成に世界のパソコン市場の半分近くを占めことに成功しました。しかしながら、キーテクノロジーを自分でしっかりと握らなかったために、業界をコントロールできずに、あれよあれよと言う間もなく、王者の座から滑り落ちてしまったのです。

 「IBMのパソコン物語」は、将来の事業構造をしっかりと想定し、何を自社の得意技術とし、何をアウトソーシングすべきかを決めることの重要性を示唆するものです。このキーテクノロジー問題で更に考慮すべことに二つあります。

 自動車のブレーキがドラム式からディスク式にシフトしたとき、ゼネラルモーターは社内にドラムブレーキ部門を抱えていたために、この変化に対応できませんでした。この例が教訓となるように、技術変化が激しいときは極力アウトソーシングした方が得策。これが考慮すべき第一のポイントです。

 それから、フィルムとカメラの並行研究が必要であったポラロイドカメラのような場合もありますので、製品開発に当たって相互関係にある技術はアウトソーシングしてはなりません。これが考慮すべき第二のポイントです。(事業展開シナリオの成功実績 ⇒ 『豊田市地域商業近代化ビジョンのあらまし 』)

 ●  未来志向の意思力活用策事業展開シナリオ」の個人への応用 ⇒ 『新創業老いていくのを待つだけの同級生・同期生vs渡辺高哉脳力革命の方法

 ●  未来志向の意思力活用策「事業展開シナリオ」の大前提 ⇒ 『異変待ち受け創造的統合戦略

 ● シナリオ発想による社会的大問題解決策の試案 ⇒ 知的アクロバットが創造的な問題解決や予測を可能にする

  (2017年3月3日のTwittter)  
事業展開シナリオは成長戦略の肝。好例が観光産業の王者を目指していそうなHIS。変なホテルは「ロボット技術の習得→祖業・旅行代理店窓口にロボット設置→ネットワーク化→ビッグデータ駆使の観光相談→観光の隙間市場を続々発掘」に発展可能故だ。
http://www.trijp.com/kigyo-saisei/page10.shtml

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