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個性的才能を引き出す性格診断の勧め

第2部 悲劇の人生の裏に臨機応変力のなさがある ─ 人生・仕事の問題解決者を登用しなかったことが悔やまれる ─

『孤独の賭け』から学ぶ

アイデンティティがあれば天才型事業家の挫折は防止できたかもしれない

2015.5.2

人間の「感情傾向」が変化するしくみ


悪循環の夫婦関係がフィードバック回路を奪った
── 人間関係悪化の背景に彼我の性格と歴史的立場の認識欠如がある ──

物語のあらすじを予め理解しておくことをお勧めします

(節子) 頼りにし、それ相応の報いをしてきた大垣から軽くあしらわれていることを認識させられ、「大垣を信用してこのまま突っ走っていいのだろうか。しかし、後には戻れない」という不安が梯二郎の脳裏を過ぎった。こういう本能が発信する警戒信号を無視するとろくなことがない。にもかかわらず、梯二郎は海上カジノをメインテーマにする夢の歓楽境構想の実現に向けて走り出し、挫折してしまった。

 ということは、 娯楽の百貨店のオープニング・パーティーが梯二郎の分岐点だったと言える。繰り返しになるけど、百貨店の足固めに当面専念すべきだった。そうすれば、キャッシュ・フローが良くなる。あるいは増資引き受け先が見つかり、海上カジノをメインテーマにする夢の歓楽境構想実現のための資金的余裕が生まれたかもしれない。こんな風に考えられるからよ。

 したがって、前回の貴方の発言だけでは納得できないの。「これまでの輝かしい実績で自信過剰になっている。その上、不愉快な感情や肉体は一切受け入れない。いいかえれば、プラス思考しかない。したがって、このような性格は乗りこなす努力をせずに振り回されてしまうと、フィードバック回路が作動しなくなる。だからだよ」と言ったことよ。

(高哉) 海上カジノをメインテーマにする夢の歓楽境構想を実現させたら次はアメリカに進出…といった具合の事業拡大の夢を、年老いる前に実現させて世界の娯楽産業王になりたい。これが梯二郎の切なる願望。いいかえれば、彼は30才ちょっと過ぎでありながら生き急いでいる。こういうこともフィードバック回路を作動させにくくしたのだと思う。

(節子) 「ここまで」という明確なゴールがないことが精神的余裕を奪い、フィードバック回路を作動させにくくしているのよね。そういう意味で、提起した事業展開シナリオがあれば、この問題は解決するんじゃないかしら? 事業展開シナリオというからには明確なゴールが前提になっているはずだから。

(高哉) 貴女の言う通りだけど、梯二郎の場合はそうはなりにくい。というのは、この世の中は快楽追求の無限の可能性を秘めていることもあって梯二郎は年老いる前に世界の娯楽産業王になりたいと思っている。したがって、事業欲には際限がなくなり、明確なゴールを決めても、さっき言ったようなゴールを掲げるようになってしまうだろうからだよ。

(節子) 梯二郎は情緒的に一体化できる夫婦の良さを知らない。これは異性は他の追随を許さない四 つの魅力を潜在的に持っていることを知らないことにも結びつく。こういうことも梯二郎に快楽が追求できるのは事業だけだと思い込ませているんじゃないかしら?

(高哉) 今貴女が言った四つの魅力は「男女問題の達人 = 仕事の達人」への道を意識的に歩もうとして初めて得られるもの。妻・寿都子との関係がぎくしゃくしている梯二郎にはとても望めるものではないよ。このことを理解しているからこそ「梯二郎は情緒的に一体化できる夫婦の良さを知らない」と言ったんだろうけど。

(節子) 二人はどうして歯車が合わなくなってしまったのかしら? 小さなバーを経営している段階では二人は一心同体だったのに。

(高哉) 事業規模の拡大に伴って梯二郎は人間として進化した。ところが、寿都子はそうではなかった。ここに原因がありそうだ。

 小さなバーを経営している段階では交際相手のレベルがそれほど高くなかったし、梯二郎の心の中や動きはそれほど複雑ではなかった。したがって、梯二郎の器量は結婚しようと思った時と比べてさほど変わらなかった。それに公私を共にすることができた。したがって、二人はごく自然に一心同体になることができた。

 ところが、事業規模の拡大に伴って交際相手のレベルが高くなり、梯二郎の心の中や動きは複雑になっていった。そして、人間として急ピッチで進化していった。こうなっても寿都子が同じように人間として進化し、公私を共にすることができれば、二人の一心同体性は揺るぎが生じにくい。ところが、そうではなかったので、寿都子の「良かれ」と思っての行動が梯二郎の足を引っ張ることに結びついていった。

 梯二郎の足を引っ張ることがあまりなければ、時間と共に消える「マイナスの情緒」ですむ。しかし、こういうことが度重なるばかりであったので、人間関係を根本的に損なう「マイナスの感情傾向の悪化」という状態になってしまった。(図表21参照)
資料:渡辺高哉著『勝ち組メーカーに学ぶサービス事業戦略』(PHP研究所)の100頁
マイナスの感情傾向の背景には「全体知欠如→重大な盲点発生→重大な誤解」がしばしばあることを忘れてはなりません。いいかえれば、感情傾向適切化には粘り強い啓蒙が必要です。
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 更に悪いことに、梯二郎は何事においてもスリリングな新鮮さを求める性格の持ち主。そうであっても、寿都子が進化し続ける女性であれば問題は発生しない。ところが、そうではなかったので、寿都子は美貌の持ち主であっても梯二郎にとっては魅力のない女性になってしまった。

(節子) だから、梯二郎は中川京子、乾百子、倉沢時枝と密接な関係を持つことになってしまった。となれば、寿都子との間に夫婦関係が途絶えて久しくなったのは当然の成り行きね。でも、寿都子は梯二郎のことを愛している。そうでなければ、他の女性に嫉妬したりしないもの。

 寿都子の「良かれ」と思っての行動が梯二郎の足を引っ張ることが多くなった背景には、梯二郎の仕事を直接手伝おうとせず外出しがちになってしまったことがあると思うの。どうしてこうなってしまったのかしら?

(高哉) 事業規模が拡大して自分が偉くなったような気分になった + 主役としての自分のウェイトが大幅に減ってしまった(自分が働くなくても巧くいくようになった。店の数が増えて自分の影か薄くなった) ⇒ 目立ちたがり屋の傾向がある寿都子は自分に対する賞賛を得るための外出がついつい多くなってしまった──、という図式のなせる業だと思う。

(節子) 寿都子も性格に振り回されて臨機応変力を失ってしまい、二人の間のぎくしゃくさが一段と酷くなった。だから、娯楽の百貨店のオープニング・パーティーの時、梯二郎の命令を無視して、大垣婦人に付きっ切りでいることを止めて動き回ったために彼女を観察し切れず、梯二郎にダメージを与えることになってしまったのよね。

(高哉) そのダメージよりも夫婦仲の悪さが「男女問題の達人 = 仕事の達人」への道を歩むことによって得られる効用を知らないことに結びついた方のダメージの方が遥かに大きいよ。というのは、このことは次の図式に結びいてしまったと思うからだ。

 「快楽を追求できる事業に優る生きがいは他にはない」と思い込むようになった ⇒ 生命維持装置である家庭の温かさを味わうことができなかった。いいかえれば、精神的にリラックスできる時間を持つことができなかった

 ⇒ 自分がやってきたこと、やろうとしていることの盲点にふと気づく機会を得ることが困難になった ⇒ 強迫観念に駆られたまま仕事をすることとなった ⇒ 臨機応変力を失ってしまった。あるいは臨機応変力を再構築する必要性に気づくことができなくなった。

 二人が揃って性格に振り回されたことが最悪の事態を招くことに結びついてしまったのだ。このように言うと、「梯二郎の人間関係は共に成長する気持ちが薄くなってしまっていることに問題があるのではないか?」という疑問が呈されるかもしれない。しかし、梯二郎のこの気持ちも性格に振り回された結果であることも無視できない。


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