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個性的才能を引き出す性格診断の勧め

第2部 悲劇の人生の裏に臨機応変力のなさがある ─ 人生・仕事の問題解決者を登用しなかったことが悔やまれる ─

『孤独の賭け』から学ぶ

物語のあらすじ──行動力学の相互認識が円滑な協力を可能にする──

2007.11.4

 財政破綻の危機に瀕している日本経済が拡大均衡路線を力強く歩み、国全体が夕張市のようにならないようになるための条件は下記「三種類の人材」が揃い、崩壊しつつある共同体の再構築に成功することです。

ニューフロンティアを開拓し続ける。いいかえれば、経済活動の新しい空間を創造し続ける。こういうことに専念する。

創造された新しい空間に大きな隙間市場を創造する。いいかえれば、非価格競争力を持った製品・サービスを開発する。こういうことに専念する。

開発された、非価格競争力を持った製品・サービスを次々と効率よく市場に届けることに専念する。

 わが国経済界の人材はどうなっているのでしょうか? の役割を担える人材は豊富。の役割を担える人材はごく僅か。の役割を担える人材は見出すのが困難 ── これが実態です。

 それではを隈なく捜し出すなり、育成するなりすればすむのでしょうか? このことは極めて大事なことですが、これだけでは駄目です。なぜなら、の人材は個性が強いので、本人も周囲の人々も次の図式にはまってしまいがちだからです。

行動力学の相互認識欠如が円滑な協力を妨げる理由
行動力学を相互に認識していない ⇒ 行動力学についつい振り回されてしまう ⇒ 視野狭窄症、ひいては拘禁服着用症に罹ってしまう ⇒ 習慣や文化の壁にぶつかってしまう ⇒ コミュニケーション、ひいては協力が困難になってしまう ⇒ ビッグチャンスへのチャレンジすら困難になってしまう or 単独行動になり、成果がちんまりしたものになってしまう or 有り余る才能がありながら挫折してしまう。(参考資料 ⇒ 『周囲の人々の習慣の壁/異俗を排除する文化の壁

 日本経済はこのままでは開発途上国の急速な追い上げをかわし、米国に追いつき、追い越して拡大均衡路線に乗ることはできないのです。いいかえれば、大型増税に頼って財政再建を進めるしかなくなるのです。

 このようになることを誰も願っていません。どうしたらいいでしょうか? 次の「三つの質問」に答えることではないでしょうか。

の人材はそれぞれどんな特徴を持っているのか? それぞれの特徴は何が原因して生み出されたのか?

 人材発掘のためには必要とする人材の特徴の認識が、人材育成のためには必要とする人材の特徴が醸成された仕組みの認識が欠かせないと考えるのです。

の人材は彼我の性格と由来を認識することなく接触するとどういうことになるのか?

 彼我の性格と由来の認識という大変な作業をするためにはその必要性の心からの納得が必要であると考えるのです。
 
の人材は性格に振り回されて視野狭窄症、ひいては拘禁服着用症に罹ってしまうとどうなってしまうのか?

 個性的才能を引き出す性格診断という大変な作業をするためにはその必要性の心からの納得が必要であると考えるのです。

 上記「三つの質問」に答えることに結びつく事例研究として使うのが『孤独の賭け』です。なぜなら、この物語は人間の本質を知り抜いている故・五味川順平氏が的な人物の千種梯二郎と的な人物の乾百子の出会い・交流・別れを描いたものだからです。なお、この事例研究を通じて次の三つのヒントも掴める筈です。

必要性が急拡大してきた臨機応変力を身につける方法

 この小説の解説で三浦しをんさんは「梯二郎と百子の二人は頭が良い人物である」としていますが、これは結果論です。頭が良く、かつ適切な行動を採れるようになるかどうかは人生・仕事への取り組む姿勢いかんなのです。(具体例 ⇒ 『脳の鍛え方』)

 彼女は更に「梯二郎と百子のすれ違いは男女の差が埋められなかったからである」としてしますが、これも誤りであると思います。「梯二郎と百子のすれ違いの原因はお互いの性格を理解しあっていなかったことが臨機応変力の不足を生んだことにあることにある」と言うべきであると考えるのです。

 梯二郎は臨機応変力があったために成功を収めた。ところが、これまでの臨機応変力が通用しない世界に踏み込んだために挫折。一方の百子は臨機応変力を身につけたために、負け組みから勝ち組に転じることができた。だからと言って、将来も安泰である保証は全くない。

 以上のことは臨機応変力は必要に応じて再構築する必要があることを物語っています。成功し続けてきた人が挫折を余儀なくされるのはこの必要性に応えることができなるからなのです。

ワーキング・プァーからの脱却や所属組織を利用して力をつける方法

 百子の「男を利用してチャンスを掴む ⇒ チャンスを着実に掴み取っていく ⇒ 力をつけて独立する」という図式から「会社を利用してチャンスを掴む ⇒ チャンスを着実に掴み取っていく ⇒ 力をつけて押しも押されぬその筋の達人になる」という図式のヒントが掴める筈なのです。

 このように言うと、「フリーターの立場では無理」と思われるかもしれませんが、決してそんなことはありません。勤務先で悩まされた出来事を書いた業務日誌に基づいた、私共の質疑応答サービスを受けるだけで躍進の切り札となる創造的問題解決力が必ず身につくようになります。

「尾根を登るのは得意だが、頂上から先は不得意である」という日本人の欠点を払拭する方法

 経験則が通用しない分野で事を適切に処理するヒントを梯二郎と百子の行動分析から学べる筈です。梯二郎の場合は、この面でのノウハウ・ドゥハウの宝庫である失敗物語も提供してくれています。


〔第1幕〕繁華街をぶらついていた乾百子は千種梯二郎が乗っていた車にはねられそうになり、車から降りてきた梯二郎に激しく噛みついた。こういうことを契機に人間関係が深まることはあまりない。ところが、この二人はそうではなかった。この背景に二人の特徴があった。

 百子は負け組みから勝ち組になんとかして転じたい想いを抱いている活気溢れる女性。一方、千種梯二郎は大きな夢を先行させる、新しいもの好きの天才型男性事業家。・・・・・二人は強く惹かれあい、その結果、お互いに相手に対して大胆な賭けをすることになった。(二人のような状態になるための指針あり)

〔第2幕〕二人とも彼我の性格を知らない。こういう場合、二人ともあるいはどちらかが自己主張の少ない人間であれば波風は立ちにくい。ところが、二人とも強い個性の持ち主。・・・・・百子は「このままでは自分が大事にするマイペースの人生を歩むことができない」と思い続けていた。その上、自分の有能感が著しく損なわれた出来事があったので、梯二郎からの独立準備を密かに画策し、実行することになった。

〔第3幕〕梯二郎は大事業が一区切りついた段階で胸騒ぎがした。しかし、ポジショニングすることなく次の大事業に向けて突っ走って挫折。一方の百子はチャンスを着実にものにし続けたために念願の独立事業家の地位を獲得。この背景に二人の生き方の違いがあった。

 夢を追うことを何よりも優先させる。しかも、才覚に自信がある。したがって、どうしても拡大する自転車操業型事業展開になってしまう。これが梯二郎。洞察した環境動向に基づいてピンポイントのアイデンティティを再構築し続ける。したがって、チャンスを小刻みに掴みとる結果になるのが百子。

〔第4幕〕挫折した梯二郎は独立事業家になった百子に借金の申し入れたが断られてしまった。「梯二郎の再起のためだったら全財産を投入してもいい」と思っていたにもかかわらず。この借金は梯二郎の女性秘書のためだったのだ。

 梯二郎は自信満々の才覚でも自由にならない人間がいることを、百子は“ポンプの呼び水”となる出会いの重要性を、知ることになったのではなかろうか。


◆◆主な登場人物◆◆

●千種梯二郎

 阪急グループ創業者・小林一三に憧れて、「世界一の娯楽産業王になって自分を見下げていた人を見返してやろう」と思っている天才型青年事業家。この背景に、両親が極めて貧しい中にあっても大事に育ててくれたという生い立ちがある。

●乾百子

 定時制高校時代の不純異性交遊がばれた後、家出。その後は「ビッグになって叔父さん夫婦に復讐しよう!」という想いを抱きつつ体当たり人生。食べていくことはできたが、うだつは上がらなかった。千種梯二郎との偶然の出会いがきっかけで運命が一変して躍進を遂げることができた。

●千種寿都子

 千種梯二郎の妻。 美貌の持ち主でありながら夫にすっかり飽きられている。ボタンの掛け違えもあるが、夫の進化についていけないことにも原因がある。

●中川京子

 千種悌二郎の秘書兼愛人。梯二郎を心から尊敬し、つくしているが、それに見合う敬愛は受けているとは必ずしも言えない。

●倉沢時枝

 バー「アロハ」のオーナー・ママだったが、店を売却してしまった。その後は梯二郎が経営する娯楽の百貨店の高級レスラン部門従業員の教育責任者になった。梯二郎の愛人の一人でもある。

●サミュエル宮田

 曲者の日系アメリカ人。梯二郎登場前は倉沢時枝と深い中にあった。外出して交遊関係を広げる千種寿都子ともただならぬ仲になった模様。そして、千種梯二郎にアメリカ資本を紹介する役割を担うことになった。

●蒔田二郎

 百子の亡き兄の親友。百子の相談相手。資本主義打倒のために情熱を燃やしたが失敗。転向して安サラリーマンになってからも染まった思想から抜け出せないでいる。

●信子

 洋裁店「ボヌール」の縫い子仲間であり、かつルームメイト。百子が店主になった後は忠実な部下になった。

●乾美香

 百子の復讐相手である叔父夫婦の娘。 乾百子と性格も容姿も似ている。家出をして百子に身を寄せることになり、百子にとって獅子身中の虫となった。

東野

 政権与党の次期総裁候補の息子に娘を嫁がせるほどの超大物高利貸。千種梯二郎が駆け出しの事業家時代から資金を提供し続けてきた。

●大垣

 千種梯二郎が海外出張中に知り合い、大物につながる人脈拠点役を演じてくれている、関西財界の重鎮。梯二郎は大物を紹介して貰う代わりに東京に度々やってくる社交や事業好きの奥方を経済面で支えている。

●赤松新平

 新興大財閥・東日コンツェルンの総帥。千種梯二郎がぶち上げた日本一の娯楽百貨店構想に賛同して資本金の半分を出資。そのことにより、梯二郎の名声が一気に高まった。と同時にやっかみも生まれた。


◆◆◆考察の中心に用いた資料◆◆◆

 『孤独の賭け』(上・中・下、幻冬舎文庫)

◆◆◆考察の補助に用いた資料◆◆◆

 テレビドラマ『孤独の賭け』

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