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【斬新な着眼】
アメリカは世界から非難を浴びがちな行動を採るのはどうしてなのでしょうか? 筆者の亡き父は親類筋から痛烈な陰口をたたかれがちでした。この理由の説明がアメリカについての謎解きを容易にします。のみならず、複雑時代における組織・個人の円滑な動かした方のヒントも得られるはずです。
40半ばを過ぎて一大転進。公認会計士の資格を取るために家族を沼津に残して単身で東京の2畳のアパートに居を移して、夕食後直ちに就寝、未明に起床して勤めに出るまで勉強をする。休日は参考書のある図書館に通う。こういう生活を2年近く継続した──、等が良い例です。 彼の日常の言動も個性的で、彼の親族は恩を受けながら陰で痛烈な批判をしていたものでした。そして、筆者ではありませんが、他の子供から「お父さんのその考え方は世の中で通用しない」と言われたほどでした。 彼には、解任されそうになった公認会計士の「生活ができなくなる」…という泣きを受け入れて、旧制中学の後輩である某大企業の社長直々の仕事の要請を、別企業の不正決算の証明を拒んで監査役を解任されたばかりであるにもかかわらず断った──、という情の深さは大した評価にはならなかったのです。 筆者の亡き父の個性的な生き様はどのようにして生まれたのでしょうか? 最初の就職先である旧財閥の本社企業の上司の方針と合わないために冷遇。そこで、7年間時節到来に備えて独り勉学に励んだ。そして、彼のビジョンを実現するための次の就職先で異例の抜擢を受け、期待に応えることができた──、といったことから明らかなように、強い自尊心と強い意志力は若い時からのものだったのです。 彼は背水の陣での挑戦にも成功し、躍進を遂げてきました。日本の敗戦により、やむなく脱サラしたが、武士の商法が災いして多額の借金を抱えて40半ばで公認会計士になることを決意して、目的を達成して躍進できた──、これ等が良い例です。 となれば、ぬくぬくと生きることができる。したがって、ナアナア主義が当たり前の、圧倒的大多数の日本人の中にあって、筆者の亡き父の生き様は際立たざるを得なくなってしまいます。 帰国子女に対する物凄い陰湿ないじめが物語っているように、一般的な日本人はこのように際立った存在を排除しようとしがちです。だから、親戚筋からの痛烈な批判が生まれたのです。 台湾から沼津に、沼津から奈良県の山村に居を移したことのある私にもこの種の被害者経験があります。私の場合は、言葉だけではなく、集団からの肉体攻撃も受けました。 そうです。筆者の亡き父に対する非難は彼の周囲の人間の偏狭さから生まれたものなのです。何事に対しても「どうしてなのか?」という疑問を抱く柔らかい心で、世の中全体の動きを学問する努力をしない限り、どうしても“井の中の蛙”になってしまうのが人間なのです。このことは集団主義の中で長いこと生き続けてきた日本人に特に当てはまります。 同じことがアメリカ以外の国とアメリカについても言えるのです。なぜなら、アメリカは世界でも珍しい人工国家であるために、個有の行動特性を生み出したからです。
アメリカは自然発生的にできあがった国ではありません。原住民、イギリスからの移民、しばらくしてからの他国からの移民…から成り立つ人工国家です。このような国が国家としての統合を保つためには、それなりの工夫が要ります。この工夫が伝統となり、樹木における節のような「宿命的な力学」を醸成した、と考えられます。 この「宿命的な力学」が手伝って、アメリカは世界ダントツの超大国になったのだ、と理解できます。そして、世界におけるこの立場が独特の行動の必要性を生み出しました。 普通の人間集団のことを想起すればお分かり頂けますように、リーダーとリーダーに従う人の意識や行動は大きく異なりますが、同じことが国際社会でも言えるのです──、この「アメリカの国際社会における固有の立場」もアメリカの国際社会での行動を他国と大きく異なるものにしています。 アメリカの宿命的な力学とは何か? この力学はどんな行動の特徴を生み出しているか?──、今回はこの疑問に筆者なりの回答をさせて頂きます。
以上の説明を読み、「アメリカをひいきにするのもいい加減にして欲しい」という反感が筆者に対して沸いてくる人がおられることでしょう。その気持、すごく良く分かります。なぜなら、二つのことが指摘できるからです。
こういう事実を受けて、わが国の一流月刊誌に「もうアメリカには頼るまい」「さらば、落日の経済大国」等、アメリカ不信の論文が目立つようになりました。 筆者も読みましたが、内容に納得できませんでした。なぜなら、アメリカの体質分析、アメリカの体質改善策、アメリカの良さを積極的に活用する戦略発想…のいずれも欠落していたからです。「醸成された企業体質を踏まえることなく、あるべき企業革新の方法をわきまえることなく、空論をとうとうと述べがちなコンサルタントのようだ」…とすら思いました。 世界経済はデフレの波に襲われつつあります。このような状態から脱出するためには、アメーバー的な事業展開から脱出しなければなりません。さもなくば、「ゼロサム的な事業展開が横行する ⇒ 新しい雇用を大量に生み出せない ⇒ パイの奪い合いから来る紛争が拡大する」という図式とになって、人類は再び不幸な事態に陥ってしまうことでしょう。 このように考えますと、世界はアメリカの力を活用しなければなりません。なぜなら、孫悟空のような企業家を輩出することではアメリカは世界ダントツの国だからです。 ビジネス・パーソンを平等に扱うのではなく、スバ抜けた能力を持ったエース的な人材中心の経営を行うことにより、成長の限界を打破する。 ── これがこれからの企業経営のあるべき姿ですが、同じことが世界経済についても言える、と考えているのです。 但し、「エースを抜擢する ⇒ エースのノウハウをシステム化する ⇒ 他のビジネス・パーソンを育成して、エースの数を増やす」という図式実現のための工夫が必要であるのは、企業経営だけではありません。世界経済も同様です。そこで、人類の繁栄のためのアメリカと世界の関係のあり方についての要約的な提案を次号以降の『斬新な着眼』においてさせて頂くことを予定しています。 (企業経営におけるエースの抜擢・登用の仕方については『勝ち組メーカーに学ぶサービス事業戦略』を、エースの数を増やす方法については「経験の浅い人材でも高質のサービスを提供できるようにする」をお読みください) アメリカのことを理解できるようになったでしょうか? 視野の狭さ、洞察力の大幅不足が誤解を生み、信頼して協力関係を築くことができないために、幸せになり切れないのは国と国の関係だけではなく、個人間でも少なくないのだなあ… ── こういう結論に達して頂けたらとても嬉しいです。 交渉相手の「宿命的な力学」を見抜いて適切に対処しない限り、いかなる交渉事の円滑な成功も望めないのです。これは樹木の節に逆らった彫刻作品の出来栄えが決して良くならないのと同じことなのです。 (前号に戻る) (次号に続く) 筆者の母は遠隔地に引越しをしました。でも、91歳という高齢から来る難聴のために電話での会話ができません。そこで、筆者は知的好奇心旺盛な彼女が興味を持ちそうな話題を提供するためのメールをせっせと送り続けています。上記文章は、このメールから抜粋し、加筆・添削したものです。
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