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個性的才能を引き出す性格診断の勧め

第2部 悲劇の人生の裏に臨機応変力のなさがある ─ 人生・仕事の問題解決者を登用しなかったことが悔やまれる ─

『孤独の賭け』から学ぶ

負け組から大飛躍に成功したが、勝ち組の維持は容易ではない

2008.1.13

物語のあらすじを予め理解しておくことをお勧めします

相手の心を揺さぶるパフォーマンス力があった

(節子)
百子が初対面の梯二郎に対して言いたい放題であることができたのは、次の図式が実現されていたからだということは分かった。

 元々自信があったので積極的な姿勢を採ることができた ⇒ 梯二郎と濃密なコミュニケーションをした ⇒ 梯二郎はすこぶる有能な人物であり、しかも、自分のことを気に入っていることが分かった ⇒ チャンスであるので「自分を思い切ってぶつけてみよう!」と思った。

 梯二郎が乗っていた車にぶつかりそうになって噛みついた時もそうだったけど、この思い切った言動が梯二郎の心を掴むことに結びついたのはどうしてなのかしら?

(高哉) 「初対面でこういう言動を採ることができることはスリルが味わえる女性だな。気に入った」となったからだと思う。梯二郎の性格にぴたっときたんだろうね。

(節子) 百子のこうした言動は付け焼刃ではない。鍛え抜き、確立された地から出たものよね。ボヌールを乗っ取る前に信子と同居していたアパートを引き払い、家賃1万5000円のアパートを思い切って借りてしまうんだから。今の貨幣価値に換算すると約15万円の家賃だから凄いわよ。

 信子とアパートを同居しなければならないほどの安給料。これだけだったらとてもそんなことはできない。ところが、「ボヌールの仕事を板の間でするために持ち込む。乗っ取ることができれば、引き払ってボヌールに乗り込む」という思惑が大胆な行動を可能にしたのよね。これって、彼女の地は並みのものではないことを意味している。

 ということは、前回の議論で貴方が言っていた、地を確立するための図式にある「自分の潜在能力に磨きをかける」には次の図式が当然含まれいるということになるわね。

 揺るぎのない信念がある ⇒ 逃げの姿勢を封じ込めて難問解決に立ち向かう ⇒ 海馬が鍛えられ、脳のシソーラス機能の拡充が進む。

 貴方が解雇処分を覚悟して三菱総研時代にマルチクライアント・プロジェクト『新規事業開発の手引き』を独断で決行して大成功させることができたのは、貴方がこのような図式を実現させていたからなんでしょうね? (詳しくは ⇒ 『新規事業開発成功に必要な理論的条件が完備していた』)

(高哉) その通りだよ。僕の人生は海馬が鍛えられ、脳のシソーラス機能の拡充が進まない方がおかしいほど波瀾万丈だったからね。百子は僕とは全く違った人生を歩んできたけど、長期の特訓を受けたようなものであるという意味では似たところがある。

 だから、娯楽の百貨店のオープニング・パーティで梯二郎のことを陰でこき下ろしていた招待客の一人にののしりの言葉を浴びせた上でビールをぶっかけるようなことをやってのけたんだよ。もっともこの大ハプニングの背景には次の事情があったんだけどね。

百子は鋭敏な感覚に基づいてアイデンティティを追求・確立させる習性を持った人間である。
確立されたアイデンティティは有能感を味わうための手段にも用いられる。
百子は自分の有能感が損なわれると、激怒する。
梯二郎に対する尊敬の念は確立されたアイデンティティである。

(節子) 百子の良さも気持ちも凡人には分からないわね。だから、百子は自分の秘められた才能を見抜いてくれた梯二郎がけなされたことに我慢ができなかったのね。

 百子の難しさというかデリカシーというか特徴を確認したいために聞くんだけど、このオープニング・パーティの席上で梯二郎の秘書・中川京子に「おめでとう」を梯二郎に伝えることを頼んだ。ところが、パーティ終了後二人で会った時、梯二郎からこのことについての言及がなかったので、百子は訪ねてきてくれた梯二郎を怒って追い返してしまった。どうしてこうなってしまったのかを説明してくれないかしら?

(高哉) (「おめでとう」の背景にある百子のアイデンティティを梯二郎が知る由がない ⇒ 百子は自分の有能感を満足させるために梯二郎の反応を早く知りたかった) + 梯二郎からなんのコメントもなかった ⇒ 「おめでとう」という言葉が梯二郎に伝わっていると思いこんでいた百子は有能感を味わうことができなかったために、自尊心が傷ついた。と同時に、梯二郎は自分が大事にすることを大事にしないことを知った──、という図式のなせる業だと思う。

 自分が大事にすることが無視されたり、軽視されたりすると無性に腹が立ってくるもんだよ。僕の場合はそういう人とは個人的な付き合いをしたくないね。

(節子) 話は変わるけど、百子はデザイナーやバーのマダム業の才能を持っているだけではなく交渉の達人でもあるのよね。自分のデリカシーが理解されないと激怒する人間がどうして交渉上手なのかしら? 直ぐに激怒するような人間は交渉下手になるのが普通でしょ。違うかしら?

(高哉) 大事を成し遂げるためには情勢を冷静に分析・判断して自分の心を激しく揺さぶって行動することが必要になる。したがって、「直ぐに激怒する = 交渉下手」とはならない。百子が若くして交渉の達人になったのは、二つの図式が合体しているからだと思う。

図式1 「なんとかしなくては」という想いが強い ⇒ 自分を取り巻く環境の変化を鋭敏に感じ取ることができる ⇒ 鋭敏に感じ取ったことを反映させてアイデンティティを追求・確立する。いいかえれば、提起される意見は核心を突いたものになりやすい。

図式2 自分だけが頼りであるという想いが強い ⇒ 脳力・能力によって世の中とつながっていけるという想いが強い ⇒ 自分の考えだけが安全保障の源であるという想いが強くなる ⇒ 物事を深く考える ⇒ 論争に勝つことによって有能感を味わいたいという想いが強くなる。

(節子) 百子には頭のシャープさと押しの強さが備わっているのね。交渉の達人になって当然であることがよく分かったわ。このことと百子が住み込みの女中時代に亡き兄の親友である男性を家の中に堂々と引き入れていたことと関係があるのかしら? 図々しいというよりは度胸があると理解したんだけど…。

(高哉) 度胸があるのは結果であって百子の本質を理解するためには心の中を覗く必要がある。次の図式のなせる業ではないかと思う。

 「なんとかしなくては…」という想いが強い + 自分だけが頼りであるという想いが強い ⇒ 「主体的に生きたい」という基本的なアイデンティティが確立されるに至っている ⇒ 自分が思った通りに行動する習性が身についている。

(節子) 百子は先行き不透明時代の成功のパスポートである臨機応変力の素養たっぷりの人間なのね。この背景にある地を、百子のような人生を送らなくても創るためには、理論的には次の図式を実現させることよね。

 壁を何度も乗り越えるような人生を送る ⇒ 海馬が鍛えられ、かつ脳のシソーラス機能の拡充が進む ⇒ 臨機応変力の強化が進む。

 でも、簡単じゃないわね。余程の人でないと、壁を何度も乗り越えるような人生を送るなんてことはできないもの。どうしたらいいのかしら?

(高哉) 格言「好きこそものの上手なれ」の世界に入ることだよ。やりたくてやりたくてしょうがいなことだったらどんな大変なことでもへこたれないからね。それでなければ、貴女がさっき言ったような離れ業はできるもんじゃないよ。ユニオンでの請負の仕事も同じだった。

(節子) 性格が生み出したテーマを追ったからこそ孫悟空のような離れ業をやってのけたのよね。となると、さっきの図式実現に結びつく人生を送れるようになるためには、自分の性格と由来を知って、磨き上げるに値する個性的才能が何であるかを明らかにしなければならない。

 となると、こういうことを最低限可能にする個性的才能を引き出す性格診断は避けて通ることができないわね。でも、個性的生き方をするのは、KY(空気が読めない)を問題にする今の日本の社会では容易ではないような気がするの。この点をどう考えたらいいのかしら?

(高哉) 横並びの生き方を支えてきた互助を可能にしてきた共同体が崩壊してしまった。にもかかわらず、染み付いた習慣に振り回されていることがKY(空気が読めない)を問題にする風潮に結びついている。このように考えるべきだと思う。

 生きがいのある楽しい人生を送りたいのであれば、適切な方向で個性的生き方をするしかないよ。(理由 ⇒ 『人生の落とし穴に嵌りこんでしまってもいいのか、適切に羽ばたく人生を送りたいのかを考えよう!

(節子) ワーキング・プアー問題もこの風潮と同じようにとんちんかんなところがあるんでしょうね。小泉改革に責任を押し付けようとしているけど、グローバリゼーションが互助を可能にしてきた共同体が崩壊させたことに本当の原因がある。このことに貴方の今の説明を聞いていて確信が持てるようになったの。

 KY(空気が読めない)を問題にする風潮とワーキング・プアー問題が示すように現実直視力を失い、方向音痴のような状態になってしまっている背景には、性格に振り回された生き方があるんでしょうね。性格に振り回されると、心が自分の欲求に合うものだけに集中し、他のものを排除するようになってしまうもの。

(高哉) その通りだよ。貴女がさっき言った個性的才能を引き出す性格診断の必要不可欠性はここにもあるんだ。この診断を受ければ、現実直視力が強化され、方向音痴のような状態になることを防ぐことができるからね。


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