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【斬新な着眼】



→辛い自己否定をしなくても、新しい活路開拓に成功できる。大切なのは適切な進路設定なのだ ― 英国の食品雑貨チェーン・ストアー「Tesco」のインターネット・ビジネスへの進出の仕方から考える〈2000/3/3〉

 環境に適応できなければ、この世の中から消えていくしかない。この「適者生存」の法則は働く人や企業に等しく適応される。だが、永遠に繁栄し続けることは困難を極める。特定の環境に長期にわたって忠実であり続けると、新しい環境に適応しにくくなり、成功要因が逆に失敗要因に転じてしまうことにより生まれる「盛者必滅の理」があるからだ。

 わが国は大変容の時代を迎えることとなった。働く人と企業を取り巻く環境ががらりと変わってしまったのだ。このような時代を迎え、「生き抜くためには過去を否定しなければならない。だから、新しい活路や突破口がゲットできないのだ」と嘆く、サラリーマンや企業が少なくない。

 このような方々に申し上げたい。「適切な進路を設定することに成功しさえすれば過去の歩みをそっくり生かしながらでも、新しい活路開拓に成功できるのだ」と。

 「これだ」と思える活路が見付かったならば、現有能力を駆使できる戦略を策定して、チャンスに逸早く対応する。新しい進路を歩みながら理想とする準備をする。これが時代に相応しく自己を再構築する最良の方法なのだ。英国の食品雑貨チェーン・ストアー「Tesco」のインターネット・ビジネスへの進出の仕方の考察がこの格好の事例となるであろう。

 Tescoの保有店舗数は約650。この内、100店舗でインターネット・ホーム・ショッピング・サービスを行い、登録顧客数30万人、1週間の売上高25万ポンドの売上を誇っている。この数字はこの種の事業では世界一。同社はこれに満足することなく、間もなくこのサービスを提供する店舗数を300、顧客数を100万に拡大するとのこと。

 同社のインターネット・ホーム・ショッピング・サービス業は規模の大きさを誇るだけではなく、十分な利益をあげているとのこと。この成功の秘訣は一体どこにあるのであろうか。

 大規模のインターネット小売業というとすぐに浮かんでくるのは、Sainsbury'sなどのライバルがそうであるようなコンピューター化された集中配送センター。ところが、同社はこのような常識的なやり方を採用せずに、同社保有の約650店舗のネットワークを利用している。この背景にどんな戦略が潜んでいるのであろうか。

 顧客が広範囲の品揃え並びに配送スケジュールの中から商品を選べるようにすることでライバルとの差別化を行う。大型の固定投資を避け、この差別化を直ちに実行する。と同時に、人海戦術からくるコストを吸収して余りがあることを利用して、高利益をあげる。こういう戦略が潜んでいるのであろう。

 ところで、この戦略は長期にわたって成功を保証してくれるのであろうか。「否」であろう。標準的なソフトを使っているために起きている「ホームページの利用が不円滑」という既に発生している顧客からの苦情が増す。配送センターが規模の利益を享受できない。こういった根本的な欠点が同社のインターネット・ビジネスが繁盛すればするほどクローズアップしてくるだろうからだ。

 だからといって、同社が採用した戦略を批判すべきではない。理想的な準備を整えてから事に臨むことは新しいチャンスを掴むことができないことに結びつく。それに情報関連の技術は日進月歩。となれば、市場開発を先行させ、ぎりぎりのところで大型の固定投資の決断を行うべきだからだ。

 ところで、このTescoの例は企業経営のあり方のヒントにしかならないのであろうか。「否」である。なぜなら、「現有能力を活用しながら新しい活路を開拓したい。でもどうしたら良いか分からない」と思い悩んでいる個人は少なくないはずだからだ。

 会社経営、担当している仕事、個人の立場を問わず、過去の歩みや現在の能力を生き生きと活用できるヒントを、Tescoのインターネット・ビジネスへの進出の仕方から学んで頂けたら幸いだ。

 その際に不可欠な戦略発想のヒントを他からも学びたい方は、「ざん新な着眼」のバックナンバー『弱点を逆手にとって飛躍する方法〈1999/10/1〉』、『大胆なアウトソーシングが業績拡大を可能にする〈1999/6/22〉』、『中小企業の大企業迎撃作戦のあり方〈1999/7/13〉〈1999/7/16〉〈1999/7/20〉』並びに『歴史ある企業が負け組みから勝ち組みに転じる方法〈1999/9/17〉〈1999/9/24〉』をご参照願いたい。


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