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【斬新な着眼】



→弱点を逆手にとって飛躍する方法 ― ソニーが娯楽ビジネスで試行錯誤をした結果に 学ぶ〈1999/10/1〉

 ソニーはハリウッド・ビジネスに乗り出して大失敗したことがある。にもかかわらず、それから僅か2年間で娯楽番組提供企業としてグローバルな事業展開に成功しつつある。62カ国で24チャンネル程度を持つに至っているのだ。

 インドでの同社の活躍には特に目覚しいものがある。同国の人気ナンバーワン商業テレビのZeeとトップの座を争ってつばぜり合いを演じており、あのRupert Murdock氏が率いるStar TVはソニーの前にすっかり影が薄くなってしまっているほどなのだ。

1、ソニーが米国以外で娯楽番組提供企業として成功しつつある理由

 「ソニーは先進的な企業。でも、所詮は製造業。ハリウッド・ビジネスの体質とは相容れない。だから、大失敗したのだ」と酷評された企業がどうして上記したような世界的な地位を短期間で占めることができたのであろうか。

◎失敗の中に成功の因子があったからだ

 アメリカの名だたるコンテンツ・メーカーはコンテンツを放映するテレビ網を握っている。したがって、後発企業ながら米国で娯楽ビジネスで一旗あげようとするのであれば、スタジオ・ビジネスに乗り出すだけでは片手落ち。放送事業にも乗り出さなくてはならない。ところが、ソニーはこの点の配慮が全く欠けていた。

 こういうこともあって、ソニーはハリウッド・ビジネスに失敗したのだが、この失敗の因子が逆に娯楽ビジネスをグローバルに展開するに際して成功の因子となった。

 テレビ放送事業をも併営するコンテンツ・メーカーは放送網の収益性にも配慮しなければならないので、コンテンツ開発はどうしても本国至上主義とならざるを得ない。一方、米国に放送網を持たないソニーは身軽であるので、現地至上主義の立場でコンテンツ開発を行うことができるのだ。

◎世界商品にローカル色を付加しているからだ

 現地至上主義の立場でコンテンツ開発を行うことができる。だからといって、進出する国毎に全く違ったコンテンツを新規に開発するのでは採算が採りにくい。そこで、世界中に通用するアクションものを、極力現地の言葉で放映することで勝負することにした。今年度の実績で、英語版が1,700時間であるのに対して、外国語版が4,000時間近くになっているほどなのだ。

◎鬼のいない間に放映網を獲得できたからだ

 米国勢は外国にも進出しているが、本国市場主義が影響して本国用のコンテンツを横流しするだけ。一方、ソニーの方はローカル色を十分出せるように、進出した国にコンテンツ開発のための投資をも行っている。だからこそ、インドのような成功を収めているのだ。

 したがって、ソニーは米国以外では比較的楽にテレビ・チャネルをしっかりと握ることができたし、これからも成功することが予想されている。

2、戦略発想が必要不可欠な時代になった

 槍の名手の道場に一刀流の名手が道場破りに訪れてきたら、直ちに道場の外に出る。これが槍の名手が先ず採らなくてはならない行動。自分の良さを活かしきるための環境の選択。これこそが戦略的行動の典型。

 でも、戦略は戦う環境の選択ばかりではない。ある顧客の欲求を十分に満たすために、他の顧客を捨てる。これも戦略なのだ。

 したがって、「カイゼン」の追及が可能であったり、平等主義の社会では戦略は要らない。だから、わが国では戦略発想は必要ではなかった。ところが、模倣は通用しなくなりつつあるし、また顧客のニーズは個性的になってきている。となれば、企業は生き抜くためには、戦略を策定せざるを得ない。




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