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【斬新な着眼】



→中小企業の大企業迎撃作戦のあり方(その3)― インターネット小売業の雄である、AmazonとeBayの戦いに学ぶ〈1999/7/20〉

 eBayは同社より経営基盤のしっかりしたAmazonと相対で価格を決める競売市場で競争することとなった。eBayはどうしたらよいのであろうか? Amazonが得意とする固定価格市場に進出するだけでよいのであろうか? 「否」である。

 eBayは同社の牙城においても、Amazonに比べて2種類の弱点を持っている。商取引は自動化されているとはいえ、競売価格が決まった後、買い手は小切手を送り、その現金化を待たなくてはならない。その上、注文した品物を手にするのに最高2週間待たなくてはならない。こういった取引の厄介さが第一の相対的弱点である。

 取扱商品の種類を比べると、eBay200万であるのに対して、Amazon1600万。これがeBayの第二の相対的弱点である。

 その意味で、eBayがクレジット会社並びに中古車のコレクション会社を買収したことは正解である。

 eBayの現事業の補完は上記したことだけで事足りるであろうか? 「否」である。なぜなら、次のことが指摘できるからだ。

 趣味性が高かったり、中古品であるために価格の設定が困難だから、競売にかけるわけだが、インターネット上のみでは取引できないものもある。現に、eBayのこれまでの取引でも、商品を実際に確認する場合が少なくなかった模様。言い換えれば、店舗保有の必要性があったのだ。

 eBayが必要性がありながら、店舗を持たなくてすんだのは、インターネット上での競売分野で同社は独壇場的な立場だったからだ。ところが、これからはそうはいかない。店舗販売をも視野に入れたAmazonが競売市場に乗り出したからだ。

 それではeBayはどのようにして店舗を持った事業を展開すべきであろうか? 同社経由で中古品を販売してきた業者を対象にしたフランチャイズチェーン。このような事業展開が考えられる。なぜなら、次のことが指摘できるからだ。

 同社の売り手の20%が取引金額の80%を占めている。ということは、個人ではなく、業者が売り手の中心的存在になっていることを意味する。この業者達はAmazonが競売市場に乗り出し、かつ店舗を自ら持つことに対して、「店舗を持った上で、インターネットを使った競売を行うライバルが登場するとあれば、商売がきびしくならざるを得ない」と不安に思い、事業戦略の再構築の必要性を感じているかもしれない。

 上記「推論」が正しいのであれば、eBayと中古品の店舗事業者はお互いの力を合わせたAmazonへの対抗戦略を考えてもおかしくないのだ。

 Amazonが世界中にデリバリー・センターを確立し、かつ店舗を自ら持つ。いいかえれば、Amazonが固定投資型の事業展開を志向するのであれば、eBayは店舗事業者と力を合わせて、逆方向の事業展開を行う。具体的には、eBayはフランチャイズチェーンの本部機能を確立し、上記「店舗事業者」を組織化する。いいかえれば、徹底的に知識集約型の事業展開を心がけ、経営行動の敏捷さで差別化する。こんなことが考えられるのではなかろうか。

 但し、eBayがフランチャイズ・チェーンの本部機能を果たす以上は自らがモデル店舗を経営しなければならないのは言うまでもないことであろう。

 中小企業の大企業迎撃作戦のあるべき姿をこれまで述べてきたことを踏まえて総括すると、次の通りである。

 自分の牙城を守り抜くために、相対的並びに絶対的な弱点を補完する。その上で、この大企業との正面衝突を避けるために、棲み分けを可能ならしめる事業戦略を策定し、実行する。そのためには、殴り込みをかけてきた大企業の事業戦略を推理も含めしっかりと把握し、この大企業の経営行動の可能性と限界性を把握しなければならない。 (完)

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