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【斬新な着眼】



→歴史ある企業が負け組みから勝ち組みに転じる方法(その2) ―ドイツの
Preussag社の鮮やかな変身から考える〈1999/9/24〉

2、事業展開シナリオをコンサルタントと共同して創る。

 市場規模が大きく、かつ高い成長を見こめる分野にどんなものがあるのか。どの分野を転進先に選んだらよいのか。どんなコンセプトの事業を行ったらよいのか。どのような手順で事業展開したらよいのか。成長分野への進出に成功したいのであれば、この4段階の設定作業を先ず行わなければならない。

 情報・通信、バイオテクノロジー、コンサルティング、その他のサービス経済などがこれからの成長分野。Preussag社はグローバルな余暇生活の提供を、パッケージ・トラベル事業として行うことを決定したのであった。そして、事業を軌道に乗せてから、リゾート・クラブ事業に進出した。

 上記「事業展開の手順」は予め考え抜いていた方がよい。なぜなら、事業展開の手順を予め設定しておくと、問題意識が旺盛になり、変化の連続の中に身を置くことを可能ならしめ、異変を予知できるようになるからだ。

 未来社会を見抜き、将来の事業目標をずばっとブレークスルー発想し、この事業目標を合理的に実現するシナリオを創る。適切な事業展開シナリオを策定するためには、このような能力が必要となる。したがって、このような知的作業は誰でもできるというものではない。それ相応の才能と修練を必要とする。

 ところが、「カイゼン」主義を気が遠くなるほど追及し続けてきた日本的経営はこのような才能を必要としなかったので、潜在能力を磨くチャンスがないに等しかった。したがって、創造性の高い事業展開シナリオを策定したいのであれば、外部専門家の力を借りる必要があろう。

 だからといって、外部の専門家に丸投げというのよくない。なぜなら、このようなことをすると、自分の会社の実態に合っていない。自分の好みと違う。与えられたものであるために、挑戦精神が沸いてこない。論理構成がしっかりと記憶に留まっていないので、臨機応変の行動が採れないなどの弊害が生まれるからだ。

 上記したような弊害が生まれないようにするためには、事業推進の責任者や当事者が外部専門家と力を合わせて事業展開シナリオを創ることを薦めたい。

 ところで、成長分野に進出するために必要な経営資源の調達方法だが、M&Aが必要になる場合が多い。理由は三つある。今の時代、いかなる成長分野であっても、事業を具体的に展開している企業が存在する。これが第一の理由。「こうすればもっと事業が拡大でき、収益が上がるのに」と思える企業が必ず存在する。これが第二の理由。「チャンスは後ろ髪のない禿坊主のようなもの」という格言が重みを持ってきたので、市場参入を急ぐ必要がある。これが第三の理由。

 M&Aは相手があって実現するもの。したがって、事業展開シナリオ通りに成長分野に進出できるものではないので、銀行などのM&Aを斡旋してくれるところに相談して、事前にフィージビリティ・スタディを行う必要があろう。

 事業展開シナリオ策定のための専門家登用にしろ、M&Aのフィージビリティ・スタディにしろ、費用が必要になる。「ケチれば損する」ことを肝に銘じて積極的な出費を行うことを薦めたい。このような時に備えて、「1、成長分野に進出する財源があることをしっかりと認識する」があったのだから。

 それから、事業展開シナリオを適切に策定すれば、「折角提起された戦略に予算がついていかない」あるいは「折角提起された戦略が社内の保守派によって葬り去られる」といったような悩みは大幅に減るであろう。

 なぜなら、手当たり次第に事業化するのでは、企業間競争に敗れてしまう。したがって、経営全体のことを考え、相乗効果が高く、かつ成長性の高い事業から順次手がけるべき。事業展開シナリオはそもそもこのような考え方に基づいて策定すべきものだからだ。(経営全体の相乗効果並びに成長性が高い事業に対しては、いかなる保守的な考え方の持ち主であっても、反対しにくいものなのだ)

3、新分野で成功するために、クリエイティブ・マネジメントを行う

 M&Aは段階的に行うべきであろう。なぜなら、M&Aによる新分野への進出の成功実績があった方が資金調達をしやいからだ。それから、市場規模が大きく、かつ成長性の高い分野は数多くの競合企業がひしめくので、優位性の高い差別化を実現し続けなくてはならない。

 Preussag社を例にとると、2種類の施策が必要になる。同社の旅行代理店網の顧客吸引力を強化し続ける。これがひとつ。そのために、イベントの販促業を確立し、世界中の大小のイベント収集をペイさせる。こういった工夫が必要になろう。

 旅行代理店、ジェット機チャーター、ホテル・リゾートクラブなどの各事業ユニットを独立採算制にし、甘えのない経営を行うこと。これがもうひとつ。この趣旨を徹底するためには、少なくとも、経営幹部には特別のインセンティブの付与が必要となる。具体的に言うと、長期的インセンティブとしてストック・オプションを、短期的インセンティブとして部門別の総資本収益率によるボーナス査定制度を、それぞれ採用することが不可欠かもしれない。


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