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【斬新な着眼】



→成熟市場でヒット商品をつくる方法 ― 懐石料理店「梅の花」などの躍進の秘訣から考える〈1999/8/31〉

 ウォークマンのような隙間商品がひしめいているので、新しいコンセプト開発のしようがない。画期的な技術による「カイゼン」を加えても、コストアップに見合う価格アップが難しい。このような市場成熟化現象に悩まされ、業績低迷を余儀なくされている企業が少なくない。

 このような状態から脱するには、「情報通信やバイオテクノロジーなどの成長分野に進出するしかない」と思われがちだが、古くからある業界の中にあって、急成長を遂げつつある企業がある。その名は懐石料理店「梅の花」。

 福岡県久留米市で夫婦だけで始めたこの店の数は毎年5〜10店舗づつ増え、東京にも進出し、今や46店舗。今年4月には店頭公開株の企業となった。数多くのライバルがひしめく伝統的な業界内にあって、このような躍進を遂げることができた秘訣はどこにあるのであろうか。

◎特定顧客層だけに絞り込んだ商品開発を行ったからだ

 男性をばっさりと切り捨て、女性客だけを顧客にすることを決断。したがって、女性客のニーズに徹底的に応える商品開発を行うことができた。

 成果よりも投入した努力の多寡の方を重視する。自分が存在する空間の雰囲気をこよなく重視する。そして、財布の紐が堅い。女性は男性に比べてこういう度合いが強い。

 それから女性とは限らず、今の消費者は高級な素材を使った料理を求めて外食をする度合いが減っている。金額の張る素材を使った料理は家庭で味わえるなどが原因しているからだ。したがって、消費者は「外食するのであれば、健康に良い素材を使い、しかも、プロでなければできない料理を味わいたい」と思っている場合が多い。

 懐石料理店「梅の花」の得意料理は手間のかかった、一人前3000〜5000円の豆腐やゆば料理が中心だが、この背景には、上記した女性の特徴並びに消費者一般の嗜好傾向を十分に考慮に入れたことがあるものと思われる。

 同店の得意料理はいかに手間のかかった料理であっても、原価率は低いはず。言い換えれば、豆腐やゆばを使った懐石料理は超高付加価値商品なのだ。だからこそ、客はこの料理を高級料亭の雰囲気の中で比較的低価格で味わえるのだ。

 健康志向という大義名分の下に、低価格の素材を使い、超高付加価値商品を開発した。なるが故に、消費者の喜ぶ付帯サービスを付加することができた。懐石料理店「梅の花」の経営には実に鮮やかなものがある。この背景には、特定の顧客層に絞り込むだけではなく、消費一般のトレンドにしっかりした対応したという意味で、真のマーケットイン・アプローチによる商品開発がある。

◎既に存在する需要に対応する商品であったので、市場開発が容易だったからだ

 特定顧客に絞り込んだ商品であっても、これまでに存在しない市場を開拓するのであれば、マーケティング面での多額の先行投資が必要となる。なぜなら、布団乾燥機が世の中に始めてデビューさせた時のメーカーの苦労が如実に物語っているように、これまでに存在しない市場を開拓するためには、習慣の壁を取り除くなどが必要となるからだ。

 「梅の花」の健康会席料理はこのような苦労をする必要がなかった。なぜなら、会席料理は既に存在する料理だったからだ。同店は先発企業が開発した市場が抱いている不平・不満・夢を解決あるいは実現することにより、開発済みの市場を切り取ったり、あるいは潜在需要を顕在化させて、自分のものにしてしまったのだ。

 上記の布団乾燥機がそうであったように、新市場の開拓は多額の先行投資を必要とするので、財力の乏しい中小・零細の企業が採るべき開発行動ではない。どうしてもそのようなことをやりたいのであれば、インターネット関連企業のYAHOO!のように、大きな成長が見こめ、かつ多々益々弁ずになるような分野に限るなどの工夫が要る。

 豪華客船でアジアを年末年始の旅行をする企画が評判を呼んでおり、成功しそうだが、これなども「梅の花」の健康会席料理と似た発想と言えそうだ。なぜなら、豪華客船での旅は開拓済みの市場であるので、習慣などの壁はない。ここまでだったら、需要が供給を大きく上回る状態でもなければ、事業としては成立しにくいのだが、この場合はそうではないのだ。

 「2000年問題」があるために、2000年1月1日にまたがる空の旅は危険。したがって、折角の年末年始の海外旅行ニーズは充足されにくい。言い換えれば、海外旅行需要が一時的に満たされないのだ。この需要を頂こうというのが上記「企画」なのだ。この背景には、船であれば、直前に手動に切り替え、しかる後に自動に容易に戻すことができることがあるのだ。

◎複合融合型商品であることが買い得にしているからだ

 前述した「プロでなければできない料理を味わいたい」は「新しい料理のし方を覚えたい」という想いも含んでいるはずので、同店は顧客に一石二鳥のメリットを提供しているのかもしれない。なぜなら、顧客は同店に行けば、お洒落な外食をしながら、新しい料理のし方を学べるからだ。

 但し、上記「一石二鳥のメリット」を顧客に提供し続けるためには、消費者の上を常にいく、新しい料理を開発する能力が必要となるのは言うまでもない。


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