[TRI] Total Renovation Institute 新創業研究所
E-Mail: info@trijp.com
TEL: 04-7138-5421(代表)
〒277-0886 柏市西柏台2-3-1 柏ハイライズ106

新創業研究所が掲載した数多くの有益コンテンツがGooleで第1位にランクされています

トップページ


日本の新しい進路を提言する
─ その場しのぎとの決別の勧め ─

第2部 日本再生の鍵は国民パワーのフル回転である

日本再生の近道は社長力抜本的強化である

2007.5.27

社長の生命線は臨機応変力になった

(節子) 日本から工場が中国を中心にアジアにどんどん出て行ってしまったので、産業の空洞化なんてことが言われてきた。だけど、最近は回帰現象が目立ってきたわね。次のようなことがこの背景にあると理解して良いかしら?

 規格型大量生産品の需要が廃れ、移ろい易い多様なニーズに適応することが必要になった。いいかえれば、短納期の実現が必要になった。こういう変化をチャンスとして捉えた適切な対応をとることができた。例えば、大阪府泉州地区内のニットメーカー関連業者が融通しあって臨機応変の生産能力を実現できるようになったように…。

(高哉) その通りだと思う。系列取引が崩れたために下請けの専門企業は自活しなければならなくなり、製品のファッション化の傾向に目をつけてうまくいった良い例だね。

(節子) 先行きがどんどん不透明になることをフォローの風にするためにはどうしたら良いのかしら?人間って慣れ親しんだ生活リズムをとても大切にする動物だから口で言うのは簡単だけど実行は難しいわよ。

(高哉) そんなことを言っていたら生きていかれなくなるよ。ドイツの高級車は有名なアウトバーンでの走行とマイスター制度が培った匠の技術が結びついて高速性と快適性を実現させた“究極の車”になった。だから、メルセデス、アウディ、ポルシェ等の圧倒的なブランド力が生まれた。ところが、この憧れの車に陰りが見えてきた。というのは、

 「開発途上国に消費ブームが生まれた ⇒ 低価格車の需要が急拡大した」「地球環境問題が深刻に受け止められるようになった ⇒ ガソリンをがぶ飲みするような高速性と安全性を誇る大型車が忌避されるようになった」という二つの環境変化がクローズアップしてきたからなんだ。

(節子) ドイツの高級車メーカーは小型車ブームを無視して従来通りの車を作っていけば良いんじゃないかしら? 新しい環境規制にパスする技術開発のためにはスケールメリットが必要だからそうは言っていられないのかしら?

(高哉) その通りだよ。それに、今後10年の車需要台数ははこれまでの生産台数の合計を上回るであろうと予測されており、需要のほとんどは低価格の小型車になる。高級車需要は何度も買い換えてからになる。「高級車しか作らない」なんて言っていると、バスに完全に乗り遅れてしまうんだ。

(節子) だったらドイツの高級車メーカーも低価格の小型車を生産すれば良いんじゃないかしら? せっかく築き上げたプラド力の問題があるのだからそうはいかないのかしら?

(高哉) それもあるけど、高級剃刀メーカーが使い捨て剃刀を作ると経営基盤である高級剃刀の販売が落ちてしまうという“共食い”問題もある。このことが物語るように変化に臨機応変に適応することは容易ではない。

 こういう場合、変化が具体的になってから慌てふためくのではなく変化を早くから予測することができれば、関係筋にじわじわと根回しできる。ところが、多忙な社長は情報源をついつい固定化してしまうのでそういう具合にはいかないことが多い。

(節子) 逆に言えば、「変化に臨機応変に適応する ⇒ ライバルの一瞬の隙をつく ⇒ 間一髪でチャンスを掴むこともピンチを脱することもできる」という図式も可能になるわね。でも、名案が直ぐに浮かばなければ、万事休すとなってしまう。どうすれば良いのかしら?

(高哉) 考えても考えても名案が浮かばなかった。ところが、多くの人は忘れた頃ひょいと名案が浮かんできたことを経験しているはず。こうなる理由を図式化すると、次の通りになる。この中に回答がある。

 とらわれの心がなくなり、リラックスした ⇒ 自分と自分自身を取り囲む環境の盲点がなくなった ⇒ 現実を直視できるようになった ⇒ 考え抜いたことが二つの効果を生み出した(潜在しているにせよ強烈な問題意識が必要な情報を飛び込ませてくれた / 頭の中にシソーラス機能がフル回転した)。

(節子) 分った。自分の性格と歴史的立場を知ることね。そうすれば、性格に振り回されることがなくなり、自ずと現実を直視できるようになるから。そういうことでしょ?

(高哉) ピンポン! 大当たりです。話は変わるけど、変化に臨機応変に適応する経営の見本は織田信長流儀だと思う。(詳しくは ⇒ 『日本の歴史上ナンバーワンの革命家・織田信長のやり方から考える

 信長のような社長であれば、前回話題にした僕がやったような大胆不敵な行動は円滑にすることができる。もっとも、やろうとすることが適切であることが大前提だけどね。

 そうすれば、台頭する中国は脅威ではなく好機にすることができる。人口が十数億と言ってもニーズは多様でありながら過当競争。しかも、従業員による部品等の盗難が多発。人治主義であるが故に裁判をしても無駄になることが多い。こういう中国と付き合って日本の企業が成功裡に事業を展開するためには、

 中国の企業はとてもキャッチアップできない(最先端の携帯電話、流行の最先端をいくファッション・アパレル等)。中国で標準的に必要とされる(鉄鋼等)。ビジネスに必要不可欠な高度の専門的能力を必要とするプロフェッショナル・サービスである(投資銀行、経営コンサルティング等) ── の三つのいずれかの分野であることが必要。

 上記三つの内の鉄鋼等を除いて明らかなように変化適応力が必要なものばかり。織田信長流儀の経営をすれば、「台頭する中国は好機しか与えてくれない」と言えるようになる。中国は膨大なプロフェッショナル・サービスだけではなくハイエンド化した既存製品の膨大な市場を提供してくれるからね。

(節子) でも、日本の企業の現実は楽観できないみたいよ。日本の開発途上国での生産活動はコストダウンを主目的にしたものであるのに対して半導体の王者であるインテルはマレーシアにデザイン・センターを設立・運営するような積極策を採っている。これって、貴方の受け売りだけど次の図式になることを恐れてなのでしょ?

 中国の台頭を受けて東南アジアは先端化や専門化に活路を見出そうとしている ⇒ アジア各国の水平分業が進む ⇒ アジア経済が大きく成長する ⇒ 「皮を切らして肉を切る」考え方を持たないと世界一の成長ゾーンから取り残されてしまう。

 こういう流れの中で日本が生き抜くためには際限なく先端化を追い続ける道を歩むしかない。そのためには、臨機応変力を身につけることを何よりも優先させなければならない。はっとするような対策ってないかしら?

(高哉) 日本の企業が陥りやすい「組織全体が統合されていない ⇒ セクショナリズムが放置される ⇒ セクション間の競争が激しくなる ⇒ 組織全体の連係プレイが困難になる」という図式から脱却するためにさっきの織田信長流儀が採用できればこれが一番手っ取り早い。日本の今の風土の下では実際のところ難しい。となると、前回提言したネットワーク型組織にした上で、次の図式を実現させることが必要になるんじゃないかなぁ。

 キーパーソンがお互いの性格と由来をきちっと認識する ⇒ 現実を直視できるようになる ⇒ チャンスとピンチを共有する。

 特定のことだけでもいいから臨機応変力を身につけたい。こう願う方への朗報 ⇒ “転ばぬ先の杖”を入手してから重大事に臨もう!

日本・日本人・企業の根本的問題解決

日本経済はエアーポケットの中をもがくのみとなっている(日本没落の原因)


目次



▲トップ  → トップページ