[TRI] Total Renovation Institute 新創業研究所
E-Mail: info@trijp.com
TEL: 04-7138-5421
 〒277-0886 柏市西柏台2-3-1 柏ハイライズ106

新創業研究所が掲載した数多くの有益コンテンツがGooleで第1位にランクされています

トップページ


日本の新しい進路を提言する
─ その場しのぎとの決別の勧め ─

第2部 日本再生の鍵は国民パワーのフル回転である

増税先にありきは日本の可能性を摘む

2007.4.1

保護政策は束の間の効果にしかならない

(節子) 「安倍政権は所得格差問題から逃げている」と党の内外が批判を浴びているけど、これってどう判断したらよいのかしら?個人のパワーアップが必要であることは理解しているけど、詰めがもっと必要だと思うようになったの。

 だって、06年度OECD調査の世界貧困率ランキングによると、中層位の人の所得の半分以下の人の占める割合は先進国中日本がアメリカに続いて第2位というじゃないなの。消費税が引き上げられると生きていかれなくなる人もいるという話も聞いているし…。世界第2位の経済大国でどうしてこんなことが起きているのかしら? もっとしっかり理解したいの。

(高哉) 事態は深刻だからもっと丁寧な説明が必要かもしれない。個人のパワーアップで述べたことを補足すると、次のようになる。

優勝劣敗が明確になる時代になった。

 工業化が限界に達して日本人が得意な模倣力が通用しにくくなった。その上、世界市場の統合が進み、“一物一価”現象が生まれた。

日本が得意とする「カイゼン」力の優位性を保ちにくくなった。

 製品技術の成熟化は「カイゼン」の費用対効果を悪化させただけではなく、中国等の技術水準引き上げに結びついた。

様変わりした環境に適応しにくい。

 日本的集団主義にどっぷり浸かって生きてきた ⇒ 深い思考を伴わないその場しのぎの習慣が染みついてしまった ⇒ 様変わりした環境に適応するために必要なメリハリのある思考力が鍛えられていない──、という図式の犠牲になりがちとなっている。

(節子) 世の中はがらりと変わってしまった。そして、ぽつんと取り残されて身動きしようとしていない姿が目に浮かぶわ。これって全部個人の責任かしら? なんとなくしっくりしない。

(高哉) 「あいつは個性的だからな」は「あいつは扱いにくい駄目な奴だ」ということを長い間意味していた。それから、新基軸を提案すると、上司から「他所でやっているところがあるのか?」という返事が返ってくる ── こういうことが長らく行われてきたのが日本。したがって、「メリハリのある思考力を持ちなさい」ということには無理があるかもしれない。

(節子) その通りよ。にもかかわらず、「日経連が1995年に長期能力雇用型以外の特殊能力等は短期採用・臨時採用を宣言した ⇒ 終身雇用に拘らないマインドが経済界に生まれた ⇒ 規制緩和により派遣社員やパートタイマーが急増した ⇒ 企業の労働分配率が下がることとなった」という図式が生まれたのよ。働く人に予測制御させる優しさが欠けているわよ。

(高哉) 大変化に無策であったことが悲劇に発展した日本の製造業にあるような日本社会の問題先送り体質の付けが働く人に回ってきたことは否めないかもしれない。でも、こんなことは今回が初めてではない。

 国の政策に応じて海外に雄飛し、帰国しようとする上陸間近の日本人を多数追い払った寛永12年(1635年)の帰国禁止令、日本全体を大悲劇に巻き込んだ先の大戦、国政を預かる指導者の判断ミスが招いたバブル経済、財政破綻と年金不安を招いたバブル崩壊後の政策ミス…等沢山ある。だから、愚痴っても仕方がない。歴史的教訓を生かすことが大事だよ。

 日本モデルの賞味期限が切れたことは自立と自律力を強化できさえすれば、個人の羽ばたきが可能になったことを意味する。だから、僕は歴史的大転換期に道を誤りがちな権威に代わる新権威を確立しよう!個人のパワーアップ、更には個性的才能を引き出す性格診断を提唱しているんだ。

(節子) 個人が臨機応変力を身につけることは大切だけど、日本の社会はこの力を発揮しにくくしているんじゃないかしら? アメリカは仕事を見つけやすいけど、日本はそうではないでしょ? だから、『脱日本的集団主義推進が国債の魅力をアップさせる』であるネットワーク型社会への転換が必要となるんでしょうけど…。

(高哉) 経過措置として労働者や下請企業の保護政策は必要であることは認める。但し、生活保護や失業保険と同じように人生や仕事の再構築までの繋ぎ的な性格でしかない。なぜなら、労働者保護が行き届いているヨーロッパの企業の実態が示しているように、企業に不利な政策が採られると、国内の雇用機会の減少に結びつく行動を採ってしまう。

 企業には資本の論理があるので市場・経営資源を世界中に求める本能があることを忘れてはならない。Nestleのスイス本社の経営陣にはスイス人は一人もいないほどだよ。ソニー本社の会長にイギリス人が就任して驚いているのでは駄目な時代になっている。このことを肝に銘じなければならない。


←前ページへ 目次 →次ページへ

▲トップ  → トップページ