[TRI] Total Renovation Institute Clear GIF 新創業研究所
E-Mail: info@trijp.com
TEL: 03-3773-6528 FAX: 03-3773-6082
 〒143-0023 東京都大田区山王2-1-8 山王アーバンライフ401

トップページ | 今なぜワタナベ式問題解決なのか | 渡辺高哉の仕事 |
渡辺高哉の時代認識 | 渡辺高哉はこんな人物 | E-mail

【斬新な着眼】



→企業躍進のために女性や若者のパワーを活用しよう ― 米国大統領選の序盤戦のヤマ場でマケイン氏が大きくクローズアップした背景分析から考える〈2000/2/18〉

 ニューハンプシャー州予備選で共和党はマケイン氏が本命のブッシュ氏に大差で破り、勝利をおさめた。これを他人事ですますことができるであろうか。「否」である。米国の新しい政治潮流は日本の企業経営のあり方の変更を迫るだろうからだ。

 「民主党はゴア副大統領を、共和党はブッシュ・テキサス州知事を大統領候補に指名する。そして、ブッシュ氏が勝つであろう」という評判が大統領選の前哨戦の前半で確立されていた。ところが、日を追うにしたがって、「ゴア副大統領が勝つかも」という声が強くなってきた。なぜだろうか。

 米国経済は長期繁栄を謳歌。これは「生活水準を落としたくない」という人間の保守本能に火をつけ、これが「米国経済の長期繁栄を支えてきたクリントン大統領の下で経験を積んだゴア大統領の方が次期大統領に相応しい」という声に結びついたからだ。だが、「ゴア副大統領が勝つかも」という声が強くなってきたのはこれだけではない。

 WTO(世界貿易機構)シァトル会議の大騒動以来、「急速なグローバリゼーションがもたらした、貧富の格差の拡大などのマイナスの影響を取り除かなくてはならない」という風潮が強まり、これがブッシュよりもゴアに有利に働き始めた。こういうことも言えそうなのだ。(シァトル会議に大打撃を与えた大騒動は、環境保護団体・労働労働組合などが結託して引き起こしたものだが、その後の世論調査によると、かなり多くの良識ある富める者からの賛同を得ているのだ)

 米国政府の黒字の使い方は、ゴア副大統領は社会保証制度の充実に、ブッシュ・テキサス州知事は減税になっているのだ。

 となれば、共和党支持者が「ブッシュをゴアと戦わせるのは損」と考えてもおかしくない。それではどうして「ブッシュよりもマケイン」となるのであろうか。マケイン氏が「政府の借金を完済する。残りを社会保証制度の充実に、それでも残ったら、その分は中産階級の減税に」を標榜しているからなのだろう。

 それでは、マケイン氏はブッシュの票を食い込んだだけなのであろうか。「否」である。無党派や民主党支持者をも取りこんでいるのだ。どうしてだろうか。

 米国の政治は国民一人一人の声ではなく、産業界や労働組合などの声を反映させる「ロビイスト政治」の様相を強める一方において、貧富の格差拡大などのひずみが蓄積。マケイン氏はこれに着目し、政治資金のあり方を革新することを選挙スローガンにし、同氏の高潔な人格がこれを迫力あるものにしている。一方、民主党の本命・ゴア副大統領は96年の選挙資金疑惑の汚名を背負っている。

 こういうことが原因して、マケイン氏は無党派や民主党支持者をも取りこむことに成功した模様なのだ。

 上記したような「ダブルシフト」が生じたために、マケイン氏が大統領候補として大きくクローズアップすることになったのであろう。

 国民が特定層に偏らず、かつ清潔な政治を求めるのなぜであろうか。ニーズが多様になってきたために、公正、かつ弾力的な行政サービスを国民が求めるようになってきたからだろう。クリントン大統領が持ちこんだ中道政治や国家財政の健全化はその意味で高く評価できるが、「発行した領収書」を清算するための政治は否定しなければならない。国民はこのように判断しているのであろう。

 弱者に優しい政治を米国民が求める深層にどんなことがあるのだろうか。自由競争社会を維持し、アメリカンドリーム・ゲームへの参加者を絶やさないようにする。この米国の国是を守り抜く。こんなことがあるのだろう。マイクロソフトが裁判で敗れたことはこの文脈の中で理解すべきであろう。

 公正、かつ弾力的な行政府を実現させる。そして、急速なグローバリゼーションの恩恵を受けることがなかった人々を救済する。言い換えれば、大企業寄りではなく、市民寄りの政治を行う。誰が次期大統領になろうと、米国の政治はこういう方向で動くのではなかろうか。

 政官財トライアングル体制、「ケイレツ」の言葉で揶揄されてきた企業集団運営、終身雇用下での年功序列型賃金体系。この三つにより日本人は個を抑圧され続けてきた。そして、この国民総囲い込み体制は急速に崩壊に向っている。ところが、高度成長を支えてきた企業戦士の多くは鳥がかごから出ても、かごがあるかのように振舞っている。そして、この奇妙な行動がわが国の消費低迷の一因をなしている。

 人の心は急速に変ってきた。言い換えれば、ビッグチャンスが到来した。ところが、企業人の多くが個人の論理ではなく、組織の論理でしか物事を眺め、判断しない。したがって、折角のビッグチャンスをゲットできないでいるのだ。

 但し、このような状態は決して長続きしないのではなかろうか。なぜなら、米国に追従しがちな日本の政治が変るにつれて、わが国にも市民パワー強化の時代が到来する可能性が強いからだ。

 だとすると、企業が躍進するために今何をすべきか。企業の優勝劣敗は相対的なもの。そして、相対的な優位性は鼻先リードで決することを認識して、企業体質の革新を図るべきであろう。この革新活動の一環として、女性や若者など、「慣性の法則」に縛られていない人材の積極的登用を行うべきであろう。

 女性や若者の登用拡大の仕方や影響についてのブレーン・ストーミングのきっかけが欲しい方は「ざん新な着眼」のバックナンバー『経営環境の動向』(1999/3/23)並びに『若者の深層心理への適切な対処が企業を躍進させる』(1999/11/121999/11/191999/11/261999/12/31999/12/10)をご参照願いたい。


●『斬新な着眼』を無料でお届けする電子メールマガジンを発行しています。ぜひご登録下さい無料)。

→バックナンバー:斬新な着眼

   ▲トップ


トップページ