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【斬新な着眼】



→経営環境の動向 ― ピル解禁の影響を考える〈1999/3/23〉

 わが国の厚生省は、勃起不全治療薬・バイアグラと避妊薬・ピルを異例のスピードで承認する運びとなった。この意味について考えてみたい。両方とも、日米貿易赤字解消へ向けて、アメリカの強い政治的圧力が働いたことはすでに知られている事実である。むろん内需拡大のためにであるが。

 アメリカはわが国に「内需を拡大せよ」と圧力をかけて久しい。しかしながら、なかなか効果が上がらずに今日に至っている。各種規制が妨げになっているのも事実だが、現状ではわが国はモノの需要を拡大しにくいという事情があることを忘れてはならない。

 規制問題を別にすれば、わが国産業界の新しい成長機会は、家庭にストックされることがない。したがって、ゴミの原因にならない、サービスとか消耗性の高い製品だといえる。但し、このようにストックの概念のない製品・サービスであれば何でも良いというわけではない。消費者が強く求めるものでなければならないのは言うまでもない。それではどういったものを消費者は求めてやまないのであろうか。

 エスカレーター人事の時代も終わった。だからといって、世の中がシステム化してしまったので、よほどの才能がない限り、脱サラして大をなすことも難しそう。普通の人から見れば、停滞社会が到来したわけだ。となれば、キリギリスではなく、蟻のように、今の欲求を我慢して将来に備えるような生活には普通の人は耐えられない。

 最近の若者は結婚相手を選ぶのに妥協しないことが多い。これは最近の若者が昔に比べて頑固になったのではなく、楽しい毎日をするためには、自分にとって楽しい相手を選びたい。退屈なあるいは不愉快な相手とはひとときといえども生活を共にしたくない。こういう「今を最高に生き続けたい」という願望の表れなのである。

 このように考えると、「今を最高に生きる」ことに役立つ、ゴミの原因にならない、サービスとか消耗性の高い製品が消費者にとって強い欲求の対象となるであろう。だから、バイアグラとピルは大きな市場となるのである。 

 ところで、この二つはわが国の内需拡大を通じて、日米貿易摩擦の緩和に役立つ。そういうことだけにとどまるのであろうか。「否」である。バイアグラつにいては別の機会に譲るとして、ピルの解禁は次に述べるようにはわが国を変えていく可能性が大である。

 ピルの解禁は、現状路線を歩む限り、わが国の少子化を一段と促進するであろう。これはわが国の滅亡に結びつくことになるので、少子化に歯止めをかける色々な手段が講じられるであろう。産業人はここから新しい成長機会を発見したり、マネジメントの仕組みを考えたりする必要がある。色々な推論が考えられるが、一例を挙げると次の通りである。

 駅前託児所、企業内託児所、お産や育児のための長期休暇制度を採用しない企業には優秀な女性が集まらない。こういう時代がやってくることは間違いないであろう。こういう問題はコスト要因や人事制度の見直しですむが、そういうことではすまない問題も発生するはずである。

 仕事と家事を両立させるために、勤務時間以外の同僚との付き合いがなくなり、日本の企業にも合理の精神が支配的になリ、すべてに渡ってビジネスライクに事が処理されるようなになる。となれば、インターネットを最大限に活用した情報交換や取引が当り前になるであろう。

 それから、日常的な家事は徹底的にアウトソーシングする代わりに、休日は家族の濃密なコミュニケーションが求められるようになるであろう。企業の新成長機会が続々と発生することは間違いなしである。


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