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【斬新な着眼】



→社長の適切な決断が企業の業績拡大を可能にする(その1) ― デフレ圧力の下での企業経営のあり方を考える〈1999/8/20〉

 「サバイバルしたいのであれば、インフレ時代の企業経営のあり方に決別しなければならない」といったような趣旨の発言が有力筋からよく出される。だが、具体論となると、なかなか前へ進まない。そこで、「問題の構造を抉り出すことができさえすれば、解決策は自ずと見つかる」という考え方に立って、これからの企業経営のあり方を論じてみよう。

1、 価格アップがなぜむずかしくなったのか〜打開策の突破口を探る〜

 物価が下落傾向にあるから、価格アップが難しくなったのだが、なぜこういうことが起きているのであろうか。産業界の現場に焦点を当てて、この原因を捉えると、次の通りとなろう。

◎市場が全体的に成熟化したからだ

 どの業界を見ても、ウォークマンのような隙間商品が開発され尽くされている。そこで、ビデオカメラを持った手のごく細かな揺れ動きを感知してそれを補正し手振れの影響を防ぐといったような、新技術を開発しても、それを価格に転嫁するのが難しい。製品コンセプトが出尽くしている上に、製品技術が成熟化してしまっているのだ。

◎民間需要が縮小傾向を続けてきたからだ

 市場の全体的な成熟化は民間需要の拡大を困難にする。これだけですめば、低成長時代の到来ということになるが、悪いことが重なってしまった。バブル発生を持続性のある有効需要の拡大と勘違いし、間違って供給力を拡大してしまったのだ。

 供給力が過剰であっても、この供給力に質的な柔軟性があればなんとかなる。ところが、そうはいかない場合が多い。なぜか。環境が樣変わりし、経営体制と人材の両方が質的にすっかり陳腐化してしまったからだ。

 冷戦構造の終結やインターネットの普及などが影響して、国際化と情報化の波に適応することが企業経営の成功の鍵となってしまった。ところが、政官財トライアングル体制の下に醸成された「甘えの構造」があったために、わが国の多くの企業はこの新しい流れに取り残されることになってしまった。これが経営体制の陳腐化。

 工業型製品の製品技術の成熟や大競争時代の到来はわが国企業に模倣から独創への転換を要求している。ところが、気が遠くなるほど長く続いた「カイゼン」主義がこの転換を困難にしていることが多い。苦心して魅力的な構想を提起しても、「それ、どこに書いてあったのですか」と言う人が少なくないのが何よりの証拠。これが人材の陳腐化。

 人材が陳腐化しても、「新しい酒は新しい革袋に」といったようなことができればよいのだが、これもままならない。なぜなら、供給力確保優先主義の経営が災いして、陳腐化してしまった人材を社内に過剰に抱え込んでしまっている。その上、「カイゼン」主義の追及はわが国全体に当てはまるために、社外に目を向けても必要な人材はなかなか見当たらないからだ。

 わが国が質的に不適切な過剰供給力を抱え込んでいるにもかかわらず、企業倒産、失業率並びに賃金カットがそれほど大きく目立たないのは「不況を支える三種の神器」(政府による内需の下支え/超々低金利/実績・人間関係優先主義)があるからなのだ。

 ボートが破損した場合、一隻単独であれば短時間で沈むが、破損した数多くのボートをつなぎ合わせれば、沈むスピードはぐっと遅くなる。日本経済はこんな状態にあるとも言えるのだ。

 したがって、わが国経済が現状路線を歩む限り、民間需要はバブル崩壊により縮小したではすまない。将来一段と内需が冷え込みかねない。そして、今後急速に進むインターネットの普及が供給力を一段と過剰にしかねない。(インターネットの利用を本格化すればするほど従来的な中間管理職や中間業者は排除される。そして、わが国の企業が米国に負けない生産性をあげるためには、このような合理化は必要不可欠なのだ)

 ここまで考察を進めてくると、わが国賃金総額の大幅引き下げの危険性を感じないわけにはいかない。なぜなら、わが国産業界の売上高・営業利益・人件費を指数化して比較すると、1980年にそれぞれが100であったのが、1998年で230・140・320となっているからだ。                               

◎価格競争が激化したからだ

 市場の成熟化並びに民間需要の縮小だけが価格競争を激化させたのではない。グローバリゼーションの進展による世界市場の統合並びにアジアの経済危機による生産能力の稼働率の大幅低下が加わったからなのだ。

◎物価の下落圧力があるからだ

 価格競争の激化だけが物価の下落圧力に結びついているのではない。アジアの経済危機による一次産品の値下がりも原因しているのだ。           

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