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【斬新な着眼】



→社長の適切な決断が企業の業績拡大を可能にする(その2) ― デフレ圧力の下での企業経営のあり方を考える〈1999/8/24〉

2、 価格アップを困難にする原因はどんな意味を持つのか〜打開策の突破口を更に探る〜

◎「世界一のスケールメリット」あるいは「特定顧客の満足最大化」が必要である

 生産する製品・サービスが一定であれば、コストは無限に近く下げられることは良く知られている理論であるが、この理論通りに近いことができる時代がやってきた。工業型製品技術が成熟化した上に、世界市場が統合されたからだ。

 今年の8月11日に発表された「アルミ欧加三社の合併による年間コスト6億ドル削減」というニュースは上記のことを証明する典型的な例だ。グローバルな視点に立ったスケールメリット追及が他の業界でも一段と繰り広げられることであろう。

 企業が生き残るための選択肢は次の二つしかない。厳しい価格競争にさらされる事業を行うのであれば、世界一のスケールメリットを追及し、世界一の低コストを実現させる。これが選択肢のひとつ。世界一のスケールメリットを追及し、世界一の低コストを目指すことが困難であれば、非価格競争力をつける。そのためには、特定顧客の特有の欲求に最大限に応えるなどの工夫を凝らす。これがもうひとつの選択肢。

 工業型製品の製品技術が未成熟な時は、後の選択肢を選ぶのは容易ではなかった。なぜなら、工業型製品の製品技術の開発が行われ続けると、消費者は新技術の習得におおわらはとなり、自分の内面に潜むニーズを顕在化させる暇がないからだ。

 ところが、工業型製品の製品技術が成熟化したために、特定の製品を落ち着いて使いこなすことができるようになり、工業型製品に対する不平・不満・夢が首をもたげてくるようになった。

 工業型製品に対する不平・不満・夢は個性的なはず。なぜなら、異性の好みは一般化できないことから明らかなように、人の心の奥には不思議なものがあるからだ。洞察力をおおいに必要とするが、特定顧客の特有の欲求に最大限に応えるなどの工夫を凝らすことがペイするようになったと言えよう。

◎ベンチャー企業発展の社会的条件が整ってきた

 ヒト・モノ・カネの経営資源はこれまで社会的流動性がないに等しかった。なぜなら、供給力確保優先主義の下に長期コミットメント体制がしっかりと根付き、系列毎に市場が実質的に分割されていたからだ。わが国は徒手空拳のベンチャー企業が極めて発展しにくい社会だったのだ。

 ところが、時代の流れは180度変わった。既成勢力によって抱え込まれていた経営資源の社会的流動性が飛躍的に高まったし、東芝ビデオ事件が示唆するようなインターネットの威力を誰でもが使えるようになった。したがって、徒手空拳のベンチャー企業であっても、新しい成長機会を発見し、それを適切な事業構想にまとめあげる力さえあれば、既成勢力を尻目に大飛躍できるようになったのだ。

 上記の見解に対して、「ベンチャー企業が活躍できる分野はいわゆるニュービジネスに限られている。自動車のような産業にベンチャー企業が参入することは不可能である」という反論が予測できる。だが、この反論は間違いだ。なぜなら、自動車産業は最終組み立て工程ですら、アウトソーシングすることが当り前になろうとしているからだ。

 ブランド力・デザイン力・関連企業のコーディネーティング力がいわゆる自動車メーカーの成功の鍵になる時代が間もなくやってこようとしているのだ。事業全体をファイナンスする力が必要なので、この点では徒手空拳のベンチャー企業は既存の大自動車メーカーに敵わないかもしれない。でも、資金が余っている時代。高収益を約束できれば、ベンチャー企業であっても、世界から資金を集めることを忘れてはならない。        

◎ベンチャー企業であっても、グローバルな事業展開ができる

 世界経済は多くの国が市場原理に基づく経済運営を行う方向で統合の度合いを強めていくことが予想される。そして、この予想が現実のものになっていくと、為替相場が価格効果となって貿易財と非貿易財のスイッチが円滑に行われるようになる。言い換えれば、貿易財と非貿易財の生産能力の稼働率が極端に落ちる国が短期的にせよ発生することを意味する。

 問題は活用できる生産能力の質だが、必需性の高い財の質は国際的に平準化していくことが予測できる。なぜなら、需要が安定した財であれば、情報技術が生産の質の平準化を可能にしてくれることもあって、先進国の企業がグローバル・マーケティングを前提に現地に進出してくるだろうからだ。

 したがって、ベンチャー企業であっても、グローバルな事業展開をすることは夢でなくなるであろう。なぜなら、各国の為替相場を見ながら、自社商品の製造あるいは販売の機能をアウトソーシングしさえすればよいからだ。但し、開発力が必要不可欠であることは言うまでもない。                          

 


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