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(節子) 梯二郎の事業では銀行融資が受けにくく、総所要金額の精々1割程度しか調達できない。いわんや株式公開は不可能である。このことが如実に物語っているように娯楽の百貨店や海上カジノをメインテーマにする夢の歓楽境は将来はともかく昭和30年代の後半では成長性豊かな大市場を形成しにくい。いいかえれば、個人的才能とやる気がだけを頼りに大躍進を遂げようとする企業家が狙うべき事業分野ではない。 にもかかわらず、梯二郎が娯楽の百貨店から海上カジノをメインテーマにする夢の歓楽境に突き進もうとしたのはどうしてなのかしら? (高哉) 前にも言ったことだけど、得手に帆を揚げて年老いる前にその分野における世界一の事業家になりたかったからだと思う。30歳ちょっと過ぎで娯楽産業精通度No1になることができたことを考えると、無理もないことじゃないかな。 (節子) 梯二郎が「好きこそものの上手なれ」の世界に入ることができたのは、娯楽の百貨店や海上カジノをメインテーマにする夢の歓楽境のような事業分野だけなのかしら? 梯二郎の性格を生かせ、かつ昭和30年代の後半において成長性豊かな大市場を形成できる事業分野は他にもあったと思うんだけど、どうかしら? (高哉) 脳内のシソーラス機能が適切であったかどうかを別にすれば、変化の激しい技術分野や映画製作だったら梯二郎の性格を生かせ、かつ昭和30年代の後半でも成長性豊かな大市場を形成できたかもしれない。日本経済が高度成長時代に入り、映画産業も逞しい成長を遂げつつあったからね。でも、梯二郎が用心深くなかったのは進路の設定だけではいない。 (節子) そうだったわね。原作の小説にはなかったことだけど、テレビ・ドラマの中に出てきた東野外しの画策なんかは幼稚だった。 海上カジノをメインテーマにする夢の歓楽境構想を実現させるためにはそのための法律が必要である。ということは、この事業成立の鍵は次期総理大臣の座を狙っている海江田が握っている。にもかかわらず、海江田の義父である東野を外すために外資を導入しようとしたんだから。 進路の設定にしても事業の進め方にしても梯次郎には短絡さが目立つ。でも、30歳ちょっと過ぎで娯楽産業精通度No1になることができたことを考えると、この短絡さは致命的欠陥であると決めつけるわけにはいかない。事業家・梯次郎を総合的にどう評価したらいいのかしら? (高哉) 挑戦しなければならない当事者が“火事場の馬鹿力”を発揮するためには、次の図式を実現させなければならない。 「何が何でもやり遂げたい」と強く思い込む ⇒ 意識・視野が行動目標だけに集中する ⇒ 全身全霊が目標達成のために寸分の隙なく使われる ⇒ 神業のような行動が可能になる。 (節子) 梯二郎の性格は“火事場の馬鹿力”をインプットして大事を決行させる可能性を持っている。ということは、梯次郎の短絡さは否定するだけというわけにはいかないわね。どうかしら? (高哉) “火事場の馬鹿力”は良いことばかりではないことにも注意する必要がある。というのは、意識・視野が行動目標だけに集中することは良いことばかりではない。行動目標以外のことは意識・視野に入ってこなくなることにも結びつき、これがリスク要因になるからだよ。梯二郎が挫折してしまったのは、このリスク要因が現実のものになってしまったからだ。 (節子) 大事を決行するには“火事場の馬鹿力”が必要である。しかし、リスク要因も伴う。難しい問題ね。どうすればいいのかしら? (高哉) 貴女も知っていると思うけど、大事を決断・決行する前にプロフェッショナルQ&Aの達人を登用することを強く勧めたい。その際に臨機応変力をも強化したいのであれば、性格と由来を認識できるようにして貰うことが必要になる。自分の性格と由来を認識しておくことは視野狭窄症、ひいては拘禁服着用症の予防に結びつくからね。
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