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【斬新な着眼】



→成長遺伝子をビジネス・パーソンに組み入れよう ― ホットな論議「小泉首相は抵抗勢力か?」から考える〈2002/3/2〉


 グランドデザインに裏づけされた首相独裁体制が企業再生を円滑にする

◎染み付いたバッチワーク主義に決別する


 「事の真相を見抜けない、見抜こうともしない」「関連事象を幅広く認識することなく、事象の断片だけを捉えて問題を指摘したり、問題解決策を提起する」に終始している。

 冒頭で申し上げさせて頂きました、上記の行動はバッチワーク主義といいかえることができます。この「バッチワーク主義」と「事の本質を見抜いた対策」の一例になるのが実は繰り返させて頂きます、次のことなのです。

(悪しきバッチワーク主義)構造改革とデフレ対策のジレンマを巡って、「インフレ政策を優先させるべきか、不良債権処理を急ぐべきか」の論議を行う。

(事の本質を見抜いた対策)ビジネス・バーソンに成長遺伝子を組み入れて、伝統的な工業型製品に代わる新産業の育成を急ぐ。

 いわゆる「骨太の構造改革計画」を読んで、「問題が羅列されているだけである」という批判が出されがちですが、上記のような「事の本質を見抜いた対策」が打ち出されていないからです。

 企業経営の世界でも「問題が山積してどれから手をつけたらよいか分らない」という声が聞かれがちですが、3ステップを踏むことによって、このような立ち往生の状態から脱出することが可能となります。


@ 山積している問題に共通している、核心となる原因を見抜く。

A この核心となる原因が悪さを働いて、「こうなってああなって」といったように、様々な問題を発生させている様子をフロー・チャートに描く

B 「核心的問題の解決に全力投球しさえすれば、将棋倒しのように、様々な問題が自動的に解決できるようになるのだ」という確信を持てるようになる、様々な問題を一体的に捉えた解決シナリオをシナリオを策定する。(上記Aを念頭に置いた解決策でなくてはならないのです)

 同じことが構造改革についていえるはずです。「骨太の構造改革計画」は核心となる問題を見抜くための発想チェックリスト機能を担っている、と理解すべきではないでしょうか。 

 あちらを立てればこちらが立たず。やるべきことは分っているのだが、円滑な第一歩が踏み出せない。このような問題が目立つ時代になりました。世の中が複雑になったのです。

 表面的に把握された問題個々に対処するのではなく、様々な問題を洞察して、核心的問題に焦点を合わせた対策を講じることが必要不可欠になったことを肝に銘じなければなりません。

 具体策はこの作業の完了を待たなくてはなりませんが、「巨大な発展途上国と共同市場を形成する」並びに「地方社会再開発を支援する」の二つを是非に念頭に置いて頂きたいものです。

◎巨大な発展途上国と共同市場を形成する

 三洋電機の中国のハイアール集団(同国の家電製品のトップメーカー)とのタイアップは一大快挙です。主な理由は二つあります。


@ 日本と中国は両社にとって実質的な共同市場になる。政府間協定がなくても、共同市場効果を入手できるのです。但し、三洋電機側が構想力・独創力の強化を怠りますと、ハイアール集団側に食われてしまいかねないことはいうまでもありません。三洋電機が先端的製品と部品だけで優位性を保ち続けることは至難の業である、といわざるをえないのです。


A 三洋電機は、当分の間、過去の延長線上で業績の拡大が期待できる。いいかえれば、ビジネス・バーソンに成長遺伝子を組み入れる時間的余裕が生まれた。三洋電機側はハイアール集団側に食われないための独創力・構想力強化をじっくりと行うことができるのです。

 日本は各個撃破的な行動を採ることにより、インドをも含めたアジア諸国との共同市場形成を急ぐなり、他の企業が三洋電機のあとに続きやすくなるような環境整備を急ぐ必要があるかもしれません。

 欧州共同体がそうであるように、経済発展レベルが似た国同士が形成するのが共同市場のこれまでの常識。しかしながら、日本がこのような条件ができるのを待っていると、「共同市場効果」入手時期はかなり先のこととなってしまい、それまでに日本は沈没してしまいかねないからです。

◎地方社会再開発を支援する


 均衡ある国土維持の努力、これが伝統的な自民党政治でした。しかしながら、地方社会の経済的発展には限界が生じざるをえませんでした。かくして、「中央政府からの地方社会への財政支援⇒自民党利権政治の発生⇒住民利益保護者として悪しき政治家の温存⇒人口に比例しない国会議員の数の温存⇒政治改革の困難さ」という構図が生まれることとなりました。

 だからといって諦める必要はありません。中央政府からの財政支援がなくても地方社会が生きていかれるようにしさえすればよいのです。そして、この実現のための神風が吹き始めました。なぜなら、五つのことが指摘できるからです。


@ 伝統的な工業型製品に代わる新産業の育成なくして日本経済は再生できなくなった。いいかえれば、経済のサービス化を一段と進めなければならなくなった。

A サービス化した経済の採算性を良くするためには、都市型百貨店がそうであるように、人口を大都市に集中させなければならない。いいかえれば、過疎地帯住民の地域内の中枢都市への移住が必要となる。
B 小泉革命は金食い虫である過疎地帯の切捨てに結びつく、地方の財政的自立を打ち出している。いいかえれば、過疎地帯住民の地域内の中枢都市への移住は進まざるをえない。

C 日本ほど「世界の中で生きていく」ことを必要とする国はないにもかかわらず、外国資本の受け入れは先進国中ダントツに低い。いいかえれば、日本は新産業育成の願望をこめて、外国に門戸を大きく開かなければならない。

D 既成の市街地は土地価格が高い上に、「新しい酒には新しい皮袋」の諺が物語るように、新産業育成のための再開発を行いにくい。いいかえれば、人口に比例して過大なインフレ整備が行われてきた地方社会の出番が回ってきたわけである。

 見方を変えますと、長いこといわれ続けてきた地方の時代がやってきたわけです。後は良質の労働力をどう大量に輩出するかです。企業の立地選定の最大の条件は「良質の労働力の存在」になっていることを忘れてはならないのです。

 上記したようなことを踏まえた地方社会開発のあり方を視点に置いて、このホームページの「国民の構想力を強化する」並びに「母産業都市機能を拡散させる」をご覧になってください。魅力ある地方社会実現のために国の果たす役割があることをご理解頂けるものと思います。

◎法案作成は小泉首相直轄のチームが行うようにする


 「構造改革のためのロードマップを法案に落とし込むために事務局に渡すと、別物になってしまう」「クレイムをつけると、法体系との調整問題をいわれてしまうので、お手上げとなってしまう」ということが指摘されています。

 「任務期間中は出向」「任務完了後は退職」「成果報酬的な大胆なインセンティブ賦与」という条件で、有能な官僚を一本釣り的に小泉首相直轄の経済諮問委員会の事務局の構成メンバーに抜擢する。このやり方がひとつの工夫になるのではないでしょうか。

 任務終了後は元のポストに戻るやり方では決して巧くいかないことを認識しなければならないのです。なぜなら、日本は部分集団主義の国で帰属集団に対する忠誠心を怠ると、ひどいことになってしまう蛸壷型社会、この是正には時間がかかるからです。

 全社的な立場でのプロジェクト推進のために各部署からエースを選抜しても、出身母体の利益にとらわれすぎて巧くいかない例が民間企業でも少なくありません。

 利益概念がないに等しい官僚の世界は民間よりももっとひどいことを覚悟した対策が必要不可欠である、と考えるのです。 (完)



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