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個性的才能を引き出す性格診断の勧め

第2部 悲劇の人生の裏に臨機応変力のなさがある ─ 人生・仕事の問題解決者を登用しなかったことが悔やまれる ─

『孤独の賭け』から学ぶ

負け組から大飛躍に成功したが、勝ち組の維持は容易ではない

2008.2.24

物語のあらすじを予め理解しておくことをお勧めします

サービス・ビジネスに必要な資質に恵まれていた

顧客にフィットする斬新さの泉になる可能性が高い

(節子) 音楽の曲は一定の音符から成り立っている。生み出された名曲は膨大な数に上っている。この事実を知ると、名曲を新たに創り出すことはできそうにないように思われる。にもかかわらず、名曲創りへの挑戦は絶えることがない。但し、独創力がなければ、折角作曲しても過去の曲と似てしまい、盗作騒ぎとなってしまう。ここに「創造とは森羅万象の独創的組み合わせである」という言葉の意義があるのね。

(高哉) その通りだよ。だから、高度のジグソーパズル思考力が成熟時代の創造活動の成否の鍵になるんだ。前にも言ったけど、百子が交渉上手だけではなく、バーの人気マダムになったり、コレクションで斬新なデザインを発表して一躍スターになれたのは、このジグソーパズル思考を臨機応変に行うことができたからだ。

(節子) 百子が若くしてジグソーパズル思考の達人になることができたのは、二つの図式が背景にあったんだったわね。

図式1 好奇心が強い ⇒ 鋭敏である ⇒ 事象の深層を事細かく解明する ⇒ 人生経験を積むと斬新なデータ・ベースが頭の中にできあがる。

図式2 「なんとかしなくては」となるような事態が発生する ⇒ 自分だけが頼りである想いが嵩じる ⇒ 大きな隙間を発見・創造しよう!と強く思う。

 ここまでは理解できる。だからと言って、客商売の達人にはなれるとは限らない。凄い独創力がありながら一向に売れない人が沢山いることを考えると、客商売の達人になるためには顧客心理を洞察する力も必要と思うの。

(高哉) 百子は顧客心理を洞察する才能にも恵まれていたと思う。それでなければ、コレクションで斬新なデザインを発表して一躍スターになることはできないよ。百子には顧客心理を洞察する才能にも恵まれているかもしれないと思われるシーンがあったじゃないの。

(節子) 顧客心理を洞察する才能が自分の複雑な心理に気づいていることから生まれるとすれば、貴方の言う通りだと思う。というのは、百子は梯二郎に出合って早々に色々な店に連れまわされた。そして、最後の店で「夜な夜な遊びなれていると思われてもいいな。でも、やはり嫌だな」と思った。こういうシーンがあったものね。

 こういう心の迷いが生じたのはどうしてなのかしら? そして、こういう心の迷いが生じ、これを自分で認識できることが客商売にプラスになるのはどうしてなのかを説明してくれないかしら?

(高哉) 200万円(現在の約2000万円)を貸してくれるかどうかに不安があった ⇒ 「不安を見せる = 無能を曝け出す」となるのは嫌だと思った ⇒ どうすれば不安から解消されるかと考えを巡らせた──、というアイデンティティ追求が心の迷いとして現れたのだと思う。百子は正直な人なんだよ。

 こういう正直な迷いをする人は他人の気持ちを汲み取る能力があることを意味するんじゃないの。自分がそうではないと他人のことは理解できないからね。そして、このようなことは他人の深層心理を理解する能力に結びつくと考えてもおかしくない。いいかえれば、客商売にプラスになるはずだよ。

(節子) その解説は納得できる。コレクションで発表した、華やかな衣装の下につけていた、ストリップ以上のストリップ感を見せた真っ黒なタイツは若い女の子に潜在している願望をずばっと見抜いたものだった。人の深層心理を見抜く力がなければあんな奇抜なデザインを考え出すことなんかできないわね。

 話を百子のジグソーパズル思考力に戻したいんだけど、彼女はこの才能を臨機応変に発揮できるようになったのはどうしてなのかしら?この才能はイノベーションのロジックとして位置づけた説明を受けたけど、奇抜なデザインを考え出すことになったことを踏まえてもう一度お願いしたいの。

(高哉) 何かある度に心の中を整理しきる習慣があるからだよ。この習慣は今貴女が言った奇抜なデザインを次々と生み出すことに結びつきすい。というのは、百子のような性格の持ち主は次の図式が成立しやすいからね。

 自分を取り巻く環境を鋭く洞察する度にアイデンティティを追求・確立し直す + 世の中と繋がっていけるのは自分の才能だけであると思いこんでいる ⇒ 確立したアイデンティティを発表したくてたまらなくなる。

 この確立したアイデンティティは発表したくてたまらなくなることは表現力を磨くことに結びつく。というのは、特訓効果がそうであるように積み重なる量が臨界点を超えると、質的な大変化が生じるからね。

顧客満足を共に創る可能性が高い

(節子)
高度のジグソーパズル思考力がある。顧客の深層心理を洞察できる。この二つが揃っているからと言って、顧客満足を最大にできるとは限らない。ミュージシャンがライブで大成功を収めるためには、次のような良い循環の成立が必要不可欠。

 ミュージシャンが演奏する ⇒ 顧客が感動する ⇒ ミュージシャンが感動して演奏に一段と熱が入る ⇒ 顧客が一段と感動する・・・・・。

 サービスは提供者が一方的に創るものではなく、享受者との共同が必要よ。こういう才能を百子は持っていたかしら?

(高哉) 梯二郎の秘書・中川京子が洋裁店「ボヌール」の買収資金である250万円(現在の約2500万円)の小切手を百子に持ってきた。あの時の百子の対応の仕方から判断するに「サービスを享受者と共同で創ることができそうだ」と言えるんじゃないかなぁ。

(節子) 梯二郎が自分で持ってくるのではなく秘書・中川京子を使いに出した ⇒ 自分が軽視されたと思い、不愉快になった ⇒ 領収書にサインしようとしなかった──、というプロセスは理解できる。でも、このような子供染みた対応がどうして肯定的な評価に結びつくのかしら?

(高哉) この出来事は気持ちを大事にする百子の特徴を見事に現している。こういう特徴を持った人間は相手の反応次第では感動して、提供するサービスの質が上がると思う。だから、子供染みた対応であっても肯定的な評価に結びつくんだ。

(節子) なるほどね。だったら納得できるわ。でも、サービスを享受者と共同で創るためには、百子の特徴である「有能感を味わいたい」だけでは駄目だと思うの。優しさも必要ではないかしら? この点において百子はやや欠けているんじゃないかしら?

(高哉) そんなことはないんじゃないかな。百子が梯二郎と自分の部屋で夕食を振舞うために準備をしていたら招待客がやってくる前に蒔田二郎が予告もなく訪ねてきた。この時、百子は大事なデート前であるにもかかわらず彼を追い出さなかった。散々世話になっていたとしても「大事な人がもうじき来るから、今日はこのまま帰って」と言えなかったのは、優しさの何よりの証拠だと思う。

(節子) 自分で「優しさも必要ではないかしら?」と言っているのに変だけど、この優しさには心から相手をもてなす気持ちが必要だと思うの。予告もなく訪ねてきた蒔田二郎を追い返さないといったような消極的な優しさだけではサービスを享受者と共同で創るようなことにはならないと思う。この点はどうなのかしら?

(高哉) 梯二郎を自分の部屋で夕食を振舞うために招待した。こういう気持ちの持ち主だから大丈夫じゃないかな。百子は梯二郎に奢られっ放しであるので、自分のオリジナリティを発揮する形でお礼をしたい。こういう気持ちがこの招待の背景にあったと思う。これはミュージシャンがライブで大成功を収める良い循環と相通じるものがあると思う。

顧客を切れ味良く扱う可能性が高い

(節子) 百子は優しいだけではなく、処世術にも長けているようね。他の二人の縫い子と一緒になって新しく借りたアパートの板の間でミシンを終日踏む。これは終日の騒音になるので近所迷惑になり、苦情を言われるのは必至。そこで、百子はそうならないようにするために管理人にお菓子を持っていきご機嫌をとった。

 百子がわがままでもこのように如才がないのは「なんとしてでも成功したい」というしっかりした目標があるからよね。でも、この場合は百子の自発性が生かせたからだと思う。むっとするようなことを言われたり、されたりしたらこうはいかないんじゃないかしら?

(高哉) そうなっても大丈夫なんじゃないかな。完成間際の娯楽の百貨店を梯二郎に案内されて回った時の彼の奥さんとのやりとりが良い例だと思う。

 奥さんの寿都子が「ホステスの修行でもなさるのですか?」という嫌味たっぷりの質問をした。これにに対して「千種さんがお頼みされればそうしないでもありませんわ」と切り返したじゃないの。

(節子) 有能感を大事にする百子が立腹しないのはこの場合も「なんとしてでも成功したい」というしっかりした目標があったからなのかしら? でも、オープニング・パーティーの時は梯二郎の大事な招待客に怒ってビールを掛けたのよ。

(高哉) 結果はそうだけど、心中はもっと冷静な計算がある。梯二郎の力を借りてなんとしでも成功したい。そのためには百子不在時に梯二郎に影響力のある第三者に対しては梯二郎に恭順の姿勢を示す必要がある。こういうアイデンティティがいずれの場合も確立されているからだと思う。

 したがって、激情家であっても「成功したい」という強い想いがある限りは大丈夫だと思う。ビジネスの場面では感情に流されることなく抑制心が働いて冷静になるからね。彼女は探求し、確立したアイデンティティに環境が変わらない限りとことんこだわる人間であることを忘れてはならない。

(節子) サービス・ビジネスは仕事が終わらないと、サービスの品質が分からない。したがって、サービス提供者はブランド力や自信に満ちた態度が必要になるわね。この点はどうなのかしら? 百子は自信家だから大丈夫だとは思うけど…。

(高哉) 「ボヌール」の先代経営者の客先を回って注文を取って来る時、「未熟者ですが」なんてことは言わずテキパキと対応した。これはその場限りのはったりではなく、「ピンポイントのアイデンティティを提起できる + 率直である ⇒ 自信を持って堂々と行動する」という性格が生み出したもの。したがって、貴女が言う通り大丈夫だと思う。


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