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【斬新な着眼】



→歴史眼のある不退転の姿勢さえあれば、基盤が脆弱でもビッグになれる時代がやってきた──田中長野県知事の地滑り的な再選の意味から考える


 田中知事と小泉首相は、一匹狼型の改革者という点で似た者同士。ところが、田中知事は一切の妥協を拒み続けたが、小泉首相は妥協が目立ち過ぎた──、このことが原因して、両者の運命は大きく異なることになってしまいました。

 何が両者の違いを生み出したのであろうか?…等、田中知事の地滑り的な再選は様々な疑問を生み出しました。この疑問をひとつひとつを解き明かすと、日本のビジネス・パーソンの具体的な行動指針が浮かび上がってきます。


時代は正しく粘り強い行動の持ち主を求めている

 田中知事が地滑り的な大勝で再選されたことを、「県会議員って県民の代表ですよね。この人たちの3/4から不信任状を突きつけられて、失職に追い込まれた知事がどうして同じ県民から圧倒的支持を受けたの?」と訝しく思われることでしょう。
 
 田中康夫さんは現状破壊型の政治家だからです。方向転換しにくい日本人ですら、従来型政治の継続は日本を破滅させてしまうことに気づいているのです──、だから、県民から圧倒的な支持を得ることができたのです。
 
 このように言うと、「どんなに素晴らしい構想でも実績がないと認めようとしないのが日本人。ところが、この日本人が乏しい実績の田中知事に圧倒的な信任を与えたのはどうしてなのだろうか?」という新たな疑問が沸いてくることでしょう。この疑問に答えます。
 
 日本は内需の懐拡大の必要性を受け、田中元首相が主導する列島改造路線を突っ走ることとなり、「土建国家」と呼ばれるようになった。そして、この役割が終わってから久しいし、内需拡大のためには別の方策が必要になった。
 
 にもかかわらず、政・官・財のトライアングル構造が確立した利権を握って離さないために、英国の『エコノミスト誌』(2002年3月2日−8日号)が指摘しているように、日本経済は1929年に始まった米国の大恐慌よりも遥かにひどい状態になりつつある。
 

 上記の悪しき実態の是正に田中知事は敢然と立ち向かい続けた。そして、その志は緒についたばかり。だから、乏しい実績の田中知事が圧倒的な信任を得ることができたのです。
 
 鉄ではなくアルミの溶接を他社に先駆けてどうしても実現しなければならない。ところが、自社にはそのような技術はない。そうしたところ、この技術を開発して間もない企業のことを知った──、こういう場合は、実績がなくてもこの企業に飛びつく。これと同じことが言えるのです。緊急ニーズが強いと実績主義は吹っ飛んでしまうのです。
 
 (自治体が国の制度にただ縛られるのではなく、自主性を発揮する余地を生み出す「地方分権改革」が最近実施に移されることになった。つまり、中央政府への陳情力の有無が県会議員の当否を決める時代はほぼ終わった。今の県会議員はこのような変化の前に当選した人たちである──、と言ってしまうと、皮相的過ぎる見解になってしまうのです。制度の変化が選挙民の意識をそんなに素早く変えるものなのではないからです)

 世に知られていない新参者に冷たい日本人であっても、歴史的に見て正しい方向の路線を遮二無二に突っ走る姿勢を広く知らせることができれば、磐石の支持を得ることができる。歴史的変革期は新参者にとってのチャンスである──、田中知事の大勝利はこのことを示唆しています。未曾有の大不況の日本にも夜明けがやってきつつあるのです。
 
 「公共事業には無駄なことはひとつもない」...と言って抵抗し続ける人々には、次のような説明が必要なのです。
 
 企業がやろうして失敗してしまった新規事業・新製品・新サービスはどれをとっても市場ニーズとまったく無関係のことはひとつもない。にもかかわらず、失敗に帰してしまうのは、コンセプトの魅力不足だけが原因ではなく、財布と時間等には限りがあるので、「後回し」となってしまうことにもあるのです。財政が逼迫(ひっぱく)している時代の公共事業についても同じことが言えるのです。
 
 公共事業も企業の新規事業・新製品・新サービスの開発同様、タイミングが命なのです。「どうしても」….と言うのであれば、タイムリーになれるようにコンセプトを詰めなおさなくてはならないのです。 

しがらみを断ち切れるかどうかが成否の分かれ道になる

 このように言うと、「小泉首相ほど改革に熱心な政治家はいない、と言っても過言ではない。にもかかわらず、田中知事とは違って妥協してしまったのはどうしてなのだろうか?」という新たな疑問が沸いてくることでしょう。この疑問に答えます。
 
 田中知事は単身で長野県庁に乗り込みました。したがって、耳元で影響力を持ってささやく人はいません。一方、小泉首相は自民党代議士として官邸に乗り込みました。したがって、様々な自民党代議士の影響力を受けざるを得ません。となれば、態度がぐらつかざるを得ません。意志強固の人が「不動心」を座右の銘とするくらいに人の心は定まりにくいのですから、仕方がありません。
 
 組織改革に成功するためには、しがらみのまったくない人をリーダーに仰がなくてならない──、このような教訓を小泉首相と田中知事の比較が生み出してくれているのです。
 
 織田信長が日本の社会で今一番人気がある歴史上の人物になっている背景には、上記のような事情があるのだ、と理解する必要があります。だからといって、豪腕の持ち主であればよい、というわけではありません。構想力・独創力に裏打ちされた強力なリーダーシップが必要なのです。
 
  この理由を知りたい方は ⇒企業努力としての構想力・独創力強化の必要性

 なお、事業展開のタイムリー化&異色の人材の登用・活用の詳しい方法を知りたい方は『勝ち組メーカーに学ぶサービス事業戦略』をご一読ください。

改革成功に必要不可欠な「創造的コンセンサス形成力」「粘り強い行動力」をしっかり身につけよう

 「でも、田中知事に離反してしまった元支持者も結構いる。正しい田中さんに対してどうしてなのだろうか?対話拒否はやっぱり良くないのではないでしょうか?」という疑問が沸いてくることでしょう。この疑問に答えます。

 「和をもって尊しとする」──、日本の社会に深く根づいているこの価値観に田中知事が反したからなのです。それでは、田中知事は人格的に問題のある人なのでしょうか?反省すべきところはありますが、「否」です。
 
 「あの人は個性的だから」…という言葉は褒め言葉ではなく、非難を含んだ言葉である──、こういう時代が日本の社会で長いこと続きました。なぜでしょうか?

 模倣や「カイゼン」だけで事足りた⇒試行錯誤を伴いがちな独創を行う必要はない。いいかえれば、所定の路線を脱線することなくできるだけ早く走ることがベストである…という図式の行動が経済的に合理的だったからです。
 
 このような背景の下に、「和をもって尊しとする」という価値観が日本の社会に深く根づくことになったのです。
 
 だからといって、衝突を繰り返すのでは能がありません。他に仕事がないから公共事業にしがみつかざるを得ない…こういう企業に対しては、「長野県内にはこのようなビジネス・チャンスが沢山ある」と言い切れるようにした上で、相手の発言の趣旨を洞察して、「貴方のおっしゃっていることはこういう意味ですか?」「だとすると、こういうやり方もありますが」…といったような「概念拡大と論理化型の会話」を県議会で積極的に行うようにしなければならないでしょう。
 
 そのために、田中知事は、既に実行されている「工事現場の木の根を砕く⇒公園の舗装に使ったり、焼いて炭にして住宅の除湿剤にする&焼くときに出てくる木窄液を土壌の病害予防剤や入浴剤にする」…以外の幅広いビジネス・チャンスを洞察・発掘できるような体制の整備を行うことが必要であることは言うまでもありません。

 田中知事に離反してしまった元支持者にも反省が必要です。なぜなら、「かくかくしかじかの理由で田中康夫氏を支持する」…という形で決意を繰り返し繰り返し行っていたならば、元支持者たちは田中知事に離反することはなかったはずだからです。粘り強さを生み出すためには、それ相応の工夫が必要なのです。

   この工夫の仕方を知りたい方は ⇒ワタナベ式問題解決へのアプローチ

 男が言い寄ってきたら、三度断りなさい。それでも言い寄ってきた男を選びなさい──、というイギリスにある格言の意味するところを理解しなければなりません。

 「ワタナベ式問題解決へのアプローチ」適用の必要性は今後一段と増すことでしょう。なぜなら、堪え性のない人が増える一方だからです。

 生誕直後から一匹だけで育てられてから他の子犬と一緒にされた子犬は、社会的な訓練を受けていないために、「噛む=噛み殺す」となってしまいがち──、こういう動物社会学の実験結果もあることを忘れてはならないのです。

 「勉強せかされ恨み」…ということで高2の男児生徒が祖母を絞殺した──、という事件が宇都宮で起きましたが、「これは例外」…ではすまされないのです。なぜなら、仲間等と深く交流する経験の大幅不足+父親の権威失墜+母親の甘やかし⇒支配や精神的圧迫を嫌う子供が成長してビジネス戦線に進出…という図式ができあがってきているからです。

 だからといって、「すぐに切れるから」…ということで怖がっていたのでは有能な人材は育ちません。そこで、必要になるのが、難問の創造的解決策・思考力強化・やる気の三つの同時入手を可能にする「ワタナベ式問題解決へのアプローチ」の適用なのです。

   この方法を全社的に採用されたい方は ⇒社内ビジネス・クリニックの設営






 筆者の母は遠隔地に引越しをしました。でも、91歳という高齢から来る難聴のために電話での会話ができません。そこで、筆者は知的好奇心旺盛な彼女が興味を持ちそうな話題を提供するためのメールをせっせと送り続けています。上記文章は、このメールから抜粋し、加筆・添削したものです。


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