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最も危険な女

                                                                2006.12.10

物語のあらすじを予め理解しておくことをお勧めします

新天地に脱出したのはなぜなのか?

(節子) 日本人の観察力が複雑になった世の中についていけなくなっていることは痛いほど分かったわ。脚本家のコリン・ロジャースも一般の日本人と似たような状態に陥ってしまったことを悟り、この状態を打開しようとしたのね。

 彼は自分の才能に自信があるし、意欲もある。でも、壁にぶつかってしまって いる。年齢から来る焦りもある。そこで、「逆転の発想が必要だ。逆転の発想を得るためには生活環境を一新しなければならない。だったら、住み慣れた故郷のメルボルンを捨てて、世界的な大都市であるシドニーに移住しよう」ということになったのかしら?

 置かれた環境が毎日同じだと考え方までマンネリ化してしまう。通勤経路を変えたり、旅行をすると、このマンネリを打破できることが多い。エキサイティングな大都市への引越しはこのマンネリ打破の大掛かりになるものね。

(高哉) そういうことだろうね。実は僕の亡くなったおやじ(渡辺美哉)は似たようなことをしたんだよ。動機はちょっと違うけどね。

 大倉財閥の本社に新卒者として入社。血筋が血筋だけにプライドが物凄く強い彼は仕事上のことで上司と衝突。一歩も引かなかったために、ほされてしまったんだ。そこで、彼は「よし、日本の将来のあるべき姿を描き出そう!」と決心。冷や飯を食いながら7年間独学で猛勉強。

 「日本はアジアを統合しなければならない。そのために台湾を拠点にしなければならない」「日本はアルミ産業を基幹産業にしなければならない」という結論を得た彼は大倉財閥本社を退職。日本アルミという企業の幹部として採用され、台湾の高雄に家族を引き連れて引越しをしたんだ。当時の彼は29才。同行した家族は私を身ごもっていた27才の妻、5才の長女、3才の長男の3人。

 このような家族環境でありながら全くの未知の地を引越し先に選んだ背景には、確かめたことはないけど、「7年間の雌伏によって染み付いてしまったイメージを一新したい。そのためには新しい人間関係を築くしかない新天地に引っ越す必要がある」ということもあったと思う。

 集団に所属すると本人の希望とはほぼ無関係に一定の役割が与えられてしまう。人間は所定のリズムを好むところがあるので、この役割からの逸脱を周囲の者が許さない。こういう呪縛から脱するための一番簡単な方法は周囲の抵抗を受けることなく人間関係をがらりと変えることだからね。

(節子) 人間関係が持つすごい影響力、痛いほど分かったわ。脚本家のコリン・ロジャースはこのことが分かっていたので、「新天地に引越しをする ⇒ 与えられた役割から脱する ⇒ 人間の将来を決定する志を自分自身で再構築する ⇒ 自分の才能を遺憾なく発揮する」という図式を狙ったのかしら?

(高哉) そういうこともあるだろうけど、コリン・ロジャースは「自分には才能がある」というよりは「自分には高い潜在能力がある」と思っていたんじゃないかなぁ。だって、自分の才能に揺るぎのない自信があれば、「生活環境を一新しよう!」なんてことは考えないからね。

 生活拠点兼執筆場所と取材場所を分ける形で田舎暮らしをしている作家は多いのが実態なんだよ。こういう実態のことを考えると、コリン・ロジャースが自分の才能に揺るぎのない自信があるんであれば、生活拠点をメルボルンに置いておけばよいからね。

(節子) 彼は「メルボルンの人達は因習に満ちているので、うんざりだ」といったようなことをわめいていたけど、本人もその一人になってしまっていることをうすうす自覚していたのかしら? そうだとしたら、 「因習に満ちた考え方になってしまっている ⇒ 脚本の企画も内容もぱっとしなくなってしまっている」と いう図式にはまってしまうわね。

(高哉) 映画はビジネス。だったら脚本もビジネス。だとすると、脚本創りにも商品開発の論理が当てはまる。商品開発の命はタイミング。因習に満ちている人々はどうしても時流に疎くなる。したがって、因習に 満ちている人々が住んでいるメルボルンにどっぷり浸かり続けることは工夫を凝らさない限り商品開発上不利。だから貴女の言う通りだよ。運命を変えるためのの転居だったわけさ。

(節子) でも、コリン・ロジャースは自分の性格と由来を正しく認識していたら転居の必要性はなかったわね。だってそうでしょ? 性格に振り回されたためにマンネリ化してしまったんだから…。

(高哉) その通りだ。性格を乗りこなしていたら潜在能力を引き出し続けることができてマンネリとは無縁の生活が可能になっていただろうからね。(補足説明 ⇒ 『性格の各人各様性の由来と影響を生み出す図式


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