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【斬新な着眼】


→人間の深層心理をとことん理解しよう! ― 人間の複雑な心を名作映画から学ぶ

最も危険な女

                                                                2006.12.17

物語のあらすじを予め理解しておくことをお勧めします

新天地への脱出が失敗に帰したのはなぜなのか?

(節子) 置かれる環境をがらりと変える ⇒ 発想を転換させる ⇒ タイムリーな脚本を創る──、という図式は一朝一夕には実現できないでしょう?

 ところが、染み付いた発想習慣を取り去る状態になる前に一大決断をすることに結びついたパーティーへの参加が運命の分かれ道になってしまったわねぇ。このパーティーで三つのことが重なってしまったんだから…。

 第二次世界大戦時に日本兵の侵略を防ぎ、太平洋を守ることに成功したオーストラリアの湾岸警備隊の活躍をテーマにした脚本を映画制作会社の社長であるエリーンに持ち込んだけど、「脚本のテーマが相変わらず時流にあっていない」と断られてしまった。これが第一番目の運命的な出来事。

 美女のヘレンがコリン・ロジャースに急接近して誘惑を開始。奥さんは引越しに物凄く不満だったことが影響してコリン・ロジャースとの夫婦間に微妙な隙間風が吹き始めていた。したがって、彼はふらふらとしてしまい、彼女の前でメロメロになってしまい、この場面を奥さんのロビン・ネビンが凝視。これが第二番目の運命的な出来事。

 浮ついた気持ちになっているコリン・ロジャースに金と名声を手に入れることが目的の脚本家気取りのマイク・キャビンが急接近。エリーンに袖にされた企画を脚本も映画制作も共同で行う条件でシリーズものとしてテレビ映画化することになった。これが第三番目の運命的な出来事。

 視聴率がシドニーで13パーセント、メルボルンで14パーセントという、ぱっとしない結果になってしまった 。二人の協力関係が巧くいかなかったことが原因していることは分かるんだけど根本的な原因はどこにあったのかしら?

 映画制作会社の社長であるエリーンが「プロデューサーの経験がないにもかかわらず自分で映画制作までやるなんて無謀です」と言ったように経験不足がいけなかったのかしら?

(高哉) 経験不足が原因というよりはプロデューサーの資質がなかったこと、気持ちが中途半端だったことの方が大きかったんじゃないかなぁ。奥さんのロビン・ネビンが「あなたにはプロデューサーは無理」ということが当ったんだよ。彼女は慧眼の持ち主と言わなければならない。

 センスがあって、しかも、「よしこれだ。なんとしでもやり遂げよう!」という気持ちで事に臨めば経験不足なんてどうということはないんだよ。

 新規事業をしようとする時、技術や販売等の経営資源があるか、容易に調達できるかどうか…がよく問題にされるが、こういうことを言う人は事の本質が分かっていないだよ。

 曖昧模糊とした状態にじっと耐えることができる度胸。「出口はあそこだ!」と言い切れる勘。疑心暗鬼な周囲の人を惹きつけ、協力させる粘り強い情熱 ── この三つが新規事業を成功させる三大要件なんだ。この三つがあれば、不足しているものは容易に入手できるもんなんだよ。足りないものは走りながら手に入れる才覚と情熱が大事なんだ。

(節子) コリン・ロジャース自身も自分にプロデューサーの資質がないことが本能的には分かっていたんじゃないかしら? 資質に自信があれば、とっくに自分で映画制作の采配を振るっていたわよ。だって、彼は「プロデューサーは経済的に恵まれているのに脚本家は生活が苦しい」といったような不満を言っていたもの。

 ふらふらとプロデューサー役をも担ったけど、自信満々というわけにはいかない。となれば、貴方がよく言う「よしこれだ。なんとしでもやり遂げよう!」という気持ちで事に臨むことは望めないわね。よく考えると、コリン・ロジャースは支離滅裂な心理状態だったものね。

 「大ヒットを飛ばして一攫千金を狙いたい」と金儲けに熱心ぶっている。にもかかわらず、奥さんが授賞式でロンドンに行くことになった時の航空旅行について「ファースト・クラスではなくエコノミー・クラスに乗って、差額をホームレスに寄付すべきだ」と言ったりするんだから。無茶苦茶よ。

(高哉) その通りだよ。コリン・ロジャースは二重の過ちを犯したんだ。競馬の騎手で成功できる人はプロレスラーにはなれない。逆も真。彼はこのことを本能的にはよく分かっていた。にもかかわらず、ふらふらと行動してしまった。こんなことになってしまったのは彼が最初から終わりまで迷い放しだったからだよ。

 ホームランバッターではない人間がホームランを狙うべきか、それとも確実にセンター返しを心がけるべきか…と迷ったままバッター・ボックスに入ってしまったようなもんだよ。迷った状態では玉際に強くなれないから失敗する。これは全てのことに言えることだよ。だから、僕は「大事の決断・決行の前にシミュレーション・サービスを受けよう!」と言っているんだ。

(節子) 仕事で培った第二の天性も失敗に結びついたんじゃないかしら。13才の娘と10才位の息子はお母さんに対してよりもお父さんに本音で喋っているシーンがとても印象的だったの。頭に浮かんだことを素直に表現しなければならないから相手の本音を聞きだすのが巧み。このシーンを観て、「コリン・ロジャースは脚本家として必要な素直に本音を表現する習慣を身につけているなぁ」と思ったのよ。

(高哉) 脚本を書くことで培った第二の天性が脚本にではなく他のことに使われて短兵急な行動になってしまったというわけだね。元々大局観のない人物が経理業務についてからますます重箱の隅を突っつくようになってしまったなんていう職業病はよくあることだよ。この延長線上に配置転換をきっかけにかっての営業のスターが転落する悲劇がある。例えば、

 宇宙衛星システム等の超高額の仕事の受注のためには接待に接待を重ねて発注先との信頼関係をじっくり創ることが多い。したがって、この仕事に長期間従事するとこの習慣が染み付いてしまい、受注金額が張らない仕事についてからもこの手を使おうとして時間と費用がかかりすぎて失敗することなんかがそうなんだ。これを図式化すると次のようになるんだろうね。

 「かくかくしかじかの理由でこのやり方を採用しているのだ」と自らに言い聞かせることをしない ⇒ 根づいた習慣が性格に組み込まれる ⇒ 性格に振り回される ⇒ 刺激に対して自動的に応答する ⇒ 現実直視力を失う ⇒ 視野狭窄症や拘禁服着用症に罹ってしまう。

(節子) 何か事を起こす時は「自分はどんな人生を送ってきたのか? だからどんな習慣が醸成されたのか?」を自問自答しなければならない。仕事で培った第二の天性に振り回され放しでは駄目というわけね。貴女がよく言う、融通無碍の習慣が生み出している悪しき日本人の現状を思い出しちゃったわよ。


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