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2018.12.25

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【斬新な着眼】



→緊急の課題である“孫悟空”の短期育成はイノベーションのロジック注入によって実現できる──、あの高橋尚子さんと小出監督の動静から考える〈2003/3/11〉

 

小出監督の独立にはどんな意味があるのか

   ― 個人的な犠牲を伴わない“孫悟空”育成の方法がある ―

 小出監督って知ってますか? そうです。シドニー・オリンピックの女子マラソンで優勝した高橋尚子さんの育ての親です。この小出監督が積水化学を退社して、フリーの立場でのマラソンランナー育成に乗り出しました。

 同監督は2002年6月、自身が代表取締役になり株式会社「佐倉アスリートクラブ」を設立しています。すると、「なるほど、独立の布石だったのか」「超有名になったことを利用するなんて抜け目がないな」…といったようなことが言われがちですが、この程度の論評で留めておいてよいのでしょうか? 「否」です。

 日本経済を再生させるためには、様々な面で発想を転換しなければなりませんが、小出監督の行動はこのことをびしっと教えてくれているのです。

企業はエースになれる人材を発掘・養成することに全力投球しなければならない

 小出監督は「五輪で優勝させるには15〜20人を抱えていては難しい」と話し企業の枠に縛られない環境を望んでいました。どうしてでしょうか? 積水化学女子陸上部の監督の立場ですと、大勢の部員の面倒見なければならず、これでは個性に合った英才教育を行いにくいからです。

 このことは「日本社会の平等主義(差別排除)の圧力がある⇒同一組織内での給与・地位は小刻みでしか上がっていかない」という図式の下に置かれてきた、 多くの日本の企業についても言えそうです。

 日本企業の平等主義はこれまではそれなりの合理性がありました。なぜなら、日本経済が順調であった時代は「家電製品のような高必需品がどんどん売れた⇒模倣や漸進的な改良に専念することが経済合理性に適っていた⇒高性能なロボットのような人材が必要であった(英才、エースは不要であった)」という図式が成立していたからです。

 この図式が超長期間続いたのが日本の社会です。ですから、高性能なロボットのように行動する習慣が染みつき、このことが原因して多くの日本人の現在の知的能力(脳力)を醸成し、今日に至っています。だから、日本経済は崖っぷちに立たされることになっているのです。

 難問を与えられ、独創的な問題解決策を提起しても、「よく勉強していますねえ、それどこに書いてあったのですか?」なんてことをいう人が少なくないのが何よりの証拠です。

  「景気を良くしないと、企業の業績は良くならない。不良債権もなくならない。だから、政府支出によって景気を支えなければならない」なんてことを真面目に語る著名なエコノミストの方々も同じことです。

 解決すべき複雑な問題を抱えている当事者と質疑応答をする⇒創造的統合戦略の仮説を設定する⇒雑多な知識・情報を化学プラントのように創造的統合戦略に大化けさせる。のみならず、当事者をやる気満々にさせる──、こういうことができる人物がこの世に存在しているなんて夢想すらしない人がほとんどなのです。(詳しい説明 ⇒ 『民間経済は優れた要素を生かせていない』)

 小出監督のこと、日本経済の現状──、この二つの認識により既にお分かり頂けましたように、日本経済を再生させるために急がなくてはならないのは、

 知的アクロバットのできる、あるいはそのような潜在能力をもった人材を高角度探索・超短期育成・抜擢することです。企業は平等主義に決別して、エース(超社員)中心の企業経営に転換しなければならないのです。

 「貧富の格差が広がりっぱなしでアメリカのようになってしまう」「日本人は元々嫉妬深いので、世の中がますます不安定になってしまう」…と言われるかもしれませんが、心配要りません。企業経営のやり方を工夫すればよいのです。

創造的な練習、未知への挑戦の段階的な成功体験──、によって次代のエース輩出は可能である

 エースが構想力・独創力豊かなコンサルタントと共同で試行錯誤しながら新技術やノウハウを開発する⇒開発した新技術やノウハウをエース以外の人々に習得させるための研修会を開催する⇒いざという時はエースが直ちに助力に乗り出せるような体制を整えた上で、エース以外の人々に習得した新技術やノウハウを使った市場開発等の実践をさせる──、等など、様々な工夫が考えられるはずです。(関連記事 ⇒ 『ウルトラ・ナレッジマネジメント』)

 小学校低学年であった私でも「卵を人工的に孵化させる⇒雛を育てる⇒成鶏に卵を産ませる」という一連のことが短期間でできるなったことを思い出してください。緊迫した必要性・興味・模範の三つが揃えば、新技術やノウハウの習得は難しくないのです。

 (現金収入になり、かつ食糧不足を補える小規模畜産事業に家族労働を投入しないと生計が成り立たないことを、10歳に満たない私でもひしひしと感じていたのです。そして、見よう見まねのやり方での育てる喜びがありましたので、結構楽しかったのです)

 そして、こういう経験を積むことは高度の新技術やノウハウの開発(習得ではありません)に結びつくのです。私が三菱総研における経営コンサルティングのパイオニアー(先駆者)を演じた時、先生役は誰一人いませんでした。にもかかわらず、数々の成功実績を挙げることができたのが何よりの証拠です。

 似たようなことが企業の新規事業の開発についても言えます。新規事業の対象となる市場や技術について精通している人物が企業内に存在しているかどうかかは必要条件ではありません。どんな分野でもよいから過去の経験が使えない事業開発に挑戦して成功させた経験があるかどうかが一番大事なのです。

 未知への挑戦であっても、「なんとかなるさ」と言えるような「度胸」、五里霧中の状態に陥った時、「出口はあそこだ」と言える「勘」──、この二つが新規事業開発の成功の鍵だからです。進路を適切に設定できさえすれば、不足している専門能力の補完はそんなに難しいことではないのです。このことは断言できます。

 話は戻って、開発した新技術やノウハウをエース以外の人々に習得させるための研修のあり方ですが、大変参考になったことがあります。小出監督&高橋尚子流のやり方です。

 私は高橋尚子さんの大ファンです。ですから、シドニー五輪での彼女の走りの一部始終を見ました。そして、成功のプログラムとイメージを猛練習で頭の中に叩き込んでいることを強く印象づけられ、研修はかくあらなければならない、と痛感したのでした。

 そして、上記した高橋尚子さんの走りのような問題解決行動を採れるようになりたいと願う、ビジネス・パーソンに「ワタナベ式問題解決へのアプローチ」の適用を勧めることに自信を深めるに至った次第です。


 既にお気づきになられているように、小出監督独立の意味分析を行ったのは、次のことを主張するためなのです。

 「なんとかしなくては」…と思い悩む⇒「よしこれだ。なんとしてでもやり遂げよう!」と心の奥底から思い込む⇒挑戦目標達成に向けて手足が自然に動く──、ということが実現できさえすれば、「1.野心の前途には巨大な壁が幾重にも立ちはだかっていた」にあるような大きな危険を冒すことなく、新産業創出に結びつくような新規事業開発等の大事を成し遂げることができます。

 上記の「イノベーションのロジック」を当事者に注入することで大事なのは、「渡辺高哉の大馬鹿物語」から明らかなように、当事者の主体性をとことん尊重することです。だからこその、「ワタナベ式問題解決へのアプローチ」なのです。渡辺高哉の様々なエピソードを思い浮かべながらご再読くださいますようお願い申し上げます。 (完)




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