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【斬新な着眼】



→成長遺伝子をビジネス・パーソンに組み入れよう ― ホットな論議「小泉首相は抵抗勢力?」から考える〈2002/3/2〉

 ボタンの掛け違いが小泉首相と田中前外相の間の亀裂を招いてしまった


 小泉純一郎氏は「自民党を破壊してでも構造改革を成し遂げる」という決意を表明して自民党の総裁選に臨みました。だからこそ、田中真紀子氏は小泉純一郎氏を全面的にバックアップしたわけです。しかしながら、あくまでも推定ですが、両氏の方法論は根本的に異なっていたものと思われます。

(小泉純一郎氏の方法論)
ステップ・パイ・ステップで改革を進めようと考えたものと思われます。単純化したシナリオで示しますと、次の通りです。


@ 圧倒的な世論と解散権を挺子に用いて、自民党の抵抗勢力並びに野党を構造改革のための法案成立へ向けて協力させる。(だから、国民的人気の高い田中真紀子とパートナーシップを組むことになったのでしょう)


A 上記@の効果を具体的に発揮させ、圧倒的ではあるが移ろい易い世論を磐石なものにする。(「田中真紀子事件」発生前の高い内閣支持率は、新規開店した小売店が宣伝に成功して、すさまじいばかりの顧客来店数を初日に獲得したようなものです)


B 上記Aの結果をバックに「この指止まれ」という形での政界の再編成を行い、その上で解散・総選挙を行い、圧倒的な勝利を収め、脆弱な政権基盤を強固なものにする。そして、更なる改革を行う。(小泉首相は「自民党の抵抗勢力とは時が来るまでは押したり引いたりの取引関係でいよう」と思っていたことでしょう。方法論のすり合わせがないままの田中真紀子氏が歯がゆい思いをしたとしてもおかしくありません)

(田中真紀子氏の方法論)外務省を突破口に用いて急進的に改革を進めようと考えたものと思われます。単純化したシナリオで示しますと、次の通りです。 


@ 「政官財の癒着構造を破壊することが構造改革の核心」「自民党の抵抗勢力は来るべき選挙を考えると、世論を敵に回すことはできない」「実社会での冒険的経験がないに等しい官僚は強権発動に大人しく従うところがある」「変人・小泉首相は強権発動をしてくれるはずである」「日本経済の実態を考えると、時間的余裕がない」ということを総合的に勘案して、外務省を短期決戦的に変革させる。


A 上記@の外務省改革の成果は他の省庁にとって「予測制御効果」を生み、行政全体の改革が円滑に進めやすくなる。(族議員の数が少ない外務省は突破口に用いる標的としては最適なはずなのです)


B 上記Aによって行政全体が改革されれば、自民党の抵抗勢力は利権を追及できなくなる。かくして、日本社会に蓄積しきったヘドロを完全に取り去ることができる。(「限りあるエネルギーの多くを、外務大臣としての本来の仕事よりもへドロ除去のために使う方が国益にプラスとなる」と田中前外相が判断したとしても決しておかしくありません)


 「米国のミサイル戦略についての見解がくるくる変わった。だから、田中真紀子氏は外務大臣としての資質がない」という専門家筋の意見がありますが、この意見に与することはできません。理由は次の通りです。


根強い抵抗勢力の存在を考えると、国民的人気を維持・強化しなければならない。となると、「心情としては反対」を表明する必要がある。(残念なことですが、圧倒的大多数の日本人は理念・理論ではなく、感情で動きがちなのです)


しかしながら、国益のためには日米の同盟関係を椎持する必要がある。となると、「外務大臣としては理解できる」を表明する必要がある。(ベストは「心情としては反対だが、日本の外務大臣としては理解できる」と最初から発言することであったことはいうまでもありません)


田中外相の学習が進み、日本は経済再生のためには地域主義に基づく共同市場に参加する必要がある。米国抜きのアジア共同市場は考えられない。そして、この共同市場形成には米国のミサイル戦略は必要である、と考えるに至った。となると、「日本経済再生のために支持する」を表明する必要がある。(戦域ミサイル構想を中核に据えた、米国の世界戦略があることを忘れてはならないのです)

 このような方法論の違いをお互いに認識して、すり合わせを行うことなく、政権がスタートした。そして、日時を重ねてしまったために、双方に不信感が蓄積して今日の事態になってしまった、と考えられるのではないでしょうか。

 但し、「9・11米国同時多発アタック事件」後、田中前外相が米国政府職員の避難場所を漏らしたことは弁解の余地がありません。しかしながら、「国会議員の外交上の機密保持義務」が定められていない現状では、「苦い薬を飲んで悪しき習慣が治る」ということを期待してもよかったのではないでしょうか。



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