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個性的才能を引き出す性格診断の勧め

第2部 悲劇の人生の裏に臨機応変力のなさがある ─ 人生・仕事の問題解決者を登用しなかったことが悔やまれる ─

『孤独の賭け』から学ぶ

性格無知が天才型事業家を挫折に追いこんでしまった
 ― 梯二郎の全てが百子との関係に現れている ―

2007.12.30

物語のあらすじを予め理解しておくことをお勧めします


英気を養うために公私融合の女色をした

事業だけではなく女性にもスリルを求めるところがある

(節子)
百子は美貌と才能に恵まれている。しかし、感情の起伏が激しい。こういう女性のどこに梯二郎は強く惹かれたのかしら?

(高哉) 相手を惹きつけて今を最高に生きたい。こういう想いで自分を取り巻く環境を敏感にキャッチし、その結果に基づいて自分のアイデンティティを追求・提起する習性を持っている ── これが百子の性格

 この性格はスリルを求めない人にとっては「感情の起伏が激しいので、扱いにくい」ということになる。ところが、スリルを求める梯二郎にとっては「主張は本質を突いたユニークさがあるし、先が読みにくい新鮮さがある」ということになるからじゃないかな。

(節子) 先が読みにくいんじゃ疲れてしまうじゃないの。梯二郎が夢見ている海上カジノをメインテーマにする大歓楽境の魅力創りには欠かせないと思う。というのは貴方が見抜いた百子の性格はバーやクラブのママ、ファッション・デザイナーがはまりの職業だものね。でも、こんな疲れる女性とプライベート・ライフまで共にしたくないと考えるのが普通じゃないかしら?

(高哉) 普通の男性だったらそうかもしれないけど、梯二郎の場合は百子のそういうところがたまらなく魅力的なんだろうね。だから同じ百子でも一時的にせよ色褪せて見えると興味を失ってしまう。小説の中にあった場面を思い出して欲しい。

 ボヌールにいる百子を訪ねた梯二郎は“その積り”だった。にもかかわらず、氷室に引き続いて“何もせずに”さっさと帰ってしまった。ここに彼の真骨頂がある。

(節子) カーテンがかかっているので部屋の中は外から何も見えない。しかし、ドアの鍵は閉まっていない。そういう状況の下で氷室が百子に男として迫るような状態で異常接近していた。そこに、梯二郎が踏み込んだら、氷室が引き下がってしまった事件のことを指しているんでしょ。この事件の前にあった取引のことを考えると、百子はうかつだったわね。

 氷室は百子が所有している不動産を本来なら6~7掛けのところを9掛けの270万円で評価。このことは氷室は“女の見返り”を百子から期待していたことを、百子がこの評価を受け入れたことは氷室の期待を受け入れる意思があることを、それぞれ意味するんだから。

(高哉) この取引内容を知っている梯二郎が密室での二人の異常接近を見てしまった。となれば、「百子は氷室との情交を受け入れることを承知したんだな」と思ってもおかしくない。こういう状況の下で“何もせずに”さっさと帰ってしまった氷室の後釜に納まるわけにはいかない。「百子 = 断られた女 = スリル味わえない女」となるからね。

 独自性があり、創意工夫の発揮が必要である。こういうターゲットでなければ梯二郎は狙う気にはならないんだ。他人がアプローチしたが、そっぽを向くことになったような獲物には事業であれ、女性であれ全く関心がないんだよ。

(節子) ところが、梯二郎が百子に興味を失ったのはこの場面だけで、その後は再びご執心になったのはどうしてなのかしら?

(高哉) 百子のアイデンティティはくるくる魅力的に変わる。こういうところが梯二郎のスリルを求める性格にぴったりだからなんだろうね。

スリルがあっても気持ちがついて来なければ、OKというわけではない

(節子) 事業だけではなく女性にもスリルを求める。こういうところがあるだけでは梯二郎のデリカシーは説明がつかないような気がする。そこで、百子のアパートで梯二郎と蒔田二郎が鉢合わせして口論になった時のことで質問したい。

 百子が梯二郎を自宅のアパートで夕食をもてなすために準備をしていたら蒔田二郎がひょっこり訪ねてきて、そのまま上がりこんでしまった。そして、後からやってきた梯二郎に突っかかり、口論に発展。たまりかねた百子が発した「私を独りにして」を聞いた蒔田が「僕だけが帰る」と言った。にもかかわらず、梯二郎はデートの楽しみを捨ててさっさと帰ってしまったのはどうしてなのかしら?

 状況が状況だけに快楽追求よりも不快感を心の中から追い出すことを優先させなければならない。うじうじしたり、つまらない打算を働かせない直情径行性が強い。──この二つが重なったからなのかしら?

(高哉) その通りだけど、梯二郎の性格的な特徴をあぶりだすためにはもっと詳しい説明が必要じゃないかな。梯二郎がデートの楽しみを捨ててさっさと帰ってしまったのは、次の図式のなせる業のような気がする。

 駄菓子屋の店員に「くさい」と言われ、摘み出され、この屈辱を二度と味わいたくないと強く思うようになった ⇒ 快楽を追求・実現させるための方策を考え抜く習性が身についた ⇒ この習性の一環として状況によっては快楽追求よりも不快感を心の中から追い出すことを優先させる習性が身についた。

(節子) この習性が梯二郎をして娯楽の百貨店のオープニング・パーティーの後、空しい気持ちを払拭するために百子を訪ねさせたのね。

(高哉) そうだと思う。「この女性と…」と思っても微妙な状況変化があると、予定をさっと変更してしまう。だからといって女なしではいられない。不快感を追い出すためにも、また、明日のエネルギーのためにも。梯二郎はこういう人間なんだと思う。

女性は臨機応変に接触したい宝。この気持ちが女性を惹きつけるし、仕事にも役立つ

(節子) だから、梯二郎は複数の女性と公私融合型の交流をするのね。妻の寿都子、秘書の中川京子、この物語の主人公の百子、バー「アロハ」からスカウトした倉沢時枝の4人は揃って公私を共にしているものね。どうしてこうなってしまうのかしら? 次の図式のなせる業なのかしら?

 相手を惹きつけて今を最高に生きたい想いが強い ⇒ 仕事の自慢もしたいので、女性の選択基準は公私を共にできるか否かになる ⇒ 公私を共にすることが融合するための手っ取り早い手段となる。

(高哉) その通りだと思う。公私融合型の交流をする女性が複数になったのは、一人では飽き足らないのではなく、好きな女性であればいつでもOKというわけではないからだと思う。梯二郎は単なる好色家ではないんだ。

(節子) 梯二郎が公私融合型の交流をする女性を複数必要とする理由はよく分かるけど、彼が女性にもてなければこの欲求は空回りするしかない。ところが、そうではないのどうしてなのかしら? 彼のどんなところが女性を惹きつけるのかしら?

(高哉) 梯二郎はワン・ツー・スリーパンチで女性をノックアウトできる類稀な才能を持っているからだと思う。これを詳しく言うと、次の通りになるんじゃないかな。

 女性を魅了する秘訣
一発目のパンチ 梯二郎の「貴女がどうしても欲しい」という想いが相手に伝わる ⇒ 相手は「そこまで気に入ってくれるのか」と思い、自己肯定感が強まる。しかし、「買いかぶりではないか?」という不安がふとよぎる。

(二発目のパンチ) 梯二郎は百子の場合がそうであったように相手の秘めた才能をずばり見抜くので、ふとよぎった不安は完全に払拭される。しかし、「不愉快な想いをするようなことになったりしないか?」という不安がふとよぎる。

(三発目のパンチ)梯二郎は「快楽を追求したい想いが強い ⇒ 不快な想いをしたくないと思う ⇒ 相手を尊重する」という図式になりやすい。いいかえれば、相手にふとよぎる「何かのことで不愉快な想いをすることにならないか?」という不安が払拭されやすい。

 既に気づいていると思うけど、この女性をノックアウトできる類稀な才能は娯楽産業王になるために必要不可欠な才能でもある。


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