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【渡辺高哉の時代認識T】



新しい技術の世界に目覚めれば、日本経済の再生は可能だ

 終身雇用制度や系列取引などからなる長期コミットメント体制は崩壊しつつあります。でも、経済の構造改革は日本独自の努力では手間取りそうです。なぜなら、洗練された選挙民が大勢を占め、良質の政治家を輩出し、国民利益に合致するような行政実現には時間がかかるからです。
 
 それに、日本建国以来続いている横並びの是正は、現状路線を歩む限り、そう簡単には実現できません。方向の転換には時間がかかる。これが日本の特徴だからです。

 となると、サービス産業などの新産業をわが国で大発展させることは容易ではありません。なぜなら、前述したように、規制や横並びがサービス産業の発展を阻害している根本的な原因となっているからです。

 それでは日本経済が再び成長軌道に乗るのは困難なのでしょうか。「否」です。なぜなら、次に述べるような形で日本経済は順風下に置かれることが確実になりつつあるからです。

同じ物質であっても、その様相が構成する素粒子・エネルギー・電磁波の組み合わせにより異なることが発見された。しかも、各生命体の良いところだけを取り出して組み合わせることにより、新しい生命体を創り出すことを可能にする、遺伝子工学の可能性が確認されている。言い換えれば、技術は分類学的パラダイム(理論的枠組み)から多様性と融合性のパラダイムに転換した。

(産業革命終結宣言は「物質の最小の粒子を化学では分子、物理学では原子」と決めつける近代科学を前提にしています。ところが、この前提が崩壊する事実がしっかりと確認され、新産業革命が可能になったのです)

先進国は新しいサービス産業に加えて新産業革命分野のゲットが可能になる。したがって、先進国の開発途上国への産業移転のスピードアップが期待できる。言い換えれば、世界経済のパイを飛躍的に拡大することが可能になった。


 このようにして実現可能となる世界経済のパイの飛躍的拡大は悪しき体質を持つ日本経済にとって朗報です。なぜなら、次のようなシナリオの実現が可能となるからです。

金融ビッグバン並びに国際会計基準の実施がある。蛸壺(たこつぼ)社会からネットワーク社会への転換手段となるインターネットの普及は止まらない。したがって、長期コミットメント体制の崩壊は後には戻らない。(しかしながら、世界経済の統合が阻害されると、この崩壊の速度は遅くなる)

先進国の開発途上国への産業移転は直接投資の形を伴うので、このスピードアップは世界経済の統合に結びつく。したがって、長期コミットメント体制の崩壊を遅らせることができなくなる。なぜなら、ユーロ誕生が欧州経済界の体質を一変させつつあることから明らかなように、世界経済の統合が進めば進むほど、閉鎖的なやり方は通用しなくなるからだ。

長期コミットメント体制の崩壊はもたれあいの困難化に、もたれあいの困難化は集団主義が急速に色あせていくことに、集団主義が急速に色あせていくことは横並びの急速な是正に結びつく。「方向転換には時間がかかる」というこれまでの通説は長期コミットメント体制の崩壊の下にあっさりと打ち消され、一気に新しい大勢ができあがるので、「日本人は節操がないほどころっと変ってしまう」という定説がものを言うようになるのだ。

(しかしながら、一方において、取り残された人々が時計の針を戻す政治的な圧力となりかねない)

日本経済が仮に世界経済をリードできなくても、日本の技術水準の高さを考えると、米国経済の外延的拡大の恩恵に容易に浴することができる。したがって、補助金支給などによって、取り残された人々が時計の針を戻す政治的な圧力をかわすことができる。

 これはあくまでも控えめに考えたシナリオです。技術のパラダイム転換に逸早く適応できる日本企業が多ければ多いほど、日本経済は成長率をその分高めることができることは言うまでもありません。

 経済改革が遅れれば遅れるほど日本経済は地盤沈下していく。このように主張される方は次の歴史的事実を認識する必要があります。

 日本経済のかっての高度成長が始まった頃、低生産性の農業部門と流通部門が社会的な問題となりましたが、政府はこの問題を放置しておきました。ところが、この放置策が逆に経済全体にプラスの作用をしました。なぜなら、農業部門は工業生産の発展に伴って必要となった労働力の供給源に、流通部門は不況時の余剰労働力の吸収先となり、コンビニの発展に結びついたからです。

 改革を成功させるためにはパイの拡大が必要である。日本経済はこの教訓通りのことを二度にわたって味わうことができるのです。


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