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【斬新な着眼】



→八方塞りの袋小路から脱出する方法(その1) ― 金利も円相場も思い切って下げられ ないために、民需拡大がままならぬ日本経済のあり方を考える 〈1999/8/1〉

 わが国経済はデータで見ると、景気の底を打ったかに思われる。だが、実態はデータが示すよりも厳しい。なぜなら、大判振る舞いの公共事業並びに政府による企業への直接的貸し付けが内需を辛うじて支えているが、いずれも長続きできないからだ。国家財政の赤字はぎりぎりのところまで来ているし、投入された公的資金の郵貯への返済が迫っているのだ。

 そこへ持ってきての米国経済変調の兆し。米国の株価の下げは世界の株価の同時安、そして、世界経済の同時不況に結びつきかねない。この辺りでわが国の民需をなんとかして回復させなければならない。ところが、ままならない。なぜか。物価の下落傾向による買い控え、銀行の貸し渋りなどがあるからだ。

 日本経済は金利水準を大幅に引き下げ、デフレを退治し、民間需要を喚起しなければならない。ところが、従来的な対策ではこれが叶わぬ願いとなっている。既に超々低金利だからだ。デフレ退治のもうひとつの手段として円相場の大幅引き下げがある。ところが、これも駄目。アジア諸国の通貨切り下げ合戦を誘発し、アジア経済を再び混乱させるだろうからだ。それに日米貿易不均衡が更に拡大しかねない。

 八方塞りの袋小路に閉じ込められている。これがわが国経済の現状なのだ。だからか、「これだ」と誰しもが唸るような打開策が提起されていない。したがって、政府が打ち出す対策を咎める人は皆無に近い。だからと言って、パッチワーク的な対策で終始してよいのだろうか。「否」である。

 構造的な環境変化の時代におけるパッチワーク的な対策は将来に禍根を残すことは実証済み。それに、問題を抉りだし、それを体系化できさえすれば、八方塞りの袋小路に閉じ込められたような事態であっても、打開できなくはないからだ。

 上記したことは日本経済に限らず、企業や個人レベルでも言えるはずだ。そこで、日本経済を題材にして、八方塞りの袋小路に閉じ込められたような事態からの脱却のあり方を探りたい。

1、思いきった円安や金利の引き下げを困難にしている真因は何か

◎国民の構想力・独創力レベルが低いらだ

 自由主義社会でありながら、所属集団を離脱すると、生きていくのが難しくなるのがわが国の実態。したがって、平均的日本人は周囲に気を使って、日頃から言動を抑制しがち。だからか、集団は漂うように惰性で動きがちとなる。この背景には気が遠くなるほど長く続いてきた「カイゼン」の有効性がある。

 このような社会では、世界全体を眺めた上で「かくあるべし」を考える必要性はないに等しい。だから、仮にこのようなことをやったとしても報われることはほとんどない。となれば、構想力・独創力は養われようがない。ところが、世の中が樣変わりし、構想力・独創力が急に必要になった。

 構想力・独創力を強化するにはどうしたらよいのか。この能力の強化が報われ、かつ強化に結びつく習慣を形成することが必要になる。具体的には、「カイゼン」主義を通用しにくくした上で、知的冒険を行う習慣を形成することである。

 大競争時代の到来、工業型製品の製品技術の成熟化により「カイゼン」は通用しにくくなった。その意味で、上記「二つの条件」のうち、ひとつはクリアーされつつある。残るは知的冒険を行う習慣の形成だが、これは容易ではない。なぜなら、自由奔放な発想並びに徹底的な論理の追及を日常的に行うことは至難の技だからだ。

 わが国の社会は集団内の情緒一体感を極度に重視するので、ナアナア主義が蔓延している。したがって、会議の席上で、伸びやかな発想をし、それを発言したり、相手の発言の論理的な詰めを徹底的に行ったりしたら、上司や同僚の感情を逆なでして、大変なことになってしまうのだ。「でも、どうしても」ということだったら、これまで所属していた集団を離脱しても生きていけるようにする保証が必要になる。

 新しい仕事がたやすく見つかる。転職が不利にならない。これが上記「保証」。終身雇用と年功序列は崩れる方向にある。系列も同様。転職時に個人についていく年金制度、労働市場の抜本的整備も実現の方向にある。「だから、大丈夫になるだろう」と言えるのであろうか。「否」である。

 その気になれば、新しい親密な人間関係を容易に形成できる。こういう保証も必要だが、現状路線を歩む限り、この実現は容易ではない。なぜなら、東京一極集中が災いして、インターネットが普及しても、日本列島を縦横断する人的交流が行われていないに等しいからだ。                                 

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