[TRI] Total Renovation Institute Clear GIF 新創業研究所
E-Mail: info@trijp.com
TEL: 03-3773-6528 FAX: 03-3773-6082
 〒143-0023 東京都大田区山王2-1-8 山王アーバンライフ401

トップページ | 今なぜワタナベ式問題解決なのか | 渡辺高哉の仕事 |
渡辺高哉の時代認識 | 渡辺高哉はこんな人物 | E-mail

【斬新な着眼】



→こじれてしまった関係を正常に戻す方法 ― WTO(世界貿易機構)加盟並びに大使館誤爆を巡る米中関係から考える(その1)〈1999/6/25〉

 米中関係は両首脳の相互訪問によって戦略的提携が成立したかに思われた。ところが、中国のWTO加盟、ユーゴスラビヤ空爆、中国大使館が被った誤爆などを巡ってぎくしゃくし始めた。 

 上記した関係の背景には、文明や政治体制の違いなど克服しがたい立場の違いがある。したがって、正常化は至難の技。それでは諦めるべきか。「否」である。問題の根本的原因を体系的に抉り出すことができさえすれば、解決できない問題はないからだ。

 立場の違いが招いたこじれた関係は米中関係だけには留まらない。個人やビジネスの世界でも多く見られる。そして、打開できず放置されていることが多い。そこで、「どうすればこじれた関係を正常化できるか」のヒントを提示するためにも、下記の順序で米中関係を論じることとする。

  1、米国独自の立場とは何か

  2、中国独自の立場とは何か

  3、立場の違いが招いた対立

  4、WTO加盟の意外な効用

  5、中国の心を動かす決め手

1、米国独自の立場とは何か

 世界各国を束ねるには普遍性の高い秩序が必要。そういう意味で、東西冷戦構造はまことに都合のよい、秩序維持体制であった。そして、欧米が最近採用してきたのが、「普遍的な価値を擁護するためには内政干渉は不可避であり、伝統的な主権概念の重要性は二義的である」とする人権・民主主義である。

 欧米は人権・民主主義を国際秩序維持手段として採用することをなぜ決めたのか。下記に示すように、これは欧米、特に米国にとって都合のよい性格を持つものだからだ。

 すべての人は神の下に平等。このキリスト教の教えによって醸成された個人主義が欧米社会には根付いている。その上、先進国なるが故に都市化が進んでいる。すると、どうなるか。様々な人との出会いの中で、自他をはっきり分けることによって育まれる、アイデンティティの確立が進むのだ。

 一人一人のアイデンティティが進むとどうなるか。己のよさと同時に限界を知るので、自分とは異なった特徴を持つ人々と自由闊達な交流を求め、社会のネットワーク化が進む。すると、自分が個性的に活かされる可能性が拡大する。すると、個人の自立と自律、ひいては社会のネットワーク化が一段と進むようになるのだ。

 社会のネットワーク化が進めば進むほど、社会に対する求心力が増す。となれば、一党独裁あるいは独裁者による強権的政府は必要ない。専制的政治体制がなくても、社会の秩序は維持できるからだ。

 求心力がないに等しい社会ではそうはいかない。ところが、普通の人は自分が長年に生活している社会の制度や習慣を普遍的なものと勘違いするようになる。小宇宙ができあがってしまうのだ。だから、「国家はすべからく民主的に運営され、人権はいかなる場合でも保護されなくてはならない」と決めつけてしまいがちになるのだ。

 すると、どうなるか。自国政府が自分たちと違った価値観の世界を容認すると、「けしからん」ということになり、政治的圧力にまで発展することとなるのだ。

 「人権・民主主義は欧米、特に米国にとって都合のよい性格を持つものである」とするのは、上記したことがあるだけではない。人権・民主主義は先端産業の創出にも結びつくのだ。なぜなら、次のことが指摘できるからだ。

 個人の自立と自律並びに社会のネットワーク化が進めば進むほど、個人の解放が進む。個人の解放が進めば進むほど、心の奥底に潜む欲求が首をもたげてくる。このようにして発生する欲求は生活非必需品の市場提供に結びつく。

 このように言うと、「日本は人権・民主主義が確立された国。にもかかわらず、先端産業の創出が遅れている。ということは人権・民主主義の確立が先端産業の創出に結びつくとは言えないのではないか」という反論があろう。そこで、この反論にも答えておこう。

 日本は人権・民主主義が確立された社会だが、社会のネットワーク化が進んでいない。したがって、個の解放が遅れている。しかも、これまでの日本経済を担ってきた輸出産業以外は規制で守られてきたために、体質がきわめて脆弱。だから、次世代産業が育っていないのだ。(この点については、私のホームページの「ワタナベタカヤのひらめきメモ」の中にある「日本経済再建のために自由闊達な人的交流の促進を― 日本経済の貯蓄・投資の不均衡の悪化から考える。(その1)〈1999/6/11〉」をご参照願いたい。

次へ】 


●『斬新な着眼』を無料でお届けする電子メールマガジンを発行しています。ぜひご登録下さい無料)。

→バックナンバー:斬新な着眼

   ▲トップ


トップページ