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【斬新な着眼】
シリーズ「日本を復活させるためにはどうしたらよいのか? 本格的な共同市場に参加するしかない!」は2003年12月27日から2004年3月15日の間に掲載しました。以下のコンテンツは当時のままになっていることを念頭に置いてお読みください。
地球環境の悪化が極みに達した。したがって、これ以上の物質的欲求の拡大は現状路線を歩む限り困難になった。 ── これが世界の実態です。 (現象の例1) 東南アジアの焼畑から生まれる煤と中国の黄砂が混合した有害な空気が裏日本を直撃しています。空がどんよりしているのです。今年3月末に裏日本に始めて出張してこのことを実感しました。この由々しき状態の背景には、
という二つの図式があるのです。 焼き畑農業は空気を汚す煤の原因になっているだけなのでしょうか? 「否」です。地球の肺機能を担っている森林の消失にも結びついているのです。 焼き畑農業をせずとも所得を拡大できる。自国の環境を自主的に保全させる ── この二つを実現させる創意工夫が待ち望まれるところです。 (現象の例2) 中国の大都市の約3分の1の空気は汚れきっており、呼吸が困難なほどです。したがって、中国の呼吸器障害に罹る率は世界最悪で米国のなんと5倍に達しています。この由々しき状態の背景には、 国際競争力をつけて輸出を振興しなければならない ⇒ 国内に埋蔵されている豊富な石炭をそのままエネルギー源として用いている ⇒ 空気が極度に汚れるしかない ──、という図式があるのです。 (現象の例3) 中国の環境破壊は空気だけではなく、水も同様。主だった水路の半分以上が化学物質や微生物の極度の汚染状態にあります。この由々しき状態の背景には、 国際競争力をつけて輸出を振興しなければならない ⇒ 工業製品生産に伴って発生する化学物質や微生物を垂れ流しするしかない ──、という図式があるのです。 (現象の例4) 工業が急速に進んでいる東南アジアは自然災害に極度に弱くなっている。2時間以上雨が降り続けると、道路が水浸しになるバンコックがその典型です。この由々しき状態の背景には、 国際競争力をつけて輸出を振興しなければならない ⇒ 水資源を大事に使う余裕がない⇒ 安易に地下水を過剰に吸い上げている ⇒ 地盤沈下が10年間で1.6メートルと進んだ」「地球温暖化が進んでいる ⇒ 雪が解けやすくなっている ──、という図式があるのです。 外需と内需を適度にバランスさせた経済運営を行えるよう創意工夫を凝らさなければならない。 ── これが現象2・3・4の教訓です。 (現象の例5) 先進国では、産業廃棄物がオーバーフロー状態になっています。この由々しき状態の背景には、 情報化が進展している ⇒ 新製品を開発しても類似品が出回りやすい ⇒ 工業製品が世界的な過剰生産に陥りやすい ⇒ 目先を変えた新製品が次から次へと市場に出回りがちである ⇒ 製品が使い捨てされている ──、という図式があるのです。 デフレ脱出のためには脱価格競争力の抜本的強化を行わなければならない。 ── これが現象5の教訓です。(抜本的強化のために認識すべきこと ⇒『デフレ経済の本当の原因』) (現象の例6) 狂牛病の発生、農産物の汚染、野菜の栄養分の大幅低下等、食物までも信用できなくなっています。この由々しき状態の背景には、 農業生産においても工業生産同様に効率がとことん追求された ⇒ 農業における分業(消費地/生産地/流通業)体制が確立された ⇒ 欲しいものがいつでもどこでも手に入るようになった。その反面、農産物は“顔が見えなくなり”、無責任になってしまった──、という図式があるのです。 農産物が地産地消に限りなく近づき、“顔が見える”ようにしなければならない。 ── これが現象6の教訓です。
上記の現象例1〜6は地球環境回復のために、4つの必要性を示唆しました。
上記「4つの必要性」に同時に応える可能性を秘めているのが、三つの図式実現の可能性がある、世界的規模での地域主義の推進です。
(価値観の変化の例1) 「楽チンな環境である ⇒ 今の自分を前提にしてよい ⇒ 不足を補えればよい、と思いがちである ⇒ 効率志向となりがちである」から「環境が様変わりした ⇒ 新しい自分を創る⇒より美しくなりたい、より健康になりたい、より有能になりたい」になったために、 朝取れ、今取れができる。顔が見えるので責任の所在が明確である、ということで近郊農業が有望になった。 (価値観の変化の例2) 人類の歴史が進めば進むほど都市化が進み、生活環境から大自然が姿を消していきます。ところが、人間は人工的な環境の下だけでは心身の健康を保ちにくいところがあります。かくして、 割高の出費をしてでも大自然を提供してくれる快適空間を求める。「衣食足って礼節を知る」ではなく「衣食足って環境を知る」となる。
米国・ロスアンジェルス市は40年前に環境規制を率先して行い、大きな成果を挙げるに至っていることを忘れてはならないのです。
人々の相互依存の拡充が生み出す経済効果の詳細については後述の「4、内需が継続的に拡大する条件が整う」において改めて論じさせて頂きます。
自由貿易協定(FTA)締結を目指す日本と韓国の初の政府間交渉が2003年12月20日から韓国・ソウルで始まりました。日本の経済産業省が「隣り合った先進国間でFTAがないのは日韓のみ」と強調する割には両国共に盛り上がりに欠けています。 (韓国側の事情)チリとFTAを締結したが、国内の農業団体の反発が激しく批准手続きが全く進んでおらず、担当者を日韓交渉に回す余裕がない。 (日本側の事情)韓国への直接投資残高は02年年末で52億円と東南アジア諸国連合(ASEAN)全体の5分の1にとどまっているので、企業自身が日韓問題を身近に感じていない。 両国の事情を認識して、「仕方がない」と言うべきでしょうか? 「否」です。なぜなら、地域主義にはこれまで述べてきたような大きな効果がある上に、日韓FTAの締結は次のような図式に結びつくことが期待できるからです。 韓国を拠点に用いて中国・ロシア・中央アジアの市場開拓がしやすくなる ⇒ 日本経済のパイが大きくなる ⇒ 日本の改革が進めやすくなる + 強化されつつある韓国企業のラディカリズムが日本に注入される ⇒ 日本の改革が進む 韓国人の多くは個人主義に結びつくキリスト教徒である。その上、アジア経済危機の後遺症があるためか韓国人の株式投資が減り、その分韓国企業における外国人株主のウェイトが拡大していることを忘れてはならないのです。 以上の日韓FTA締結の必要性の論拠にあるような「斬新な着眼」を持たずして複雑な時代を生き抜くことが困難になったことを考えると、解釈の仕方をつけない新聞報道のあり方には再考の余地があるのではないでしょうか。 客観的事実を報道するのが新聞の役割であるにしても、歴史的な視点の下で事実を読者に伝える必要がある気がしてならないのです。なぜなら、日常業務に忙殺されている一般の読者は斬新な着眼を持つことができにくいために、下記のデータに接すると、「FTAを締結すると、韓国の対日貿易の赤字が拡大しかねない。となると、日本の企業が日韓FTAに興味を余り示さないのも無理はない」と結論づけてしまいがちだからです。
それではASEANとのFTA締結はどうなっているのでしょうか? 農業問題のないシンガポールを除いてのんびりしたものになっています。
政府のみならず政治家全員が視野を広くしてジグソーパズル的思考をする。いいかえれば、創造的統合戦略を策定することを切望します。なぜなら、FTA締結は改革のための“外堀を埋める”効果を持っているからです。
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