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【斬新な着眼】



→米国の経済戦略が新しいチャンスを生む ― 日米経済実態の対照性から考える〈2000/2/4〉

 民間需要の旺盛な拡大。その結果、累積貿易赤字の拡大。これを民間部門の膨らみ続ける借金でまかなっている。しかしながら、そのお陰で長期にわたっての経済成長。その結果、政府部門は税収増並びに失業手当の支払い減を享受することとなり、黒字に転換することとなった。これが米国経済の実態。

 家計部門の巨額の貯畜を温存したまま、民間需要は縮小傾向。しかも、バブルによって供給力が拡大している。ということで、企業部門には輸出ドライブがかかり、累積貿易黒字の拡大。それでも、放置しておくと、経済全体がデフレ・スパイラルに陥ってしまうので、政府部門は支出を拡大し続け、未曽有の借金地獄に陥っている。これが日本経済の実態。

 日米経済はこのように対照的ではあるが、双方とも異常な事態に置かれている。このままではすまない。今後どうなるのであろうか。だから、企業はどうすべきかについて考えてみたい。

 金融業以外の一般企業の過去2年間での借金増加額9000億ドルの内、4600億ドルが株式の買い戻しに使われた。そして、買い戻した株式の多くはストック・オプションに使われたとのこと。このように、米国の高株価は企業の将来性を必ずしも反映したものではないのだ。

 それでは、米国の株式はいずれ暴落するのであろうか。「否」ではなかろうか。株式の暴落は年金支払い額の大幅減少に結びつくので、ベビー・ブーマーがいずれ大挙年金生活に入ることを考えると、このような事態は政治的に受け入れらない。言い換えれば、政府が株価暴落を阻止する手を打つだろうからだ。

 それでは、米国政府は株価暴落をどのようにして阻止するのであろうか。下記の事態実現を誘導するのではなかろうか。

 米国内で落ち込むであろう市場が日本を含めたアジアにシフトするために、米国企業の対日進出が大きく拡大する。勢力を拡大させた在日米国籍企業が牽引力となって、日本の民需を拡大させ、米国の民需落ち込みをカバーする。(米国企業は日本企業とは違って、バブル崩壊の後遺症がない。その上、高騰した株価を用いる資金調達力がある。といった具合に、米国企業は日本に比べて元気旺盛なのだ)

 米国の内需は低迷させたまま放置されるのであろうか。日本を始めとする外国への輸出拡大で米国の民需の落ち込みをカバーしきれない場合は、米国は政府が余剰資金を使って、公共事業を主導するのではなかろうか。米国の道路などの社会資本のメンテナンスは遅れている模様。それに、米国経済の世界における優位性を考えると、米国内の後進地域の開発は高採算に結びつき得るからだ。

 米国の民需の落ち込みを日本の民需拡大並びに米国の国土再開発でカバーすることにより、米国の株価暴落を阻止する。米国政府はこういう手を打つことが考えられるのだ。

 話は変わるが、「ペイオフ(預金などの払い戻し保証を一定額までとする措置)解禁の延長は日本経済の改革を遅らせる」という非難の声が圧倒的。だが、上記したようなことを考えると、ペイオフの延長は日本経済再生にプラスに働くかもしれない。

 政府の巨額の借金とあいまって日本経済の改革が遅れることは、日本売りに、日本売りは円安・ドル高に、円安・ドル高は二つの効果を、いずれ生んでくれるかもしれないからだ。

 円安・ドル高は米国企業の対日進出の促進に結びつく。これが第一の効果。円安・ドル高はわが国の民間需要の回復に結びつく。これが第二の効果だ。

 なお、円安・ドル高はわが国の民間需要の回復に結びつくとする根拠については、「斬新な着眼」のバックナンバー『八方塞りの袋小路から脱出する方法』(1999/8/1、1999/8/6、1999/8/10、1999/8/13)をご参照願いたい。

 円安・ドル安が進む。米国企業の対日進出が一段と拡大する。在日米国企業が主導して日本の民間需要が回復する。米国は国土再開発が内需の落ち込みを下支えする。

 このような事態が発生するとしたら、わが国の企業にどのようなチャンスを持ちこんでくれるのであろうか。

 米国の国土再開発は日本の建設業界の異常なまでの過剰な生産能力のはけ口になる。在日米国企業やその関係者の業務や生活を支援する事業が脚光を浴びる。少なくとも、こういうチャンスが生まれるのではなかろうか。


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