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【斬新な着眼】



→自分に不利な交渉の流れを変える方法(その4) ― 台湾の「二つの中国」宣言問題を考える〈1999/9/14〉

4、中台の利害を最終的に一致させる(交渉当事者の利害を最終的に一致させる)

◎問題解決のシナリオが一致しがたい利害を一致させる

 中国はなぜ「一つの中国」にこだわるのであろうか。「二つの中国」を認めることが中国の分裂に結びつき、統一中国なるが故の軍事予算並びに潜在市場の大きさが保てなくなり、対外的な政治力が弱体化しかねないからなのだ。中国本土は広大で、かつ多様な民族を抱えているので、分裂しやすいこと並びに中国が清朝時代に列強の草刈場となった歴史的事実を忘れてはならないのだ。

 一方、台湾が「二つの中国」にこだわる主な理由は、前述した「折角掴んだ民主化と経済的繁栄を手放したくない」という想いがあるだけではない。国際機関に参加して、世界各国と正式な外交関係を樹立して、グローバルな経済活動を行いたいからでもあるのだ。

 中国と台湾の以上の希望は相容れないのであろうか。結論を先取りすると、「否」である。中国首脳部が納得いく形で中国の民主化を進めることが中国の対外的な政治力の強化に結びつく。そして、台湾が国際機関に参加することがこの促進に結びつく。こういうことを可能ならしめるシナリオを考えればよいのだ。

◎中台経済の一体化を進める

 前述したGEM(Hong Kong Grouth Market)が軌道に乗れば乗るほど、中台経済の一体化が進むであろう。なぜなら、台湾は母産業都市機能を果す形で、台湾企業は大挙して中国に進出し、中台のヒト・モノ・カネの交流は同一国のような様相を呈するであろうからだ。そうなれば、共生関係が中台間に確立されるであろう。

◎中国の利益になるべく、台湾の国際機関への参加を認める

 但し、この共生関係を発展的にものにするためには、台湾が米国同様の先端産業開発力を持ち続けなければならない。

 どうすれば、台湾は先端産業開発力を持ち続けることができるであろうか。個を抑するのではなく、徹底的に解放すると共に、切磋琢磨のチャンスを無限に与えることである。

 台湾の民主化は急速に進んできたし、「中国の支配から免れるためには、西洋化が必要」と考えている節があるので、上記「二つの条件」の内、前の条件はほっといても大丈夫であろう。問題は後の条件だ。なぜなら、台湾は国際機関への参加が認められていないし、外国との外交関係を樹立することを中国が妨げているからだ。

 したがって、現状路線を歩む限り、台湾が先端産業開発力を持ち続けることは容易ではない。なぜなら、先端産業を開発する力を待ち続けるためには、様々な先進国と自由に交流しなければならないからだ。

 中国が台湾をして世界にはばたくさせることを中国が容認しない気持ちは分からないではない。グローバリゼーションの時代、中国が生殺与奪件を握らずして台湾を世界にはばたかせると、台湾はスイスのような存在となってしまいかねないからだ。

 でも、上記したように、中台の経済は一体化し、共生関係が確立されるのであった。したがって、中国は自らの繁栄のために、台湾の世界への羽ばたきを安心して認めることができるようになろう。

◎インターネットの普及が中国の民主化の促進を確実にする

 中国の民主化を促進するのは、前述した世界貿易機構への加盟だけではない。インターネットの普及も同様だ。中国政府は国民の間にインターネットが普及することを本来的には希望しない。なぜなら、インターネットが普及すればするほど、国民は外国のニュースや新聞に接するようになり、自国政府に対する不満が増すようになりかねないからだ。

 ところが、中国政府は「背に腹はかえられない」とばかりに、インターネットの普及にゴーサインを出した。なぜなら、中国小売業の先進国メーカーとの直結を、中国メーカーの先進国小売業との直結を、インターネットの普及はそれぞれ可能にし、中国の内需を拡大せしめるからだ。

◎中国経済の苦境が中台の円滑な統合を実現させる

 中国本土が先進国並に民主化しさえすれば、中台の統合は円滑に実現するのであるが、以上述べたことから明らかなように、GEM並びに中国社会のインターネットの普及がこの民主化を確実なものにするであろう。ということは、「変化こそがチャンス」の態度を台湾はとったと言えよう。なぜなら、GEMのみならず中国社会のインターネット普及が中国本土の経済苦境の産物だからだ。


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