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【斬新な着眼】



→暴走的な対立をしがちな集団間の関係を正常にする方法 ― バルカン半島の安定のさせ方から考える〈1999/7/30〉

 歴史的に対立してきた、異なった宗教や民族を同一国家内に留めるのではなく、宗教別あるいは民族別に国家が形成できるように再編成する。そして、新たにできあがった群小国家の統合はヨーロッパ共同体(EU)と北大西洋条約機構(NATO)に任せる。これがバルカン半島のあるべき地図並びに統治方法。

 上記「到達目標」が実現すれば、ユーゴスラビヤ・コソボなどのバルカン半島は安定するのであろうか。「否」である。なぜか。宗教のみをアイデンティティにしてしまっている面が強く、これが個人の意思の抑圧に結びつき、集団の自浄作用を大幅に低下させている。同胞や領土の離合集散を繰り返している。したがって、それぞれが集団暴走的な失地回復主義に凝り固まっている。程度の差こそあれ、これがバルカン半島内の実態だからだ。

 バルカン半島の人々には西ヨーロッパのような近代国家形成のチャンスが与えられなかったことをしっかりと認識しなければならないのだ。醸成された悪しき企業体質の是正が容易ではないと同じことが、バルカン半島諸国には言えるのだ。

 古い昔から延々と続いている異民族あるいは異宗教間の激しい争いの背景には、「積年の恨み辛みが解決されていないから」といったような単純な問題があるのではなく、集団暴走的な失地回復主義があることを理解しなければならないのだ。

 このような力学が働いている下での一触即発の状態にある間柄を、一体どうしたら正常にできるのであろうか。次のような対策が必要といえよう。

 世界の先進国からの直接投資を拡大させる。(グローバリゼーションの時代、各国各地域に総花的ではなく特徴ある産業形成が期待できよう) これによって、三つの効果が期待できる。いがみ合ってきた近隣集団と交流しなくてもすむ。これが第一の効果。この効果は次に述べる「ノルディック効果」を狙ったものである。

 ノルディック諸国はいずれも「これが個人主義のヨーロッパであろうか」といぶかしく思えるほど、地域社会内で相互干渉が行なわれている。集団の規律がきびしいのだ。したがって、ノルディック諸国が相互交流を深めざるを得ないのであったら、いざこざが絶えないであろう。

 ところが、ノルディック諸国はヨーロッパを含めて世界とつながっているために、域内の交流を深めなくてすむ。だから、集団主義同士の争いを避けることができている。どうしてなのか。実はノルディック諸国の国民はおしなべて英語が堪能であるので、世界にはばたくことができるからなのだ。(バルカン半島の安定化のためには、世界語・英語の教育徹底が必要となろう)

 バルカン諸国への先進国からの投資拡大は先進国とのネットワーク化に、このネットワーク化は集団の自浄力強化にプラスとなる個の解放に結びつく。これが第二の効果。特定集団から離れても十分に生きていけるようにすることが、個の解放に結びつくことに注目しなければならないのだ。

 先進国との経済交流の拡大はバルカン諸国の経済を発展させ、「金持ち喧嘩せず」の実現に結びつく。これが第三の効果。他人に対してむかっと来ても、生活が豊かであると、自制心が働きやすい。バルカン諸国の交流を深める前にこういう状態をつくっておくことは大切なことなのだ。

 バルカン半島諸国の経済が発展すれば、それぞれが特徴ある産業を持っているので、当然のこととして、域内の経済交流が深まる。でも、抗争の心配は不要。自浄力がない。自制心がない。各集団がこんな状態であれば、抗争が再燃しかねないが、その心配はなくなっているからだ。

 となれば、域内の経済交流は円滑に進み、ネットワークは先進国との間だけではなく、域内にもできあがり、バルカン半島諸国々民の個の解放が一段と進むだけではなく、バルカン半島への求心力強化に、この求心力強化は広域地域社会への愛着にも結びつく。かくして、バルカン半島の恒久平和が実現できるようになるのだ。


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