[TRI] Total Renovation Institute Clear GIF 新創業研究所
E-Mail: info@trijp.com
TEL: 03-3773-6528 FAX: 03-3773-6082
 〒143-0023 東京都大田区山王2-1-8 山王アーバンライフ401

トップページ | 今なぜワタナベ式問題解決なのか | 渡辺高哉の仕事 |
渡辺高哉の時代認識 | 渡辺高哉はこんな人物 | E-mail

【斬新な着眼】



→零細企業が大企業になるには大きな可能性を秘めた無名の新人歌手の登用を ― アメリカにおけるインターネット関連会社の広告合戦の底流を考える〈1999/6/8〉

 「10円メール」を大ヒットさせた店頭企業、マスターネットの株価は399万円で、時価総額は260億円。同社の西久保社長は明治乳業のパソコン通信子会社を1000万円で買収し、6年間で2600倍にしたのである。同社長の個人資産も150億円を超えた。情報化と市場化の波に乗った、現代のシンデレラ物語である。

 変な話だが、将来大スターになる無名の新人を一番最初に発掘し、テレビコマーシャルに登用する。こういうことによってでも、企業がおおばけする理論的根拠を提供することとしよう。

 アメリカではインターネット関連会社の間で凄まじい広告合戦が演じられている。同業界が使った1998年の広告費用は前年比78%増、1999年の第1四半期は前年比約3倍となっているのである。「生き残れるのは業種別に数社だから、今のうちにブランド力を確立しなければならないから」と一般的には説明されているが、どうしてそういうことが言えるのであろうか。

 誰でもホームページを開設できる。つまり、誰でもがサイトを持てる。したがって、それこそ無数のサイトが乱立しているのがインターネットの世界。「インターネットはゴミの世界」と酷評されるほど、魅力のないホームページがほとんど。したがって、ユーザーはケースバイケースに応じて自分にとって役立つサイトを発見するのは至難の技となっている。

 「こういう場合はこのサイトを利用しなさい」と言い切って欲しい。これがユーザーの偽らざる心境なのである。この要請に応えるひとつの方法がブランド力。このブランド力をインターネット関連会社が確立することによる経済効果には莫大なものがある。なぜなら、安い費用で双方向通信できるなどのために、他のメディアとは比較にならない数の人々が参加する。これがインターネットの世界だからである。

 インターネット関連会社の広告に限らず、このブランド力確立に大きな威力を発揮してきているのが歌手を登用してのテレビコマーシャルである。なぜか。次のことが指摘できるからである。

 魅力ある個性を持たない企業や商品は生き残れない時代になった。一方、消費者は「今を最高に生き続ける」ことを求めるようになってきている。例えば、「道は歩くための機能を提供するだけではなく、どうせ歩くなら楽しめる道であって欲しい」という贅沢な欲求が生まれている。したがって、コマーシャルもエンターテイメント性が求められるようになっているのである。

 となれば、生き生きした表情で歌い踊る歌手を堪能できる、テレビコマーシャルが一番。こういうことになる。そして、このようなコマーシャルであれば、市場が細分化してしまったが故に多数のスポンサー相乗りの細切れ広告になってしまっていても、短い時間で鮮烈な印象を視聴者に残すことができる。無名歌手のチャンス到来なのである。

 ところが、テレビコマーシャルから登用された無名の新人歌手も人気が出てくると、色々な場面で登用されるようになる。すると、この歌手と特定企業とのイメージ上の結びつきも薄れ行く。

 広告スポンサーとしてこれは困ったことである。どうしたらよいのか。将来大スターになる無名の新人を一番最初に発掘し、テレビコマーシャルに登用すればよいのだ。なぜなら、「○○はどこどこの会社」 このようなイメージを一番最初に確立し、他社がこれに追従するための広告を行なうと、この広告はこの「どこどこの会社」の広告になりがちとなるからである。イメージのパイオニア―ズ・メリットである。

 免疫のないところにインプットされたイメージはなかなか消えない。人間にはこのような宿命的な性癖があるが、将来大スターになる無名の新人を一番最初に発掘し、テレビコマーシャルに登用することは、このような人間の宿命的な性癖の活用に結びつくのである。

 ここに、無名の零細企業が世に出るチャンスがある。「これぞ」と思う製品・サービスを開発し、将来大スターになる無名新人歌手を登用する。これだけで、無名の零細企業であっても、この歌手と共に、世界的な企業への道を歩むことができるのである。

 「無名の零細企業がテレビ広告を出す余裕なんかない」という反論があるかもしれないが、この反論には「情報化と市場化の波に乗れない企業はこれからは大をなせない」という言葉を返したい。但し、次々とヒット商品を世に出す開発力を持たなければならないのは言うまでもない。

 そして、次々とヒット商品を世に出す開発力を持てるかどうかは経営者の決断次第である。なぜなら、新規事業・新製品(サービス)開発の歴史を調査結果として捉えた資料整備を行ない、この資料に基づいた、分析的推理と合成的推理を適切に行うことにより、企業の開発力の抜本的強化は可能となるからである。


●『斬新な着眼』を無料でお届けする電子メールマガジンを発行しています。ぜひご登録下さい無料)。

→バックナンバー:斬新な着眼

   ▲トップ


トップページ