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【斬新な着眼】



→落ち目のリーダーシップ再強化の方法 ― 世界におけるアメリカのあり方に学ぶ(その3)〈1999/6/4〉

 これまで述べたことを踏まえ、アメリカはどのようにしてリーダーシップを再強化したらよいのであろうか。

◇新しい潮流をスピードアップする

 利害が一致しにくい交渉事をまとめる方法には、飴と鞭を用いるやり方とそうではないやり方の2種類がある。東西冷戦構造時代に世界自由貿易を推進してきた際にアメリカが採ってきたのは飴と鞭であった。

 冷戦構造が終結し、旧ソ連の軍事的脅威がなくなり、西側諸国はアメリカの軍事的保護をあまり必要としなくなってしまった。そして、何時の間にかアメリカの経済力が相対的に低下してしまった。だから、アメリカは飴と鞭を有効に使うことができなくなってしまったのであった。

 それでは、「アメリカは自分の思い通りに世界経済を運営できなくなってしまった」と言わなくてはならないのであろうか。「否」である。なぜなら、市場原理に基づいて世界経済を運営せざるを得ないような、新しい潮流が生まれつつある。つまり、アメリカ流のやり方で世界経済を運営できるような方向に世界が動き出してきたのである。

 「自分のやり方が世界のルールになりつつある」ことを認識すると、図に乗りがちなのが人間であるが、このようなことをすると、周囲から反発を買ってしまい、せっかくの潮流を変えてしまうことになりかねない。

 アメリカはどのようなやり方で世界自由貿易を推進したらよいのであろうか。

 ユーロ誕生がユーロランド各国の経済解放に結びつきつつあることを考えると、通貨統合を到達目標にする共同市場の形成が世界中に広まることを積極に応援すべきであろう。アメリカは飴と鞭を使わない交渉を行なわなければならなくなったのである。

 飴と鞭を使わないリーダーシップ。これは国際関係だけに必要なのではない。個人間についても当てはまる。なぜなら、一人一人に世界が大きく広がりつつある上に、個人の自立と自律が進む時代がやってきたので、力づくのリーダーシップは発揮しにくくなる一方だからである。

◇自分の世界を広げ、かつ深める

 アメリカにとって市場原理の普及のスピードアップは長期的対策。貿易収支の累積赤字を解消しなければならないという短期対策の必要性はついてまわる。だからといって、輸入を縮小し、輸出を拡大するやり方は避けなければならない。なぜなら、このようなやり方は貿易摩擦となり、上記「長期的対策」を妨げることに結びつくからである。

 それではどうすべきか。輸入は減らさず、輸出を拡大する形で貿易赤字幅を縮小の方向に持っていく、拡大均衡路線を歩むべきであろう。そのために、「アメリカを拡大する」という考え方に立って、開発途上国の経済開発に力を貸すだけではなく、アメリカの国土の再開発をも行なうべきであろう。

 開発途上国が共同市場を形成することは目先の経済効果が大きいだけではなく、地球環境の保全にも貢献する。(詳細については、私のホームページに掲載してある論文「ユーロ誕生と企業経営」をご参照願いたい)したがって、開発途上国の経済開発は共同市場化によって行なう必要があるのは言うまでもない。

 上記したようなやり方は個人間でも必要なことである。長期的視野に立った高邁な思想が短期的利益追及に工夫がないために、「衣の下から鎧が見える」ことになることはよく見られることだからである。そうならないためには、自分の世界を広げ、かつ深めることにより、当面を前向きに生き延び、相手と摩擦を起こさない工夫が必要なのである。


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